国会会議録
 

平成28年12月12日- - 参議院厚生労働委員会会議録


 

○足立信也君  おはようございます。足立信也です。
  この法案は重要広範議案ですから、参議院には元々二十日間ルールというのはありますけれども、あさってまでの延長でどうしてこのタイミングでという気はありますけれども、この重要広範議案で私、今日初めての質問です。当然一回で終わるはずはないなという思いで、今、そのださんもそうおっしゃっていましたが、そのつもりで質問をします。
  ですから、年金のことに入る前に、やっぱり今一番ちょっと現場、業界の方、現場との違いが甚だしいと思うことについて大臣の以前の答弁との確認をしたいと思います。薬価改定のことです。
  藤井委員が先週おっしゃいましたが、私は今年の五月のこの委員会で、オプジーボのこともあって、二年に一回の薬価改定は大原則だと、そして診療報酬改定を伴わないと意味がない、しかし、その期中に適応が拡大されたりあるいは思い切って縮小されたり、そういう変化があったものはそこで単価を見直すべきじゃないか、そういう仕組みはどうかという提案をいたしました。そのときに大臣は、適応拡大した場合の随時薬価を見直す仕組み、それがどの程度拡大するかというのが問題だと。要するに、これは対象が大きくなり過ぎることに対する懸念だったわけです、大臣の意見は。
  しかしながら、今報道等々、あるいは実際かもしれません、大臣の発言で最低年一回の薬価改定ということは明言されている。それは品目について、あるいは全体の数としてどこを意味しているのかよく分かりませんが、まずは適応が拡大し過ぎることが問題ではないかという認識を大臣はされたんだけれども、その認識は今も同じなんでしょうか。大きくなり過ぎる、数が多くなり過ぎるととても年に一回はできないという趣旨だったと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君)  足立委員御存じのように、今、経済財政諮問会議で薬価の在り方、決め方についていろいろ議論が、民間議員の方からの提案がございまして、それを受ける形で議論をしているところでございます。
  十二月七日の経済財政諮問会議で私の方から、現在検討している薬価制度抜本改革の方向性の案について、これは先ほど申し上げたように民間議員の方からの提案がございました、それを受けてのことでございますが、まず、オプジーボのように効能追加をされた医薬品及び当初の予想販売額を上回る医薬品、これについては年四回の新薬収載の機会に薬価を見直すこと、それから、薬価調査の負担や効率も考慮しつつ、実勢価格、量を機動的に少なくとも年一回薬価に反映をするとともに、新たなイノベーション評価の仕組みの導入と、それからバイオなどのベンチャー企業の強力な支援を含めて、我が国の製薬産業を長期収載に依存せずにより高い創薬力を持つ産業構造に転換をするように強力に促すといったことなどを検討していくことが重要である旨を御説明を申し上げました。
  五月十日の答弁を今お触れをいただきましたが、随時薬価を見直す仕組みについて議論を深めていかなければならない旨を申し上げたわけでありますけれども、これは諮問会議での説明と矛盾をするものではないと考えております。
  先ほど申し上げた十二月の七日の諮問会議において、総理からは、薬価制度の抜本改革について、民間議員の提言、それから諮問会議のこれまでの議論、これを基に関係大臣で基本方針を決定するように指示を受けておりまして、イノベーションの推進と国民皆保険の持続性の両立を図り、より一層の医療の質の向上と、そして国民負担の軽減というものをしっかりと実現を目指して、基本方針を今後策定をしていきたいというふうに考えております。

○足立信也君  ストレートにはお答えいただいていないと思うんですが、拡大し過ぎるのに対して懸念を示されたわけですけど、その点は触れられていない。つまり、どれぐらいの品目あるいは全品目なのか、そこはこの後の質問ではっきりさせていただきたいんですけれども。
  去年の五月に、やはりこの薬価の毎年改定のことについてもう一つ大臣が言われているのは、調査コストが問題だと、こうおっしゃっている。今は謝金等々ありますけれども、ほとんど卸の方々を中心にボランティア的にやられているところがあって、ボランティアというとちょっと言い過ぎかもしれませんが、それにかなり追われているところがある。
  この調査コストの問題、もし年一回、仮に全品目になった場合の調査コストについては、大臣はどう考えているんですか。

○国務大臣(塩崎恭久君)  今週末、私はたまたま友人の地元の薬剤師の皆さん方と勉強会をやりましたが、二年に一遍の今の改定の際の調査に当たっては、薬剤師の皆さん方に至るまでかなり細かく調査をしているという話を改めてお聞きをしたところでございます。
  現在、経済財政諮問会議などの場におきまして、薬価制度の抜本改革について先ほど御説明したとおり議論をしているわけでありますけれども、この中で、市場実勢価格を適時に薬価に反映する観点から、毎年薬価調査を行うことについて民間議員の方からの提案を受けて議論をしているところでございます。毎年薬価調査を行うことによって卸業者に一定の負担が生じ得るということは認識をしているところでございまして、これらを考慮しつつ、正確性などの検証を踏まえた薬価調査の見直しについても検討しなければならないというふうに考えております。
  いずれにしても、まずは基本方針の策定に向けて、先ほど申し上げたとおり、医療の質の向上と、それから国民負担の軽減という観点から、十分検討をしてまいりたいというふうに考えております。

