国会会議録
 

平成21年5月8日- - 厚生労働委員会 新型インフルエンザ


○足立信也君 おはようございます。民主党の足立信也でございます。
 先ほどエレベーター内で大臣にお会いしましたけれども、この十日前後といいますか、大変な御苦労だったと思います。それから、もちろん関係省庁の方々も大変だったと思いますが、私は、ちょっと今までの取組、科学的にといいますか、科学的に考えるとちょっと間違っているんじゃないかなという気がします。その点を、私は感染症及び公衆衛生の専門家ではありませんけれども、その取組がちょっと違うんではないかということについて質問したいと思います。
 それで、まずは、やはり今いろいろメディアを通じて拝見しておりますと、かなりの混乱があることはもう明らかですね。それは、まず国民の皆さんが一番心配されているのは、これは毒性が強いのかどうか、それから感染力がどうなのか、蔓延するのか。これは本来的には余り相関のない話でございます。強いて挙げれば弱毒型の方が蔓延しやすい、そこら辺の混乱もあると思いますが。そこで、まず第一に、これまで講じてきた対策ということでお聞きします。次に、これからやるべきことという二段階でいこうと思います。
 まずは、私、今厚生労働省のいろいろ行っている事業を調べておりますと、感染症の発生、蔓延防止に必要な経費として二十年度は六億四千五百万円、二十一年度は八億四千八百万円の予算が組まれているわけです。これは研修等あるいは啓蒙、そういったことになると思いますが、ちなみに十九年度、二十年度の新型インフルエンザ発生に備えた研修会とかあるいは推進事業の予算は幾らでどこが何を行ったんでしょうか。

○政府参考人(上田博三君) 新型インフルエンザ対策に関する研修会等につきましては、平成十九年度において厚生労働科学研究費補助金新興・再興感染症研究推進事業により、まず新型インフルエンザに関するセミナーを開催しました。平成二十年度におきましては、都道府県向けに新型インフルエンザ行動計画等にかかわるブロック別会議を全八回開催しまして、それにより都道府県から市町村に対して今回の行動計画などの内容の伝達を行ったところでございます。
 また、厚生労働科学研究費補助金新興・再興感染症研究推進事業により新型インフルエンザ対策セミナーを二回実施したところでございます。また、このほかにも平成二十年度より都道府県が行う新型インフルエンザ診療従事者研修事業に対して支援を行うことにより、発生時における医療機関の対応や院内感染防止対策の強化を図っているところでございまして、十九年度の予算でございますが、先ほど申し上げましたセミナーの費用が六百万円、二十年度行動計画にかかわるブロック会議全八回のものが、これは講師派遣費用等で三十万円、それから先ほど申し上げましたインフルエンザに関するセミナー二回分が約一千万円でございます。

