国会会議録
 

平成24年3月22日- - 厚生労働委員会 大臣所信に対する質疑


○足立信也君 皆さん、おはようございます。民主党の足立信也でございます。
 三・一一から一年たちました。今日は東日本大震災に関連して質問をしていきたいと思います。それと、今民主党の中で社保・税一体改革、特に消費税の増税法案に対する議論を連日夜遅くまでやられておりますが、まずこの点についてお伺いをしたいと思います。
 昨年の三月十一日は、当時、民主党としては、社会保障と税の抜本改革調査会、仙谷調査会長の下でやっておりました。その前は税と社会保障の抜本改革調査会で、藤井会長でございました。その順番を変えて、社会保障と税の抜本改革調査会ということだったわけです。
 ちょうど三月十一日に私が、二〇二五年の医療、介護の姿という形で役員会でプレゼンテーションをしておりました。それは、二〇二三年ごろから高齢者人口がほぼピークに達すると。そして、今は、現役世代三人で一人の高齢者を支える騎馬戦型と言われておりますが、ちょうどそのころに、二〇二五年ころに、私はかご型と言っているんですが、二人で一人を支えるようになると。実は、二〇五五年に肩車型と、一人が一人を支えるとよく言われますけれども、二〇五五年の姿を言われてもなかなか分かるものではない。高齢者人口がほぼピークに達する二〇二五年ころのかご型というのが、実は私はそこに向かって議論を整理すべきだと思っていたわけです。二人で一人を支えるからかご型だって、ちょっと古いかもしれませんけれどもね。ということで、抜本改革というのは二〇二五年の姿を描いてやっていったわけです。ちょうどそのとき、プレゼンテーションしているときに東日本大震災が起きたわけですね。
 ですから、それから、その場の皆さんの判断で、できるだけのことを大震災に対しての支援に切り替えてやっていこうということで、実は一か月半ほどこの抜本改革の考え、どうあるべきかということはストップしたわけですね。そして、その後、今度は社会保障と税の一体改革という形で出てきたわけです。私がその医療、介護についてプレゼンテーションしているのは、実はいろんな分科会がある中で最初だったんですね。ということは、抜本的な二〇二五年の姿を描くのが中断されてしまった、あるいは議論できなくなってしまった。ですから、今、素案から大綱案になっておりますけれども、私は、ここは抜本改革ではなくて、やはり今ある社会保障をいかに持続させていくかという観点が非常に強い。
 まさに、今年から団塊の世代が六十五歳になり始めるわけですね。なり始めたわけです。そして、一四年には団塊の世代全員が年金受給世代になるという、もう目前の話でございまして、抜本的な改革と将来の絵姿を描いた改革に合わせて全世代型の社会保障に変える、そして、その安定財源の確保という意味での抜本改革ではなく、むしろ二〇一五年のまずその姿、現状をきっちり維持すると、それから年金世代が非常に増えていく、ここに対応するというような形、そして財政再建も含めて、というように私は変わってきていると思うんです。それが事実だと思うんですが、今の説明が、多くは社会保障の将来像、それに合うような安定財源と言いますけれども、やはり私はそれよりも二〇一五年、直近の課題、そして社会保障の安定ということに主眼が移ってきているというふうに私は認識しています。
 そこら辺の今の議論、大臣としてのその認識ですね、抜本的な改革なのか、あるいはこれは維持させるための主に主眼があるのかというようなことについて、ちょっと御見解を伺いたいなと思います。

○国務大臣(小宮山洋子君) おはようございます。よろしくお願いいたします。
 足立委員はいろいろなことに直接携わってこられていて、御承知の上でいろいろなことを今御示唆いただいたというふうに思っています。ただ、社会保障の抜本改革を見据えながらできるところからやっていくということと、どちらにウエートを、軸足を置くかということで、中身としてはそれほど変わらないのではないかというふうに私は実は思っています。
 今、社会保障と税の一体改革ということで全国も回って御説明をさせていただいていますけれども、御承知のように、大体、今の税収に匹敵するだけの社会保障の財源が必要であって、今、赤字国債でも賄っているわけですけれども、ですから、一般歳出の半分が社会保障費である中で一番皆さんに分かっていただきやすい、もちろん社会保障を維持し改革していくことと財政を健全化させていくこと、それは両方とも待ったなしですので、分かりやすく御説明をするためには、やはり一番身近な社会保障をこういうふうにおっしゃるように安定をさせ、さらにできるところは少しずつ改善をしながらということで、今回お願いをしている消費税も四%分は基礎年金の国庫負担二分の一とか、これまでずっと子供や孫あるいはひ孫の世代までツケ回しをしてきたことを健全化させて持続可能な形にするために使わせていただいて、一%部分で、足立委員も御議論いただいてきた医療、介護のサービス、二〇二五年のあるべき姿に向けてどういうふうにやっていくかということも含め、また全世代対応型ということで子ども・子育て支援も入れて、一%分でその先を見据えた改善もしていこうということで安定化と改善をしていく、抜本改革の方向を見据えて改善をしていくということ、それと財政健全化と、この両輪で、両方待ったなしで並行して進めていくということだと思っています。それを国民の皆様に実感を持って分かりやすく御説明をするために、今、社会保障と税の一体改革という言い方で御説明をしているということなので、目指す方向はおっしゃっていることと余り変わりない、説明のしぶり、構成の仕方のウエートの置き方の問題かなというふうに私は考えています。

