国会会議録
 

平成28年11月17日- - 参議院厚生労働委員会会議録


 

○足立信也君  民進党の足立信也です。
  委員長から、今日午前も午後も、雇用、労働等に関する件を議題といたしますと、そのように発言されました。午前中の質疑を聞いていて、これは委員それぞれの判断だと思いますが、余りこの比率が、今日はそういう意味での集中審議のつもりなんですけれども、余りに比率が低いと、これ今後法案審議のときに、今まではよく言われましたけれども、法案以外、関係ないことを質問するなとよく言われましたけれども、返ってきますよ。是非そのことは指摘しておきたいと思います。
  さっき川田委員からもありましたけど、電通のことももちろん重要な要素ですが、ちょうど二年前、二〇一四年の十一月に施行された過労死等防止対策推進法、これに基づいて今月は過労死等防止啓発月間なんです。だから、今これだけ問題になっているのに厚生労働委員会として何もこの問題に集中してやらないのはおかしいじゃないかという提案を私からさせていただいて、そして今日の開催になったわけです。是非そのことはとどめ置いていただきたい、そのように思います。
  そこで、なぜ今月がそうかというと、十一月二十三日が勤労感謝の日、これに関係していると思います。そこで、私ちょっと違和感があるのが、勤労への感謝、勤労感謝の日というのは、勤労の感謝というのはどういう意味なんでしょうか。大臣、教えてください。

○国務大臣(塩崎恭久君)  なるほどと思わせていただく質問をいただきました。確かに、勤労感謝の日の意味合いについて深く考えてきたということは余りないかも分かりません。
  日本国憲法の第二十七条を改めて見ますと、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」と書いてございます。働く方の適性や能力が十分発揮できる雇用機会を得られるように全てすべきという方針を示しているわけで、そして、そうした形で働くことの大切さを尊重するものというふうになっているというふうにこの憲法の規定は解されるのではないかと思います。
  勤労感謝の日につきまして、国民の祝日に関する法律第二条におきまして、「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。」というふうになっておりまして、その趣旨は、働く方が適性や能力を十分発揮できることを心から喜べる状況を目指すものであって、働く方の心身の健康を損なう長時間労働を許すようなものではないというふうに考えているところでございます。
  いずれにしても、働く方が自らの選択で自由な働き方をすることで喜びを感じられるということを目指すということなのかなというふうに思っているところでございます。

○足立信也君  昭和二十三年の祝日法では、確かに「勤労をたつとび」と、この労働に関しては「たつとび」しかないんですよね、第二条で。
  そこで、十一月といいますと、これは成り立ちからいいますと新嘗祭ですよね。これが十一月の第二の卯の日です。たまたま太陽暦に変えた最初のときが十一月二十三日だったからこうなっている。それから、アメリカでいうとサンクスギビングデーですね。これ、十一月の第四木曜日。このどちらも収穫あるいは収穫物に感謝する日なんですよ。勤労感謝じゃないんですね。ここら辺が私はちょっと違和感を感じているので、冒頭、大臣からの丁寧な答弁がありましたからなかなか突っ込みづらいんですが、私が思っていることをちょっと言いますね。
  一九六〇年、池田勇人首相が所得倍増計画というのを立ち上げて、働いて収入を得て貯蓄をして、教育費も住宅費も老後資金も賄う、そういう勤労国家を目指してつくっていったと私は認識しています。
  ところが、世帯所得というのは一九九六年をピークにこの二十年で二割下がっている。そんな中で所得が伸びず貯蓄ができなくなると、この前、質問のときに言いましたけれども、一気に将来不安が広がったわけです。そういう勤労、収入、貯蓄に頼ってきた、私はそう認識しています。この不安というのは、教育にも子育てにも老後にもその不安が今広がっている。それでも方針転換せずに経済成長の成果を社会保障分野に分配するという、まだこれを継続するんですかという気持ちなんですね。社会保障のために働けと言っているようなものです。
  多くの国民、人々は疲弊して過労死は減らない。毎年二百人以上が働き過ぎて命を落とす、そういうふうに今なっているわけです。過労死ラインが月時間外労働八十時間、過労死認定基準では時間外労働が一か月百時間又は二か月以上平均して月八十時間を超えると、こういうふうになっています。では、働き方改革を考える中でも、この国の国民の働き方を考える中でも、この基準を超えて働いている人というのは今どれぐらいいるんでしょう。

