国会会議録
 

平成20年11月13日- - 厚生労働委員会「大臣所信への質疑」


○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
  蟄居とか自粛とか全然関係なく、七か月ぶりの質問でございます。
  時間が余りありません。四十五分ということですので、早速伺いたい。まず、今大変な話題になっております周産期医療についてお伺いしたい、そのように思います。
  皆さん御存じの一昨年の奈良大淀病院の事案、それから今年に入って九月、十月と、杏林大学、墨東病院というふうに続いてきたわけでございます。まずは、妊産婦死亡、これは実際今、日本はどうなのかということについてお話ししたいと思います。
  五十年ほど前、一九四〇年代ぐらいは相当な数がいて、これがだんだん減ってきました。直近では二〇〇七年、去年のデータで、妊産婦死亡、これは妊娠中あるいは出産四十二日以内ですけれども、三十五名亡くなっております。それから、妊産婦死亡率というのは出産十万当たりの数で出しますけれども、これが劇的に減ってきて、二〇〇七年、同じく二〇〇七年では三・一人ですね。つまり、出産約三万に一人亡くなると。これ世界平均で見ますと、これが死亡率でいうと、四百ですから二百五十人に一人ぐらいは亡くなるというのに比べると、そういうレベルにあるということをまず知っておいていただきたい。
  なんですが、これ実は厚生労働省の人口動態調査というところの今データを言ったんですけれども、これ、大淀病院、それから今年の二件と、これは妊娠に脳血管障害が加わっている。これが統計に全く表れないということを指摘したい。なぜかといいますと、これ、人口動態調査で妊産婦死亡の総数あるいは直接産科的死亡、間接産科的死亡、原因不明とこうあるわけですけど、脳血管障害というのは間接産科的死亡の中に入っていて、脳血管障害そのものがどれだけあったかという統計がないんですね。実は、その間接産科的死亡というのが死亡原因の中では一番多いわけです。
  一番多いのにその内容すら把握していないということなんですが、これ、死亡別統計の内容、これを改めなければいけない、まずは改めなければいけない、そういう認識があるかどうか、まずお聞かせください。

○政府参考人(村木厚子君) 先生御指摘のように、人口動態統計では、死亡診断書を記載した医師が死亡と妊娠の関係性があると判断した症例を妊産婦死亡例として集計をしておりまして、国際疾病分類に沿って死因別を分類して報告をされております。しかし、妊産婦死亡例のうち出産後の脳出血など、産科以外の疾患により死亡した症例については具体的な死因まで正確に把握されていないということは先生の御指摘のとおりでございまして、これは大きな課題であるというふうに私どもも考えております。
  現在、厚生労働科学研究におきまして、妊娠に関連する脳血管障害などの疾患を把握する仕組みについて調査研究を進めているところでございます。この研究を進めまして、妊産婦死亡の原因の詳細な把握に努めたいというふうに考えております。