○足立信也君  もうこれは最後にしますけど、どうもストレートじゃないので最後はっきり聞きますが、東日本大震災のときに薬剤師の方、卸の方々に薬や衛生品の流通において物すごくお世話になったんです。それまで、例えばファルマとかですね、アメリカの方は日本の商習慣、この卸に対してかなり懐疑的でしたけれども、あの東日本大震災の対応を御覧になって、この日本のシステム、流通、卸のシステムは大変いいということを私は直接聞きました。高い評価をしていると、アメリカにはむしろない部分で必要だということを言っていました。
  これで毎年毎年かなりの品目に対して調査をするということは、ほとんど一年中薬価のことばかりをやらざるを得なくなりますよ。ちょっと言い方は悪いですけど、卸の方も薬価のことばかり言っていて流通のところが仮におろそかになると、国民にとっては大きなマイナスですし、卸そのものがブラック企業になるかもしれません。そういう懸念も彼らは示しています。
  最後に、やっぱりこれはストレートに答えてほしいのですが、まだ決めていないとおっしゃるかもしれませんが、毎年一回の改定をやる、その対象はどう考えているんですか。全品目なんですか、あるいは適応が拡大されたものなんですか、あるいはオーファンなんですか、どの範囲を考えているんですか。そこだけ答えてください。

○国務大臣(塩崎恭久君)  これは先ほど申し上げたとおり、総理の方からはしっかりと関係閣僚の間で基本方針を決定するようにというふうになっておりますので、まさに今おっしゃったようなことを含めて、どういうことをやるべきなのかということはこれから決めることだと思います。
  先ほど申し上げたように、一定程度のやはり調査の負担というのがあるということは私もよく分かっていて、一錠十円のものを百円掛けて調査をして一円しか利益が、何というか、差がないとか、そういうようなことは余り意味のないことでありますので、国民にとって、国民負担の軽減にとって意味のあることをやる、そして医療の質を向上するというために何をすべきかということをこの薬価制度の抜本改革についても併せ考えていきたいというふうに考えているところでございます。

○足立信也君  与党席の方々も物すごく期待している答弁なのに、一切そこは答えられないと。ということは、まだ期待していますよ。無理やり全品目毎年やるということは私は不可能だと思いますし、大変な負担になると思います。その点は与野党を問わず改めて申し上げたい、一部違うかもしれませんが、申し上げたい。
  年金の問題に移りたいと思います。
  公的年金制度というのは、原則は、もう度々答弁されていますけれども、給付の十分性と持続可能性のバランスだと、おっしゃるとおりです。この問題は、今回の法改正の問題はやっぱり二〇〇四年のあの年金国会の審議に戻るんですね。
  私は二〇〇四年初当選ですから、あの二〇〇四年の国会審議というのは報道しか知りません。あそこでやられたことは、誰が未納であるとか、あるいは未納三兄弟であるとか、そういうことの報道ばかりでした。今日、久々に見えている森さんもあの報道で随分有名になりましたけれども。あとは、小泉総理のやっぱり不真面目な答弁ですよ、私が印象に残っているのはね。だから、中身はほとんど伝わらなかったです。厚生年金に加入させていただいていて、小泉総理がですね、人生いろいろ、会社もいろいろと、そんな答弁で終わらせる。そしてまた、マクロ経済スライドについては、私に聞いても答えられるわけがないと。それに比
  べれば、塩崎大臣の態度は立派だと思いますよ。ただ、総理が、これだけ大きな大改正をするのに、私に聞いても分かるはずがないと突き放しちゃったら、国民に分かるはずがないじゃないですか。とんでもないですよ。
  ただ、そのことは、この前も発言がありましたが、私が述べたことを全く御理解いただいていないようであれば、何時間やっても同じですよと、総理がここでまた言ってしまった。これ、根っこは同じですよ。こんなことを言っているから国民は分からないんですよ。この点をまず私は、二〇〇四年に初めて当選したけど、二〇〇四年の審議はほとんど分からなかったということを強調したい。
  ただ、そのときに、この前も役所の方と話ししましたけど、私は、あのでき上がったものを見て、これは百年間の財政均衡を図るものであって、百年分の年金管理制度なんですよ、これはね。それを、隣にいるから言いづらいですけど、百年安心のと言うからまた大問題であって、安心じゃないですよ。百年もつためにどうしたらいいかという、そういう議論ですよ。そこも伝わっていないんですよ。だから、安心と言われたのに全然安心できないでどんどん下がるじゃないかと国民は不満を表明するわけですよ。百年管理するためにはこうやるしかないんだと、百年もたせるためには。そういう改革だったでしょう。そのことが実は伝わ
  っていないということです。
  これ、大原則です。あのときの約束は、今までは年金給付に合わせて保険料を上げていったけれども、まず保険料を上限固定すると。そのことと、百年後に一年分、次の年の一年分の給付額を積み立てると。そして、そのときには所得代替率が五〇%以上。この三つですね。そこを確認したいと思います、約束は。

○国務大臣(塩崎恭久君)  おっしゃるように、それまでは財政再計算といって、給付もそれから負担も変わり得る、五年に一遍という前提で進んでいたわけでありますけれども、この二〇〇四年の改正では、今先生御指摘のとおりの改正を行って、法律上、マクロ経済スライドによる調整は財政検証の年から約百年後に給付費一年分程度の積立金を保有しながら年金財政が均衡するという見通しを立った時点で終了すると。また、所得代替率が五〇%を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保すると。そして、こうした点について少なくとも五年に一度行う財政検証で確認をしていくということとしているわけでありまして、平成二十六年財政検証のケースEを例に挙げれば、マクロ経済スライドの調整の終了年度は二〇四三年度であり、そのときの所得代替率は五〇・六%という見込みでございました。これがおおむね百年後まで維持されることを確認をしているということで、先生の御指摘のとおりでございます。

