国民民主党大分県参議院選挙区 第1総支部
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参議院議員 足立信也

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国会会議録

平成31年3月14日- - 参議院厚生労働委員会

○足立信也君  国民民主党の足立信也です。
 去年の十二月と今年の二月に医政局から二つの、二通の通知が出まして、それが、死亡診断書記入マニュアル、これが変更されました。そのことについて質問します。
 まず、去年の十二月五日の死因等確定・変更報告の通知、これは決裁者は誰で、大臣はこの内容を御承知ですか。

○国務大臣(根本匠君)  三十年十二月五日の医師による死因等確定・変更報告と取扱いについての最終決裁者は医政局長及び政策統括官であります。また、本通知については発出後にその内容の報告を受けております。

○足立信也君  報告を受けているということですので、では、まず、これは局長でもいいのかもしれません、局内あるいは省内のどの会議でこれを決めたんですか。それから、大臣は承知しているということですので、大臣にお伺いします。この意義ですね、このことの意義。この二点、お願いします。

○政府参考人(吉田学君)  お答えいたします。
 今委員御指摘の通知、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、医政局長と政策統括官名で出しております。私ども、内部において担当者、そして私、最終、医政局長まで議論をさせていただいた結果として発出をさせていただいております。

○国務大臣(根本匠君)  本通知は、医師法第二十条に基づいて、死体検案書等を交付した医師が死体検案書などを交付後、医師の判断により実施された解剖、薬毒物検査、病理組織学的検査の結果等により死因などを確定又は変更した場合に、速やかに厚生労働省政策統括官付参事官付人口動態・保健社会統計室に対し死因等を確定又は変更した旨を報告することを定めたものであります。
 こうした報告によって、当初死因不詳等として交付された死体検案書などを基に作成された死亡統計が、解剖、薬毒物検査、病理組織学的検査の結果等を踏まえた内容となって、我が国の死亡統計がより正確になることが期待されていると考えています。

○足立信也君  私、これ大変意義深いものだと思います。我が国の死因統計そのものが非常に精度が悪かったわけでして、私はこれは評価します。
 最初にいいことを言って、あとは徹底的に議論したいと思います。医師法二十一条の解釈変更通知、この件です。これは決裁は医事課長ですが、まず、大臣はこの内容についても御承知ですか。だとすれば、承知であるならば、以降の質問は全部大臣になりますが。

○国務大臣(根本匠君)  二月八日付けの医師による異状死体の届出の徹底についての最終決裁者は、医政局医事課長であります。また、本通知については、委員の通告があって、今日その内容の報告を受けました。

○足立信也君  じゃ、報告を受けてきちっと理解されているかどうかの質問になってしまうかもしれませんけれども、これは医事課長決裁。
 まず、先ほどの質問、これは局長でも結構です。どの範囲のどの会議体でこれ決めたんですか。どの会議体を用いて決めたんですか、あるいは課内だけの話ですか。

○政府参考人(吉田学君)  お答えいたします。
 今御指摘いただいた通知は、医政局医事課長の名前による通知でございます。ただ、私ども、この課長通知を発出するに当たり、当然ながら担当課においての議論を行っておりますけれども、私はその上司として、こういう課長通知を発出したいという報告を受け、中で議論をし、その上で課長通知として発出することについての了解をしております。
 ただ、今、中というお話をされました点でいえば、私ども厚生省外の人間と会議体などを用いて御議論をいただいた結果ではございません。実務的に私どもの中で検討をさせていただいたものでございます。