○足立信也君 そこで、都道府県の担当者のブロック会議というのが八回というのがありましたけれども、一般の方々を対象としたいわゆる今の混乱を防止するという意味でも大変重要だと思いますが、その研修あるいは推進事業、これが十九年度が六百万、二十年度が一千万と、これで果たして、当時は当然のことながらH5N1の新型を想定していたわけですけれども、新型インフルエンザ等であったわけで、何もそれだけに限定した話ではなくて、こういう事態はいつでも起きると、時間の問題だということは分かっていたわけですね。この予算でセミナー、昨年度は二回と、恐らく四、五百名だと思います。こういったことで国民の皆さんが、この新しい我々が遭遇しようとしている病気についての理解が進むのかどうかと。これは大変な問題だと思います。
 ちなみに、我が党が昨年十一月に経済対策というものの中で出した政策では、医療が全体としてOECD各国に比べて極めて貧弱な状況になっている、一兆九千億円つぎ込むんだと。その中で、ちなみにインフルエンザ対策として一千億円ぐらい必要だろうというような試算をしております。一千億円と一千万という話です。これはもっといろんなメディアを通じてやはり今まで啓蒙、研修、周知といったようなことを図るべきだった、これがまず第一点。
 次に、先ほど大臣からありましたけれども、四月二十七日に、WHOの事務局長ですね、マーガレット・チャン、彼女がフェーズ4に引き上げたときに、集団発生の封じ込めは現実的ではないと、封じ込めは現実的ではないと、被害を緩和する手段に集中するべきである、このように発言しています。これはある意味当然でして、潜伏期で入国することが極めて多いと思われます。
 昨年五月に法改正で、民主党としては修正したわけですが、無症状で入国する方、これらが相当数多いと想定したわけですね。そこでその修正加えたわけですけれども、昨日、WHOのフクダ博士ですね、事務次長の記者会見で、科学者会議では潜伏期間は一日から一週間、一週間あると。アメリカで最初に亡くなった二十二か月の男の子も、メキシコからアメリカに渡って四日たって発症していると。つまり、一週間前後はあるだろうと、潜伏期がですね、この問題。それから、どの経路から入国してくるか分からない、このグローバル社会でですね、その問題。それから、弱毒型であれば毒性弱いわけですから症状も軽い段階、あるいは潜伏期がある、そこの段階で入国するわけですから水際では分からないわけですね、といった問題があると。そして、アメリカの感染者のうちメキシコに滞在していた人というのは一〇%にも満たないわけですね。今国内で人―人感染で広がっているという実際があるわけです。
 でも、どうも見ておりますと、水際対策、つまり検疫に偏重して、そこに異常に労力を注いでいるように見えてなりません。そういう水際対策を今取っているというのは恐らく日本と中国だけではないかと、そのように思います。あの九十年前のスペイン風邪のときも、これも第三波あって、日本で爆発的に死者が出たのは第二波ですね。もう入った後です。そこの対策の方がはるかに大事だと。それに、WHOも水際対策というのはもう現実的ではないと、封じ込めは。そういう宣言をしたわけですね、記者会見。そういった対策の誤りがまずあるんではないか。
 そこで、封じ込めの手段として使われていますサーモグラフィーですね、熱を画面で見るサーモグラフィー。これ恐らく四月の終わりに新型インフルエンザ対応機というのが突然登場して、システムで約三百万、二百九十八万ですね。これ今までの型のタイプだと百八十万円です。これを一体何台購入して、そのサーモグラフィーを見るために検疫官を何人増員したんでしょう。

○政府参考人(石塚正敏君) サーモグラフィーの設置状況について御報告いたします。
 現在、検疫所全体で百五十一台のサーモグラフィーを配置しているところでございます。サーモグラフィーは機内検疫及びブース検疫に使用されまして、一台ごとに一名の検疫官が配置されているという状況でございます。成田空港検疫所の例で申しますと、現在、機内検疫用に手持ち型として十六台、それからブース検疫用として据置型を十三台使用しております。このため、計二十九名の検疫官を配置しているというところでございます。

○足立信也君 実は、今まで使っておられたタイプと、それから突然出てきたこの新型というもの、ホームページですけど、カタログを取り寄せてみたんですけど、どこが変わったのかよく分からないぐらい極めて似ている感じがします。値段としては一台当たり百八十万と約三百万と、こういうことになったわけですが、非常事態ということなんでしょうが、これ随意契約ですか。

○政府参考人(石塚正敏君) 申し訳ございません、ちょっと手持ち資料がございませんのでこの場ではお答えしかねます。

○足立信也君 これは、経過上恐らく随意契約で、あるいは、そして新型って、対応機ということで、ぽっとそれを購入した百五十一台という感じがいたします。ちょっとこれは、今日は時間がそれほどありませんから、追ってこの契約について、それから有効性について更に詳しく質問したいと思います。準備をしておいてください。
 ところで、このサーモグラフィー、これは今までにその有効性が本当に示されたのかと。例えば、重症急性の呼吸器症候群というSARSのとき。このときは、私の知っているデータでは、三千五百万人のスクリーニングが行われたけれども、発見がゼロ。それから、検疫所のデータでも、サーモグラフィーを使って症状がある人を発見したと、この確率が、これもあるデータですけれども〇・〇二%。三百万円前後のものを百五十一台緊急購入と、こういうふうになったわけですけれども、果たしてこれ費用対効果として本当にあるのかなという感じがまずしております。このサーモグラフィーの件。
 それから、先ほど、ゴールデンウイーク中も人員の不足が考えられるので検疫業務支援を医系技官が行うことになったと、だから緊急に集めましたですよね。医系技官の方々も大変だったと思いますが、このゴールデンウイーク、特に五月五日、六日の入国してくるタイミングを計って増員されたと。このときにはどれぐらい増員できたんですか。

○政府参考人(石塚正敏君) 現在、検疫所におきましては、新型インフルエンザの発生を受けて、水際対策を可能な限り徹底するため、メキシコ、カナダ及びアメリカ本土から到着いたしますすべての便を対象に機内検疫を実施しますとともに、発生国から第三国を経由して入国する者を把握するため、すべての入国者に対して健康状況の質問票を徴収、審査をしているところでございます。  こうした検疫体制の強化に伴いまして、機内検疫等に従事する医師が更に必要となったため、延べ五十八名、実人員では三十七名の本省医系技官を検疫所に派遣したところでございます。

