国会会議録
 

平成19年12月4日- - 厚生労働委員会 質疑


○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
 随分久しぶりの質問ですので、その間相当多くの問題が、質疑してほしい、あるいはただしてほしいという、山のように集まっておりますので、時間がもったいない面もありますから、すぐに本題に入ります。
 まず、資料をごらんください。一ページ目ですね、これはアスベストが原因である中皮腫、肺がんの労災認定の数の推移をグラフにしました。クボタ・ショック二〇〇五年六月と書いておりますが、これは尼崎のクボタ、ここで六件が表に出たわけですけれども、それ以来、昨年の新法の制定もあり、例えば今年で見ますと中皮腫、それから肺がんの労災認定は、中皮腫は千六ですね、肺がんが七百九十、それから新法による中皮腫が五百六十九、それから肺がんが二百七十二と相当な数になっているわけですね。なぜこのように急激に増えたかということについて、それから足りない部分についての質問をします。
 そこで、昨日の毎日新聞、皆さんごらんになって、紙面にすると五面にわたってこの報道がありました。そこで、ちょっと私、誤解があるといけないと思って、まず触れさせていただきますが、これは何も厚生労働省が公表したわけではございません。中皮腫・じん肺・アスベストセンターの、特にその中でもある一人の人が頑張って、情報公開法に基づいて四十七都道府県労働局に情報公開を求めたと。そして、不十分ではありますが、その資料の中から分析をしてまとめたと。そして、毎日新聞の関与は、主な企業三十六社に対して質問をして、そのうち二十三社から報告があったと、その内容でございます。必ずしもといいますか、厚生労働省が公表したわけではないと。
 その基になったのが、二年前の九月七日、厚生労働省は労働局に対して石綿労災事案の処理経過簿を作りなさい、それから報告も求めた。それがあったがためにそこから逆にたどっていったという話です。
 そこで、資料の二枚目、三枚目、ごらんください。二枚目に厚生労働省発表と書いてありますが、これが二〇〇五年七月のアスベストに関連する労災認定事業所一覧という四百十五事業場を公表した内容でございます。これによって、私は国民にとっては、自分の体のこと、それから将来のこと、非常に大きな情報であったと思っております。
 そこでまず、この二〇〇五年七月に公表されました四百十五事業場、これを公表した理由は何でしょうか。

○政府参考人(青木豊君) 平成十七年度の御指摘の公表でございますけれども、これは石綿による健康被害に対する国民の不安等への緊急対策でありますアスベスト問題への当面の対応として、関係閣僚会合の決定を踏まえて実施したものでございます。
 平成十七年度に石綿の暴露作業に係る労災認定事業場の情報を公表いたしましたのは三点ありまして、一つは、公表対象事業場でこれまで業務に従事したことがある労働者に対しまして石綿の暴露作業に従事した可能性があることを注意喚起すること、それから二つ目が、石綿の暴露作業に係る労災認定事業場の周辺住民となるか否かの確認に役立ててもらうということ、三点目は、関係省庁及び地方公共団体などにおける石綿被害対策の取組に役立ててもらうことでございます。こういうことができる情報であると判断したからでありまして、また、当時はほかに周知方法がなく、データなども余りなかったために周知が十分になされていない、そういう状況の中で緊急的に実施したというものでございます。

○足立信也君 今の理由三点は、これ厚生労働省のホームページにも出ております。そのとおり、その内容は私は高く評価したいと、そのとおりだと思っております。ですが、昨日の新聞報道によりますと、新たに五百二十か所以上の事業所で労災認定された石綿被害が出ていると、全部合わせると七百二十か所に及ぶという事態なんですね。
 では、これまで、二〇〇五年以降、今までこの事業場に関して公表できなかった理由、公表することは先ほども申し上げましたように三つの理由で非常に有意義だと思いますが、公表できなかった理由は何ですか。

○政府参考人(青木豊君) 厚生労働省においては、平成十七年度以降の石綿の暴露作業に係る労災認定事業場の情報の公表を含めまして、継続して公表を行うことの効果でありますとかその及ぼす影響などの観点から、石綿の暴露作業に関する情報の周知の在り方を検討してまいりました。実際に、労災認定に必要な調査について事業主の自主的な協力が得られず調査に遅延を生ずる場合があったり、あるいは事業主の風評被害の有無だとか、あるいは他の方法による周知の有無などについて具体的に検討してまいりました。
 これらの検討と併せまして、厚生労働省としては、石綿の暴露作業や労災の認定基準に関するリーフレットの配付をずっといたしてきておりますし、また、石綿暴露のおそれのある作業について写真入り解説を盛り込んだ詳細で分かりやすい資料の作成、あるいは石綿暴露の把握の手引のホームページへの掲載、あるいは医療機関に対しまして石綿関連疾患等の専門図書の配付など、石綿による疾病についての労災補償制度等の周知、広報に努めてきたところでございます。