○足立信也君  皆さんのところに資料が行っていると思います。この一の内容です。
 これ、後々私の質問で大事になってくるところは、まず、「死因究明等の推進につきまして」と書いてあることです。それから、三行目のところに「薬物中毒や熱中症」という具体の例が出ているということです。それから、「記」よりも下のところに「死体が発見されるに至ったいきさつ、死体発見場所、状況等諸般の事情を考慮し、」というのが書かれてあると。これが後々ポイントになってくることですので。
 じゃ、今現在どうかといいますと、これはもう皆さんは御存じだと思いますけれども、この二十一条の解釈というのは、二〇〇四年、平成十六年の最高裁の判決でこれが判例となっていて、これは、検案というのは、外表面から医師が死体を検査して、異状があればその時点が出発点となって二十四時間以内に警察署に届け出ると、こういうふうになっているわけですね。現場はどうかといいますと、まず、警察へ届け出た方がいいもの、あるいは届け出なければならないものというのを区別して対応しているんです。当たり前のことだと思います。現状はそうやっているわけです。
 この通知を見て、これはおかしい。これ、死体が発見されるに至ったいきさつ、死体発見場所、状況等諸般の事情を考慮し、医師法第二十一条に基づき届け出ることになっているわけです。これは判例とはまるで違う。これはおかしいと思います。おかしいと思ったものは全て届け出る義務があるわけです、罰則付きの。そうなっているわけです。全く最高裁判決、判例に反していると私は思いますよ。
 先ほど、礒崎さん、それから石橋さんもやられましたが、毎勤統計や賃金構造基本統計、これ統計の問題。統計というのは、ある人の言葉を借りるとタコつぼであって、全く外からも目が届かないというようなことを言いますが、私は、それだけじゃなくて、これは、厚労省は遵法精神に欠けているんだと思いますよ。判例に基づいてこれまでいろいろ議論して、マニュアルまで変えてきたわけですよ。それをいきなり課長通知でひっくり返してしまうということがあるんでしょうか。非常に私は危険性を感じます。
 具体の内容に入っていきますが、これ、先ほど私、例を挙げましたが、薬物中毒や熱中症によると、こう書いていますね。これは、死因の種類としてはどこに分類されるんですか。

○政府参考人(吉田学君)  お答えいたします。
 薬物中毒、熱中症という表現をさせていただいておりますが、死亡の原因であるところの死因の種類、これは十二種類でございますが、その死体検案等を行っています医師が個別具体的に判断する性格だというふうに思っております。
 その上で、例えばということで申し上げますと、死因の種類については、その死亡の原因が例えば薬物中毒である場合に、過って薬物を過剰摂取して死亡した例では不慮の外因死のうちの中毒ということが考えられると思いますし、例えばでありますが、自ら命を絶つために薬物を過剰摂取した例では自殺ということになる。
 いずれにいたしましても、医師が個別具体的に判断した上で死亡検案等において整理をされるものというふうに私どもは理解をしております。

○足立信也君  これ、死亡診断書記入マニュアル、今申し上げた薬物中毒や熱中症は外因死に入るんです、外因死。
 資料の二を御覧ください。これ、平成二十七年度に、一番下にありますね、外因による死亡又はその疑いのある場合に二十四時間以内に所轄警察署に届け出るというのを削除したんですよ。削除したんですよ。もう一つが、異状のところが上から二段目にあります。ここも削除したんです。これはこの後行きますからね。
 私は、ちょっと振り返りますと、当時、二〇〇七年、八年辺り、医療崩壊という言葉が本当に広く流布しましたね。私は、その原因は、まずは医療費抑制策、それから医療人材を抑制していこう、医療費亡国論ですね。それと、医療訴訟問題に警察の捜査が端緒になっていること、このこと。そして三つ目が、私は、医療を提供する側と受ける側のリテラシーの違い、ギャップ、ここにあるということで、この問題は大きく取り上げられて、特に警察の関与が医療訴訟問題の端緒になっていると、このことですよ。
 皆さん、大野病院事件のことを御存じだと思いますが、これは事故報告書が端緒だったわけです。医療崩壊を食い止めるために、医療事故調査制度を訴訟の端緒にするのではなくて、あくまでも医療安全、再発防止のためにつくると。これは、恐らく与野党を問わず皆さん強い決意で臨んだはずです。
 そこで、医師法二十一条は、これは診療があったかなかったかは関係ありません。医療現場に警察がいきなり逮捕状を持って乗り込むことのないように、二十一条の解釈を判例に基づいて忠実に行うことが最低限の必要条件だったんですよ。そのことで、先ほど資料二に申し上げた死亡診断書記入マニュアルを変えようじゃないかということを、私、再三にわたって質問してきたんです。
 今、死因究明等推進基本法で診療関連死とそれ以外を切り分けることが、あのときやりました、これも前提条件でした。切り分けたので、警察の捜査が端緒にならない、訴訟の端緒にならないということに診療関連死にとってなったわけですよ。そのことが極めて大事。
 しかし、死亡診断書記入マニュアルは、最高裁判例とは異なった内容だったんですよ。それが先ほどもお示ししたこの資料二の二十六年度分の内容ですよ。だから、その二項目を削除していったんです。この削除によって、私どもが判例を基に変えていったということは繰り返しますが、二十一条の検案という概念は、解釈は、外表面から医師が死体を検査することだと、そして異状があったら、そこから二十四時間以内に警察に届け出るんだと、これは義務だと、罰則付きのですね、そういうことです。
 この資料の二の病理学的のところの二段目、異状とは病理学的異状ではなく、法医学的異状を指しますということは、そしてその後、法医学会が定めている異状死ガイドラインも参考にしてください。これは間違っているということで、前半部分は、当時の原医政局長もそのように答弁されていますけれども、ここは、法医学会が定める異状死ガイドラインと、二十一条に言う異状は全く別の概念だという答弁も得られて、医師法二十一条問題は整理されて、医療事故調査制度が警察捜査の端緒ではなくて純粋に医療安全、再発防止の仕組みとしてつくられたわけですよ。これが今までの経過です。
 じゃ、大臣は報告受けましたということですので、お答えは難しいかもしれません。今回通知を出した、変更した、この意味は何ですか。