○足立信也君 把握に努めて、それを統計上に表すということで理解していいですね。いいですね。

○政府参考人(村木厚子君) はい。

○足立信也君 今も一部触れられたのかもしれませんが、これ、直近の資料を御覧ください。一なんですが、今年の厚生労働省の科研費分担研究なんですけれども、妊娠関連の脳血管障害の発症に関する研究、今年の部分です。
  ざっと言いますけれども、二〇〇六年ですね、平成十八年一年間で脳血管障害を起こした妊産婦の方、百八十四名おられます。アンケート調査です。このうち十人が死亡。死亡の十人のうち七名は脳出血。表の一番上、左から行きますと、簡単に言います、初産婦は出血性が多い。経産婦は梗塞性が多い。右に行きまして、百八十四人のうち、その他を除くと百六十九になるわけですが、脳出血が三十九人、くも膜下出血が十八人、脳梗塞が二十五人。妊娠中のけいれんですね、この子癇と書いているのはけいれん、高血圧、意識障害が起きる高血圧脳症は八十二人というふうになっています。
  その下は診断までの時間です。これ、脳出血の方三十九人の診断までの時間、CTによる診断までの時間を三時間を境界として調べていると。三時間以内に診断を受けた人で死亡したのは八%、三時間以上では三六%、三時間に大きな壁があるということです。しかしながら、重い後遺症が残った人は三時間以内では七割です、七割が重い後遺症。三時間から二十四時間掛かった場合の五割よりも高いんですね。つまり、診断までの時間が短ければ予後が保たれるというわけではない。アタックの瞬間にかなりの部分が決まっているということが一つ。
  一番下は、初発症状はどんなのがあるかとちょっと認識のために言っておきますが、脳出血の初発症状、一番最初の症状ですね、一番多いのは意識障害です。くも膜下出血は頭痛です。脳梗塞は麻痺です。脳出血は言いましたように三時間を超えると死亡率が上昇すると。一番下のところを見てほしいんですが、最初にどの科にかかって、最終的にはどの科になったかというのをこう結んであるんです。これは脳血管障害ですから脳神経外科だろうと皆さんお思いになる。しかし、最初は、脳出血のところを見ても、脳外科を受診したのは一割しかいないですね。全部産科が窓口になっているということなんです。これを見ると、産科だけでこうした対応をするのは、救命はできない。ですから、脳神経外科との連携が課題として浮かび上がるわけですね。
  つまり、妊産婦にはすべて産科で対応するというような認識を改めなければいけない。特に、医政局でこういう医療提供体制や救急体制やっているわけですけれども、ここだけ雇用均等・児童家庭局のみで縦割りでやっていくと、こういうことは無理があるということなんですね。
  総合周産期母子センターの指定要件として、これは産科と小児科ですよね。例えば、脳神経外科、あるいは急に発症するわけですから心臓外科との連携、こういう面に関して、義務付けあるいは要件として入れる、こういう考えはないでしょうか。

○政府参考人(村木厚子君) 御指摘のように、総合周産期母子医療センターの指定を受けている医療機関の中には、小児科ですとか産科が専門という病院もございます。そういう意味では、周産期医療ネットワークと救急医療体制との連携というのが非常に大事であるというふうに考えております。
  現在、十月二十七日付けの通知で、今、総合周産期母子医療センター等々の他の診療科との連携状況について調査をしているところでございます。それぞれの病院で御工夫はいただいているというような状況が調査の回答の中には得られておりますが、いずれにしましても、この調査結果をきちんと分析をしまして、他の診療科との十分な連携体制について必要な対策を行ってまいりたいというふうに考えております。

○足立信也君 僕は今、局の縦割りの話をしたわけですね。ですから、ここは大臣にお答えいただきたい。やっぱり医療提供体制それから救急医療を医政局が主体にやっているところに対して、やっぱりここの部分だけ雇用均等・児童家庭局というのは問題があると思います。それから、ほかの、経産省の話も出てきますし、いろんな省庁との関係もある。この点について、大臣、お考えをお聞かせください。

○国務大臣(舛添要一君) まさに今回、周産期医療センターと救急医療の連携が必ずしもうまくいっていないというところに問題があると思いますんで、一つは、今両方の分野の先生方お集まりいただき、今この資料での代表者の国立循環器センターの池田さんにも入っていただいて、今検討していますとともに、行政の縦割り、これは私も全く委員と同じ問題意識を持っていますんで、今日ここに二名、医政局長それから今の村木局長、来ておりますけれども、この組織の在り方についても少し検討をしようということで検討を開始したところでございます。

○足立信也君 昨年、この委員会で審議しました、実は廃案になってしまいましたが、私どもが救急業務と救急医療との連携協力を強化するための救急制度改革の推進に関する法律案というのを提出しました。
  ここで私たちが言いたかったことは、救急医療体制というのは都道府県の所管、しかし救急業務は市町村の所管でやっている、ここに大きな問題がある、有機的に連携させなければいけないということですね。そのことと、救急本部の持っているメディカルコントロール、ここが非常に大事なんだと、これトリアージの面も含めて、最初の段階で。こういうことをその法案の中身、内容として提出して、議論していただいたんですが、廃案になった。
  このことと今おっしゃっている局での縦割り、これが都道府県にそのままつながっているわけですよ、縦割り行政で。このことの問題、それぞれの連携、これが必要であると。カバーする範囲と責任体制というのを合わせる、それを合わせる必要があるということが今まさに必要なんだと私は思っています。
  この延長線で、周産期医療ネットワーク、このことについてお聞きします。
  二〇〇七年、去年の一月のデータで私が持っているデータは、NICUの不足、新生児のICUですね、これが不足が十四都府県、把握していないのが十三道県、さらにNICU後方病床、後方病床の不足が二十六道県、把握していないのが十七都府県、こういう実態です。充足はわずかに四県しかない。福井県、鳥取県、宮崎県、鹿児島県でした、去年の一月。それからもうやがて二年たとうとしております。
  このNICUの充足、それからNICU後方病床の充足度はどうなっていますか。