○足立信也君  おおむね三つの約束は今認められたんだと思いますが、それでも今回の法案では保険料百円上がる。まあ、百円、これは私どもはやむを得ないとは思っていますが、保険料の上限固定するという約束の下なんだけど、もう百円上げると、こうなったわけですね。この先、もっとまたそういう、しようがない、上がってくるだろうなというのが何となく予想できますよ。これが一点。
  その次は、今、調整期間の話をされました。マクロ経済スライドです、やっぱり大事なことはですね。これは、年金財政の安定均衡を達成するまでの間、給付水準を抑制していくと。抑制していく、水準をですね。そして、手段としてのその改定は、あのとき決めたことは、改定はですよ、新規ではなくて、改定は物価スライドと調整率によってだんだん給付水準下げていくんだと。これはもう皆さんお分かりのとおりだし。
  そこで、この給付水準という言葉が、今までの議論を私ずっと聞いていて、時にはそれが所得代替率であったり、時にはそれが給付額であったり、年金の、こういろいろ答弁が変わるような気が私はしているんです。ですから、そこでまず確認したい。財政検証に関するいろんな議論の中で給付水準と言った場合は、これは所得代替率ですよね。

○政府参考人(鈴木俊彦君)  ただいま、財政検証において確認すべきは、給付水準は所得代替率か年金額かというお尋ねであるというふうに理解を申し上げております。その中で、先生御指摘の平成十六年に構築をされました年金の財政スキームの中で、大臣からも御答弁申し上げましたように、おおむね百年間という長期的な給付と負担の均衡を図るための財政検証ということでございまして、法律上、将来にわたって所得代替率五〇%を確保すると、こういった規定が置かれているところでございます。したがいまして、財政検証において確認すべき給付水準の目安というのは所得代替率であるというふうに考えております。

○足立信也君  財政検証においては所得代替率だ、このことは後でしっかり議論したいと思います。
  あと、やっぱりスライドしていく中で重要なのは、調整率と、それからスライドそのもの、それと調整期間、そして代替率だと思うんです。これ、一つ一つ聞いていきます。
  まず、資料一なんですが、御覧ください。
  先週、太田委員もおっしゃっていましたが、医療とか介護はプレーヤーがいて、そこに所得というものが入ってきて、産業でもある。私は数学の、いろんな多次元方程式がある中で、複雑系とも言われますが、数学的だと思っているんです。それに対して、年金は私は算数だと思っているんです。入りと出、そういうことだと思いますが。
  そこで肝腎なのは、一定で変わらない定数と変数は何なのかということになってくるわけです。この調整率、公的年金全体の被保険者の減少率プラス平均余命の伸びを勘案した一定率〇・三%、これは定数ですね。そうすると、変数は公的年金全体の被保険者の減少率ということになるわけですが。
  そこで、ここの労働市場への参加が進むケースと参加が進まないケースで調整率が違いますね。この理由を説明してください。

○政府参考人(鈴木俊彦君)  マクロ経済スライドによる調整率でございますけれども、ただいま御指摘ございましたように、賃金、物価による本来の年金額の改定率から一定のスライド調整率を差し引く、こういうことで調整が行われるわけでございます。
  この場合のいわゆる差し引かれるスライド調整率でございますが、これは二点ありまして、一つは、今御説明ございましたように、年金を支える力でもございます被保険者の数が今後減少していく率、これが一点でございます。それから、今後寿命が延びて、言わば給付費が増加する率、この二つを合わせて算出をされております。
  その中で、いわゆる変数でございます今後の年金を支える力でございます被保険者の数がどういうふうに減少していくかということでございますが、これは二十六年財政検証で大きく二つ、労働市場への参加が進むケースと進まないケースに分けたわけでございます。この場合に、労働市場への参加が進むケースでは、高齢者の労働参加が進むということによりまして六十歳以上の被保険者数が増加する、こういう影響を盛り込んでおります。したがいまして、労働参加が進まないケースと比べますと、その分、被保険者の減少率が小さくなるわけでございますので、これを反映してマクロ経済スライドのスライド調整率が小さくなる、
  こういった構造にあるわけでございます。

○足立信也君  受給者である年齢の方が実は働かれて被保険者になるという説明ですね。世の中の方は、調整率というのは何だと、物価のスライドから更に引くんだと、〇・九と思い込んでいる方が多いんです。ただ、これにずっと示されているように、二〇四〇年は一・九ですよね。一・九というのは相当なパーセントです。
  そこで、私どもは、新成長戦略の中で就業率を上げるべきであると。それは女性であり、障害者であり、元気な高齢者。女性であっても、今の高齢者、本来受給される方々が働く側に、被保険者の側になる、これは女性も含まれています。じゃ、障害を持った方々が働かれた場合、これも被保険者の減少ということにつながっていくんでしょうか。障害年金をいただいている方々の雇用が進んだ場合はどうなるんでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君)  現在、法律に規定をされておりますマクロ経済スライドの調整率、この算定式ということで申しますと、障害者の方々につきましては、これは厚生年金、国民年金の中で被保険者という位置付けでございますので、言わば今のスライド調整率の中では支える力であるところの被保険者数に既に織り込まれてございます。
  したがいまして、メカニズムだけ申しますと、障害者の方が仮に働いておられないのが働く、厚生年金の被保険者になったということでありましても、このスライド調整率自体には直接には反映しない、こういった算定式になってございます。

