国会会議録
 

平成19年12月25日- - 厚生労働委員会質疑


○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
 十二月二十二日にお亡くなりになられました我々の先輩であります山本孝史さん、当委員会でも大変活躍されました。がん対策基本法、それから自殺対策基本法、この成立に尽力されまして、交通遺児、中国残留孤児、在外被爆者等、つらい、苦しい立場の方々に温かい気持ちを向けられました。正に命を懸けて命を救われました。謹んで御冥福をお祈りしたいと、そのように思います。
 肝炎訴訟の問題、それから年金の問題ありましたが、まずはちょっと肝炎訴訟の問題について、私の個人的な意見かもしれませんが、少しコメントしたいと、そのように思います。
 薬害肝炎患者さんを一律救済するこの条件として、やっぱり国の責任を明確にしなければならないというのは、これは当然あるんだろうと私は思います。先ほど、そうでもないという御意見はありましたけど、しかしながら、これは製薬会社、そこにも賠償を求める話でありまして、これは法に基づいたものでなければいけないだろうと私は思います。
 しかし、そこで大事なことは、薬剤としての認可が誤りだったという責任論は私はあってはならないと、そのように思っているんです。例えば、輸血によって肝炎になった方には輸血そのものが誤りだったということになってしまいますし、国民皆保険制度においては副作用のある薬は一切使えないことになりますし、副作用のない薬はない、これもまた事実でございます。
 そこで、フィブリノゲンあるいはフィブリングルー、これ二十八万人の方に投与されたと、そのように推計されております。そのうち、B型、C型肝炎罹患患者は約一万人という推計ですね、約三・五%。その二十八万人の中には、投与によって一命を取り留めた方もいらっしゃる。そして、私は外科医でしたから、手術不能と思われたけれども、それを使うことによって、特にフィブリングルーですけどね、何とか手術を乗り切った方もいらっしゃる。もし、これが薬剤としての認可そのものが誤りだったとすれば、その方々が受けたであろうその後の不利益は一体どうなるのかという問題があると私は思います。
 そしてまた、この前話題になりました混合診療の問題で、すべての議員が未承認薬の早期承認、早期保険適用を求める、しかし安全性に関する議論がほとんど聞かれない、これもまた問題だと思いますし、今回のことで、欧米に対してドラッグ・ラグが非常に問題になっている、これが更に大きくなるようなことになっては絶対にいけないと私は思います。
 そこで、やるべきことは、効果と副作用の比較で期待される効果が大きければ早期承認すべきだと、これは当然だと思います。しかし、副作用の懸念が高まれば承認を取り消す、その決断ですね、そのためには副作用報告をどんどん奨励して、実はこの八月から副作用報告が激減しております、大臣も御存じだと思います。これを奨励して救済制度をもっとしっかりしたものに充実させる、これが行政の責任だと私は思います。薬については、市販後調査、これを不断にやらなければいけない、もっと徹底してやらなければいけない、それもやはり行政の責任だと思います。
 気になるのは、これ診療録の保管に関してなんですけど、これは実は血液製剤については薬事法の改正で十六年から二十年間保管と、そのようになっているとは思いますが、当時、私が十二、三年前大学に勤めていたときに、診療録を一体どうしようかという議論になりました。これは法律上は五年だったわけですが、結論として、全部の診療録を残すということになったわけです、したわけですね。
 これは、診療録の保管というのは、診療録は私は未来に対するこれ遺産だと思っているんです。大切なことなんですね。となれば、これから先、電子化せざるを得ない、この電子化してきっちり保管させなきゃいけないと。そうなった場合に、電子化する余裕のある病院にしかできない。大病院にしかできない。地方の病院は電子化で保管もできないということは更にまた格差を助長する可能性もあるんですね。その分を全部診療報酬で見なきゃいけないのかという話にもなってきます。こういうところが私は行政と立法の責任があるんだと、そのように考えます。
 そこで、今肝炎の治療助成の法案が衆参ともに出されておりますけれども、これ、当然責任の所在を明確にすることも必要ですけれども、まずやっぱり是非とも、この協議会のメンバーの方いらっしゃいますが、今やるべきことは救済するということなんですね。責任論を大前提にして、お互いにぶつかり合っていたら患者さんの救済はできないんですよ。是非とも歩み寄って、今は原告団に対する救済の問題、我々が法案として出しているのは、今肝炎である患者さんの治療を助成するための法案です。ここはぶつかり合わないで、是非とも協議を成立させていただきたい、そのことをまずお願い申し上げます。
 年金記録についても一点だけお伺いしたい。
 厚生年金の台帳とマイクロフィルムのオンライン上のデータにどれぐらい誤りがあるか。今朝の部門会議では二万件のサンプル調査されるということでしたね。しかし、今までどれだけこのことに関して議論されてきたか。具体的に挙げますと、宙に浮いた年金記録五千万件のうち四千万件、これは厚生年金ですよね。それから、第三者委員会が年金記録の訂正のあっせんをした今までの七百四十六件中五十四件が厚生年金です。そして、今年の常会で質問しましたように、平成十年から十八年度まで千八百十八万人、極めて記録に問題があると疑われる方々に照会票を送って、返ってきたのが千二百万。つまり、五百六十五万人が未回答で、この方々も記録が間違っている可能性が極めて高い。さらに言えば、六月七日にこれ福山議員が質問したことで、五十八歳通知をもらった方の平均九%が再調査を依頼していると。こういう現実がある以上、厚生年金記録、そのオンラインデータに誤りがある可能性はもうほとんど間違いないわけですよ。
 そこでお聞きしたいのは、二万件のサンプル調査でどれだけ誤りがあったら全件調査をやるつもりなんですか。大臣も総理も、程度によっては全件調査しなきゃいけないと。私たちは以前から全件調べないとこれは分からないと申し上げているわけです。数が少なかったら全件調査する必要がないという結論には絶対ならないはずです。どれぐらい誤りがあったら全件調査をやる予定なんでしょうか、大臣。

