国会会議録
 

平成27年9月18日- - 参議院本会議


○足立信也君 おはようございます。民主党の足立信也です。
 冒頭、二点申し上げます。
 津波が刻々と押し寄せています。全国の皆さん、是非とも警戒心を緩めないでください。津波は二度も三度も押し寄せることがあります。また、時間を置いて来ることもあります。是非警戒を怠らないでください。
 もう一点は、北関東、そして東北の水害のことでございます。
 常総市が特にその被害が大きかったのですが、合併前は水海道市と石下町と言います。水海道、水の海の道です。江戸から日光をつなぐ水運の要衝でした。つまり、鬼怒川と小貝川に挟まれた地域は、海抜が低く、非常に水害の危険の多かったところでもあります。
 ここに挟まれた地域の医療機関、病院二つ、診療所数か所、全て機能停止しました。私は二十一年前までその病院に勤めておりました。日曜日、大分から帰った後、東京へ戻った後、月曜日の朝に妻と病院に手伝いに行ってまいりました。皆さん御案内のように、外来患者さんを考えると、CTやMRI、放射線機器、高額な機器は全て一階にあります。一階が一メーター四十センチ浸水しました。使用不能になっております。人がいて器械があっても使えない状況になっております。
 しかし、私のかつての同僚、そして部下の人たちは下を向いておりません。この地域で自分たちが頑張らなければ、自分たちが核にならなければ、そして一刻も早く復旧するんだと、強い気持ちを私は感じました。私たちの力でこの水害に見舞われた地域、是非とも助けていきましょう。一緒に復旧をしていきましょう。
 かつての病院のことだけ言って申し訳ございませんけれども、入院患者も一人もいない状況に今なっております。医療情報が失われます。いつでも健康情報、医療情報が分かる状況にしておくことは極めて大事だと私は思います。
 私は、山崎正昭議長の不信任決議案について、民主党・新緑風会を代表して、提案の趣旨を説明いたします。
 まず、決議の案文を朗読いたします。
    議長不信任決議案
  本院は、議長山崎正昭君を信任しない。
   右決議する。
 以下、その趣旨を説明いたします。
 昨日、議長が開会のベルを押したこの本会議は、特別委員会で可決をされたとされる国際平和支援法案及び平和安全法制整備法案、いわゆる安全保障関連法案を緊急上程して採決をするためのものです。議運委員長が国民の不安を一顧だにせず、野党の要求を黙殺し、拙速な議論のままに同法案の採決を強行しようとする暴挙に出たならば、本院を主宰する議長として、その行為を戒め、あるべき議事運営を行うよう指示すべきだったのではないでしょうか。にもかかわらず、山崎議長はこれを看過しました。
 恐らく議長は院内テレビで強行採決のいきさつを御覧になったと思います。私は、テレビの視聴者・国民の皆さんがどのように感じるかと思い、NHK中継を見ました。何が起きているのかさっぱり分かりません。NHKも、何をしているんでしょうかと解説しています。与党の議員が起立をしているので、採決しているのではないでしょうかとも言っています。テレビを見ていた国民は訳が分からなかったと思います。委員長が何を問いかけているのか、なぜ立っている人と座っている人がいるのか。生中継をしていながら、どうやら可決されたようですと言う解説者。
 議事録によりますと、佐藤暫定委員長の下、速記は中止されたままの状態です。速記は再開されておらず、議事録では、議場騒然、聴取不能としか書かれておりません。ましてや、地方公聴会の派遣報告すらしないで強行採決とは、国民の声を黙殺する行為と言わざるを得ません。きっと国民の皆さんには、これぞ強行採決だと深く印象付けられたことでしょう。
 さらに、委員長が野党議員の表決権を奪ったことも看過できません。議長はこれも是認したことになるのです。議長、国民に分かるように委員長を指導するのも議長の使命ではないでしょうか。この法案の本会議採決は認められません。
 一部報道に誤りがあるようですので、申し上げます。委員長の下に駆け寄ったのは与党議員ではないですか。
 安倍内閣の方針に唯々諾々と従うことは、本院を官邸の下請機関におとしめる行為であり、断じて容認できません。
 安全保障関連法案は、参議院で九十時間を超える審議を積み重ねるほど国民の不安は募り、各層各界から廃案や継続審議を求める声が上がっています。国民の六割以上が法案に反対、八割以上が今国会での採決に反対をしています。七千万人以上の反対、一億人を超える継続審議の要望があるのです。議長はこの国民の声を無視しようとしているのです。
 理由を三点だけ申し上げます。
 限定的であれ、集団的自衛権の行使は憲法違反です。私たち国会議員は、憲法を尊重し、擁護する義務を憲法上負っております。議長には憲法を尊重する気持ちも擁護する気持ちもないのでしょうか。憲法の解釈は時の政権が勝手に変えていいものではありません。先人が積み上げてきた日本国民の財産です。普遍の真理です。法律もまた普遍の解釈が前提で、立法事実に基づいて改正の必要性が生じてくるのではないでしょうか。立法事実もなく、法的安定性は関係ないなどという発言は、立法府の人間としてはあってはならないことです。あえて同級生として申し上げます。情けない。