○政府参考人(吉田学君)  今委員、経緯も含めて御指摘をいただきましたので、少し私どもも経緯を含めて御答弁させていただきたいと思います。
 まず、先ほど委員お示しいただきました資料の中での法医学会のガイドラインの例も含めて御指摘をいただきました。今御質問の中でも引用されましたように、これにつきましては、平成二十六年六月の当時参議院の厚生労働委員会で、時の政府参考人から、この法医学会の異状死ガイドラインについては、異状というのはかなり幅広いものとして捉えておるということを申し上げ、法二十一条の異状と同じ異状という意味でも中身は違うと解釈しておりますという整理を私どもの方から申し上げております。
 その上で、今回の二月八日に出しました医事課長につきましては、今資料でお配りいただいておりますように、検案するに当たっては、死体外表面に異常所見を認めない場合であっても、死体が発見されるに至ったいきさつ、死体発見場所、状況等諸般の事情を考慮し、異状を認める場合に、二十一条に基づき届け出ることを明らかにしたものでございますが、これは、これまで、二〇一二年十月二十六日の医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会において、当時、私どもの医事課長が、基本的には外表を見て判断するということですけれども、外表を見るときに、そのドクターはいろんな情報を知っている場合もありますので、それを考慮に入れて外表を見られると思いますというふうに発言をしております。
 また、二〇一四年六月十日の参議院厚生労働委員会におきまして、当時の厚生労働大臣から、この医事課長発言を引用する形で、我が省の担当課長からこのような話がありました、死体の外表を検査し、異状があると医師が判断した場合には、これは警察署長に届ける必要があるというふうに答弁をさせていただいておりまして、今般発出させていただきました二月八日の通知につきましても、これまで私どもとして示しておりました解釈と同趣旨の内容のものを確認として改めて示したものというふうに整理をさせていただいてございます。

○足立信也君  全く違う。罰則付きの二十一条の届出義務に入るわけがないじゃないですか。
 先ほど私、最高裁の判例で言ったのは、外表異状説と一般的に言われています。この今説明があったこと、先ほどの法医学会の異状死のガイドラインの異状と二十一条の異状は全く別の内容だ、これは原医政局長ですね。そのとおりです。別なんですよ。しかし、このガイドラインに、同じような、死体が発見されるに至ったいきさつ、死体発見場所、状況、身許、性別等諸般の事情を考慮というのがあるわけですよ。だから、これを削除したんですよ。外表異状、それが何よりも大事なんだと。
 そこで、今回の内容ですが、これは、今私が申し上げたのは経過異状説といいますけど、一九六九年、四十四年ですね、昭和四十四年、万博の一年前です。私、小学校六年生ですがね。東京地裁の八王子支部の判決にある文章と極めて似ているんですよ。そこ、申し上げますよ。先ほどの資料の通知の「記」の下のところを見てほしいんですが、八王子の支部の判決です。死体が発見されるに至ったいきさつ、死体発見場所、状況、身許、性別等諸般の事情を考慮し、ほとんど一緒じゃないですか。この文章は、この判決を引用したんですか。