○国務大臣(舛添要一君) 何件誤りあれば全件調査をやるとか何件以下ならやらないという、そういう発想は今のところございません。何度も申し上げていますように、まず優先順位を付けて今やっているところであります。そして、まあ特殊台帳から始まり、そして国民年金、そして今おっしゃった厚生年金、ここまで着実に一歩一歩進めていきたいと思いますんで、今はそういう発想はございません。

○足立信也君 それでは、やっぱり今はもう既に記録訂正、さっき言いました五十四件、第三者委員会でもある、あっせんされたケースがね。やはり、少数でも誤りがあったら全件調査をしなければいけないなという気持ちはお持ちですか。

○国務大臣(舛添要一君) それは、最終的に一億人のこの方々の記録を一つ一つ正確に正していく、そして今名寄せのコンピューター上の作業をやって、ああ、これは台帳に当たらないといけないなというのを一つ一つ今やっていますから、そういう意味では一億人の方々の記録をきちんと正しくすると、そういう全体の努力を更に続けてまいりたいというように思います。

○足立信也君 十一月五日の行政監視委員会で私質問したことなんですが、厚生年金病院の整理合理化に関して、大臣が整理合理化計画を策定していない段階で特定の企業グループの出資による法人に譲渡する、一括譲渡する計画が水面下で進行している、この問題点について質問しました。質問主意書も出しました。
 ポイントは二点なんですね。今年の九月一日、厚生年金医療フォーラムにおいて、約三百名と聞いておりましたが、武見敬三前厚生労働副大臣がこの譲渡計画を既成事実であるかのごとく話した点、これは事実なのか。二番目に、厚生年金病院の経営を委託され、大量の天下りを受け入れている厚生年金事業振興事業団、厚生団ですね、が何の権限もないにもかかわらずこの譲渡計画に深く関与している点。この二点を問題視して質問しました。そして、大臣は、事実関係をよく調べて、その結果問題があれば注意や措置の必要性を決断したいと、そのように約束してくださったわけですね。
 その結果がこの報告書です。ごらんのように大臣に報告済みであるというふうに書かれています。そして、報告の内容、調査の結果は、厚生団に武見前副大臣の講演録の精査を依頼したところ、そのような発言はしていない旨の回答を得た。それから、厚生団に対し新たな財団法人設立に関与している事実があるか照会したところ、そのような事実はない旨の回答を得た。以上。  至ってシンプルな内容なんですが、まずお聞きしたいのは、大臣はこの報告を受けているのか、そして厚生労働省へのこの厚生団からの回答としてこの内容で十分と判断したのか、私への回答としてもこれでいいのかという判断について、ちょっと大臣、どう思いますか。