○足立信也君 おっしゃりたいことはよく分かります。将来の抜本的な改革というのと喫緊の課題だというのがなかなか難しいんですね、その整理が。
 例えば、先ほど第一回で話をしたと申しましたが、医療、介護については、二五年を見据えて、今回の同時改定を含めて三回ありますね。医療は単独は改定が四回、介護は二回ありますね。そこでどういうふうにやっていくかというのは大体絵姿をもうかいているわけです。例えば、充実部分二・七兆と言いますけれども、これは本当の充実が三・八兆、一五年でですね。効率化一・二兆と出ているわけですが、その一・二兆は医療・介護分野なんですね。将来像が描けているから効率化できる部分があるという考え方だと思うんです。ほかの分野はなかなかそこまではまだ行っていないんだろうというのが私の認識なんですね。
 そこで、資料一を御覧いただきたいと思います。
 一か月半中断したと申しましたが、できる限りのことをやるしかないということで、三月十六日に被災者健康対策チームというのを立ち上げました。藤田政務官も、それから梅村議員も川合議員も参加されて、当初は全国医学部長病院長会議、そして日本病院会、全日病、そして日本医師会と、ここを中心にスタートして、約一か月半、議員会館の、野党の皆さん、自民党の皆さんの御理解も得て、部屋を借り切ってやっていったわけです。
 ここの団体、非常に多くの団体が今加盟した被災者健康支援連絡協議会というものを出しております。十八組織、三十四団体、関係省庁は四つ。これは四月二十二日に発足した、事実的に発足したわけですけれども、それ、ここに書かれている方以外にも、例えば医薬品や機器、そして衛生材料の搬送等に卸の方、そして道が非常に厳しいときには自衛隊の方、あるいは米軍のヘリも使い、警察にも先導していただき、また石油連盟さんの御理解によって優先給油という形もしていただきながら、本当に皆さんの協力を仰いで何とか一か月半支援をし続けていったということで、改めてこの場をお借りして私も感謝を申し上げたいと思っております。
 この被災者健康支援連絡協議会、これは、最低二年ぐらいは全国から人を応援に送り込まないと、とてもとても再生あるいは復旧復興には地元の方々だけでは無理だろうという発想があって、長期の派遣を考えている日本初のオールジャパンの取組だと思っております。
 そんなところで、まずは、担当、これ復興庁に今はなっていると思うんですけれども、この重立った職種のこれまでの延べの派遣の人数は大体どれぐらいの方々になっているでしょうか。

○大臣政務官(郡和子君) 足立先生には、この被災者健康支援連絡協議会の顧問としてもこれまで大きなお力を注いでいただいておりますことに深く感謝をいたします。
 連絡協議会によりますと、今年の三月末まで被災地派遣医療従事者数、これは見込みということにもなるわけですけれども、日本医師会からの派遣は、医師が三千二十四名、薬剤師が四百六十一名、看護師が二千二十八名、日本薬剤師会からの派遣として薬剤師が八千三百七十八名、また、全国医学部長病院長会議からの派遣は医師が三百十四名、それから日本病院会、全日本病院協会等からの派遣は医師が百八十一名、薬剤師十四名、看護師百六十一名などとなっております。