○政府参考人(村木厚子君) 先生から御指摘をいただきましたように、二〇〇七年の一月の調査で、NICUの病床利用率が非常に高い、それから自治体によってはその状況を把握をしていないといったような数字が出てまいりました。
  こういった状況を改善をしていただくために、地域におけるNICUあるいはその後方病床等々も含めて適切な整備をしていただくために、昨年の十二月、都道府県に対しまして、長期入院児の状況などを精査した上で医療、福祉の資源の具体的活用策などを検証をするようお願いをしたところでございます。
  こういった自治体にお願いをするとともに、これをしっかり応援をする意味で、今年の四月一日から、病床過剰地域であっても特例的に整備ができる病床について、周産期医療にかかわる特例病床の範囲を拡大をいたしまして、MFICU、NICU以外の病床についても特例的に病床整備をできるようにしたということでございます。
  それからもう一つ、これも本年度からでございますが、NICU長期入院児への適切な支援を図るために、児童の心身の状態に応じた望ましい療養環境への円滑な移行等を図るためのコーディネーターの配置について予算を付けました。また、在宅支援がふさわしいお子さんもいらっしゃるということで、これに向けた試行的な取組、これを応援する予算も付けたところでございます。
  それからさらに、今、厚生労働科学研究によりまして、NICUの確保、それから重症新生児に対する療養・療育環境の拡充に関する研究を今進めていただいているところでございます。これらの研究結果も受けて、更に対策を充実をしていきたいと考えているところでございます。

○足立信也君 今都道府県に振ってその調査をしているという最初の答えで、私が聞いたのは、二年前、約二年前の、先ほどの全く不足している、それから調査もしていないということに対して約二年たとうとしている、どう変化しましたかって聞いたんですよ。どれぐらい充足してきましたかというのを聞いたわけです。その答えを。