○国務大臣(舛添要一君) 当然これは報告を受けております。そして、今ここにありますように、講演録の精査、これをきちんとやってくださいということを役所を通じて依頼をさせたところ、そういう厚生年金病院の特定の企業グループへの譲渡計画に関するような発言はそこにはないという回答を得ました。そしてさらに、二番目の厚生年金事業振興団の関与の新しい財団法人の関与の事実もありませんという回答をいただきましたので、私はその報告がそのとおりであるというふうに信じて、それを了としたところであります。

○足立信也君 この厚生団から厚生労働省への回答はいろいろ今まで話題になっております吉原理事長が責任を持って出したということなんですが、私が聞いたところによりますと、厚生団の松田常務、彼は様々な肩書を持っているので厚生団の理事とは別な立場でいろいろな活動をしている、したがって松田常務が行っている行為は厚生団の意思ではないが、誤解を招くことがないよう理事長から注意したということを直接私聞いておりますから、このことは多分、今頭をひねっていられるので聞いていないんだと思います。
 そこで、大臣が今おっしゃった報告を受けましたということは、この私に対する報告と同一のものなんでしょうか。今、吉原理事長がそういうふうに言ったというようなことも含めて、それは聞いていないということですか。

○国務大臣(舛添要一君) 今特定の個人の名前が二人出ましたけれども、その二人の個人の名前に関する今の足立委員の発言部分については、私は報告を受けておりません。

○足立信也君 大場室長からの電話です。大場室長からの電話です。これはもう、この報告、調査結果を見たら極めて不適切だということはもう皆さんお分かりだと思うんですが、私のところには一杯資料があるんですね。ちょっとこれはもう言ったか言わないかという話なんで、それはもう触れてもしようがないと思いますが、どんな資料があるかだけちょっとお知らせしますね。  去年の十一月ですね、厚生団の松田常務の指示で厚生年金十病院長会から鴨下一郎衆議院議員への要望書がまずあります。我が国を代表する経済界、産業界が自主的に支援する公益法人が十病院を一括して経営する方向性でやってもらいたいという要望書です。
 次にあるのが、今年の二月の鴨下衆議院議員と厚生団の松田常務が成文化したというふうに病院長には説明されています厚生年金十病院等の整理合理化の基本理念というものもあります。それから、今年の十月に、先ほどの厚生団の松田常務が厚生年金病院に行って業務指導しますね。その際にある病院長に言われたことです。これは鴨下さんからの依頼だと。内容は、鴨下さんの秘書と厚生団の松田常務とアイテックの社長と厚生年金十病院長会の世話人であるこの院長四人で自民党の津島議員に会ってもらいたい。そして、十一月五日、私の質問があって、その翌日、先ほどから出ております十病院長会の世話人である院長と松田常務で尾辻参議院議員に会ってもらいたい。しかし、昨日質問されて松田常務は動けないので院長だけで行ってもらいたいというメールです。それからもう一個は、厚生年金十病院長の会の世話人である院長とコニカミノルタ社、NEC、大成建設の代表三人で大村衆議院議員に面会をしたのが質問の翌週ということでございます。
 こういう資料がありますので、今提示はしませんが、これがその内容です。ということ。
 それから、先ほどの室長の私への電話ということも含めて、それから松田常務がどれだけかかわっているかという話はかなり明らかになってきていると思うんです。
 そして、先ほどの理事長が注意をしたということについては、これはやっぱり指導監督権限は最終的には厚生労働大臣にあるわけで、私はこれ以降この問題をそれほど追及したいとは思わないんですが、私は指導監督責任としてはしっかりあるんだというふうに思っておりますので、もしコメントがあれば、なければ結構です。