○足立信也君 今おっしゃったのは実人数だと思います。これ一週間ぐらいで行っている方が多いので、七倍だと思いますね。数万人に達するんだと思います。
 一番直近のこの会議は、三月五日、第十三回なんですけど、そのときは被災地、岩手、宮城、そして福島の医師会、それから大学の方、行政の方を含んでテレビ会議もやりました。一年たって、今までは、これはもちろん地元からの、被災地からの要請に応じて派遣をするという形をやってきたわけですが、派遣ですから、それだけ自分の元々の職業に対する影響も、職場に対する影響も大きいわけですから長期にはできない。
 そのテレビ会議でも私は感じたのは、一年たって、ほぼ人数としては、特に岩手、宮城は震災前の人数ぐらいの確保に近いと。まだ派遣は特に土日等は続けてほしいけれども、しかしこれからは長期に人が欲しいんだと、安定して人が欲しいんだという感覚に変わってきているというような印象を持っておりますが、一年たって、今後、四月以降、どのような形での支援を望まれているというふうに復興庁は把握されているでしょうか。

○大臣政務官(郡和子君) 今、足立委員からもお話がございましたように、三月の五日に第十三回の会合を開催をされています。
 元々、被災地は、御承知のように医師不足が顕著であった地域でございますから、今回の協議会の皆様方の派遣に大変感謝をした上で、福島の医療機関の関係者からは、医師が減ってきていて長期間の派遣をお願いしたいというふうな発言がございました。また、宮城県の医療関係者からは、医師不足は深刻であるけれども、関係団体の御尽力で今年の九月ぐらいまでは各地の仮設診療所等で医師を確保して診療を継続していく見通しができたというような御報告もあったと承知しております。岩手の医療関係者からは、大変、元々の医師不足でございましたから、震災直後は急激に減ってしまったんですけれども、その時期よりは若干増えてきたものの、震災前の元々の医師不足の状態に戻ったというような御発言がございました。
 一方で、岩手県の関係者の方からは、これまで連絡協議会には医師の派遣に多大なる御支援をいただきとても感謝していると、これからは包括的、長期的に地域包括ケアを実施するために、医師のみならず保健師、看護師、そして行政職、医師の支援、これも強く要望するというようなお話がございました。今後とも協議会に対して大きな期待が寄せられているということだろうというふうに思います。

○足立信也君 さあ、これから復興に入っていくわけです。よく議論されるのが、まず人が集まってくるためには、住んでくださるためには、教育や医療機関が充実が必要であると。しかし、ある意味、人がいなければ成り立たない職場でもございます。これは鶏と卵の関係で、そういう教育や医療機関が先であるのか、あるいは人が住み始めることによって需要が生まれるという、どちらの考え方も成り立つわけです。
 私は、厚生労働委員会ですから、教育の分野、これはほとんど公立が多いということもあり、そういった面で人を集めるためには施設をという考え方が成り立つと思います。これ、例えば医療や介護・福祉分野に限って言うと、これはなかなか公立であるいは公的でそれを先に造って、そこに新しい町をつくっていくというのはなかなか難しいところがあると思うんです。
 そこで、まず重要な役割を担うと思われる被災三県の国立あるいは公立の病院の数、あるいは公的ですね、日赤や済生会や、政策的に人に住んでもらうために移動し得る、開設し得る可能性のある病院の数を、公立そして国立の病院の数、そして公的病院の数をまず教えてください。

○政府参考人(大谷泰夫君) お尋ねの岩手、宮城、福島の三県におきますいわゆる国立、公立、公的な病院の設置数でありますが、まず国立病院につきましては、国立大学病院を含めまして十二、公立病院が七十九、その他の公的病院が十七ということでございます。

○足立信也君 今のは三県トータルですね。
 例えば、石巻、非常に大きな被害を受けました。この市立病院は今度駅前に移転すると。しかし、その開業、二〇一六年一月を予定しているというふうになっているわけですけれども、その公立あるいは公的病院は、先ほど申し上げたように、誘導することも可能だと思うんですね。しかし、実際は、今、数をお示しになりましたけれども、民間の病院もそこに連なるように、あるいは競合する部分もあるかもしれませんが、住民のニーズに応じてできていく。こちらの考え方、どのように人を先に、町を先になのか、それとも教育、医療機関を先に考えていくのか、そのときに公立あるいは公的病院はどうあるべきなのかという全体の考え方をまずお伺いしたいと思います。