○政府参考人(吉田学君)  お答えいたします。
 今般の二月八日の通知につきましては、私ども、この東京地裁の判決を引用したというものではございませんで、先ほど御説明申し上げましたように、これまでの医師法第二十一条について、厚生労働省として法解釈を示したものを改めて確認をさせていったものというふうに整理をしてございます。

○足立信也君  それは、判例に異論を唱えたということですか。

○政府参考人(吉田学君)  お答えいたします。
 判例に意見をというお話でございますが、今御指摘をいただいております判例とおっしゃいますのは、都立の広尾病院事件の平成十六年の最高裁判決を先ほど来の御質問の文脈からしておっしゃっているというふうに思います。私どもとしては、この広尾事件の十六年の最高裁判決、医師が異状を認めるか否かを判断する際の考慮事項、今回、二月の私どもの通知が示したものは──失礼しました。ちょっと整理して申し上げます。
 今回の二月の私ども医事課長においてお示ししたものは、医師が死体を検案するに当たって異状を認めるか否かを判断する際に考慮すべき事項を示したものというふうに思っております。広尾事件の最高裁判決、十六年判決は、医師が異状を認めるか否かを判断する際に考慮すべき事項を示しているものではなくて、私どもとしては、今回の通知がこの最高裁判決の判示内容と矛盾するものとは考えてございません。

○足立信也君  考慮すべき事項を書いたんだと、そこがどうして医師法第二十一条に基づき罰則付きの警察署に届け出る条件になるんですか。
 経過を言いますよ。先ほど私は経過異状説と申し上げましたが、八王子の支部の判決ですね。これは、その後もずっとこの説を唱える人がいます。実は、今、広尾病院の事件のことを吉田さんはおっしゃいましたけれども、地裁ではこれを採用しているんですよ、医師法二十一条違反。しかし、控訴されて、東京高裁でそれは棄却されているんですよ。この法律の解釈からいって、経過異状説は取らない。そして、それを踏襲した最高裁の判決で判例になっているわけですよ。そういう経緯があるわけですね。
 今回のこの通知、そして死亡診断書記入マニュアルに書いてあることは、まさにこの経過異状説に戻っている感じなんですよ。考慮する、考慮するじゃないですよ。これに基づいて、その結果、届け出なかったら医師法二十一条違反ですと書いてあるわけですよ。それは違いますよ、全く。
 これは、そのことを経過異状説と先ほど申し上げました。八王子判決から続く経過異状説ではなくて、外表異状だという形を二〇〇四年の最高裁の判決でなった。厚労省はそれを守るべき立場ですよ。あるいは、今までの経過異状説をいまだにおっしゃる方はいるけれども、それを正す立場ですよ。その結晶が、田原課長の先ほどの発言であったり、それから二〇一四年の田村大臣の発言じゃないんですか。そうやって守ってきたんじゃないんですか、その判決を、判例を。それを自ら壊している。しかも、医事課という非常に狭い範囲内で突然出てきた。
 これ、先ほど八王子支部判決を引用したものではないとおっしゃいました。これは、じゃ、厚労省の職員がこのことを、一々この文言をひねり出したんですか、そういう意味ですか。

○政府参考人(吉田学君)  お答えいたします。
 まず、重ねて申し上げておりますように、私ども、今回のこの課長通知におきましては、今、この今回の御質問でも引用いただきました、私どもとしての、二〇一二年における当時の医事課長あるいは二〇一四年における当時の大臣の発言内容を踏まえた同じ趣旨の内容として今回の通知を出しているということを申し上げさせております。
 その上で、個々の具体的な文言につきましては、最終的に部内において検討する過程においてこの表現を取らせていただいたというふうに御理解いただきたいと思います。