○足立信也君  少しずつ理解が進んでいくと僕は思うんです。障害者はそうなんですよね。ということでございます。
  これが調整率の話で、次はそのスライドの話に行きますけれども、よく答弁で、これは社会保障の税の一体改革の合意、それから年金機能強化法等々、我々もそれは認めていたじゃないかという話をよくされます。それは、私も当事者として、マクロ経済スライドは徹底しなきゃいけないと議論があったことは、それは当然認めます。しかし、それまでの段階、それまでの段階では物価と賃金の低い方に合わせてスライドを導入するという考えはなかったですよ。
  我々は、むしろ、この前も参考人の方に質問しましたけれども、厚生年金の適用を拡大した方がはるかに所得代替率に対しては上がっていく、効果的だと。我々の選択は、被用者保険、厚生年金の加入者をやっぱり増やしていこうと。この十月から二十五万人増えましたけれども、我々のあのときの考え方は、例えば最低賃金以上、二十時間以上百万人、時間制限をなくした場合は更に百万人とか、ずっと試算の中でそこを増やすことが大事だということをやってまいりました。
  ですから、物価と賃金の上昇率の低い方に合わせるという考え方はあのときはなかったです、我々としては。それが今回出てきた。そこに出てきたのは、やはり社会保障審議会年金部会の去年の一月のこの議論の整理だったと思いますよ、ここで。だから、私たちがそこは認めていたじゃないかというのは、ちょっと私たちとしては違うと、それはその後に出てきた、去年出てきたことだということです。
  要は、この考え方は、デフレであろうがなかろうが、まあずっとデフレだったわけですが、デフレであろうがなかろうが、マクロ経済スライドをより機能させるために、物価と賃金低い方に合わせてスライドしていく賃金スライドを導入したと、私はそう思っている。その評価でよろしいですか。

○国務大臣(塩崎恭久君)  今、足立委員からの御指摘がございましたけれども、今回の賃金に合わせて年金額を改定をするというこのスライドルールは、マクロ経済スライドをより機能をさせるためのものということで、御指摘のとおりだというふうに思います。

○足立信也君  そこで、これは去年の一月の年金部会の議論の整理で出てきたと私申し上げました。その前の、おととしの財政検証に基づいたと、その基づいた法案であるというふうに説明をよくされているわけですけれども、やっぱり衆議院で特に議論になっていたように、二十六年財政検証には、賃金の上昇率が物価上昇率を下回る、この前提がないんですよね。そして、財政検証の後に賃金と物価の低い方で調整する。これ、丈比べという表現を参考人の方はされていました。
  財政検証の前提にないケースが法案として出てきた、そこに不満を持っている、あるいは本当にそれが実証できるのかということになっているわけです。参考人の方も、全方位の検証が必要だと。いい場合も悪い場合も、物価上昇よりも賃金上昇が低い場合も、それも含めて全方位の検証が必要である。なのに、財政検証には賃金が下回るケースがない。ところが、実際は二〇〇四年以降、物価変動率よりも賃金変動率が下回ったケースが二〇〇四年以降だけでも七回もある。七回もあるのに財政検証でそのことが議論されていない。このことが一番、私たちとしては不十分だろう、ここの試算出してくれよということになっている。
  衆議院はここに集中し過ぎたという感覚を私は持っていますが、やっぱりそれは偽らざる真実ですよ。実態に合っていない検証しかやられていないじゃないかと。政府の、安倍総理の希望は分かります。希望は分かるけれども、実態と合っていないじゃないかというのが一番の心配なことなんですよ。国民の皆さんもそうだと思いますよ。
  そこで、別の言い方をすると、キャリーオーバーというのが今度法案で出てきました。調整率をしっかり、調整率そのもの、数値まで下げられない場合に、景気が上昇したときに持ち越すんだと。しかし、これも、このキャリーオーバーしなきゃいけないときに、物価と賃金の低い方に合わせるということは、賃金スライドに合わせるということは、キャリーオーバーするときの代替措置じゃないかという考え方も、言い方としてはできるんですよ。
  賃金スライドの徹底ということですね。低い方に合わせるということは、要は、その目的は調整期間を、先ほど終点の話はしました、調整期間を短くする、早く終わらせる、一気に下げていく。これが、調整期間を短くするというのが目的、それでいいですね。

○国務大臣(塩崎恭久君)  今回の二十六年の財政検証よりも五年前の二十一年の財政検証のときにも分かったことでありますけれども、平成十六年改正以降の現役世代の賃金の低下に合わせた年金額の改定を行わなかったために、今の年金をもらっていらっしゃる方々、高齢者の基礎年金部分の所得代替率が上がってしまうという一方で、将来の基礎年金部分の所得代替率が下がるということが判明をしたわけであります。
  今回の賃金に合わせてこの年金額を改定するスライドルールは、賃金が下がったときに賃金に合わせて年金額を改定することで、足下の所得代替率の上昇を防ぐことによって、マクロ経済スライドの調整期間をこれまでの見通しよりも長期化をするということを避ける、防ぐということのためのものでございまして、今、足立委員が御指摘のとおり、今回の見直しを行わなかった場合と比べてみますと、見直しを行った方が賃金が低下する不測の経済状態になった場合でもマクロ経済スライドによる調整はより早く終了をするということができると考えているところでございます。