○国務大臣(小宮山洋子君) それはなかなか、町を復旧そして復興させていくときに、人が先か、いろいろな、特に生活に必要な医療機関が先か、町の復興計画全体の中の位置付けもございますし、なかなか一概には言えないと思いますけれども、委員の問題意識であられるこうした公的なものを中心とした病院などがしっかりするということがまた住民の方がそこで生活をしっかりなされる基になるというふうに私も思いますので、もっとそういう意味ではまだまだやらなければいけないことがあるなという認識は持っています。
 現在は、都道府県ごとに設置をする地域医療再生基金、これについて、岩手、宮城、福島は交付額の上限の百二十億円を交付をいたしまして、また三次補正で地域医療再生基金の積み増し、これは三県の御要望を全部入れて七百二十億円、これは岩手が二百九十六億、宮城五百十四億、福島二百七十億という、おっしゃっていただいたものを財源を確保してございますので、これは民間を含めた医療機関の支援とか医療従事者の確保にも活用が可能でございますので、こうしたものや、先ほど、足立委員も御尽力いただいた、お医者様をしっかりと、医療関係者に来ていただけるような被災者健康支援連絡協議会での取組と併せて、これは総合的に全体を進めていかなければいけないというふうに考えているところです。

○足立信也君 先ほど大谷局長から、公的医療機関というのは十七あるという話がありましたけれども、実は国立病院機構であったり、昨年、全会一致に近い形で成立いたしました地域医療機能推進機構、こういった機構を、これも公的病院の位置付けでしっかり新しい町づくりの中心に据えていく必要性が私は高いと思っております。
 その中で、先般RFOから地域医療機能推進機構への衣替えが二十六年四月一日ということが言われましたが、私は、これは衣替えを早くして、地域医療機能推進ですから、新しい復興あるいは町づくり、この部分もスケールメリットを生かしながら中心的役割を担っていく必要性があると思っています。それにしては、二十六年四月一日というのはまだ二年以上先の話でございます。これを早める必要性があるんではないかと私は思っておりますが、その点についていかがでしょうか。

○副大臣(辻泰弘君) 足立委員には被災地の医療の問題などに大変御尽力いただいておりますことを私からも感謝申し上げたいと思いますけれども、東北地方に所在する社会保険病院、御承知のとおり、宮城に三病院、福島に一病院ございまして、いずれも全国社会保険協会連合会が運営していると、こういう状況にあるわけでありますけれども、これらの病院も被災したわけではありますけれども、その中でも医療機能の維持、回復に努め、人工透析患者の受入れ、あるいは避難所や被災地の病院への医師派遣などを行っていただくなど、被災地での医療の確保に積極的に貢献をしてきていただいたと、このように考えております。
 御指摘のように、RFOにつきましては、平成二十六年四月に発足する地域医療機能推進機構というふうに改組することになっているわけですが、その中で、地域において必要とされる医療を確保するということを目的としているところでございます。
 この点については、今後とも、御指摘の趣旨に沿いまして、地方自治体の指導というのをベースにするわけでありますけれども、被災地での地域医療の確保に一層貢献できるように、RFO、また委託先団体である全社連、これらと連携を取りながら進めていきたいと、このように思っておりまして、やはり一定の期間は必要だと、こういうふうに思っております。

○足立信也君 一定の期間は必要だというのは理解いたします。この準備段階でそういう役割を担うんだというのを早めに宣言する、あるいは、実際にその役割を担っていく準備会が発足をしてしっかり中心になっていくということを早く示す必要性があると、私はそのように思います。
 次は、大震災で浮かび上がってきた問題の一点目なんですが、これ、個人の健康情報の問題ですね。医療や介護や福祉のこの情報の共有の問題です。
 例えば、いまだに身元不明とされている方々が五百名ほどだったと思います、いらっしゃる。それから、医療や介護の情報が全く失われたというところも多いです。そして、避難所のみならず、仮設住宅に行っても、障害者の情報が分からない、助けを、人の支援を待っている方の情報が分からない、こういったことは、私としては、先進国としては非常に寂しい状況だと、そのように思っております。
 そんな中で、復興に向けて、例えば宮城県は、災害に備えた患者情報の共有、これをまず市から始めてそしてこれを全県下に広げたいという考えがおありのようです。それから、もちろん福島は、放射線影響調査、これは福島医大復興ビジョンの目玉でもありますし、後世に有用な教訓となり得る、これは全県下で取り組んでいくと。あるいは、似たような取組が昨年、京都府の方で患者情報の共有という形で提案されたようではありましたけれども、医師会等の反発もあったというようなことも聞いております。
 この情報共有に対する厚生労働省のガイドライン、これはあくまでも個人情報保護の観点から、手挙げ方式であると。その機関、医療機関あるいは介護の施設についても手上げであるし、そこに通っていらっしゃる患者さん、あるいは利用者も手上げ方式だと。これがあくまでも原則なわけで、来年度予算の九・五億円というものも、全国に十か所程度、共有という、まあプールですね、データのプールをやるという考えなんですが、これやっぱり情報をそこにためるという機能だけではなくて、これ全県下に広げるとか、または、福島の先ほどの放射線の影響調査等々は、その情報をいかに活用するか。例えば、ナショナル・ヘルス・データにもなり得る、日本の今の状況はどうだという現状把握にもなる、それから学術研究にも利用できるし、これからの公衆衛生や健康政策に生かすという、その公益性がかなり高い目的が一緒に備わっていないと私は意味がないものだと、そのように思っています。
 これは、いずれも個人情報保護との関連で非常に難しいというふうに言われておるわけですが、社会保障・税番号は二十七年ですから三年後の一月から利用開始、年金、労働保険関係は更に一年後、平成二十八年の一月から、医療、介護、福祉などの情報連携は更に半年後、二十八年の七月からという予定に今なっております。
 ですから、来年の通常国会にその個別の法、特別法というんでしょうか、個別法が提出というふうになっていますが、先ほど私申し上げたように、ただ情報をプールする機能だけではなくて、いかに公益性を持った利用の仕方、この点についてはその個別法によってそれが利用できるような形を今考えているのかどうか、ただあるいは情報のプーリングだけであるのか。これから議論が始まると思いますが、今の段階でのどのように利用できるように考えているかどうか、その点をまずお聞きしたいと思います。

