国会会議録
 

平成28年11月8日- - 参議院厚生労働委員会会議録


 

○足立信也君  民進党の足立信也です。
  今日からアメリカで大統領選挙が始まります。今、川田議員の質問を聞いていて、今回の大統領選挙のテーマの一つだというのを昨日テレビでやっていました。ポリティカルコレクトネス、政策的に正しいことをやるかやらないかと。つまり、今、多様性あるいはインクルーシブという話をされましたけれども、政策的に正しいことが自分に利益があるかどうかという判断の基準になってきていると。トランプ候補者の支持の方々はそちら、自分のためにどんな利益があるのかと、つまり、政策的に正しいことが必ずしもいい政策ではないという主張が今論点になっているという話を聞きました。大臣のさっきの答弁で、やはり多様性を認め合う、これは基本的人権も尊重することも含め、私どもは基本としてやっていきたいし、世界にそういう国あるいはリーダーが増えつつあるような気がして若干心配を覚えていると、そういう昨日今日の報道でした。
  先ほども触れられていましたが、がん対策基本法、来週十五日の可決に、これを信じて今日はがん対策基本法について質問したいと、そのように思います。
  御案内のように、もう国民の半分ががんになり、亡くなる方の三分の一以上ががんであると。今年は恐らく百一万人の方が新たに罹患し、三十七万人の方ががんで亡くなると、そういうことです。
  がん対策基本法の成立、これ二〇〇六年ですが、大きな二つの要素があったと私は考えています、当時を振り返るとですね。一つは山本孝史さんです。彼は、確定診断が二〇〇六年、平成十八年の一月だったんですね。胸腺がんです。そして翌年の二〇〇七年十二月に亡くなりました。あの尾﨑参議院議員の追悼演説、名演説、もう語り継がれておりますけれども、新しい方々がいらっしゃるので、是非動画で見ていただきたいと、そのように私からお願いしたいと思います。彼は、ステージ四でしたので抗がん剤治療を受けました。そして、その年の五月の二十二日、本会議の代表質問でがん対策基本法の早期成立を訴えられたと。その後も彼は病気を押して、がん対策推進協議会に欠かさず傍聴されておりました。
  ですが、私はその前の、前年の頃からずっと取り組んでおったので申し上げますが、山本さんは実はがん対策基本法反対でした。個別の疾患に対する立法というのは彼は反対していました。
  しかし、私たちが前年から準備して、医療崩壊という言葉も出始めた頃でございまして、これは何とかしなきゃいけないという思いがありましたが、繰り返します、個別の疾患に対する法律というのは彼は反対だった。それから、社会保障に関して、医療や介護、ただというのも反対でした。
  しかし、その彼の考え方が変わってきた一つのきっかけが同じ年にありました。これがもう一つです。福島県立大野病院事件の産科医の逮捕事件です。これは、事件自体は二〇〇四年の十二月でした。産婦が死亡されました。しかし、この執刀医が逮捕されたのが、業務上過失致死と医師法違反の容疑で逮捕されたのがこの二〇〇六年の二月だったんです。で、その翌月に起訴されました。幸いなことに二〇〇八年に無罪が確定しましたけれども、この二つが私は大きかったと思っています。ここで医療崩壊というのが一気に加速しました。
  私は、今から二十年ぐらい前、まだ大学に勤務していた頃、当時は告知することすらはばかられる時代でした。やっとインフォームド・コンセントという言葉が出てきました。しかし、その後はどんどんその考え方が進んでインフォームド・コンセントからインフォームド・チョイス、選択肢を選ぶ、更にそれが進んでインフォームド・ディシジョン、自分で決定するという段階になってきました。
  これは、何が原因かというとリテラシーの格差ですね、提供する側と受ける側の。それと、これは医療界の労働条件の劣悪さ。それから、緩和医療というものが人を癒やすためには必要だと、治癒は治すと癒やすですから、こういう考え方。そして、医療訴訟の問題、これを解決しなきゃいけない、崩壊してしまう。この突破口に、今私が提示した全ての問題を抱えているのががんじゃなかろうかと、しかも国民の半分ががんに罹患する、だからがん対策基本法をやっぱり作ろうではないかということで山本さんにもお話をして、彼が積極的に動いてくださったというのがこの経緯でございます。是非それを御理解いただきたいと思いますし、彼は五十八歳で亡くなりました、私はその年を超えましたので、これは私にはこの基本法を育てていかなければならない義務があると、そのように思っております。
  そこで、今回の改正案、前の通常国会までは非常にいい改正案ができていたと私も思っています。ちょっとだけ内容を言います。がんの治療に伴う副作用、合併症及び後遺症の予防及び軽減に関する方法の開発などの研究の推進、緩和ケアが診断のときから適切に提供されるようにすること、がん患者が円滑な社会生活を営むことができる社会環境の整備などなど、がん患者や家族の身体的、精神的、社会的な苦痛の軽減に向けた改正であったと私も評価しています。これは国会議員、がん患者と国会議員の会等々議員連盟を中心にしっかり現場の方々あるいは当事者の方々と話合いをしながら、いい改正だったと思っています。
  そこで、この十年間、私はがん対策というのはかなり進んだと思っています、率直に。しかし、そんな中で、これは十分当初考えていたよりも進展しなかったな、あるいは進展しなかったと思われるがんの種類等々がやっぱりあります。それをどのように捉えているでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君)  今、この十年間でのお話をいただきましたが、がん全体の五年生存率は五四%から六二%へと上昇し、また、がん診療連携拠点病院が三百九十九指定をされるということで、全国どこでも質の高いがん治療が、がん医療が受けられる体制は整備をされるということになりまして、がん対策に大きな進捗があったという点では今御指摘のとおりだと思います。
  一方で、難治性がんにつきましては、例えば膵臓がん、膵がん、これは五年生存率が引き続き八%にとどまるという状況でございます。それから、希少がんについては、数が少なく正しい診断あるいは治療が難しいという場合でございますので、平成二十四年六月からの第二期がん対策推進基本計画の下で、難治性がん、希少がん対策については集約化による専門的な診療体制の提供、そして診断や治療法の開発につながる研究の推進と、こういったことに取り組んでいるわけであります。
  今年九月に、国連総会の期間中に日米韓の保健大臣会合が、特にアメリカのキャンサー・ムーンショット計画を率いているバイデン副大統領の呼びかけで、がんに終止符を打つということを共通の目的として、遺伝子及びたんぱく質の解析を含みます国際的なプロテオゲノミクス研究へ貢献していくことについて合意をいたしました。これによって国際的な研究データと分析結果のデータ共有が進み、今お話のあった難治性がん、希少がんの研究が、例えばデータの統一化、共有、標準化、こういったもので、数が少なくても三か国が集まってケースを蓄えるという形で研究を推進するということについて合意をしたところでございます。今議論を進めております第三期のがん対策推進基本計画においても必要な施策を盛り込むなど、更
  なる対策を進めなければならないというふうに考えております。