○足立信也君  そのとおりなんですよ。
  だから、もっと分かりやすく言いますと、所得代替率、現役の人の手取り収入に比べて何%かというのが、デフレで調整が利かなかったから、マクロ経済スライドできなかったから上がり過ぎちゃった、これを抑えなきゃいけない。つまり、給付額、所得代替率という給付水準で考えても、下げなきゃいけない。かつ、早く下げて調整期間を終わらせなきゃいけない。この二点について、給付額は下がるんですねということは、私は真実だと思います。我々は年金カット法案とは一言も言っていないと言いましたが、これは下がっていくんだ、結果として減っていくんだということは間違いないわけです。調整期間を短くするということです。将来のためにとおっしゃるけれども、形としては下がっていく。
  ただ、ここでまた言い方なんですけど、経済成長モデルを描いていますね、今ずっと。これから物価も賃金も、賃金の方が物価より上回って成長していくんだと、財政検証は全部そうですね。それを描いていると、年金を受給する方は、経済成長が続いていくんだから現役男子の手取り収入は当然上がっていくだろう、代替率五〇%で一定にするんだったら給付額は当然上がっていくだろうと思うじゃないですか。当然ですよね、成長モデルしか出していないんだから。だったら、年金を受ける側の人間は、調整期間は長い方がいいんじ
  ゃないかと思いますよ。長く掛けた方が現役男子の収入も上がっていく、代替率一定なんだから年金の給付額も上がっていくと、当然そう思いますよ。それが国民的な感情だと思います。
  ただ、給付額を調整するには調整期間を短くした方がいい、早めに調整期間を終了することが将来世代のためだと。その理由で、将来世代のためなんだという理由で今回賃金スライドを導入するというのは、やっぱり、やっぱりですよ、財政検証で八つのケースを出したけれども、経済成長はそれほどできないんじゃないか、あるいは実態として実際にできなかったから、だからこういう考え方を導いてきたんだと、それ以外にないと思いますよ、理解の仕方は。
  ですから、転ばぬ先のつえという表現もされましたね。私は、でも、財政検証で成長モデルばかり出したけれども、実態はそうじゃなかった、早く調整期間終わらせるためには賃金スライドを入れて早く下げていかなきゃということです。これは、実態と合わなかったということは、転ばぬ先のつえではなくて、もう転んだことを認めていることだと思いますよ、この二年間で。今回こういう制度を入れたということは、転んで骨折して、大変だといってこれから傷害保険に入るようなものですよ。私はそう思っていますよ。
  だから、そこを言わないと、今まで計画していたけれどもそうじゃなかった、これを将来世代のためには今抑制しておかないと駄目なんだとはっきりした理由を言わなくて成長モデルばかり出すから、そうじゃないだろうと。成長すると言っているじゃないか、だったらずっと調整期間長引いた方が増えてくるんじゃないかと思うのが国民の心理だと私は思いますよ。
  そこで、実際の運用の話になるんですが、財政検証は、何度も繰り返しますが、八つのケース全て物価上昇よりも賃金上昇が大きくて、そして、計算上これは、物価上昇があって賃金上昇は大きい、それよりも更に長期金利は高い、そして運用利回りはもっと高い、こういう前提になっているわけです、全部。本当ですかという話になりますが、実際はそうなっている。さっき言いましたように、物価の上昇も、何といいますか、やっぱり直近のところは下がっているし、賃金は上昇しない、長期金利は低い。だったら、あと頼みは運用利回りしかないじゃないですか。だから、財政検証したその年に株式の運用を倍増させたんじゃないですか。そこに頼るしかなくなっているんじゃないですか。実際に成長モデルって出したけれども、物価も賃金も利回りもそういっていない。あとはそれより上回らなきゃいけない運用利回りをとにかく上げるしかないんだ。だったら、おととしの十月から株式の運用を倍に増やそう、リスクもあるけれどもハイリターンを求めよう、そういう考え方で動いたんじゃないですか。
  そこで、GPIFの欟桐事長にお聞きします。先ほど全体の流れがありましたが、株式の運用を倍増させたその前後の運用利回りはどうなっているでしょうか。

○参考人(橋則広君)  GPIF発足の平成十八年四月から基本ポートフォリオを変更する前であります平成二十六年九月までの八年六か月間の平均収益率は二・八%でありまして、基本ポートフォリオ変更後の平成二十六年十月から今年の九月末までの約二年間の平均収益率は〇・五%であります。