○政府参考人(山越敬一君)  お答え申し上げます。
  今御質問いただきました労働者の時間外労働の実態につきまして、例えば百時間超えとかいう労働者の数を把握するのはなかなか難しい面もあるわけでございますけれども、他方で、平成二十五年度の労働時間等総合実態調査、これは厚生労働省で行ったものでございますが、これにより月間の時間外労働時間が最も長かった労働者がいる事業場の割合を調べたものがございます。この中で八十時間超の労働者がいる事業場の割合は全体の一・九%でございます。百時間超の労働者がいる事業場の割合は〇・八%となっているところでございます。

○足立信也君  最も長い時間の労働者の比率しかないんですよ。さっき「かとく」の話が川田委員からありましたけれども、実際にどれだけの働き方をしているか、時間外労働しているかというのがないんですよ。これなくして働き方改革というのは一体どう考えているんだろうと。実態把握が何よりも基本だと私は思いますよ。
  私がいろいろ聞いたところでは、この過労死認定基準、これを超えている方は数百万人と言われていますよ。そこが、その把握からスタートしないと、とてもとても私は対処できるものではないんじゃないかと、そのように思います。
  ところで、二〇一三年に国連の社会権規約委員会が日本に勧告をしました。過労死又は過労自殺に対するその勧告の要点を厚生労働省としてはどのように受け止めているか、教えてください。

○政府参考人(勝田智明君)  社会権規約委員会についてお尋ねいただきました。
  同委員会は、二〇一三年五月、日本の労働、社会保障等についての権利の保障状況について見解を公表いたしております。この見解では、日本の長時間労働や過労死につきまして、相当数の労働者が過度な長時間労働を続けていること、過重労働による死及び職場における精神的嫌がらせによる自殺が発生し続けていること、これらに対する懸念を示すとともに、長時間労働を防止するための措置を強化し、労働時間の延長についての制限の不遵守に対して制裁が確実に適用されるようにすること、必要な場合には、職場における全ての形態の嫌がらせを禁止し、防止することを目的とした法令及び規則を採用することを勧告しております。

○足立信也君  今、要点二つあったと思います。長時間労働の防止を強化することと制裁を課すこと、これが先ほど来出ておりました我が党を始めとする野党の長時間労働規制の法案につながっているわけです。
  もう一点大事なことは、ハラスメント対策です。この国はやっぱりその点の法整備が弱いというこ
  とを言われておりますので。
  そこで、電通の話なんですけれども、これは去年の八月、長時間労働の是正勧告を厚生労働省しましたですよね。そして、高橋さんがお亡くなりになったのは四か月後ですよね。こういうことがないことを是非私は祈りたいんですが、是正勧告がネガティブに働いたということはないでしょうか。その内容あるいは長時間労働そのものを隠していくとか、上司の方から長時間労働に対してやっぱり嫌がらせに近いようなことはなかったのか、四か月後ですから、これが非常に気になるんですよ。今は調査、捜査といいますか、最中でしょうから明確にはそれはできないと思いますけれども、やはり私が気になるのはそこです。
  是非そういうことのないように祈っておきたいですし、先ほど「かとく」の話ありましたけれども、じゃ、今の勧告に対してどういう対処を考えられているんでしょうか。答えられたらお願いします。