○政府参考人(村木厚子君) 現在、都道府県にお願いして、NICU等々の病床数、今調査をしているところでございます。

○足立信也君 この委員会にそのデータを是非早く出していただきたいと、そのことを要望しておきます。
  私の認識では、ちょっとまず、ざっくりした言い方で大変申し訳ないんですけど、なぜNICUそれから後方病床が必要かという話なんですけど、五十年前に比べると高齢出産が二倍になっていますよ。それから、超早産というのも二倍になっています。一キログラム以下の超低出生体重児が三十倍になっていますよ。しかしながら、新生児の死亡は五十年前の四分の一まで減っているわけです。この状況は、取りも直さずNICUが非常にうまく活動してきたし、また足りない状況を表しているわけですね。
  私どもの協議会のネットワークでは、調査の結果ですけれども、一九九〇年に比べても超低出生体重児は一・五倍になっています、九〇年に比べても一・五倍。それから、年間およそ三万六千例がNICUを必要としている。全国でもう既に五百床足りない状況。
  これでもう一つ面白いのは、新生児病床を増やしたいという管理者は七六%いるんです。しかし、なかなか増やせない。その理由はお金がないんじゃないんですね。建設費が問題だというのは五六%であって、医師の確保に八〇%が無理だと、看護師の確保に七五%が無理だと、そういうことなんですよ。
  それから、新生児科のこれ勤務実態、同じそのネットワークの仲間からもらったんですけれども、新生児科の勤務実態言いますよ。平均当直回数が月に平日で四・二回、休日一・八回、平均睡眠時間三・九時間、当直明け通常勤務が八〇%、五九%の方が家庭を犠牲にしている、三分の二が辞めたいという実態ですね。産科医の平均勤務時間は月三百時間以上です。この状況です。
  これから恐らくこの国会中で労働基準法の改正に際して医師の日直・当直業務という話が必ず出てくると思います。これと夜間勤務の区別、これをしっかりするガイドラインが絶対に必要です。そのことをまず要望として申し上げたい。
  さてそこで、今私申し上げました実態なんですが、行政の所管の問題を別として、今連携が必要だという話を申し上げました。その一つの手段としてITがあると、コミュニケーション不足に対してはITの利用が必要だということを大臣考えられて、今週の月曜日にTBSニュースで流れました。舛添大臣は、お医者さん同士のコミュニケーションがうまくいっていない、IT技術を活用した形で両省で協力しながら国民のためになる仕事をしたいというふうに二階経産大臣に申し入れたんですね。しかしながら、二階経済産業大臣は、政治の立場で申し上げるなら、何よりも医者のモラルの問題だと思います、忙しいだの人が足りないだのいうのは言い訳にすぎないと、こういうふうに言われているのがテレビで流れました。
  私のところには数多くの抗議文、それから今日、二階さんをとっちめてくれというようなことが来ています。具体的に言うと、周産期医療の崩壊をくい止める会、これは代表の佐藤教授ですね、福島県立医大の。それから、兵庫県立柏原病院の小児科を守る会、これはもう大臣も御存じの代表の丹生さんのところですね。彼女はどういう動きをしているかというと、子供を守ろう、お医者さんを守ろうということをスローガンにやられている。そういう方々から抗議文が届いています。それから、日本医師会、全国医師連盟、茨城県産婦人科医会等から抗議文が届いています。これは当然厚労省あるいは経産省にも届いていると思います。私のところにもメールでいっぱい来ております。
  そこで、まず事実確認です。大臣、この二階経産大臣の発言はニュースとして流れたこのとおりだったんですか。

○国務大臣(舛添要一君) 私は、もう主として情報ネットワークをどう構築するかという話をしていたんで、そういう趣旨のことをおっしゃったと思いますが、一言一句正確に覚えていませんので、ニュースでそう流れたんだったら、その言葉どおりだと思います。

○足立信也君 私は、この委員会に二階大臣の出席を求めました。経産委員会の方もやられているのでかなわないということで、文書で回答を求めました。それは、主に意図するところは何か、特に政治の立場としてはということとモラルということについてです。このことについて回答をお願いします。

○政府参考人(近藤賢二君) お答えを申し上げます。
  今先生御指摘の去る十一月の十日に開催されました二階経済産業大臣と舛添大臣の会談、私も同席をしておりましたので、その際の大臣の発言について大臣に改めて確認をしたところを御報告を申し上げたいと思います。大臣の発言の趣旨は以下のとおりでございます。
  二階大臣の申し上げたかったことは、今回のような悲しい出来事を二度と起こしてはならず、そのために厚生労働省、経済産業省を挙げてITを活用して情報システムを構築し、導入を促進させたいということです。その際、医師の方々も忙しくて大変なのは理解できますが、両省で協力して情報システムを開発するので、医師としても専門的立場から全面的に協力してもらいたいという趣旨を述べたものです。なお、この今回の発言が医療関係の皆さんに不愉快な思いをさせたとすれば、おわび申し上げるとのことでございます。
  以上が二階大臣の発言の趣旨でございます。

○足立信也君 今要約されたのかもしれませんが、ちょっと全文ではない。実は、経産の委員会で十時からうちの増子議員が大臣に質問をしております。その要旨は私手元に今持っていますが、これは関係者の奮起を促したかったという趣旨ではないですか、そういうことを言っているんじゃないですか。

