国会会議録
 

平成29年4月6日- - 参議院厚生労働委員会会議録


 

○足立信也君 民進党の足立信也です。
 臨床研究というのを考えるときに、大臣も先ほどおっしゃいましたが、研究の積極的な推進ということと、研究の正当性あるいは被験者の安全というのが両輪だと思うんですね。私どもは、私の後に川田委員が質問します。後者の方が中心になるかと思いますので、私はまず研究の推進ということについて質問をしたいと思います。
 もう資料が行っていると思います。三月の下旬に、ネーチャーインデックス二〇一七で、日本の論文の割合が激減しているという、これが資料です。二〇一五年と二〇〇五年を比較して、日本は明るい紫といいますか、残りが、グレーが日本以外の世界ですね。これで、十四分野、世界では全て増えていると、論文が。しかし、日本が三分野しか増えていない。この三分野というのは、上に出ているやつですが、メディシン、医学ですね、それからマスマティックス、数学ですね、それとアストロノミー、天文学。残る十一分野は全て減少していると。三つ増えているからということもありますが、全論文数が八〇%増えている、なのに日本は一四%しか増加していないということです。
 分野別にちょっと見たいわけですが、順位ということで見たいわけですが、二枚目を御覧ください。これも明らかに、九〇年代、二〇〇〇年代、二〇一〇年代と、日本の、地域別の論文数を見ると明らかに低下していっている。下は、トップテンの、つまり被引用数がトップテンのを分析した場合にはもっと低下していると。質の方もという感じになりますね。こういう現状です。
 それで、資料三を御覧ください。今回の法案に関連の深い、これを、基礎研究論文が左、臨床研究論文が右というふうに分けてみました。欄の左と真ん中はこれ五年分、一番右が二年分ですからそこは考えていただきたいんですが、元々日本は臨床研究が非常に少ない、しかも減少してきたということがある中で、やっぱり基礎研究も臨床研究も順位を下げている。この中には、先ほど藤井委員がおっしゃいましたが、研究不正やデータ改ざんも入っているんですね。ということです。
 先ほど大臣は、日本はノーベル賞をという話がありましたが、昨年のノーベル賞受賞者の大隅良典東工大の栄誉教授が、二十年、三十年後は日本から出なくなるとおっしゃいました。これ、大変ショッキングな発言だったと、皆さん覚えていると思います。それだけ日本の研究というのは衰退してきていると。今、二枚目にありましたように質も下がっているんではないかと、そういうふうに私は考えます。
 そこで、日本の論文数の急激な減少と私は捉えていますが、その原因として考えられる要素、文科省としてはどういうふうに考えていますか。

○大臣政務官(樋口尚也君) お答え申し上げます。
 日本の研究者が出している論文につきまして、文部科学省科学技術・学術政策研究所の報告書におきましても、ネーチャー誌と同様に、論文数は近年横ばい、シェアは近年低下傾向にあるというデータが示されております。ネーチャー誌においては、日本は二〇〇〇年以降十七個のノーベル賞を受賞するなど優れた研究成果を出してきているが、一方で科学技術関係投資の伸び悩みなどが悪影響を与えているというコメントが紹介をされていると承知をしております。文部科学省といたしまして、世界全体で国際共著文が大きく増えている中で我が国の共著論文の伸びが相対的に低いことなどが要因の一つだというふうに分析をしております。
 こうした状況を背景といたしまして、第五期科学技術基本計画におきまして、政府研究開発投資の目標として、経済・財政再生計画との整合性を確保しつつ、対GDP比一%、試算といたしまして五年間で総額約二十六兆円を掲げるとともに、国際共同研究の推進や、国内外からの第一線の研究者を引き付ける世界トップレベルの研究拠点の形成など、国際的な研究ネットワーク強化に取り組んでいるところでございます。こうした取組を通じまして、我が国の科学技術力の強化に努めてまいりたいと思っております。
 以上です。

○足立信也君 今、研究分野への投資の伸び悩みということが主因のような御答弁だったと思いますが、これ日本の科学技術関係経費、それから科研費を見ますと、僅かではありますが増えているんですね。まあ微増です。しかし、ほかの日本以外の国に比べるとその増える割合ははるかに低い、それはあります。ただ、微増しているというのは事実です。
 私は、もっと大きな要因は人だと思います。そこで、対象を広げ過ぎると分からなくなりますので、国立大学に絞りたいと思います、国立大学法人。
 そこで、法人になって十二年、この十二年間で運営費交付金はどれほど減額されたんでしょうか。

○政府参考人(浅田和伸君) 国立大学が継続的、安定的に教育研究活動を行うための基盤的経費である国立大学法人運営費交付金については、平成十六年度の一兆二千四百十五億円から平成二十八年度には一兆九百四十五億円となり、過去十二年間で千四百七十億円、率にして約一二%減少しております。なお、平成二十九年度予算の運営費交付金等については、対前年度比二十五億円増の一兆九百七十億円を確保したところでございます。