○足立信也君  皆さんショックだと思いますが、繰り返しますね、物価よりも賃金変動は高い、それよりも長期金利は高い、それよりも運用利回りは高いという財政検証なんですよ、全てが。そして、その八つのパターン、運用利回り、一番高いのは五・四%ですよ。一番低いのが二・七%ですよ。そして、ポートフォリオを変更した後は〇・五%ですよ。変更前は二・八%ですよ。
  だから、今、前提を置いてきたものが、申し訳ない、全て崩れているじゃないですか。これで納得してくださいと言うのは難しいですよ。こう思い描いたけれどもそうはいかない、早く給付額を下げていかないと将来枯渇して大変だと、もう正直にそう言わないと、なかなか納得してくれないと私は思います。
  先ほど申し上げたように、この調整期間の終了は百一年後の一年間の給付総額に相当する積立金、こういうふうになっているわけです。この調整期間のことを申し上げますが、今はその約一年分ということになっていますが、資料二を御覧ください。
  これが、GPIFの運用資産額、それからGPIFからの特別会計への納付額、それから公的年金受給者の年金総額です。年金総額は緑、それからGPIFの運用資産額がブルーの折れ線、そしてダイダイ色が納付額です。これは、例えば二十七年は納付額がマイナスになっています。これは、当然、年金保険料がずっと今上がっている段階ですから、年金保険料でいわゆるほぼ完璧な賦課に近い形で成り立っているから納付額はマイナス、要らないということになるわけですけれども、この運用資産額がどんどんどんどん上がっていっている。給付額はこの程度なわけですね。
  じゃ、百一年後、百一年目の給付総額に見合う積立金ができるということになっていますが、現時点の考え方とか、今だと、今の判断だと大体それ額としてどれぐらいなんでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君)  今、百年後のその積立金の額ということでお尋ねがございましたけれども、これは考え方でお答えしたいと思います。
  これは、既に御案内と思いますけれども、我が国の公的年金制度、いわゆる財政均衡期間でございますおおむね百年間の後に、給付費にいたしまして約一年分に相当する額の積立金、これを言わば支払準備金という考え方で保有をする、その状態で以降の財政を均衡させる、これが大きな枠組みでございます。
  その中で、公的年金の給付自体は、御案内のように、賃金に連動して決まる仕組みとなっておりますので、したがいまして、年金積立金の運用ということを考えますと、この利回りが賃金上昇率をどれだけ上回ったかということが重要になってまいります。そういった考え方で、長期的な積立金の運用の目標というのは、額というよりは賃金上昇率を基準といたしました利回りを設定して、この目標をGPIFに示して達成してもらうようにしようという考え方でございます。
  具体的には、厚生労働大臣がGPIFに示しております中期目標というのがございますけれども、これは、平成二十六年の財政検証におきまして、今御指摘ございましたように、百年間の推計を行いました結果を踏まえて、長期的な運用目標といたしまして、賃金上昇率を上回る実質的な運用利回りが賃金上昇率プラス一・七%、これを最低限のリスクで確保するようにといった目標をお示しをいたしておりまして、これで百年後に向けてきちんと運用をしていただくということでございます。

○足立信也君  人口構造の変化、出生率は今一・四五まで上がっていますから、中位のものよりも若干いいわけですけど、これ答えられなかったらもうしようがないですが、今大体五十数兆ですよね、五十五、六兆ぐらい、年金給付額。この人口推移でずっと行った場合の二〇一四年からの百年後、二一一四年というのは大体どれぐらいだというのは分かるんじゃないですか、給付額。分かりませんか。分からなかったらいいです。

○政府参考人(鈴木俊彦君)  平成二十六年の財政検証のいわゆるケースEでお答えをしたいと思います。
  今先生御指摘ございました例えば二一一〇年の時点で申しますと、二十六年の財政検証では、厚生年金の支出合計額が約二百兆円でございまして、そのときの年度末の積立金といたしまして約百六十五兆円を保有する、こういったような全体の財政見通しを立てているということでございます。

○足立信也君  分かりました。
  金額が出てくると何となくイメージが湧きやすいと思いますので、ちょっと無理かもしれませんが言っていただきました。
  そこで、これは運用、先ほどから何度も言いますが、物価よりも賃金が大きい、賃金よりも長期金利が高い、そして運用利回りはもっと高いはず。GPIFのまた欟桐事長にお聞きしたいんですけれども、この前お呼びした参考人でGPIFに言及した参考人三名の方は全て、やはりその被保険者の気持ちをそんたくする、感覚が理解できる、あるいは被保険者の立場を代表する側の人間が、今十人中二人の予定ですけれども、やっぱりこれが足りないんじゃないか、その理由はやっぱり、先ほど言いましたけれども、気持ちを酌み取れていないんじゃなかろうか、酌み取ってくれないんではなかろうかという懸念を全員がおっしゃった
  んです。そのことに対して、理事長は、これは委員の比率がどうこうという考え方もありますが、委員の人には一般の受給されている国民あるいは被保険者の国民の気持ちを受け入れることが容易になるような何か仕組みを考えた方がいいんじゃないかと私は思うんです。その点について、いかがでしょう。

○参考人(髙橋則広君)  今回のGPIFの改正法案につきまして私として意見をする立場にはございませんので、具体的な経営委員会の構成につきましてはお答えはできませんが、先生おっしゃっていただいたとおり、積立金の運用は被保険者の納めました保険料の一部で、将来の貴重な財源だというふうに考えております。そのために、法律にも書いてありますとおり、専ら厚生年金及び国民年金の被保険者の利益のために、長期的な観点から運用をするということだろうというふうに考えております。
  GPIFにおきましては、昨年三月に投資原則、行動規範を定めておりまして、その中で、先生おっしゃっておりますとおり、専ら被保険者のために行動する、そういう利益を確保していくということで、そこを投資の目標にするということを掲げまして、そのために、GPIFの役職員の行動規範としまして、年金事業の運営の安定に貢献し、専ら被保険者の利益のために受託者として責任を果たしていくというふうに明記をしまして、こうした行動規範、投資原則を冊子にいたしまして役職員が携帯しているようにしておりますし、所内各所に掲示しているところであります。
  今後とも、こうした原則を守りまして、かつ労使の推薦する委員を含む運用委員会の御意見を伺いながら、被保険者の皆様の思いを受け止めて運用していきたいというふうに思っております。私個人だけではなくて、GPIFの組織の文化として被保険者の皆様の気持ちをきちんと酌んで運用する、そういう組織にしていきたいというふうに考えております。