○政府参考人(近藤賢二君) 私は、今朝の委員会、経済産業委員会の増子先生の質疑があったということは伺っておりますが、その場に立ち会っておらずにこちらにおったものですから聞いておりませんので、そこの趣旨は、誠に申し訳ありませんが、私はコメントできません。
  ただ、この今の私が申し上げたところは二階大臣とも打ち合わせたところでございますし、今先生から政治の立場というところも含めての発言をいただきましたが、この政治の立場というのも大臣に改めて、大臣に何と、どういう御趣旨でおっしゃったのかということを聞いてきたところを少し申し上げさせていただきますと、大臣は、経済産業大臣としての立場に加え、長く政治にかかわってきた一政治家として、今回のような悲しい出来事を二度と起こしてはならず、そのために政府を挙げてできる限りのことを行うべきという強い気持ちで政治の立場と申し上げたと、こう大臣は言っておりますので、御報告を申し上げる次第でございます。

○足立信也君 医者のモラルの問題だというのはどういうことですか。

○政府参考人(近藤賢二君) これは繰り返しになりますけれども、大臣の発言の趣旨は、今回のような悲しい出来事を二度と起こしてはならないと、そのために厚生労働省、経済産業省を挙げてITを活用して情報システムをつくって導入を促進させていきたいと。その際、医師の方々も忙しくて大変なのは理解できるけれども、厚生労働省、経済産業省が協力して開発するので、情報システムを開発するので、医師としても専門的立場から全面的に協力をしていただきたいという趣旨を述べたものでございます。

○足立信也君 僕は文書で求めるとはっきり昨日も質問取りのとき言っていますよ、モラル、医者のモラル、モラルというのはどういうことですかと。モラルの問題だと言っているわけですよ、この件は、医者のモラルの問題だと。それに回答がないんじゃないですか、それ。

○政府参考人(近藤賢二君) これ、私は今申し上げたように、モラルの点、それから政治の立場ということについての先生の御質問でございましたので、大臣と打合せをしてまいった大臣の趣旨というところを今読み上げさせていただきましたけれども、モラルというところは今の、先ほど申し上げたとおりの繰り返しになってしまいますが、大臣はあくまでも、こういう悲しい出来事を二度と起こさないためにいろんな努力をするので、お医者さんも一緒にやろうじゃないかと、こういう趣旨だと、こういうように大臣は申しております。(発言する者あり)

○委員長(岩本司君) 速記を止めてください。
    〔速記中止〕

○委員長(岩本司君) 速記を始めてください。
  ただいまの件でございますけれども、午後一時三十分に委員会を再開しますので、その冒頭に御報告いただきたいと思います。

○足立信也君 それでは、それを確認をする意味でもう一度言いますが、私がお聞きしたいのは医者のモラルというのはどういうことかと。それが原因で今回の事案が起きたというふうに答えているわけですね。モラルはどうかということと、これから大臣にもお聞きしますけど、この発言を撤回する意思があるかどうかと、その点を是非押さえておきたいと思います。
  午前中の質疑の中で、やっぱり関係者の奮起を促したかったという目的があるわけですね。これは一体どういうことか。
  例えばですよ、関東大震災が起きたらチャンスだと言った兵庫県の知事が、あの方がどういうことを言っているかというと、先ほどの柏原病院のフォーラムのところで、四十三人いた医師が二十人に減って、もうその二十人は大変な苦労をされている。そこで、やっぱりフォーラムの中で、もっと情熱に燃えた医師がという要望をしているんですね。こういうことを言っている。
  やっぱり政治家の一言は非常に重いんですよ。それが医療を崩壊させているという面もあるということ、特に今回は。このことをまず申し上げたいと、それで午後確認したいと、そのように思います。
  この点、そばで聞いておられた舛添大臣、こういう発言をされて、即座に否定あるいはこのことについてその後協議されたことはあるんですか。どういう感想を持たれたですか。

○国務大臣(舛添要一君) 私は、委員御承知のように、何とかこのいわゆる医療崩壊と言われている状況を打開していきたいということで、先ほどありました福島県立大野病院の件につきましても、それから兵庫県の柏原病院にも深くかかわっておりますので、実態をやはりきちんと見たときに、私は今正確にどういう言葉をおっしゃったかというのは、今委員がこういうふうに、テレビのニュースからお取りになりましたので、したがって、そういうことについてはやはりきちんと現場を私は掌握していただきたいというふうに思っております。