○足立信也君 済みません、ごめんなさい、何名でしたっけ。

○政府参考人(石塚正敏君) 延べ五十八名、実人員で三十七名でございます。

○足立信也君 そこで、これだけの人数をそこに集中させたと。要は水際作戦で、空港でスクリーニングしようと。しかも、そのサーモグラフィーというのを使ってやる部分が相当あったと思います。
 例えば、イギリスでは空港でスクリーニングはこれやっていないですね。その後の調査、監視というか、どこに住んでいてどこに行ってという情報に基づいて、極めて綿密にといいますか、かなり詳しく調査、監視を行っていると、こういうことになっているわけです。国境封鎖等は意味がないというふうにシミュレーション結果としても書いております。四月三十日のニューヨーク・タイムズでも検疫強化というのは妥当ではないというふうに、それは何に基づいているかというと、これは先ほど申し上げましたSARSのとき、検疫強化というのは妥当ではないというふうに書かれております。
 そこで、今までの直近の事態というとやっぱりSARSだったと思うんですが、このときに検疫強化というものが、入国の検疫が有効だったというふうに今まで、厚生労働省としてはそういう結論に基づいて今回の行動を取られたのでしょうか、有効だったんでしょうか。

○政府参考人(上田博三君) まず、検疫の目的というのは、一定程度水際でそのウイルス等の侵入を防止をして、その間に国内体制を整備するということが非常な大きな要素だというふうに考えております。
 今御指摘のございましたSARSにつきましては、WHO西太平洋地域事務局が作成しました「SARS いかに世界的流行を止められたか」の概要におきまして、この二十一世紀の病気と闘うため、加盟国は接触者の追跡、検疫、隔離といった十九世紀の方法で対応した。これらの古くさく大勢を動員する方法は、ウイルスの拡散を遅らせ、最後は封じ込めに貢献したと、このように記載をされております。
 このように、WHOにおきましてもSARSのときの入国の検疫は一定程度有効だったと評価をしているものと考えているところでございます。

○足立信也君 だとしたら、なぜフェーズ4に上がったときに事務局長は封じ込めは現実的ではないという発言になったんでしょう。

○政府参考人(上田博三君) WHO事務局長の考えというのは、まず貿易を止めるというような国境封鎖はよろしくないと。それから、封じ込めというのは、地域レベルでどんどんどんどん広がっていくことについては無理だけれども、それを完全に止めることは無理かもしれないけれども、しかしながら、まだ国境で封鎖というんではなくて、一定の検疫で、そこでできるだけ入ってこないようにすることまで禁じているものではないと、私はこのように理解をしているところでございます。

○足立信也君 恐らく、これから言おうとしていることは、その比率の問題だと思うんですよ。やっぱり、日本、今までの取組を見ていると、検疫水際作戦といいますか、そこに余りに集中している。じゃ、これが知らない間に日本に入ってきて、日本で感染、人―人感染が広がっていったときに、じゃその体制はどうなっているんだと、このことの不安の方が更に大きいし、恐らくもっと大きな混乱、もう既に起き始めているということがあります。そのことについて、行きたいと思います。
 要は、先ほど実人数で三十八名ですか、動員したと、実際延べとして五十八人と。このような人が、実は医療機関あるいは現場の方にシフトして指示をしていった方が更に有効な手段が取れるのではないかというような指摘をしたいと思います。
 四月二十九日、結核感染症課長の通知によって、これは疑似症患者の届出基準というのがありますね。これです。都道府県、政令市、特別区の担当部長あてに出されたものです。この中で、疑似症患者の届出基準、三十八度以上の発熱又は急性呼吸器症状、これがあって、かつ、四つ条件があるんですけれども、その中の「エ)」というところに、新型インフルエンザが蔓延している国又は地域に滞在若しくは旅行した者と、こういうふうに書かれているんですけれども、これで言う蔓延している国又は地域というのは、蔓延しているというのはどういう状態を言うんでしょうか。