○国務大臣(塩崎恭久君)  今の社会権規約委員会からの勧告についてでございますけれども、ここにおける長時間労働や精神的な嫌がらせといった指摘、ハラスメントでしょうか、につきまして__は、厚労省としても重要な課題であるというふうに当然認識をしておりまして、従来より様々な取組を行ってきております。
  長時間労働対策については、もう先ほど申し上げた「かとく」もあれば、それから、昨年五月に、長時間労働を行う企業の名称、これを、複数の事業場で違法な長時間労働を行う企業の名称は、一歩踏み込んで、今までよりは踏み込んで是正指導した段階で公表をする仕組みを導入を新たにいたしました。さらに、今年四月から、さっき申し上げた監督指導の対象を従来の月百時間超から月八十時間超の残業を把握した全ての事業場に拡大をするというようなことをやってきたわけであります。
  また、働く方のメンタルヘルス対策として、法に基づいて厚労省が策定したメンタルヘルス指針に基づく事業者に対する指導の実施、ストレスチェックの義務付け、こういったことを行っています。あわせて、パワーハラスメントの予防や解決のために企業がトップからのメッセージを発出したり、あるいは社内研修の実施、相談窓口の設置等の取組を行うようポータルサイト等を通じた周知啓発を行うとともに、対策マニュアルの配付や企業の労務管理者向けの研修等を行ってきているわけでございます。
  しかしながら、こういうことがまだ続いているところがあるという指摘がなされているわけでございますので、引き続きこうした対策を更に徹底をする、そして働く方が安心して活躍できる環境というものを整えられるように、今働き方改革について政府挙げて議論をしているわけでありますので、しっかりと取り組まなければならないというふうに思っております。

○足立信也君  勧告の中の防止の強化、これは監督官を増やす等々ありました。それから、制裁を課す、これは先ほどの議員立法の話がありました。
  あと足りないのは、様々なハラスメントに対する法整備です。特にパワハラですね。これは、厚生労働省の方にお聞きしたら、なかなか政府側としては難しいという話も聞きますので、是非これは議員立法としてでも皆さんに御協力いただいて、このパワハラ対策、パワハラだけに限らずハラスメントに対する法整備、勧告されているわけですから是非とも協力して作っていきたい、そのことを私からもお願いしたいと思います。
  そこで、この九月に発足した働き方改革実現会議、このメンバー、有識者十五名ですけれども、その中で今様々、非正規雇用等あるいは長時間労働等いろいろ問題点のある中で、労働者の立場を代表する方って十五名中誰がいらっしゃるんでしょうか。石原副大臣。

○副大臣(石原宏高君)  お答えいたします。
  働き方改革実現会議の十五人のメンバーのうち、厳密な意味で労働組合の出身は連合の神津会長になられます。

○足立信也君  労働組合とは限ってはいないんですけどね。働く者の代表としてはどういう人、先ほど言った非正規の話とかワーキングプアになっている方々等々、いろいろ考えられると思うんです、働き方。それに対して、どうも経営者側という方はざっと見ただけでも三名以上いますね。余りにバランス悪いんじゃないでしょうか。これは何か働き方改革というよりも働かせ方改革みたいな感じがしますよ。
  ですから、これはイメージも悪いし、実際的に本当に今困っているところの意見が反映されるのかどうか、極めて疑問に思います。ですから、メンバーも含めてです、いろんな、途中で専門委員とか特別委員とか出てくるかもしれませんけれども、是非それは検討していただきたい。一人いるからいいじゃないかじゃなくて、一人の声は小さいけれども、やはり複数いることによって、それが実態の把握も正確になるし、声も大きくできることはあります。是非検討していただきたいと思います。希望にとどめます。
  そこで、もうあと五分弱ですので、じゃ、私の方の、自分の仕事といいますか、元の仕事といいますか、今一番過酷な労働条件と思われるのはやっぱり医師だと思うんです。そこで、インターネットを通じたアンケートをちょっと紹介します。
  月百時間以上時間外労働をしている方の割合、一七%。一番問題だと私は思うのは、もう限界を感じている人が多いんですが、勤務医の二五%、看護師の二八%、薬剤師の二一%、四人か五人に一人は自分ではコントロールできないと、このことなんですよ。考えなさいと言われても自分ではできないんですよ。相手がいる、望まれている、そんな中で自分でコントロールできないというのは最大の問題。
  そして、別のアンケート。五十歳以上の医師の二一%が一日十時間以上働いている。そして、勤務医の六%は一月八回以上の当直がある。私も八回以上の当直をやっていました。
  そんな中で、医師の過重労働問題対策、厚生労働省としては、有効な手段というのはどういうことを考えられているのでしょうか、端的にお答えください。