○足立信也君  昨日の衆議院で橋本さんの質問でも同じものだと強調されて、そこで時間切れみたいな感じになったとすれば、聞きますよ。
 判例に沿って私は確認したいと思います。検案とは死体の外表面を医師が検査することである、それでいいですか。

○政府参考人(吉田学君)  お答えいたします。
 まさに委員御指摘の都立広尾病院事件の最高裁平成十六年の判決におきまして、医師法二十一条に言う死体の検案とは医師が死因等を判定するために死因の外表を検査することをいい、当該死体が自己の診察していた患者のものであるか否かを問わないというふうに判示をされているというふうに承知をしてございます。

○足立信也君  検案とはそういうことだと。
 それで、資料の三番目に今回の変更のものが出ているわけですが、下の四角のところを先ほどから申し上げている、その内容ですね。ただ、二十一条に言う検案とは、今申し上げた、外表から医師が検査することだと。
 じゃ、届出義務の発生は、今申し上げた検案をして異状を死体に認識した時点、最高裁の判決はそうだと思いますが、それはそれでいいですか。

○政府参考人(吉田学君)  お答えいたします。
 まず、医師法の二十一条の条文そのものに、異状があると認めたときは届けなければならないとなっておりますし、その上で二十四時間以内ということでございまして、その起算点は、死体を検案して異状があると認めたときということだと思います。
 委員御指摘の都立広尾病院事件の平成十六年の最高裁判決においては、異状死体の届出義務の起算点にする解釈そのものは判示されてございませんが、その最高裁判決において維持された、先ほどもおっしゃっていただいた控訴審判決、平成十五年の東京高裁の判決におきましては、起算点について、厚生労働省と同趣旨の解釈を取った上で事実認定がなされているというふうに私どもとしては認識してございます。

○足立信也君  その検案も届出も今までと解釈同じですね。
 じゃ、異状とは異状死体のことである、それでいいですか。

○政府参考人(吉田学君)  お答えいたします。
 異状死体といういわゆるその言葉につきましては、医師法二十一条に言う異状を認める死体というふうに解されるというふうに思います。ここで言う異状とは死因等の異状であるというふうに考えます。

○足立信也君  解釈はそのまま踏襲しているけれども、医師法二十一条の解釈変更の通知を出して、そして死亡診断書記入マニュアルまで変えたということなんですよ。それがどういう意図を持っているのかという話なんですよ。
 じゃ、最高裁の判決で、これ、全国民が憲法によって保障されている自己負罪拒否権、当然、自分に不利なことは自分から発しなくてもいいということですが、二十一条には当然のことながら、先ほど申し上げているように、診療関連死も含まれます。当然、診療があろうがなかろうが関係ない、含まれます。
 であるならば、医師の自己負罪拒否特権にどのように配慮した判決なんでしょうか。

○政府参考人(吉田学君)  お答えいたします。
 委員御指摘の自己負罪拒否特権は、これ、憲法上の権利、憲法三十八条一項に由来し、何人も自己に不利益な供述を強要されないというところから導き出されるものというふうに承知をしておりまして、医師のみならず、何人に対しても配慮されるべき重要な権利であるというふうに思っております。
 都立広尾事件判決、最高裁の平成十六年の判決におきましては、医師法二十一条とこの自己負罪拒否特権との関係性について、死体を検案して異状を認めた医師は、自己がその死因等につき診療行為における業務上過失致死等の罪責を問われるおそれがある場合にも、本件届出義務を負うとすることは、憲法三十八条一項に違反するものではないと解するのが相当であるというふうに判示をされていると承知をしてございます。