○政府参考人(上田博三君) 蔓延の定義というのは、持続的に感染が起こっている、アウトブレークという言い方もございますけれども、二次感染、三次感染ということで、要するに家族などのような限定した集団の中でじゃなくて、それが地域レベルで広がりつつあるということを蔓延というふうに考えております。
 先ほどの通知でございますが、新型インフルエンザにかかわる症例定義及び届出様式を示したものでございます。新型インフルエンザ疑似症患者の基準の一つとして、十日以内に新型インフルエンザが蔓延している国又は地域に滞在若しくは旅行した者として示しているところでございまして、ここで言う新型インフルエンザが蔓延している国又は地域につきましては、五月一日と五月五日に事務連絡を出しておりまして、メキシコとアメリカ本土、それからカナダを対象としているところでございます。

○足立信也君 今現在はメキシコとアメリカ本土とカナダということですね。極めて広い。極めて広いですね。それが一点。
 それからもう一つは、同じく届出基準で、先ほど、三十八度C以上の発熱又は急性呼吸器症状があって、かつのところですけれどもね、その「ア)」として、実際の新型インフルエンザの患者さんとの接触のことがあるんですが、これ患者さんと特定された場合に、その接触についてはずっと調べなきゃいけないわけですけれども、これ患者さんの潜伏期から発症に移る、直前も入ると思いますけれども、これ行動様式すべて公表するんですか。
○政府参考人(上田博三君) これはプライバシーにかかわることですから公表の対象にはなりませんけれども、私どもが疫学的な条件として判断をし、この方が、要するに疑似患者さんではありますけれども濃厚接触者であるということでみなし患者とすると、そういうことによって様々な検査とかあるいは入院措置をとると、こういうことの条件としては、まさに疫学条件、接触の状況などを把握をして対処いたしますけれども、公表を前提としたものではございません。

○足立信也君 公表を前提としない場合は、そこに接触したかどうかという可能性はどうやって分かるんでしょうね。例えば、発症直前で成田に入って、鉄道といいますか使って、あるいはバスを使って移動して、地下鉄に乗って、そのルートだけならまだしも、その後例えば映画館に行ったとか飲み屋さんに行ったとか、そういう行動は接触した機会があるかどうかということを判断するのにすべてないと判断できないような気がするんですけれども、それは公表しないということはどうやって調べるんですか。

○政府参考人(上田博三君) ちょっと私の言い方が正しくなくて、御本人の行動経路についてはこれは原則公表すべきものだというふうに思っています。でないと、接触した方に気付いてもらえないということがございます。もちろん、その中での経路につきましては、私どもで分かる範囲については御本人から聞き出して、それから接触した人が分かる場合には直接保健所等から接触することはあるわけなんですけれども、それでもとらえ切れないような、本当に不特定多数のところに出られたような場合にはこれは分かりませんので、むしろ、そういう場合には御本人のプライバシーに十分留意をしつつその行動経路については公表するのが適切ではないかと考えているところでございます。

○足立信也君 先ほど言いました条件で、三十八度C以上の発熱又は急性呼吸器症状ということで、それにアイウエという条件が加わっているんですけれども、非常に広いんですよ、非常に広い。これがまた地方の方の保健所を始めとして、あるいは保健対策課、健康対策課含め、これまた相当混乱が起きている。私の地元の大分でももう既に十五件の報告があるということですが、これが極めて広過ぎるというのもある意味また科学的でないなという気がしております。
 次に、これ国立感染症研究所の感染症情報センターの新型インフルエンザ診断の流れという五月六日のものです。これは大事なことなんですけれども、新型インフルエンザを疑う症状を有する患者さんが電話連絡もなくて医療機関を受診することがないように書かれているんですね。これは考えてくだされば当然。医師法違反という大臣の発言もありましたけれども、電話連絡なしに病院、医療機関を受診することがないために書かれているものです。
 この情報はそれを十分徹底させるために書かれてあるわけですけれども、これは十分に徹底させることができているんでしょうかというのが一点。そして、これ発熱外来のない病院に行く方は当然いらっしゃる。その場合もこれに書かれておりますけれども、それでも、当然のことながら、そこに行って多くの患者さん、状態の悪い方もあるいは元気な方も含めて多くの人と接するわけですね。ということは、当然そこで隔離する施設は必要になってくる、疑いがあって行っているわけですから当然必要です。そういうことにならないためにこういう情報が出ているわけですが、この徹底というのはどういうふうにされているんですか。

○政府参考人(上田博三君) まず、これはこういう事態も想定いたしまして医療体制に関するガイドラインが定められておりますけれども、新型インフルエンザへの感染を疑う方はまず発熱相談センターへ電話等により問い合わせることとしております。都道府県等は発熱相談センターを整備すると。これ今全国に既に整備をできておりますけれども、整備をしまして、ポスターや広報紙などによりこの発熱相談センターについて周知をすることにしております。
 また、この四月二十八日付けで都道府県に対して発熱相談センターの設置を一斉に依頼したところでございまして、現在、全都道府県に設置はされておりますけれども、御指摘のように、完全にそれが国民にすべて今周知できているかというと、それはまだ私としては十分ではないというふうに考えているところでございます。