○政府参考人(香取照幸君) 御答弁申し上げます。
 先月、国会にマイナンバー法案を提出させていただきましたが、マイナンバー法では、利用可能な手続は、今お話ありましたが、行政機関等の法定手続など法律上列挙された事務に限られておりまして、機微性が高いとされております医療関係等の分野につきましての情報につきましては、今後、この法案とは別に特別法を整備することとされております。
 御指摘のように、この番号の導入によりまして様々な医学分野の研究あるいは医療機関の情報連携といったことにこれが活用できるのではないかということで議論がございます。一方で、医療等の分野における情報につきましては、個人の生命、身体、健康にかかわる情報が入っているということで、その取扱いについては、社会保障・税番号大綱上においても慎重な検討をということがされているところでございます。
 私どもにつきましては、医療等の分野につきましては、御指摘があるようなプライバシー侵害などの懸念に対して厳格な情報保護措置を講ずるということを一方で行いながら、お話ありましたように、医療機関相互の情報連携でありますとか、あるいは公衆衛生、医学分野の研究でございますとか、そういった医療等のサービスの質の向上に資するもの、あるいは国民の利便性の向上につながるようなものにつきましては、必要で適切な利活用が行われるようにということで、そのような考え方で今後法整備を進めていきたいと考えてございます。
 特別法につきましては、内閣官房と連携しつつ、厚生労働省において法案の検討をするとされておりますので、二十五年の通常国会への法案提出を目指しまして、御指摘のような利便性の向上あるいはサービスの向上といった観点での利活用という観点も十分踏まえて、この分野について特別法の検討をしてまいりたいと考えてございます。

○足立信也君 私と方向性はほぼ共有されているという感じがします。私もその議論に参加していきたいと思っています。
 御存じのように、我が国の二人に一人が疾病になると言われているがん、この罹患率も、二〇〇六年、今から六年前の僅か十五府県の登録に基づいている推計であると、あるいは五年生存率に至っては、一九九九年から二〇〇二年までの僅か六府県の集計にすぎないと、こういう日本の健康状態ですね、国民の健康状態に対する統計すらないというような状況でございます。
 今、がん登録を始めとして、登録制度を早く法制化してくれと、しなさいという意見はいっぱい聞かれますが、私は個別の疾患ごとにその法律を作っていくよりも、ここは社会保障・税番号、導入されるわけですから、ここから活用できるような形になれば、一つ一つの登録制度をつくっていくというよりもはるかに有効に進むのではないかと、そのように思っていますが、副大臣はどのようにお考えでしょうか。

○副大臣(辻泰弘君) 専門的に医療の現場で御活躍された委員からの御提起をいただいたわけでありますけれども、これまでも厚生労働省におきましては、地域がん登録やレセプト、特定健診のデータベースなど、医療政策の企画立案や医学研究等の基盤となる情報の整備、活用を図る取組を進めさせていただいたところでございます。
 御指摘のように、番号制度のような長期にわたって個人を識別できる基盤が医療等の分野でも活用できれば、こうした取組を更に進め、生涯にわたる健康医療情報を活用できるということが期待できるところでございまして、その点については足立委員と認識を共有するわけでございます。
 ただ、同時に、昨年の六月に政府・与党社会保障改革本部が決定しております社会保障・税番号大綱におきましても、やはり個人情報の漏えいが深刻なプライバシー侵害につながる危険性があるなど、社会保障分野、特に医療分野における情報の機微性というふうな指摘がある中で、機微性や情報の特性に配慮した特段の措置を定める法制を番号法と併せて整備するという大綱があるわけですけれども、それに基づいて、私どもとしては、医療等の分野について、このようなプライバシー保護を図りつつ必要な利活用が行えるように法整備を行っていきたい、そのことに向けて二十五年の通常国会で法案が提出できるように取り組んでいきたいと、このように思っております。