○足立信也君  議事録に残りましたから、しっかりやっていただきたいと、そのように思います。
  次は、所得代替率に行きます。資料三を御覧ください。
  皆さんもう御案内ですが、所得代替率というのは新規の裁定をやるときの基準になるわけですけれども、分母が現役世代男子の平均手取り収入額、つまり可処分所得。このモデル世帯というのが、男性が働いて女性は専業主婦、子供二人ですね。このモデル世帯の比率というのを出しましたけれども、平成二十四年で五四%ということになっています。
  しかし、まずちょっと局長にお聞きしたいんですが、これは、被扶養者になった場合はこのモデルに入るんだろうと私は思いますが、つまり百三十万円以下で働いているけれども、つまりどういうことかというと、共働き世帯というのは今このモデル世帯よりも上回っているわけですね、一九九四年ぐらいから。ですから、このモデル世帯、五四%というけれども、この中には百三十万円以下で働いている主婦の方がいらっしゃる家庭も全部入っている、そういう理解でよろしいですか。

○政府参考人(鈴木俊彦君)  このモデル世帯の定義の上では、今先生のおっしゃったとおりでございます。

○足立信也君  これは、収入によって個人個人が所得代替率が決まるということはこの前教えていただきました。そこで、やっぱりこの分母のところが、なぜモデル世帯の現役男子、四十年間働いた現役男子の平均手取り収入額という単一の尺度なのかというのが物すごく気になるわけです。女性の就労は明らかに進んでいる。なのに、なぜ代替率は男子のみになっているのか。
  ここはやっぱり、次の財政検証、不幸なことも含めて、嫌なことも含めて実態に合ったような前提条件を置かなきゃいけないという、先ほど申し上げましたが、私は、この所得代替率、所得代替率はこういう形でやっていますよ、それを比較しなきゃいけないから、次もこれは必要だと思います。ただ、明らかに、専業主婦で男だけが働いている世帯というのはもう五〇%ないわけですよ。そういう世帯類型がいろいろ変わっている中で、単一の物差しだけというのはやっぱりよくないと思いますよ。是非、次回の財政検証は、そういう世帯、こういう世帯の場合というような検証の前提条件を是非置いていただきたい。この物差しは
  必要だと私は思います。それ以外のものも絶対に示すべきだと、実態はその方が多いんですから。その点についていかがでしょう。

○国務大臣(塩崎恭久君)  結論から申し上げれば、今、足立委員御指摘のとおり、今後の世帯類型、まあ随分今までも変わってきているわけでありますから、これらについて多様化を踏まえてどういうような工夫ができるかということは、当然、次期財政検証に向けても検討しないといけないと思っています。
  この所得代替率は、夫が就労して妻が専業主婦だというモデル世帯でやってきておりますけれども、これは言ってみれば物差しで、平成十六年改正で法定化をされたものでありますから、これを連続的に見ているということが一つあります。
  平成二十四年度の老齢年金受給者実態調査、これを見て先ほど五四という数字をおっしゃいましたが、夫が現役時代に正社員中心、妻が現役時代にパートあるいは専業主婦中心という、こういう世帯が過半数であることはそれなりの事実だというふうに思います。ただ、過半数といっても圧倒的な過半数でもないということでありますし、だんだんこれが下がってきているんだろうというふうに思いますので、そこのところはしっかり踏まえるということだというふうに思います。
  所得代替率は、今の定義と計算方法が平成十一年の財政再計算から用いられ、そして平成十六年改正において法定化をされて、現在まで引き続いて物差しとして使ってきた連続性、それから物差しを当然変えれば、この目標値の今五〇%と言っているものも変わり得るわけでありますけれども、国民の受け止めとか、それをどう評価するかということを考えると、基本的には現在の所得代替率を継続して使用することは適切かというふうに考えておりますけれども、しかし、いずれにしてもこれは工夫をしなければいけないということで、今回も財政検証の際に基礎年金部分の代替率や、それからモデル世帯の代替率だけではなくて、基礎年金部分の所得代替率、あるいは夫婦共稼ぎ世帯やあるいは単身世帯の一人当たりの所得代替率を賃金水準ごとに示すというような工夫をこの間の財政検証では行っております。
  ですから、賃金水準も二〇一四年度の価格で十万円、十五万円、十七・四万円、二十万円、三十万円という五通り、そして夫婦共稼ぎ、それから単身といった世帯類型ごとの一人当たりの年金額に加えて、報酬比例部分と基礎年金部分にも分けた代替率も示しているわけで、それをぐっとにらんでいただいて、一体どういうことになるんだろうかということをお考えをいただくためにこういうデータを出しているわけでございまして、そうすれば、自分の賃金の水準に照らして将来の年金水準がどんなふうになるのか、特に代替率ベースで見てどうなるのかということが分かるようになっているということであります。
  いずれにしても、変わり行くこの世帯類型、家族の在り方、これを踏まえて、今後とも年金についてしっかり検証の際に検討をしていかなければならないと思います。