○国務大臣(舛添要一君) この件についてきちんと、大臣である私のところに情報が十分に上がっていないということでありましたら、これはきちんと精査し、必要な注意を行い、今後二度とそういうことがないように指導監督してまいりたいと思います。

○足立信也君 じゃ、今日は肝炎とそれから年金のことがありましたが、私は、大臣は正面から取り組みたいのは医療、介護の本格的な改革だと思うんですね。特に、病院から今勤務医や看護師さんの疲弊がもう極まっていると、医療崩壊が始まったとも言われています。
 私は、やっぱり同業ですから崩壊とは言いたくないんで、正にがけっ縁、紙一重のところだと、そのように思っているんですが、大臣は、今ちまたで言われておりますいわゆる医療崩壊、この原因、主な原因はどこにあるとお考えですか。

○国務大臣(舛添要一君) やはり大学病院が非常に厳しい状況で、今までは大学の医学部が医師を派遣するということだったんですけれども、その機能が低下している。それから、やっぱり病院勤務医の方々の労働が余りにも過酷であると。さらに、女性の医師の比率が、特に産科、婦人科、小児科で増えています。この方々の出産、育児に伴う離職ということもありましょうし、それから、福島の大野病院の例のように医療紛争に、医療にかかわる紛争リスク、訴訟リスクの高まりと、こういういろんな複合的な要因があると思いますので、これは総合的に一つ一つ手を打っていって解決しないといけない問題だと思っております。

○足立信也君 私は、原因はいろいろあるとは、そう思いますが、極論すれば、やはり医療費抑制政策からきた医師、看護師不足と医療訴訟だと、そのように思っています。ですから、その二点についてこれから質問いたします。
 まずは、平成十八年の医療給付費が二十八兆円と、国民医療費が三十三兆円というデータはいただきました。昨年の医療制度改革で、二〇二五年、平成三十七年の医療費推計を基にこれは行われたわけですね、昨年は。そして、二〇二五年の医療給付費は五十六兆円から四十八兆円にこれで削減できたと、国民医療費は六十五兆から五十六兆円に削減できたと、そういうふうに言われたわけです。
 では、まずは平成十八年の総医療費。総医療費というのは、皆さん御案内のとおり、OECDに提出するその国の医療、保健、健康状態の指標として毎年提出しているデータですね。この総医療費、これが平成十八年は幾らだったか。そして、二〇二五年の推計で、昨年の医療制度改革で二〇二五年の総医療費は幾らと推計されるようになったんですか。

○政府参考人(水田邦雄君) 失礼いたしました。
 OECDの総医療費でございますけれども、平成十八年度の数字というのはございませんで、私ども持っておりますのはOECDヘルスデータ二〇〇七に基づくもので、二〇〇四年時点の状況でございます。それに基づきますと、我が国、日本の、現在手元にありますのは、一人当たり医療費で三十一万三千円、対GDP比で八・〇%と、このようになっております。

○足立信也君 二〇〇四年のデータですと、総医療費は四十一兆、GDPは五百兆で八%。一人頭ではなくて、それ国のですね。
 去年の医療制度改革で、じゃ二〇二五年には幾らと推計されるようになったんですかと。給付費、国民医療費は、先ほど言いました数値のように削減できたと、じゃ総医療費は幾らになったんですかという質問です。

○政府参考人(水田邦雄君) 先ほど御指摘ありましたOECDベースの総医療費についてでございますけれども、これには、国民医療費に加えまして、介護費用の一部、それから予防・公衆衛生、運営コスト、正常分娩費及び一般薬の費用が、こういったものが含まれてございまして不確定的な要素が多いことから、平成十七年三月には二〇二五年に九十兆円になるという推計を行ってございましたけれども、それ以降は新たな推計は行ってございません。