○足立信也君 要は、もちろん電話相談された方々、それから指示されて発熱外来に行く方いるでしょう。今五百三十六か所ですか、あると。しかし、そこにも、あるいは電話相談せずに医療機関に訪れた人たちも、やはり疑いのある、あるいはもう既に発症している患者さんはそこで隔離措置をとらないと、やっぱりそこで新たな感染をどうしても起こしてしまうわけですね。じゃ、病院に行くから、病を持っている人同士だからお互いうつってもいいだろうというわけではありませんし、じゃ病院の外で、診察時間が来るまでそこの外にいれば一番、何といいますか、距離が離れれば感染する機会は少なくなるわけですから、じゃ本当に青空診療でどこかの野戦病院みたいな形にするのかと。
 要は、隔離室、それからインフルエンザのウイルスが外に出ないように陰圧室ですね、そういったことの整備。それから、もちろんひどくなれば人工呼吸器も必要でしょう。これは昨年議論しましたから圧倒的に足りないのは分かっていますが、要は、隔離する部屋あるいは陰圧室。今医療現場もそれから患者さんも一番知りたいのは、どの病院に陰圧室あるいは隔離する部屋が何床ぐらいあるんだろうと。それがあればある程度安心につながるんですよ。実際今どれぐらいあるんでしょう、日本に。

○政府参考人(上田博三君) これは二十一年三月末現在でございますが、感染症法に基づく特定感染症指定医療機関、ここに本当に最高級のものが八床、それから第一種感染症指定医療機関及び結核病床を除く第二種感染症指定医療機関の感染症病床、これが全体合計で千六百八十七床、そのうち、いわゆる陰圧病床という陰圧装置の付いているものが千二百五床あるところでございます。

○足立信也君 先ほど言いましたように、今回はまだまだ感染症の患者さんは増えております、死亡例はさほど多くないようではありますけれども。スペイン風邪のときも、世界中で四千万人亡くなったわけですけれども、日本が被害が大きかったのは第二波ですね。それは、国内で新たな感染が広がって蔓延していったというときです。しかも、季節は夏から秋にかけてだったと思います。必ずしも、これから夏に向かうから心配は要らないんだということでもないというのはもう過去に実証している。しかも、時間があるということは、これから整備できるわけですよ。
 新型インフルエンザのH5N1のときの想定も、国民の四分の一が感染して医療機関を受診すると、六十四万人が亡くなるのではないか。それを考えた場合には、圧倒的に今の隔離室、それから陰圧室の整備は足りない。まだ間に合いますよ。そういうものが全国、公立病院を始めとして、空き病棟、それから病院そのものがなくなるという事態も相当ありますけれども、やっぱり確保しておくということは非常に大事なことだと思う。
 そこで、具体的に一つなんですけれども、これ、新型インフルエンザの患者さんが発生したときにこれを搬送しなきゃいけないわけですけれども、基本的に救急車というのは感染症が明らかな患者さんは搬送しないのではないかと思うんです。搬送したら、その後、患者さんを搬送するときにその車を使うまでにはまた相当時間が掛かるだろうと。実際に搬送するその手段というものの検討はされているんですか。

○政府参考人(上田博三君) 御指摘のとおり、法第十九条の規定に基づく入院措置の対象となられた新型インフルエンザの患者さんにつきましては、都道府県がその移送体制の整備について責任を持つとともに、原則として都道府県が移送を行うことになっていまして、具体的には保健所等の車両を使うということが想定をされているところでございます。
 ただし、医療体制提供に関するガイドラインにおきましては、この法第十九条の規定に基づく入院措置の対象となる患者が大変もう増加をした場合に、都道府県などによる移送だけでは対応し切れない場合がございます。こういう場合には消防機関等関係機関の協力が不可欠でございまして、都道府県等は事前に消防機関等関係機関と協議し、新型インフルエンザ流行時における患者さんの移送体制の確立をする必要があると、このようにしておりまして、現在、関係省庁にこのことをお願いをし、順次手配が進んでいるというふうに考えているところでございます。