○足立信也君 運営費交付金、これは人件費等々、ベースになるところですね。今お聞きになったように、十二年間で千四百七十億円減額しているんです。まあ、二十九年度は二十五億増やされたということですが、その減額によってどういうことが起きているか。端的な例で、四十歳未満、若手研究者が、じゃ、どれだけ減って、この変化ですね、従来、常勤でといいますか、大学に勤めている方々が任期付きに多くの方がなっている。この現状、前もって資料四、御覧いただきながら、そしてまた答弁をお願いしたいと思います。

○政府参考人(浅田和伸君) 国立大学の法人化後の四十歳未満の若手研究者の雇用状況につきましては、データのある平成十九年度、二〇〇七年度と平成二十八年度、二〇一六年度で比較しますと、総数では一万七千六百六十七人から一万六千九百二十人へと七百四十七名減少しております。一方、そのうち任期付きの若手研究者、この資料でいいますと赤い棒グラフのところでございますが、六千八百五十三人から一万六百五十人に三千七百九十七人増加しており、若手研究者の中で任期付きの研究者が占める割合が三九%から六三%へと大幅に増加をしております。

○足立信也君 強調します。九年間で任期なしの方が四千五百四十四人減っているんですよ。そして、任期付きが三千七百九十七人増えているんです。
 給付型の奨学金、これはいいことだと思いますけれども、入りやすくなる、皆さんが学びたいという希望を実現しやすくなる。でも、教える側がいない、しかも任期付きである。私たちが高等教育受けたいというときは、どの教授がいる、この研究室の研究してみたい、そういう憧れがあるはずなんですね。しかし、任期付きで、もういないよということなんですよ。
 そこで、現在、我々のところには、労働契約法を改正して施行から五年に来年の四月になりますね、そこで、二〇一九年の四月に、五年たつので、これはもう雇い止めが大量に発生するんじゃないかと、私たちは無期転換を図ったわけですけど、この不安を訴える方が非常に多い。この法律は雇い止め法理を法定化したもので、無期労働契約への転換を図るものだったわけです。これは職員は五年かもしれませんが、そもそも大学等々の研究開発法人は十年にしたんですよね、これ、いろいろあって。しかし、これがどうなのか。今現場では、来年になったら大変だって教員も職員も言っているんですよ。
 こんなことで本当に魅力ある大学というものが継続できるのか、研究そのものが非常に私は心配になりますので、まず文科省に、これは大量雇い止めの危険がある、懸念があるのはもう確かですから、これ、教員と職員に分けて、現状認識とどのような対応を考えているか。それから、厚労省には、橋本副大臣だと思いますけれども、無期転換への法の趣旨ですね、我々がやってきた法の趣旨を踏まえ、今どんな対応をしているのか、来年に対して何を今やろうとしているのか、その点についてお聞かせください。

○大臣政務官(樋口尚也君) まず、職員についてお答え申し上げます。
 国立大学の職員につきましては、平成二十七年九月に、厚生労働省労働基準局長から出されました無期転換ルールへの対応に関する早急な検討のお願いについての文書を全ての国立大学に情報提供するとともに、改正労働契約法の趣旨を踏まえて適切に対応していただくようお願いをしたところでございます。また、平成二十八年の十二月の九日に、改正労働契約法の趣旨を踏まえて適切に対応していただくことを再度お願いをするとともに、改めまして、対応の方針の検討が遅れている国立大学に対して、平成二十九年四月の五年目の契約更新時に各労働者に明示できるよう早急に無期転換ルールへの対応方針を検討いただくこと、通算五年到来前の雇い止めについては都道府県の労働局と相談の上、適切に対応していただくこと、様々な資料を送りまして、全ての国立大学への周知を行うことに併せて、現在、国立大学における対応状況の進捗状況を測るための調査を行いました。
 しかし、昨年十二月の時点ではまだ検討中の国立大学が多くありましたので、さらに、平成二十九年三月の二十一日に、全ての国立大学に対しまして、厚生労働省が各独立行政法人における無期転換ルールへの対応状況に対する調査を行った内容に準じた調査を行っているところでございます。四月の中旬には、これをめどとしまして、それを取りまとめる予定でございます。取りまとめをいたしまして、これは、各大学の雇用形態等は各国立大学においてそれぞれの経営方針に基づき適切に定めるものでございますが、今後とも必要に応じましてその情報提供を行ってまいりたいと思っております。
 次に、教員につきましてでございます。
 国立大学を始めとする大学等及び研究開発法人の研究者や教員等につきましては、労働契約法の特例といたしまして、大学の教員等の任期に関する法律等の改正により、無期転換申込権の発生までの期間を、先ほど先生お話ありましたとおり、五年から十年にする措置が設けられております。本特例の内容につきましては、同法施行の平成二十六年四月からの施行に合わせて、通知において国立大学に対して周知を行ってきたところでございます。
 文部科学省といたしましては、今後も必要に応じまして本特例を含む関係法令の趣旨について情報提供等を行い、国立大学における教員の雇用形態等が関係法令に従ってそれぞれの経営方針に基づき適切に定められるように支援をしてまいります。