○足立信也君 期待しています。
 一部では、この大震災のような非常時に、非常事態のときに、緊急に個人の情報、医療や介護や福祉の情報を情報開示、共有という考え方もあるようですが、私は、ふだんから共有できていないとそれは使えないと、緊急時に至って、じゃ、開示、それすら見ることも難しいし、じゃ、そこからネットワークどうやってつくっていくんだという話になっていきますから、ふだんからが大事だろうと思います。
 もう一つの例として、やはり長期という話が今副大臣からありました。それが必要だと思われる予防接種について話題を変えていきたいと思います。
 被災地では、今我が国の死亡原因の四位である肺炎、これが、瓦れき等々もあり、この肺炎で亡くなる方が激増するんではないかと昨年言われておりました。
 これ、資料の二を御覧ください。これは、一月の被災者健康支援連絡協議会に出された資料なんです。
 ここで申し上げたいのは、肺炎球菌ワクチンなんですね、まだ法定接種になっていない肺炎球菌ワクチンです。岩手、宮城、福島とも、この日赤の、日本赤十字社による助成制度があるので、今までよりも多くの方々が希望をされてこの肺炎球菌ワクチンを接種されたと。震災の影響はそれほど強くはなく、希望に近い形で、むしろ供給の方が足りないぐらいやられていたと。そういう希望が多かったということがここのデータで示されているわけです。
 そこで、この日赤の助成制度で無料化されていたということなんですが、その日赤の取組ということとそしてその成果、肺炎球菌ワクチンを接種したことによる成果についてまずは教えてください。

○政府参考人(外山千也君) 被災地の復興支援の一環として、日本赤十字社が海外救援金を財源として各県医師会等と共同事業として実施したようでございますけれども、その中で、福島県は市町村が前面に出ているようでありますが、そういった形で実施している成人用肺炎球菌ワクチン接種助成事業は、被災三県の七十歳以上の希望者の方を対象として昨年十月から本年三月まで実施されているわけでございます。本年の一月末現在、三県で七十歳以上の方の約四割に当たる約三十八万人接種したと伺っております。したがって、まだこの率は伸びる可能性があるわけでございます。
 この成果でありますけれども、委員御指摘のように、被災地の健康支援ということで、冬場における肺炎、瓦れきの心配に対しての不安への対処ということでは非常に効果があったと思いますけれども、具体的に、このワクチン接種による肺炎に対する死亡や入院が減るか等の効果につきましてはまだ判明しておりません。
 そこで、今後、震災によるほかの様々な影響を考慮しつつ、人口動態統計等で被災地でのワクチン接種の効果につきまして評価してまいりたいと考えております。

○足立信也君 強調しておきますが、この日赤の助成事業は海外からの義援金で行われたということでございます。日本国内からの義援金はこれには一切使っていないということをちょっと強調しておきたいと思います。
 そして、わずか三か月で四割の方が接種されたと。非常に期待感の大きい予防接種ワクチンだと、そのように思います。
 そこで、資料三を御覧ください。
 これは、私が政務官時代に、WHO、世界保健機構が推奨しているワクチンで日本ではまだ法定接種されていないワクチンの接種費用とそれからその効果、費用対効果を見たもので、トータルの数字が右側に出ているところでございます。成人用の肺炎球菌ワクチンは年間当たり五千百十五億円の医療費削減につながるんではないかということです。
 ワクチンギャップ二十年というふうに言われ、それは日本の厚生労働行政に問題ありという意見がありますけれども、私の認識では、一九九〇年代に国が予防接種に関する裁判に負け続けたと、そして安易に予防接種を許さないという国民世論がありました。しかし、それから歳月を経て、二十一年の十二月、これは予防医療というのをもっとやらなきゃいけないという思いの下に予防接種部会を立ち上げました。予防医療に重点を置くというのを、これがまさに抜本改革だということを私は思っているわけです。
 この費用対効果の表にもありますように、これは極めて日本の今の財政上にも有益なことであると私は思っておりまして、大臣の所信でも予防接種法の改正という話がちらっと出ておりましたが、是非とも今国会中にこの予防接種法の改正を私はしたいと、そのように思っております。
 そんな中で今、ここにも出ておりますが、Hib、それから小児用の肺炎球菌、そしてヒトパピローマウイルスのワクチン、これは今予算事業という形でやっております。これを法定接種に変えていく段階で、どういう問題点とどういう方向性でそれを解決しようとしているのか、概略で結構ですから簡単に御説明願いたいと思います。

