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2017年2月25日 医療法務研究協会 設立記念講演会によせて

参院議員 足立 信也

 医療法務研究協会の設立並びに記念講演会の盛会を祝します。
ご参加の皆様の真摯な議論に水を差してはいけませんが、法律案の審議には駆け引きがありますので、過去の経緯を説明いたします。

死因究明関連2法は平成24(2012)年6月22日に公布されました。
「死因究明等の推進に関する法律」(「死因究明推進法」と略)と「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律」(「警察関連死因法」と略)のことです。

このうち、「死因究明推進法」が可決した最大の理由は、第十六条に 医療の提供に関連して死亡した者の死因究明のための制度については、その特殊性に鑑み、政府において別途検討するものとする。という条文を書き、診療関連死を除外したことです。その2年後平成26年、医療法の改正という形で「医療事故調査制度」ができたのは皆さま周知のとおりです。

この「死因究明推進法」は2年間の時限立法でした。その為、同じ平成26年にはこの法律を延長しようという動きがありました。私が気を配ったのは医療法の改正による「医療事故調査制度」と「死因究明推進法」を混同させないことでした。平成20(2008)年の「医療安全調査委員会設置法案(大綱案)」に逆戻りさせないためです。

内閣府に特別の機関として、死因究明等推進計画の案を作成する死因究明等推進会議が置かれましたが、2法が成立した平成24年の12月に政権交代があったため、議論は全く進みませんでした。そこでまず、死因究明等推進計画を作成することが大前提である、と主張し内閣のやる気を求めました。

平成26年6月13日に死因究明等推進計画が閣議決定されましたが、その中の重点施策に医師、歯科医師等の育成及び資質の向上という項目があります。そこには、臨床研修病院等で死亡診断書記入マニュアルを活用して死亡診断書、死体検案書を作成する、という到達目標を周知徹底する、とあります。
ここで死亡診断書記入マニュアルが重要になってきます。当時のマニュアルは皆さんご存知のように、『異状死体』を見た時の医師個人の判断である「医師法21条」の解釈に、法医学会の「異状」の判断のガイドラインを参考にしなさい、というどの法令にも書かれていないことを敢えて厚労省が書いたという誤ったものでした。

このため、田村大臣、安倍総理から死因究明等推進計画にある死亡診断書記入マニュアルとは現在のものではなく、見直した後のものである、という答弁を引き出しました。しかし、答弁だけではうそをつかれる心配があります。その為実際に死亡診断書記入マニュアルが改定されるまで、「死因究明推進法」の審議開始に反対しました。

死亡診断書記入マニュアルが改正され、医療法改正による「医療事故調査制度」が定着した今、「死因究明推進法」を「死因究明法」にする機会だと思います。ただ、取りざたされているように厚労省が所管するようになった場合、混乱を生じさせ、再び「大綱案」の悪夢が訪れる懸念も感じます。日本の死因究明制度を所掌するのが厚生労働省でいいのでしょうか。



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