○足立信也君 今言われていますが、やっぱりそのときはそれほど問題の発言だという認識はなかったということなんですか、そのときは気付かなかったと。

○国務大臣(舛添要一君) 私自身は、ITの先端技術、私がお話ししたのは、例えば消防署を見に行っても、我々が例えば携帯電話で使っているような非常にデジタルの進んだ技術がまだない、こういうところから改めればと、非常に技術の話をずっとしておりました。そういう中で、一言一句正確に把握はしておりませんけれども、少なくともそういうことをおっしゃるのはちょっと私は言い過ぎだと今思いますね。

○足立信也君 そのときに気付かなかったという認識で、あとは更に新たなコメントなり物が届いた後に。
  これは、やはり大臣ですから、せっかく、これから言いますけれども、我々民主党の主張、それから超党派議員連盟の申入れ等、これ、厚生労働大臣、経済財政担当大臣、財務大臣にも談判しました。これはもう医師不足なんだと、そこを何とかしなければいけない。それから、舛添大臣のもちろん熱意もあって、今年、一九八二年以来続いていた閣議決定を覆したわけじゃないですか。その内閣の一員である大臣がですよ、これはもう空幕長以上に内閣の閣内不一致ですよ、この意図があるということは。この点を午後に更に伺いたいと、そのように思います。
  先ほど、政治の立場で申し上げればというのは、これは政治家としての立場だというふうに先ほど審議官おっしゃいましたよね。やっぱりそういうふうに考える方がいるということなので、これに引き続いて時間の関係で次に聞きたいことは、診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会、この件ですね。もう十六回を数えています。一年半以上やっているんでしょうか。極めて異常な検討会になっているような気がします。
  第二次試案に対する強烈な批判の中で、去年の十二月に自民党で医療安全調査委員会設置法案というものの概要を作った。そして、この一月には法案の原案ができていた。でも、三月に第三次試案を出した。四月に大綱案を出した。五月に医療安全調査委員会設置法案の改正案ももう作られている。
  これを見て、私どもも、これ一年以上続いているパブコメなんですね、無期限パブコメ。こんなこと今までありますか。膨大な反対意見が出ている。もう私ども民主党も業を煮やして法案の骨子案という形で出したわけです。私のホームページからいつでも見られるようになっています。これに対して一万人を超えるインターネットのアンケートで圧倒的に支持を民主党案というふうに、三倍、約三倍の支持が得られているわけです。しかし、この検討会で修正をしていこうとか、民主案について聞いてこれを取り入れていこうじゃないかというような発言は一切ないですね、一切ない。極めて異常な検討会だと思うんです。
  そこで、政治家の立場という話でそのまま来ているんですけれども、ここに医療紛争処理のあり方検討会、自民党のですね、座長であられる大村副大臣がいらっしゃるので、この医療安全調査委員会設置法案、私が入手しているのは五月の時点の改正案ですが、ここは、この案、やっぱり最良の案だと、これをこれから地方でいろいろ検討会をオープンにやっていくみたいですけれども、これが最良の案だという認識でやっぱりいらっしゃるんですか、先ほどのアンケート結果も踏まえて。