○国務大臣(小宮山洋子君) 委員がおっしゃるとおり、やはり予防接種をしっかりと位置付けて、この予防の行政にもっと力を入れていかなければいけないという認識は私も強く持っています。
 御指摘の三ワクチン、子宮頸がん、Hib、小児用肺炎球菌について、今、まずこれを第一歩として、予防接種法上の位置付けを含めまして、今御指摘いただいた予防接種部会で議論を、もう詰めの段階に来ているというふうに考えています。ただ、この定期接種は、御承知のように市町村の自治事務でございまして、その自己負担については多くの市町村の判断で一定の公費助成がなされている、その実態も踏まえながらその費用負担などについて検討をしているというのが一つ。それから、今、一類、二類になっている中でどう位置付けるかというようなことも今課題になっていると承知をしています。
 御指摘のように、私もこの予防接種行政は更にアクセルを踏んでしっかりと進めなければいけない、所信にちらっとというふうに御表現がありましたけれども、私はかなり力を入れて、行数ではなくて、しっかりやりたいと考えていますので、できるだけ早期にこの予防接種部会での議論を、その結論を得て、予防接種法の改正案を速やかに出すように最大限努力をしていきたいと考えています。

○足立信也君 ここでも、この予防接種というスパンの長いものは、やっぱり情報の共有というのが物すごく重要なテーマになってくるんです、先ほどと同じように。予防医療というのは、その後の追跡、フォローアップはこれセットだと私はそう考えています。予防接種の効果、これは発症防止効果というのは長期追跡しないと分からないわけですね。
 例えば結核に対して、先進国中、今最もBCG接種率の高いのは日本です。しかし、先進国の中で最も結核の発症率が高いのも日本です。これは一体何なのかということは、長期的にその接種をされた方々をフォローしていかないと分からない、それが公衆衛生の難しいところだと思います。また、例えばこの水痘ワクチンもここには入っていますが、このワクチンを接種したら、将来、帯状疱疹の発症率が減るというようなデータもあるらしいです。こういうことは長期追跡しないとやっぱり分からないんですね。
 アメリカの予防接種というのは、公的と私的が約半々で、実施主体は州です。これ、先ほど日本は市町村だとおっしゃいました。しかし、連邦保健福祉省の下にあるCDC、疾病予防管理センターは全数把握しています。全数把握できています。そして、民間の利用も可能で、学術研究や公衆衛生、健康政策にそれは生かされています。そういうことをやっぱり日本もやるべきだと私は思っておりますし、与野党を問わず、政府とともに、この予防接種法の改正というのは是非とも取り組んでいきたいなと、そのように思います。
 私は、先ほど市町村事業だというのがありましたが、今、医療費助成という形で地方単独事業というのを都道府県、市町村がやられておりますが、本来これは、日本国全体で健康保険の自己負担というようなものは決めているわけで、地方単独事業というよりも、むしろこの予防医療あるいは予防接種の方に市町村としては私は力を入れていただきたいと、そのように思っています。
 そこで、今、これ意外と御存じない方が多いんですが、医療費の自己負担というのは就学前が二割で、もう小学校に入ったら三割というふうに決まっているわけですね。それに対して地方単独事業で助成されていると。これで地方単独事業として今都道府県や市町村が軽減のためにどれだけのお金をそこに投入しているか、総額は大体幾らなんでしょうか。

○政府参考人(高井康行君) 御指摘の地方単独事業の額に関する調査といたしましては、総務省が昨年十一月に発表した社会保障関係の地方単独事業に関する調査結果がございます。これによりますと、平成二十二年度決算での義務教育就学前の乳幼児医療費助成の地方負担額、都道府県が六百八十二億円、市町村が千四百十九億円の合計二千百一億円となっております。

○足立信也君 この医療費助成が二千百億ちょっとということです。
 じゃ、仮に中学生まで、義務教育修了まで、これ今二割と三割なわけですが、これを一割負担とした場合の給付費はどれぐらい国と地方で増えるんでしょうか。