○副大臣(橋本岳君) まず、改正労働契約法の趣旨について御答弁をいたしますが、この労働契約法第十八条は、同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が五年を超える労働者が使用者に対し無期労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者が当該申込みを承諾したものとみなすとした規定でございます。これは、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、有期契約で働く方の雇用の安定を図る、このために設けられた規定と承知をしております。これが趣旨でございます。
 一方、御指摘のような御懸念があるということではございますが、厚生労働省としては、無期転換ルールを避けることを目的として無期転換申込権が発生する前に雇い止めをする、そのようなことが仮にあるとすれば、これは労働契約法の趣旨、今申し上げましたものに照らして望ましいものではないというふうに考えております。
 これに対する対応でございますけれども、全国でのセミナーの開催、リーフレットやハンドブック等を通じて、無期転換ルールの趣旨や研究者等への特例などについて周知を行うとともに、無期転換ルールを避けることを目的とした雇い止めなどの事案を把握した場合には、都道府県労働局において啓発指導を行っております。
 また、加えて、平成二十九年三月末ですけれども、都道府県労働局に対し通達を発出をしております。これは、平成三十年四月の本格適用に向けた無期転換ルールの周知啓発について、法の趣旨の更なる徹底を行うこと、また、いわゆる民間法人に限らず、大学法人等も含めた、労働契約法が適用されるあらゆる事業所に対し積極的かつ効果的に周知啓発を行うこと等を内容としたものでございまして、通知の内容の中に大学法人等ということも明記をさせていただいたところでございます。
 こうしたことを通しまして、引き続き、厚生労働省としてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

○足立信也君 この国は人しか資源がない、学ぶことはできるだけ後押ししたい、しかし教える側のところが不安定でどうしようもないということは改めなきゃいけない。やっぱり与野党問わず行革推進法そのものを考えなきゃ、この国はこれから先難しいと思いますよ。
 そこで、先ほどもありました、ちょっともう時間の関係で、神田さん、申し訳ないですけど、そこの質問飛ばします。
 認定臨床研究審査委員会についてです。
 控訴の方針だということが出ていますが、ディオバンのノバルティス社と京都府立医大のこの事件といいますか、ポイントは、データの改ざん、論文不正、それはあったと。しかし、論文を作成、投稿、掲載する行為は、薬事法、まあ薬機法ですか、今、の規制対象ではないということが無罪判決の根拠です。そのことが立法事実として今回の臨床研究法案につながっていく。だとすれば、その後も、ブロプレスの武田薬品と京都大学もありました。これは明らかに論文あるいはスライドの改ざんでしたね。
 そこで気になるのが四十一条で、研究実施者が虚偽の記録をした場合は罰せられることになっています。しかし、アメリカなんかでは、研究の段階から最後のゴールといいますか研究発表、そこまでも監視される。そんな中で、論文不正の責任あるいは学会発表の責任、これはこの法案で担保されるのかどうか、そこが大きな問題だと私は思うんです。
 これは、あくまでもこの法律は研究の実施の範囲だけでしょうか。

○政府参考人(神田裕二君) 今回の法律では、不適正な、不透明な資金提供に基づきまして臨床研究のデータが改ざんされたという不適正事案を踏まえまして、一定の実施基準の遵守を義務付けるといったようなことを通じまして臨床研究の適正な実施を行いまして、研究対象者を含む臨床研究に対する国民の信頼を確保し、これを推進していくということを目的としているものでございます。したがいまして、今回の実施基準の中でモニタリングをするとか監査をするということを義務付けることによりまして、できる限りデータの改ざん等がないようにしていくということにいたしております。
 結果としてデータの改ざん等があった場合、実施基準の疑いがあれば、立入検査ですとか報告徴収を行いまして、違反が確認されれば、その原因の究明と再発防止をすることといたしております。ただ、結果として虚偽のデータが広告等に使われることについては、医薬品医療機器法等に基づきまして、必要に応じて刑罰の適用でございますとか行政処分の問題になるものというふうに考えております。

○足立信也君 先ほどの無罪判決の認定と大分違うと思いますね。論文や結果発表は、この作成、投稿、掲載する行為は薬事法の規制対象ではないというのと今の答弁は違うような気がしますね。
 私は、この法案でこそ、結果の発表、その不正をどこまでモニタリングしながら、これ認定臨床研究審査委員会の範疇だと私は思いますよ。そこが抜けているのが、去年あるいはその前からずっと問題になっていたことの対処になっていないんじゃないでしょうか。実施中のデータは改ざんしなくても、結果として発表のもので変えてしまったら同じじゃないですか。そこが大きく欠けているということを指摘して、時間ですので、川田先生に替わりたいと思います。


 

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