 議長も法的安定性は関係ないと思っているのですか。法理上はできる、でも最高責任者は私だからやらない、そんな言葉が通用しますか。勘違いも甚だしい。権力者に勝手なことをさせない、それが立憲主義です。議長も立憲主義を王政時代の古い考えだと思っているのですか。
 山崎議長は、福井県議会議長を務められた後、平成四年の参議院通常選挙に初当選されました。橋本内閣で大蔵政務次官、小泉内閣では内閣官房副長官を務められました。自由民主党においては参議院幹事長を務められ、参議院では平成二十四年に副議長、そして二十五年八月から議長を務められています。
 参議院には、国民から、良識の府、熟議の府であることが求められており、また我が国の将来に関わる国論を二分するような重要な問題については、再考の府として衆議院の拙速を戒める役割があります。再考とは最も高いではなく、再び考えるです。まさに衆議院で抽出された論点や国民から発せられる疑問に共通の解を求めるべく努力する。
 山崎議長は就任された際、公平無私を旨とし、議院の正常かつ円満な運営を図り、参議院が二院制の下における使命と役割を確かに果たしていけるよう、全力を尽くすと発言されています。しかし、その使命と役割を果たそうとしてはいないのではないですか。政官要覧によりますと、山崎議長は、議会運営のベテランと書かれています。しかし、議長に求められるのは運営の巧みさではなく、公平無私の誠実さではないでしょうか。
 山崎議長の座右の銘は、地元福井の賢人松平春嶽ではなく、吉田松陰の言葉ということです。至誠通天、至誠天に通ず、この言葉は座右の銘にしたい四字熟語の第五位です。冗談かと思いました。誠実に努力をすれば天も味方をしてくれるということでしょう。裏を返せば、誠実さに欠ければ天も見放すということです。
 当然、議長も御存じでしょうが、松陰の言葉を二つ贈ります。「かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂」。こういう行動を取れば自民党や官邸から糾弾されるかもしれない、そういう危険があっても、国を、国民を愛する気持ちからそうせざるを得なかった、議長、そういう行動を取ってもいいのではないですか。
 同じく吉田松陰の家族に宛てた辞世の句、「親思う心に優る親心今日のおとずれ何と聞くらん」、これは余りに有名ですが、弟子に宛てた辞世の句、「身はたとえ武蔵の野辺に朽ちぬともとどめおかまし大和魂」。議長、行動によって記憶に残る議長になってください。
 選挙制度協議会の一員であった立場として、一言申し上げます。
 昨日、私は第二委員会室から第一理事会室の議論の様子を聞いておりました。出入口は第三委員会室でした。第三委員会室の入口の真上には故西岡武夫参議院議長の肖像画があります。西岡元議長は、平成二十二年十二月に、参議院通常選挙の投票価値の平等性を高めるため自ら独自案を提起され、さらに、議論が進むにつれ修正案を示されました。しかしながら、山崎議長は、参議院選挙制度改革に関する議論において何ら主体性を発揮できませんでした。
 今年の年頭所感では、昨年十一月の最高裁判決を重く受け止め、選挙制度の抜本的な見直しに向けた取組を進める旨を挨拶しています。しかし、議長が主宰する選挙制度改革に関する検討会において、議長のリーダーシップを求める意見が出されたにもかかわらず、何ら調整、仲介の労を取らないばかりか、一方的に議論を打ち切り、各党間協議に委ねたのみでした。
 選挙制度改革が司法の求める喫緊の課題であったことを認識しながら、無駄に時間を浪費させた議長の責任は重大です。その結果、投票価値の較差が実質三倍以上である十増十減案が可決されました。法理として最高裁は、衆議院については人口較差が二倍未満となることを基本として定められている以上……

○副議長(輿石東君) 足立君、簡単に願います。

○足立信也君(続) 参議院議員の選挙であることを理由に人口較差が衆議院よりも大きくてよいという理由はないとしていることから、違憲状態と判断される可能性の高い法案でした。
 安全保障特別委員会の設置と十増十減案の可決は、同じ日、七月二十四日でした。我々自身で憲法上の要請に応えようと決意した上に提出された法律案を否定し、元最高裁長官や判事、元内閣法制局長官が違憲だと断じる法案を可決しようとする議長の良識、誠実さに大きな疑問を抱かざるを得ません。
 このままでは到底、山崎議長を信任できません。今後、与野党共に信任される議長に替わられることを期待します。
 以上を申し上げて、本決議案を提出する趣旨の説明といたします。(拍手)


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