○足立信也君  これ、その中に、私が思うのは、含まれているのは、やはり検案は外表からの検査を医師がしたときであってという、このことの中に、今までの診療経過等々については、いきさつ、状況を勘案しというものが、そこで自己負罪拒否特権の形で私は外表の検査に限定されるんだというふうに、免除されているんだと、私はそう解釈していますよ。じゃないと成り立たないですね。なぜ医師だけが自分に不都合あるいは不利なことも全部やらなきゃ、届け出なきゃいけないのかということになってくるわけです。そこに外表異状説というものがちゃんとそこを担保しているということなんだと、私はそう解釈しています、ずっと。私はその解釈に余り間違いはあるとは思えないんですけど。
 じゃ、先ほどから出ています、この解釈は変わっていないと言いながら、これ、実は私、このことを知ったのは日本外科学会からの個人へのメールなんですよ。こういう通知が出ましたから皆さん気を付けてくださいと。その通知が、実はこれ、全国の医療機関、学会、警察、それから刑事局、法務省の。そしてこれ、臨床研修をやる人にとっては、死因究明の基本計画の中で、この死亡診断書記入マニュアルについてしっかり研修すると書いてあるわけです。だから、この記入マニュアルを私は変更する必要があるとずっと言い続けて、変更されたわけですよ。その研修機関の医療機関まで全部通知が行っているんですよ、今、あっという間に。この通知がそれだけ行っているとなったら警察だって動きますよ。当然、刑事局だって、ああ、そうか、こういうふうに変わったのか、誰もがそう考えるじゃないですか。
 これ、実は似ているなと思ったのは、外科学会からのメールが来ました、でも、私が属している癌学会や癌治療学会や消化器外科学会からは来ていない。これ、死因究明の大綱案、二〇〇八年、あのときの賛否に非常に近いなと感じましたよ。大綱案に比較的賛成の人の方からメールが来ていて、これはけしからぬという人からはこの通知は私には来ていないですね、現時点では。
 これは一体誰の要請かという話なんですよ。医事課の内部だけで考えて、文言まで考えて、判決は参考にしていませんと言い張るけど、一体誰の要請なんですか、これは。それが非常に私は気になる。
 また、今、死因究明等推進基本法、あるいは医療基本法ということが言われているけれども、私はセットでこれが動いているような気がしてならないですよ。どんどん警察へ届け出る死亡届、これをまず増やしていこうという流れになっているんではないかと極めて私は懸念します。
 これ、先ほども言っているように、死因究明等推進基本法の前提が崩れる話なんですよ。この二十一条の解釈を変えると崩れちゃうんですよ。私、一歩も前に進めないんじゃないかと思いますよ、このまま放置したら。
 そこで、今回の通知の最大の間違いは、医師法二十一条に基づく罰則付きの警察への届出義務を勝手に広げたことですよ、勝手に。それは最高裁判決と違う内容である。そして、そのことを学会や医療機関、警察、刑事局、教育機関、臨床研修機関に送り付けている、そういうことなんですよ。これは私は大変なことになると実は思っていまして、医療崩壊再びという可能性だってありますよ。すごいことをやったなと、びっくりしているんですけど。
 これ、じゃ、吉田さん、答えられる中で、本当に厚労省の内部だけで考えたことなんですか。どこかからの要請があったんですか。正直に答えてくださいよ。

○政府参考人(吉田学君)  お答えいたします。
 委員の御質問、三点あったかと思います。
 まず一つ、端的に、今回の通知に至りました端緒といたしましては、委員お示しになりましたこの通知にもございますように、近年、死体外表面に異常所見を認めない場合は所管警察署へ届出が不要であるとの解釈、これはいろんなところから私どもの担当課の方に、そういう情報があるのではないかというふうに寄せられたものというふうに承知をしておりますが、その解釈により、薬物中毒や熱中症による死亡等、外表面に異常所見を認めない死体については所轄警察署へ届出が適切になされないおそれがあると、これは私どもとして懸念が指摘を受けているという事実があり、そういうことも踏まえて今回の通知に至ったというのが経緯でございます。
 また、重ねて申し上げますが、今回の通知、先ほど来引用いただいておりますように、これまで厚生労働省として示しておりました医師法二十一条に関する解釈については変えるものではなく、同趣旨のものとして改めて明らかにしたこと。
 そして、いろんなところにこの通知が一斉に送付をされた云々という形での御指摘をいただきました。正確にちょっと確認をしなければいけないのかもしれませんが、通常、私ども、この辺りの通知、解釈を示す場合には関係方面との情報共有を的確に行うためにいろんなところに情報共有をさせていただいているという、通常の従来からの行政運用の中で、今回の通知についても関係方面にお届けしたというふうに私どもとしては理解をしております。