○政府参考人(神田裕二君)  医師の過重労働問題対策についてでございますが、先生御指摘のように、医療機関が組織として取り組んでいくことが重要であるというふうに考えております。
  平成二十六年の十月に施行いたしました改正医療法によりまして、各都道府県に医療勤務環境改善支援センターというものを設置いたしまして、社会保険労務士等による総合的、専門的な助言、相談等を行っております。その中で、具体的な事例としては、医師事務作業補助者の設置でございますとか、救急の場合の当直、日直等の手当て、薬剤師等の配置といった対策が講じられているところでございます。
  また、診療報酬におきましても、医療従事者の負担軽減の取組を評価するという観点から、医師の事務作業を補助する医師事務作業補助体制加算ということが算定できることになっておりますが、その平成二十六年度の検証調査におきましては、約九割の医療機関が勤務医の負担軽減に一定の効果があったというふうに回答しております。
  同じ調査によりますと、やはり栄養サポートチームであるとか感染症チームであるとか病棟への薬剤師の配置といったチーム医療に取り組んでいるところは七割から八割効果があったというふうにされているところでございます。平成二十八年度の診療報酬改定でも、医師事務作業補助体制加算の点数の引上げ等の負担軽減の取組を実施しているところでございます。
  さらに、今後、医師の働き方をより良いものにしていくということから、本年十月に、新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会を立ち上げまして、今後の医療の在り方と、それを踏まえた医療従事者の望ましい働き方について検討に着手したところでございます。
  検討に当たりましては、診療に現在携わっている医師の働き方を正確に把握する必要があることから、医師の勤務実態や働き方の意向について大規模な全国調査を行うということにいたしております。この調査結果を踏まえまして、検討を進めて、医師の過重労働問題の対策に取り組んでまいりたいと考えております。

○足立信也君  別のアンケートを、ネットでの、紹介します。
  全国八ブロックに分けて、医師が足りないと感じている割合、一番少ないのが近畿で五二・二%、一番多いのが東北で六八・三%。でも、医学部定員を増やすべきだと考えているのは、一番足りないと感じている東北でも一六%しかないんです。実は、その実態は、地域、診療科の偏在であって、医師が医師以外でもできる仕事をしているということなんですね。だから、この取組をやらなきゃいけないということは確かです。
  先日、大臣は、全国医学部長病院長会議の皆さんとお会いしたと思います。卒前の実習をこの研修、卒後の研修と連動させていくというのは私は極めていい取組だと思っていますし、実質的な医師の数はそこで増やすことができます。こういう取組も是非やってもらいたい。
  最後に、答弁は求めませんが、一九九九年に過労自殺した小児科の中原先生、彼も月八回の当直をしていました。今、女性医師が五十代は一二・七%ですが、二十代はもう三五・五%です。彼の場合、小児科医はいっぱいいましたが、男が一人だったんです、黒一点。ですから、彼が背負い込んでいる分野が非常に多かった。当直の回数も多かった。この専門職というか医療分野で本当に男女の均等な働き方というのが可能かどうか、私は極めて疑問だと思っているし、現場では、やはり当直業務と深夜の業務は男性が引き受けようという気持ちが非常に強いです。
  このことも念頭に入れていただきながら、今後の働き方の検討をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  終わります。


 

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