○副大臣(大村秀章君) 委員が御指摘ありました医療安全調査委員会のこの大綱案、三次試案の大綱案をこれを公表いたしまして、今厚生労働省におきまして、この検討会におきまして様々な御意見を今いただいているというところでございます。
  これにつきましては、今委員が言われました、ちょっと私ども認識がちょっと違っておりまして、要はこの検討会、厚労省における検討会と併せまして私ども自民党の方で医療紛争あり方検討会をやっておりまして、二年以上ずっとやってまいりました。一つ一つ議論を積み重ねてきて今回の三次試案、そして大綱案という形になったわけでございます。
  これはもう既に御案内のとおりでありますけれども、医療事故による死亡につきましては、医療関係者を中心に、原因の調査とか臨床経過の分析、評価、とにかく医療関係者を中心にして何が原因だったのかというのを、事実関係を調べていくという枠組みをつくるべきだということでございます。
  何でこういうことをやろうかと、こういうことでございますが、これはもう既に、もうこれは釈迦に説法でありますが、医療関係いろんな紛争とか事故が起きる、そういうときにいきなり警察とか司法当局の関係者が医療の現場に入っていくということが医療の萎縮を招くんではないかということから、こういった公的な調査委員会や調査機関をつくって、何が事実であったのかということを調べていくと。そのことによって、直ちに警察、司法当局が医療の現場へ入っていかない、そこのところをいったん止めるというためにはこういった枠組みが必要ではないか。ある意味で日本の司法制度を前提にした場合に、こういった形の枠組みをつくっていくということでなければなかなか難しいんではないかということで御提案をさせていただいているところでございます。
  現実に今いろんな関係の団体の皆様の、医療関係団体、そしてまた法曹関係者等々の御意見をたくさんいただいておりますけれども、そして厚労省の方でもこの検討会でたくさんいただいておりますが、私どもの認識では、医療関係団体でも多くの団体はこれに賛成をしていただいているというふうに認識をいたしております。ただ、いろんな御意見、様々な御意見がありますから、それは御意見いただいて、また更にこの内容を詰めていきたいというふうに思っております。
  したがって、試案、大綱案という形でありますが、まあ法案に近いようなものにまでは仕上がっておりますけれども、これ、何とか我々としてはこれは作りたいというふうに思っておりますので、これを更に御意見をいただいて十分議論をしていいものにしていきたいというふうに思っております。

○足立信也君 要約しますと、意見を聴く機会は設けたいが、やっぱり今ある設置法案、まあ仮称ですけど、これが最良の案というふうに考えているんだろうなというふうに私なりに要約させていただきました。
  先ほどのモラルの件なんですけど、これは大村私案というのが出されましたね、私の案ですね、私案ですね、救急医療に関して、まあこれは個人的な。