○足立信也君 この国の医療費は二〇二三年ごろがピークだと言われていて、二〇二五年の推計って非常に大事なんですね。
 去年の医療制度改革のときに、二〇二五年は九十兆、総医療費が。これが去年の改革で幾らになるという、この推計が極めて大事なんですよ。何のための改革だったかと。何を増やして何を削減したかったのかということなんです。それをそれ以降推計していないということなんですね。このことだけ指摘しておきたいと思います。
 あとは、その医療費抑制策からくる医師、看護師不足の中で、特に医師の不足についてのことを申し上げます。
 何を言うかというと、これ参考にされたデータは十八年のデータで、医師の需給に関する検討会報告書、この報告書に大分誤りがあるということを指摘させていただきたい、そのように思います。
 そのことなんですが、その前に、この報告書では、平成三十四年、二〇二二年に医師の需給は均衡し、必要な医師数が充足されるというふうになっています。その報告書を出して、それ、またすぐ直後に新医師確保総合対策で最大年間百十人。それから今年の五月、緊急医師確保対策で最大年間二百八十五人。合わせると年間三百九十五名定員が増加するようになったわけですね。
 ということは、平成三十四年に充足すると言った去年の報告書からどれぐらい早く充足するというふうに考えているんですか。

○政府参考人(外口崇君) まず、現在の医師数は、総数としても不足していると思いますが、御指摘の医師の需給に関する検討会報告書によると、二〇二二年に需要と供給が均衡し、マクロ的に必要医師数が充足するとの見通しを示しているところであります。
 それで、新医師確保総合対策及び緊急医師確保対策を受けて、医学部の定員増、これ合わせると両方で五%ぐらいになるかと思いますけれども、それが加わりますと二〇二二年より前に、実際にはこれ少し前になるだけでございますけれども、医師の需要と供給が均衡することとなると考えております。
 もちろん、その需要と供給の均衡点の少し前といっても、それに掛かるまでの間の医師数は増えるわけでございますので、実際には医療現場に対してはかなり影響があるんではないかと思っております。

○足立信也君 ほんの少し前になるだけだと、それまでは不足状態で何とかやってくれということにならざるを得ないんですよ、その推計でいきますと。
 そこで、資料の二枚目をごらんください。これはマッチングですね、地方で特に医師不足が顕著になっているという。私は、やっぱり就職の段階が非常に大きいんだろうと思っております。これ、色分けの説明をしますね。都道府県を赤で書いているところは、募集定員に対して、三段目の採用実績の平均が……(発言する者あり)あっ、色が付いていないんですか。あっ、ごめんなさい。付いていますよね、こちらは。じゃ、言いますとね、募集定員は一万一千ですよ、一万一千。それに対して、実際に採用される数は七千五百なわけですよ。欲しいと募集している方に元々三千八百名不足が生じるわけですね。今、赤と言ったのは、この採用実績の全国平均よりも低い、全国平均が六六・九%ですから、これよりも低いところを私は赤で書いたんです。今、全国で医師不足と言われているところがほとんど入りますね。
 次に、一番右の欄はどういう欄かといいますと、マッチングでマッチしたと、しかし国家試験をやったら不合格だった、あるいは卒業できなかった。実際に採用される人というのは低いわけですね、それよりも。これの全国平均が九三・四%、それよりも低い県を赤で、赤の数字で書いたんです。
 つまり、どういうことかといいますと、医師不足の県は元々採用する率が全国よりも低いのに、これダブルで赤のところは合格率も低いということなんです。そういう方々がかなり医師不足のところに集まっている。逆に言うと、そういう方々じゃない方が関東やあるいは関西の中心あるいは愛知県、福岡県に集まっていると、そういうことなんです。そして、これが更に三年目、初期研修が終わって後期研修が始まるとほとんど関東に集まるという事態なんですよ。元々募集は一万一千あるのに七千五百人しかできないわけです。実際に採用が少なかったというのは、この表でもお分かりのように医師不足の県なんです。ですから、マッチングの段階で、医師の養成はもう御案内のように十年掛かるとなったら、マッチングの段階から調整しないと、これはますます、ますます格差が広がると、そういうことなんですね。
 ほぼ御理解いただけたと思いますが、その件に関して、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(舛添要一君) やはり医師の採用、医師の数をどうするか、目先の一、二年ではなくて長期的な十年計画が必要だと思います。
 それで、こういう今の貴重な御提言も参考にしながら、実は年明けに私の直属の組織、まあ検討会として、外部の方、専門家をお招きして医療の長期ビジョンの研究会を立ち上げたいと思っています。そして、それは、コアのメンバーは少数ですけれども、そのたびにいろんなゲストをお招きしてヒアリングをやる。それとともに、現場重視ということで、例えば今委員御指摘のように、この青森県、ダブルで赤ですね、こういうところの実態を足で歩いてみようかというふうに思っています。そして、そういう長期的なビジョンを掲げながら今の問題に対応していく。そうしないと、現下の問題に対応するだけではどうしても今言ったようなこういうことに対して対応できませんので、正にこれは三年のスパンで今委員おっしゃいましたけど、それにしてもこれだけの問題がある。
 ですから、これはまた是非貴重な御意見を賜りまして、こういうことについてもきちんと対応してまいりたいと思います。