○足立信也君 都道府県がやることになっているという冷たい話が今ありましたけれども、これはやっぱり、保健所の車で運ぶといったって次はもう運べないという事態になるわけですよ。これはやっぱり、搬送手段ということをしっかり考えておかなきゃいけない。
 最後に、もう時間がないので最後に大臣に。何を言いたいかというと、ここは金を掛けなきゃ駄目ですよ。しっかり予算を組まなきゃいけないと思います。
 まずは、まずやるべきことというのはワクチンの開発、パンデミックワクチンの開発がありますね。これ、有精卵だけではなくて細胞培養をやるべきだということもある。
 それから、今、日本で開発する四社だけでやるのではなくて、海外との連携、協力ですね。ワクチンができる間は待っているのではなくて、これはプレパンデミックワクチンの考え方もあって、交差免疫を利用すればH1N1のワクチンは今あるわけですよ。これにアジュバントを加えるなりして、その交差免疫を利用している皆さんの免疫力を高める、この約半年間、そういう手もあると思う。アメリカはもう既にGSKに対してそういう契約を行っていますね、プレパンデミックワクチンに対して。日本はまだそこは全然手を付けていない。このワクチンのこと。
 それから、繰り返しますけれども、国内体制の整備をまずやるということですよ、今できることは。幸いなことに日本ではまだ発生していないから、今体制を整備するということ。国内体制の整備というのは、要するに隔離する設備、それから新型を振り分ける専門スタッフ、検疫所だけに集中するのではなくて、そういう振り分ける専門スタッフの養成と、そこを確保すること。そういったようなこと、スタッフの増員というのがまず大事だと私は思います。
 それのためには、やっぱり予算を付けて、私たちはこういう形で新型インフルエンザに対してはしっかりした対応をするんですというのを示すことですよ。それが安心につながると思いますし、今やるべきことは、恐らくこれから何度も、補正の審議もあってまたもう一回あるでしょうが、しっかりここに予算を付けるという主張を大臣がすべきです。そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

○委員長(辻泰弘君) 答弁は。

○足立信也君 もし発言があれば。

○国務大臣(舛添要一君) いろんな貴重な御意見賜りまして、ありがとうございました。
 手短に申し上げますと、水際対策、これはこれで一定の効果があるんで、全く何もやらないかというと、私は、英語で言うとミティゲーションというか、影響を少なくするとともに時間稼ぎなんです、時間稼ぎ。それはもう自治体含めて全く何も体制整っていなかったところもある。十日たったら相当変わりましたんで、一日でも稼いでいくということをやっていく。ただ、いろんな不便もあり、どうするかということをこれは今後検討しないといけない。
 それから、検疫官にしても、様々な人的な、その他の機器含めての資源にしても、これが潤沢にあれば問題ありません。二十個師団で戦えというのは楽なんですけれども、八個師団しかない。その八個師団でどうして目に見えない敵であるウイルスに勝つかということは、戦略的にどう人員配置するか。それは相当戦略的にやっているつもりでありますし、仮に国内で発生したときはどうするかの体制は整えています。
 予算についていろいろ御心配いただいてありがとうございます。
 ワクチンの製造、これはCDCから株が来ていますけれども、これは検体チェック用の株なんで、すぐこれが使えるかどうか。恐らくうまくいけばもっといい株が近々入ると思います。ただ、そのときに、季節性のワクチンそれから今回の新型へのワクチンそれからパンデミック、どういうふうな組合せでやるのか。生産ラインが一気に拡大するわけじゃありませんから、もちろん海外に対してもいろいろ要請しますが、やはりどうしても自国民を守るということを優先してなかなか我々に輸出してくれないというような問題も一つあります。
 それで、予算なんですけれども、この二十一年度予算では百四十四億円を計上していまして、それから二十年度の一次補正で四百九十一億円追加の補正をやりました。今議論されています補正予算案で約千二百七十九億円の要求をしています。今のところは、これを上手に回していけば何とかいけると思っております。しかし、臨機応変にそれ以上の必要な経費があればこれはまた考えたいと思いますが、今のところ既定の予算の中で、特に千二百七十九億円計上しています。
 そして、今回地域医療の再生計画ということでこの補正で三千百億円入れてありますから、地域の医療ということでこのお金も必要になれば使えると思いますんで、そういうことで、これは党派を超えて、これは見えない敵ウイルスとの戦いですので、特に厚生労働委員会の皆様方の御協力を得て必要な手はきちんとしたいと思っております。

○足立信也君 ミティゲーションというのは時間稼ぎじゃなくて、体制の整備、緩和策ですね。そのことだけ指摘をしておきます。



09.05.08 厚生労働委員会会議録より
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