○副大臣(辻泰弘君) 御指摘のように、義務教育修了までの児童について患者負担割合を一割とした場合には、平成二十三年度の予算ベースの医療保険分で、給付費は四千二百億円の増加、国庫負担は七百億円の増加、地方負担は百億円の増加と見込まれます。

○足立信也君 これ、公費の負担としては、国が七百億円、地方が百億円という数値が今出ました。じゃ、その財源はどうしたらいいのかと。七百億と百億になるわけです。
 資料四を御覧ください。冒頭申し上げましたが、団塊の世代が今年から六十五歳の年金受給になると。ですから、五年後には七十歳になっていくというわけでございます。今、七十歳から七十四歳までこれは負担凍結という形で一割になっておりますが、ちょうど白抜きで資料の中に出ているように、ここの世代だけがぐっと低いという形になっている。これはもうデータを御覧になると、ほかの年代と比較して一目瞭然だと思います。
 これについては、一昨年、私はメディアのミスリードだというふうに思っているんですが、一昨年、自己負担が七十歳から七十四歳までの方は二倍になりますという報道がありました。それで一気に潰れてしまったという印象を私は持っています。
 そこでお聞きしたいんですが、当時の提案は、七十歳になった方から順次二割負担に戻すという方式でございました。そこで、メディアではこの年代が自己負担が倍になると報道されたわけですが、実際に自己負担が増える人がいるんでしょうか。

○副大臣(辻泰弘君) 御指摘の七十歳から七十四歳までの方の患者負担につきましては、法律上は二割負担とされているところでありますけれども、毎年度補正予算において約二千億円の予算措置により一割負担にさせていただいているところでございます。
 高齢者医療制度改革会議の取りまとめがございましたけれども、その中では、現在三割負担をいただいている六十九歳以下の方が今後七十歳に到達するときから本来の二割に段階的に戻すという考え方が示されているところであります。すなわち、この案では、既に一割負担となっている方の患者負担を二割に引き上げるというものではなくて、六十九歳まで三割負担だった方が七十歳に到達するときから順次二割負担となるということでございまして、個々の患者負担が増加するという仕組みではないものでございます。

○足立信也君 自己負担が割合として増える人はいないという、そのとおりでございます。ここへ大きなミスリードがあったと私は思っています。
 そして、この順次二割負担の本則に戻すということで、それだけではなくて、先ほど例示をいたしましたこの成人の肺炎球菌ワクチンの接種ですね、これは是非ともセットで私はやるべきだと思っております。
 もう時間がなくなりましたので、最後に一点だけ申し上げたいんですが、昨日の毎日新聞の一面トップにありました、長妻大臣時代に公益法人等に対して公務員の再就職を何とか控えてほしいというような要望があったにもかかわらず四人が天下りをしているという表現がありました。
 私は、国、地方を問わず公務員は再就職はしっかりして、むしろ働いてもらいたいと、特に日本の海外展開を考えると海を渡って越えていってもらいたいと、そのように思います。途上国が望んでいるのは行政の運用なんですね。その分野で是非とも働いていただきたい。
 そこで、この記事でむしろ問題なのは、その四人の方々が再就職をしたところはAIJに運用の委託をしていないということなんです。ここに本質があって、ポジションを回しているだけの、あっせんに伴って回しているだけの天下りと、個人でそこに請われて行ったのは全く違うということです。ですからAIJに運用の委託をする必要もなかったということだろう、あるいはAIJを選ばなかったという見識もあったんだろうと思います。
 そういった意味で、これは天下りの定義等々も前の政権、そしてその前の政権でありましたけれども、私は地方の公務員の方々も再就職は必要だと思いますし、そしてまたそれを待ち望んでいる企業もあると思います。ノウハウを生かしたい。この国、地方問わず公務員の再就職と天下りというものは違うんだということはしっかり発信していただきたい。
 日本は、国全体のGDPは世界第三位、でも一人当たりGDPは十七位ですよ。就業率は男性は二番だけど女性は十五位だと。これから人が減っていく中で、現役世代が減る中で、就業率を上げていかなきゃいけません。しかも、年金の受給は六十五歳になっていく。その間に空白をつくってはいけないし、有能な人にはやはり働いていただく必要があると私は思っておりますので、その公務員の再就職と天下りとの違いをやっぱりしっかり認識して、それを伝えていっていただきたいと、そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。

(平成24年3月22日 参議院厚生労働委員会会議録より)
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