○足立信也君 それでは、昨年の医師の需給に関する検討会報告書の問題点について指摘したいと思います。
 これは私だけではなくて、そのメンバーの方も、それからその前の検討会のメンバーの方も非常に問題だと指摘されている点でございます。主に三点お聞きします。まず、女性の総労働量です、これが誤っている。そして、二番目が医師の労働時間、そして三番目が医師の定年です、この前提条件が誤っているという指摘です。
 まずは女性医師の総労働量について。前回、平成十年は男性一に対して女性は〇・七だったんです、総労働量。今回は〇・九二に置いているんですね。その理由は、総労働量と言いながら就業率で見ているんです。つまり、女性医師の就業率は十一年目に男性の八三%に減るけれども、六十歳の時点、三十五年目で見るとほぼ同じだと。だから、就業率から見ると九二%と考えているんです。
 しかし、だれもが分かりますように、働いている医師の労働時間は男女同じではないわけですよ。特に、今年明らかになりましたように、小児科、産科の女性医師はほとんど十年目以降半分の方が常勤辞めているわけですよ。実際、辞められたり非常勤になったりしているわけです。総労働量、労働時間でいうと、就業率だけでは片付かない問題なんですね。今、就業率だけで計算をして〇・九二だと、二〇二五年がですよ、〇・九二だと。しかも、この調査の対象になった平均年齢を見ると、女性医師は男性医師よりも七歳若い集団を集めて計算しているんですよ。
 ということで、仮に、これまずお聞きしたいのは、医療機関に従事している女性医師の労働時間は男性医師と同じだという仮定で、就業率だけで計算している。これ正しいと思いますか、局長。

○政府参考人(外口崇君) 前回、平成十年のときは女性の医師の労働量、〇・七を掛けて計算しておりましたけれども、今回はそういうことをしていないわけでございます。それの前提となったのは、勤務状況調査をしたときに、常勤女性医師の場合、勤務時間が余り男性とは変わらないというデータがありましたものですから、それを参考にしてこのような推計をしております。
 ただ、実際に生活に負荷が掛かる形で無理して就労している可能性もあると考えられることから、今、短時間正社員制度とか、それから交代制とか、そういったことを進めようとして考えておりますので、そういったことが進んでまいりますと現場の状況変わってきますので、そういったときにはまた適宜配慮していきたいと思っております。