○足立信也君  大臣の言っていることはそのとおりです。
  私も、財政検証、これぐらいありますよね、物すごい分厚いですよ。途中でやっぱりちょっと見切れなかったですね。国民の皆さんに、ぐっとにらんで自分はこれじゃないかというので考えてもらいたいって、気持ちは分かりますけれども、やっぱり表し方だと思いますよ。これは難しい。私だって途中でちょっと断念しかかったですからね。だから、そこの出し方ということも非常に大事だと思います。
  終わりの方になりますけれど、この法案のマクロ経済スライド、物スラ、賃スラのところは結局は調整期間短縮法案なんですね、私の認識は。アベノミクスのときに議論をいろいろしました。可処分所得が増え、収入が増えて、そのことが物価を引き上げ、購買意欲も湧いてくるディマンドプル型、これが正しい経済成長だということの中で、アベノミクスは、金融緩和と財政出動、やっぱりお金を増やすことによってまず物価を上げて、そして後に賃金付いてこいよというコストプッシュ型。これでは、何度も言いますが、物価よりも賃金の上昇の方が更に高いんだというのはなかなか生まれないという議論をずっとしてきたはずです。
  実態はやっぱりそうなっているんだと私は捉えています。
  公的年金の持続性については、多くの国民は、今回のこのように、給付を所得代替率を見ながら下げていくというのはしようがないなと思っている国民がほとんど大多数だと私は思っていますよ、実際はね。しかし、基礎年金が下がり過ぎると全員が参考人も指摘しました。
  これから社会保障の分野で負担が大きくなり過ぎている。社会保障、つまり医療、介護は現物給付です。でも、現物給付になっているんだけれども、そこには自己資金が必要になってくる、自己負担が必要になってくる、保険料負担が必要になってくる。その部分が基礎年金だけではとても賄い切れないから、みんなは不安を持っているわけですよ。
  資料四を御覧ください。
  理事会でお認めいただいたので、特に二〇一九年までの年金、医療、介護の負担増の内容です。赤で書いたのは、これは報道から私がピックアップしたものですので、確定ではない大前提でこれを御覧いただきたいと思うんです。
  要は、ここ二年、三年掛けて、先ほど自己負担とそれから保険料の件を医療、介護で申し上げました。これだけの負担が待っているよ、しかし基礎年金部分は減っていくよと言われたら、やっぱり不安でしようがないじゃないですか。そこに、その先、調整期間を更に短縮するために、新たに賃金スライドの考え方を入れてもっと短縮して下げますよと言われたら、生活できるのかなと、これ思うのは当然ですよね。
  そこのところが、将来世代のためにという気持ちはよく分かるんだけれども、やっぱり現物給付に対する現役への負担が大きくなり過ぎるのが先にあって、その後、一気にこれからは基礎年金部分は下げていくよ、見合っていないということが国民の感情なんですよ。基礎年金の機能が不十分だと多くの人が思っている、だから世論調査すると反対が多いわけですよ。
  この点が、みんな言うのが、基礎年金というものは一体何なんだという議論を、抜本改革とよく言葉は言いますけど、単純に言うと、基礎年金の機能は何なのかという議論を先にやろうじゃないかということが主に野党の主張じゃないですか。これがなくて、まず医療、介護のところで負担が増えて、その先どんどん年金減っていくんだって、大変だなということなんです。
  最後になるかもしれませんが、この基礎年金の機能、ここをしっかり議論、落ち着いた環境でやっていく、是非必要だと思いますが、大臣、いかがでしょう。

○国務大臣(塩崎恭久君)  たしか前回も、年金に関しては制度の持続性そして給付の十分性というのを両方追求していかなきゃいけないということを申し上げました。
  給付の十分性については、制度を、先ほど来御説明いただいているように、百年の長期にわたって安定的にいけるようにバランスを考えていくという制度で平成十六年の改正が行われて、それにのっとってやっているわけでありますが、今先生御指摘のとおり、給付の十分性ということに関しては、先ほどお話がありましたように、当然、暮らしとの兼ね合いでどうなのかということを考えていく際には、支出サイドのことも考えなきゃいけませんし、もちろん他の負担のことも考えなければいけないということだろうというふうに思います。
  したがって、これまでの年金の議論の中でも、一体改革のときにもそうでありましたが、次に消費税引上げの際に行われることになるであろうこの福祉的給付にしても、あるいは今回お通しをいただいた二十五年から十年に短縮する法案もその一つだろうと思いますし、適用拡大ももちろんそうだろうと思います。
  二十六年の財政検証でこれオプション試算というのをいたしました。短時間労働者の適用拡大などのオプションが制度の持続可能性を高めて、基礎年金も含めて所得代替率にプラスの効果があるということが分かっているわけでありますし、それから、プログラム法には四つの課題、検討課題、つまり、マクロ経済スライドをフル発動する可能性についてどう考えるのか、あるいは適用拡大を更に広げること、そしてまた支給開始年齢などの年金受給の在り方など、クローバックとか年金課税と、こういうようなことを同時に考えようということでありますから、我々としては、絶えずそういうことに検討を加えながら、この政策課題あ
  るいはオプション試算で示した政策の選択肢に検討を加えて、年金の持続性を高めて、そして保障機能を強化する観点から必要な見直しは当然やると。
  一方で、医療そして介護、この見直しについては、社会保障の制度の持続可能性を高めるために、世代間、世代内の公平を図って負担能力に応じた負担を求めるということから、改革工程表に基づいて議論を今検討中でありますけれども、やはり社会保障全体の中でどう暮らしを支えるのかということを考えていくということで、全体として見ていくことがやはり大事だろうというふうに思うところでございます。

○足立信也君  まとめます。
  次回の財政検証はもう再来年度には始まるわけですよ。そのスライドの部分の法の施行は五年後ですよ。そして、実態に合わない前提による財政検証で現実とどんどん懸け離れているから国民は不安になっているんです。是非そこのところ、そのときには、次回の財政検証には不都合な事実もしっかり入れてやってもらいたい、そのことをお願いします。
  以下の質問は次回に続けたいと思います。ありがとうございます。


 

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