○副大臣(大村秀章君) 八月ですか。

○足立信也君 ええ。

○委員長(岩本司君) 挙手してから言ってください。

○足立信也君 それで、やっぱり医療行為についても、刑法二百十一条、業務上過失致死傷罪、これを真っ正面から議論すべきだというのが我々の提案で、それを骨子案に出しているわけですが、救命救急についてのみ情状によって刑を免ずるという思想、これはやっぱり医療事故には必ずだれかに責任があるというそのモラルに立脚している、そういう考えだと私は思いますよ。それがやっぱり根本にあるんだろうと、私はそういうふうに考えている。
  これから一般公開の形で地域説明会を開催するというふうに言われております。皮切りが九州ですか。それから、東海、北陸、近畿、東北と、ずっと予定になっているようですが、かつてのタウンミーティングのような、何も修正もしない、アリバイづくりのためだけのそういう説明会にはしないようにと、是非ともそのことを申し上げておきたい。
  ちょっと今誤解があるからここで言わせていただきたいんですが、我々は、この国は死者に対する尊厳というのがやっぱり足りないと思っています。それは、死因をしっかり究明することと、同じことを繰り返さないということなんですね。例えば、一酸化炭素中毒事件、パロマ、ありましたね。この件、これは死因究明をしっかりやっていれば次の発生は防げたはずですよ。それから、中毒やあるいは殺人のこともあります。千葉県のある市の死因、死亡診断は、首つり、縊死以外は、首つりですね、それ以外は全部急性心不全だと、そういうふうになっているわけですね。だから、我々は、これはしっかり死因を究明しなきゃいけないんだ、それが死者に対する尊厳なんだという感覚で死因究明法をまず提案したんですよ。これ、今衆議院の法務のところで継続審議になっています。
  それがあるから医療行為に関するものはまた別の考え方ができるんだと。だから、医師法二十一条は、そういうふうに整合性を持たせて明文化をするんだという考え方なわけですよ。いろいろ死因究明に対して問題があるのに、この医療行為の部分だけ取り上げてそれをやろうとするから、こういう大混乱、一年半以上もかけて、反対意見がずっと続いている中で何も変えていかないというような方向性が見えてくる。アリバイづくりにすぎないような感じになっている。そこがやっぱり問題なんだということを申し上げたい。
  大臣、会議を待たせてあるというので、必要であれば退席されても結構、副大臣ですよ、副大臣、大村さんね。
  それから、これ、さらにモラルについてちょっと伺いたいんですが、産科補償制度です、この一月からスタートしようとしている産科補償制度です。これ資料に用意しています、二枚目になりますけれども。
  私も、検討会、これのメンバー、かなり親しい方がいらっしゃるので内容について聞いたわけですけれども、これは、制度設計は検討会でやられたわけですね。その制度設計を行う際の議論でも、これ今大変な問題になっているというのは、余剰金をどうするかという話なんですけれども、余剰金が発生すれば、それは救済金の引上げや、当初案では、救済の対象とならないような、これは脳性麻痺の子供は通常の分娩の脳性麻痺というふうになっていますからね、これを対象を広げるとか、あるいは救済枠の拡大ですね、こういうことを議論されていたわけです。されていたんだけれども、極めて不十分な救済金額や限定的救済対象と、こういうふうになってきた。その原因は一体どこにあるんだと。
  ちょっと言いますけれども、その原因は一体どこにあるということで、今資料が、これが平成十八年十一月二十九日の自由民主党の政務調査会、これ医療紛争処理のあり方検討会の中で、この枠組みですね、先ほどの検討会の、組織をつくる、システムをつくる検討会のメンバーの意見ですよ、この枠組みの中で私たちは考えざるを得なかった、だから極めて不十分なものしかできなかったというのを私は聞いている。
  この二枚目、制度の運営主体、日本医師会との連携の下、運営組織を設置する。四番、医療機関や助産所が運営組織を通じて保険会社に保険料を支払う。つまり、民間保険ということですね。補償の対象は、補償の対象は、通常の妊娠、分娩にもかかわらず脳性麻痺となった場合とする、もう限定されているわけですよ。そして、次のページへ行きますが、過失が認められた場合には医師賠償責任保険等に求償すると。こういう枠組みの中で検討会で検討してもらったと、そういうことなんですよね。
  これで今何が問題になっているか。まず、一人当たり三千万円になるわけですけれども、年間、対象となる障害の一級、二級、約五百人から八百人と言われていますよね。それに対して分娩は百万超えるわけですから、三万円を集めると三百億になると。しかしながら、一人当たり三千万円の補償ということになると、五百人と仮定した場合は百五十億、百五十億余剰金が出る。それは全部保険会社がそのまま持っているという事態の問題。それから、損害賠償が、その後民事訴訟で損害賠償になった場合、補償金額は保険会社にそのまま払って、残りが訴えた側に入ると、そういう仕組み。さらに、原因分析の第三者委員会が重大な過失ありとした場合は補償金は返還と、こういうふうになっているわけですね。そういった問題がある。
  無過失補償制度、これは産科補償制度になっていますが、海外でスウェーデン、デンマーク、ニュージーランド、フランス、ありますけれども、国営あるいは公共企業体がすべて運営している。まず、公的保険とする選択肢はあったのか、この点について聞きたいと思います。海外はすべて公的である。

○政府参考人(外口崇君) 産科医療補償制度でございますけれども、この創設に当たりましては、脳性麻痺が一定の確率で不可避的に生じるものでありますことから保険の仕組みがなじむものである一方で、患者さんの救済や紛争の早期解決に資するものとして早急な立ち上げを図る必要があることから、ノウハウを有する民間の損害保険を活用する制度として創設することとしたものでございます。

○足立信也君 早急にと言いますが、しかし公的医療保険で国民皆保険のこの国にあって、不幸な結果が訪れた方あるいは障害を負った方等に対する補償制度というものがこれは民間保険だと、しかもそこには保険料とそれから補償の間に相当な差額があるだろうということに今なっているわけですよ。私は、やっぱり国民皆保険、公的医療保険を守るためには、これは公的であるべきだ、それは海外にならってもいいんではないかと、そのように思っています。ここがまず問題であろうと。
  ちょっと委員長にお聞きしたいんですが、午後やるケースで、私はその発言に対して質疑する時間はあるんでしょうか。

○委員長(岩本司君) 今のところそれは考えておりませんが、休憩後にその件は各理事で協議していただきます。

○足立信也君 それでは、ちょっと時間を残しておきたいと思いますので、午前中といいますか、この時間の質疑はここでいったん終わりたいと思います。



2008.11.13 厚生労働委員会会議録より
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