○足立信也君  前段部分のことは、私は大きな間違いだと思っていますよ。今現場はどうしているかと、冒頭、私、話したじゃないですか。
 届出義務を負っている医師法二十一条の警察への届出と、これは、亡くなった原因に何かおかしいと思って、これは検視に協力するためにしっかり警察へ届けようと、この二つがあるんですよ。その今私が申し上げた後者の方が概念的なものとおっしゃりたいわけでしょう。これは、調べた方がいいんではないかと、亡くなった原因をね、警察に協力しながらという話ですよ。それと、医師法二十一条に基づいた罰則付きの届出義務とは別だということですよ。
 だとしたら、二つ方法があると思います。一つは、今までの解釈と変わらないんだったら、変わらないんだったら、この通知は撤回すべきですよ。これが一点。二点目は、罰則付きの医師法二十一条に基づく、死体の外表を検査して、そして異状があると認めたときは警察に届け出るというものとは別に、国民が、みんなが負っている、これはおかしい、何かの犯罪に関係しているのではないか等は、国民の皆さんみんな届け出るわけじゃないですか。医師だってみんな同じですよ。おかしいと思ったら届け出るわけですよ。
 そういう、例えば児童虐待防止法、皆さん協力していろいろ作ったじゃないですか。これ、国民に対する通告義務というのがあるわけですよね、六条に。そして五条には、学校や児童福祉施設、病院関係者は特に早期に発見する可能性があるから、努力義務が課されているわけです。
 つまり、国民全体に当然のことながらこれはおかしいから届け出るべきだという内容のものと、これは医師の罰則付きの義務として届け出なければいけないものというのをしっかり書き分けるべきですよ。それがないから、皆、また元の議論に戻っちゃったわけですよ。
 今、二点申し上げました。解釈が何も変わらないんなら撤回すべきであるというのが一点。これは大臣しか答えられないかもしれませんよ。次は、これは、死因をはっきりさせるため、あるいは犯罪がそこに隠れている可能性があるから警察に協力をしてしっかり届出をやろうというものは別建てでそういうものを規定する。この二つだと、どっちかだと思いますよ、あるいは両方かもしれない。その点についてはどうお考えになりますか。

○政府参考人(吉田学君)  お答えいたします。
 まず、今回の二月八日にお示しをいたしました私どもの医事課長通知を撤回しろという御提案でございますが、先ほど来申しておりますように、私どもとしては、従来の解釈を変えるものでない中で、先ほど引用させていただきました、近年云々という形での届出が適切になされないおそれがあるとの懸念の指摘を受けて私どもとして判断をさせていただいたものでございまして、この趣旨については、本日御質問いただきましたように、いろいろな機会を通じて私どもとしてもきちっとこの趣旨について御説明をすることの努力はさせていただきたいと思いますけれども、この通知を撤回するという考え方は今のところは考えてございません。
 また、二つ目の御提案としていただきました、罰則のない報告努力義務といいましょうか、別の形での、いろいろな異状と思われることがあった場合に通報するといいましょうか、情報を提供するような仕組みというものについては、その規定、そういうのを法律上設けることに関しての必要性、あるいは社会情勢の変化、医療現場の状況等を総合的に勘案した上で慎重に考えるべき御提案というふうに受け止めさせていただきたいと思います。

○足立信也君  今撤回しないと、えらい明言、思い切っちゃったことを言いましたけど、大変なことをはらんでいると思いますよ。先ほど連携のこと、これから私調べますからね。それはもう一回しっかりやろうと思います。
 吉田さんは医系ではないからだと思う、現場はどうしているかということを分かっていないんですよ。届出義務が存在するものは届出していますよ。しかし、これは明らかに明確に病死じゃないと判断されない、されなかったものは届けているんですよ、実際。それを罰則のある届出義務だとしてしまう、二十一条に基づいてと書いてしまうのが大きな問題だということを申し上げているわけです。
 この問題は早急に対応しないと、もうかなり現場も混乱していますから。そのことを申し上げて、質問を終わります。
    ─────────────

○委員長(石田昌宏君)  この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、小野田紀美君及び中野正志君が委員を辞任され、その補欠として進藤金日子君及び木村義雄君が選任されました。

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