○足立信也君 先ほどおっしゃったように、常勤の方の比較でしかしていない、半分の方は非常勤か、あるいは辞められている、非常勤の方は非常に多いと、そうならざるを得ない今事態に、働き方になっているということを指摘しておきます。仮に、前回は〇・七でしたが、今回は〇・九二。〇・八一だと仮定すると、二〇二五年に一万人不足です。
 次は、労働時間です。これ、労働時間に関してはこの報告書は、今問題になっています夜間や休日の勤務を当直扱いして時間外勤務としないということが一つ。それから、病院内での待機時間を勤務時間としていないという点が挙げられております。
 例えば、私は以前の経験で言いますと、夕方あるいは夜、手術まだしますよね、夜まで。そして、私は自分の学生あるいは研修員を指導してきたのは、手術後五時間は絶対に診ていなさいと、その間に重大な事故が起き得ると。この五時間は勤務時間にならないんです、という現実なんです。この考え方をこの報告書はそのまま踏襲しているんですよ。つまり、待機時間や夜間は当直であり時間外勤務ではないと、この前提でやっているんですが、今後も医政局としてはこの勤務時間の考え方を踏襲するつもりですか。

○政府参考人(外口崇君) 勤務時間の考え方ですけれども、まず、今回定義した勤務時間は診療、教育、ほかのスタッフ等への教育、そのほか会議等の時間を含むものであって、休憩時間や自己研修や研究といったものは入っていないと、そういった計算でございます。
 それから、これを基にして不足医師数の推計をしているわけでございますけれども、その際、実際の、今定義した勤務時間より多く働いている二十代とか三十代の方が、それが四十八時間までになるように推計しておりまして、それからもっと高齢の五十代、六十代とか、そういった方の場合はこういった勤務時間の計算でやりますと四十八時間より少ないんですけど、それはそのままでやると、そういった計算をしております。
 それから、当直等については、勤務時間のアンケート調査をしたときには、教育とか診療とか研究とか自己研修とか、そういった区分けのところに当直といった欄がありませんで、該当する部分、診療に入れるのか休憩に入れるのか、そこは実態に合わせてそれぞれの医師が記入したんだと思いますので、それを参考にしているところであります。
 いずれにしても、病院の勤務医対策、これから大変大事でありますので、よくきめ細かく状況を見ながら対応していきたいと思っております。

○足立信也君 仮に病院にいる時間、これを勤務時間と、通常はそう考えると思いますが、した場合、二〇二五年の医師数、今現在推計三十二万六千となっているんですが、六万人不足します。
 次に、医師の定年です。
 臨床に必要な労働力として必要な医師数を今推計したわけですね。ちなみに、前回の検討では七十歳で定年としました。今回の検討は定年がなしなんです。今、病院に勤務している方で、定年なしで働いている方が実際どれだけいらっしゃるか。病院の、特に急性期病院に関してはですね。ちなみに、二〇二五年の必要医師数を、これ七十歳未満、私自身も七十以上の方にそう喜んで診てもらいたいとは余り思いませんね、病院ではね。七十歳未満で見ると四万人不足するんですよ。医師に定年はないという前提がまず正しいのか。
 それから、もう大臣に最後お聞きしますけど、この正しいのかという点ですね。今、合わせますと、女性の総労働量で換算すると一万人足りない。四十八時間勤務が当然だとすると六万人足りない。医師の定年を六十代だと、七十以上は勘案しない、特に病院に関してですよ、疲弊している、これで四万人足りない。合計十一万人既に足りないという指摘が検討会の中の委員からも出ているということをお聞きになって、どういうふうにお考えになりますか。

○国務大臣(舛添要一君) それは、謙虚にそういう御指摘には耳を傾けるべきだと思います。そういうことも含めまして、この年明けの一月に発足させようと思っています医療の長期ビジョンの検討会において、正に現場重視というのは、今のような声を拾わなくて霞が関の机に座ったままでそういうことは分かりません。したがって、きちんと私の下に直属にそういうビジョンの研究会を置いて、私自身も時間の許す限り現場を見て、そして現場の先生のような医師の皆さん方の御意見も賜って、まずデータから正確にしていく、そして長期的な需給のバランスというものを考えてまいりたいと思います。

○足立信也君 医療崩壊と言われておりますが、私はまだ崩壊とは言いたくないと、踏ん張っているということで、その原因は医療費抑制策に伴う医療従事者の不足そして医療訴訟だと。医療訴訟のことに関しては前回質問しましたし、来年メーンテーマだと思っておりますので、議論をしていきたいと思います。
 以上で終わります。




20071225 厚生労働委員会会議録より
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