○足立信也君  当初は均てん化というものが非常に大きなテーマだったと思うんですが、今おっしゃるように、患者数の非常に少ない疾患あるいは本当に難治性の疾患というものは余り進んでいないのは事実なんですね、この十年間で。
  ですから、通常国会でこの改正案が成立せずに、私も参議院選挙を経て、三か月たって、参議院からやるということで、やはり課題になっていることはしっかり法律に入れたいという思いから、皆さんの御協力を得て、まず十九条関係で、罹患している者の少ないがん及び治癒が特に困難であるがん、ここをしっかり出させていただいた。それから二十一条関係で、これは元々そうでしたが、小児がん、教育と治療との並立、これが大事だということです。これはしっかり入れることができましたので、更にこの十年間、これから先は進んでいくと思います。
  もう一人、私、御紹介したい人がいます。吉野ゆりえさん、本名、由起恵さんですが、七月三十日に四十八歳で亡くなりました。私と同じ大分県、竹田市の出身で、高校は大分市、筑波大学の私の後輩です。在学中にミス日本に選ばれています。二〇〇五年の二月です、先ほどの話から一年前です。後腹膜の平滑筋肉腫で、十九回の手術と六度の放射線治療と五クールの抗がん剤治療をやっています。で、亡くなってしまいました。十一年。
  この方が、自分の経験を基に、あるいはいろんな方に共有していただきたいという思いから、いのちの授業というのをやっています。そして、私の友人の一人である中川恵一東大准教授、がん教育授業というのをずっとやられてきています。
  そこでお伺いしたいのは、がん教育というのはどんな効果があるのか。特に、がん検診の受診率に対してどのような効果があると考えられておられるでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君)  先ほど、がんに関するリテラシーの問題について御指摘をいただきましたが、国民ががんに関する正しい知識を持つということは極めて重要であって、平成二十四年の六月に策定した第二期のがん対策推進基本計画、ここでは、がんの教育や普及啓発は重要な柱の一つとして位置付けられております。学校におけるがん教育につきましては、文部科学省のがんの教育総合支援事業、これにおきまして推進をし、厚生労働省としては、教材の開発そして外部講師の確保、こういった面で協力をしてまいっております。
  一方、職域におきましては、厚生労働省において、がん対策推進企業等連携事業というのを実施をいたしまして、がん検診の普及啓発を推進をしておりますけれども、例えば健康保険組合の乳がん・子宮頸がん検診の受診率は被保険者の三〇%台、被扶養者の場合には二〇%台という状況でございまして、その原因の一つとして、職域におけるがんの教育や普及啓発が不十分ということだと考えられます。
  がんの検診受診率の向上のために国民にがん検診の重要性を理解をしていただくということが極めて大事でありますので、学校教育、そしてまた職場における教育、これによって、この普及啓発によってこういった点でのリテラシーを上げ、受診率も向上させていくということにしっかりと取り組まなければならないというふうに思っております。

○足立信也君  二十三条関係、この教育というのがどうも学校教育に偏り過ぎているのではないかという懸念が私ありました。患者さんの大多数あるいは家族の方というのは、もう学校教育を過ぎた方々です。生涯にわたる教育がやっぱり極めて必要だと思いますし、教科書には日本のナショナルデータのがんのものさえないという今状況ですね。ですから、今回、二十三条関係で学校教育及び社会教育と入れさせていただきました。是非成立を皆さんのお力でさせていただきたいと思います。
  最後に、提案が四つあります。次期に向けてだと思います。
  私は、この今ありました生涯教育、社会教育の場として調剤薬局は是非使うべきだと思っています。病院あるいは医療機関だとそれは敷居が高いところがあります。調剤薬局というのを使う手だてはないだろうか、これが一点。
  それから、今かかりつけ医の機能というのが非常に高まっていますが、がんの治療を受けたというのは、やはり病院のそこの主治医を患者さんは頼るものです。このかかりつけ医と病院の二人三脚、これが是非とも欠かせません。この点が二点目。
  それから、三点目、四点目。日本人の最大の疾患であると思われるのは、認知症とがんの関係です。認知症の方々ががんになった場合をどう対応するか、診断も含めてですね、この点。
  それから、その次の世代は発達障害とがんとの関わり、つなぐ研究。
  是非この四点は次の計画に入れられるようにしっかり議論していただきたいという提案をいたしまして、私の質問を終わります。
  ありがとうございます。


 

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