○足立信也君 二年前の公表は非常に意義があったんです。この公表に関しては、環境省、今アスベストは環境省の管轄でしょうから、あるいは自治体、厚生労働省の内部でもこれは公表すべきだという賛成意見があるということは、私は調べて聞いております。後で医療事故に関することも言いますが、これ基本は、逃げない、隠さない、ごまかさないです。この基本に立つ必要がある。そして、事業場を公表することは、やはり住民、それからその仕事に従事された方、非常に受ける恩恵は大きいということがまずあります。
 そこで、資料三、ちょっとごらんください。これ、二年前の環境委員会で私使ったものですが、実は二〇〇四年の大阪府立成人病センターの森永先生が作った論文に加えたわけですけど、このときは石綿の被害の潜伏期間二十一年で計算しているんですが、現時点では日本は三十八年ということになっています。ということを考えると、過去の石綿消費量とそれから一九九五年までの石綿消費量を計算していくと、ちょっと分かりづらいと思いますが、赤と茶色の交点、これが三十八年後ですから、一九七四年から三十八年たった後、二〇一二年に人口百万人当たり十九人の死亡率になる。つまり、年間二千三百から二千四百人という形になるわけです。それがしかも三十年続くという話です。実際、先ほどの認定の患者数も増えておりますし、そこの値に近づきつつあります。
 そこで、先ほどから出しております中皮腫・じん肺・アスベストセンターの片岡さんが頑張ってやられたわけです。それに毎日新聞の取材、これ加えて新たに分かったことで非常に重要なことがあるんですよ。それを三点申し上げます。
 一つは、過去には知られていなかった業種があるということです。例えば、製紙、印刷、家具製造、航空機製造。金融機関もあります。二番目に、国際的な文献的には知られていますが日本では労災認定されてこなかった業種、これがあります。文献的にはもう知られていることです。例えば、製鉄、化学、鉄道車両製造、自動車製造。三番目が、今まで認識されていた、危険性が高いと知られていた石綿を直接製造する、あるいは造船業、建築業で非常に認定者が多いということです。これ、認定者が非常に多いということは、暴露量が多いということです。つまり、周辺の住民もかなり暴露している可能性があるということです。だから、公表する必要がある。この三点が非常に大きい要素だと、私はこの分析の結果でそう見ました。
 そこで、今まで公表されてこなかった。では、厚生労働省としては、実際に発生している、認定が非常に多い地域の自治体あるいは保健所あるいはその当該地域の医師、これ、診断のためには非常に有意義な情報だと思いますよ、早期発見のためにも、その人たちに情報は伝えているんですか。

○政府参考人(青木豊君) 平成十七年度に公表した石綿の暴露作業についての労災認定事業場の情報につきましては、公表以来、継続して厚生労働省のホームページに掲載しておりまして、自治体や医師に限定することなく、広く国民への周知を図っているところでございます。
 なお、それぞれ医療機関や医師に対しても、先ほど申し上げましたようなリーフレットや専門図書、あるいは研修なども実施いたしまして、石綿関連疾患の診断を的確に行われるようにすることとしているところでございます。

○足立信也君 今お答えになったのは一般論であって、この地域のこの事業場は非常に多いという情報がやはり大事なんですよ。そのことが、例えば自治体がやる地域住民の健康診断にも直結するでしょうし、その地域にいる医師のやっぱり啓蒙にもなるでしょう。私たちは学生のときから中皮腫を見たらアスベストを考えろというふうに教わってきました。でも、そう思っていない人たちも、医師も結構いるんですよね。個別にやはりその事業場、この地域には発生が多いんですよということを伝える、具体の例を伝える、このことが一般論ではなくて大事だと私は思っていますし、それは間違いないことだと思いますよ。
 そこで、最後に大臣にお聞きするわけですけれども、二〇〇二年の四百十八人の問題、そして大臣は今、相当あのとき何やっていたんだろうかなと疑問を持たれていると思います。とすれば、現時点で石綿による労災認定された方々がこれだけ増えている、事業所を公表していない、このことは多分、後代になると、二〇〇七年何やっていたんだという話に私はなると思いますよ。  そして、大事なポイントは、昨年できた新法で、二〇〇一年以前に死亡した方が新法による時効救済が申請できるのはあと一年四か月後までなんですね。平成二十一年の三月までなんですよ。そこまでしか期間がないんですね。だとしたら、これを公表して、自分がひょっとしてそこに関係しているんじゃないか、あるいは以前亡くなった方がそれが原因だったのではないかというのは少なくとも一年掛かると思いますよ。ということは、もうタイムリミットになっているということですよ。
 そして、二〇〇七年時点で日本が何やっていたと後世の人に言われないように、また、私は度々この問題については言っているんですが、今後世界で一番中皮腫あるいは石綿が原因の肺がんが発生してくるのは中国ですよ、間違いなく、使用量が圧倒的に多いですから。これに対して日本がどういう対策を取ってきてどういう姿勢を示してきたかというのは非常に私は大事だと思います、国際協力の意味でも。
 その観点から、ここは大臣、やはり公表すべきですよ。それが国民のためになりますよ。そのことを踏まえて大臣の決断をお願いしたいと思います。

○国務大臣(舛添要一君) 早急に調べて、できるだけ早くこれは公表したいと、そういう方向で指示を出したいと思います。
 そしてまた、中国、これは環境問題、いろんな問題、今、石綿の問題もそうですが、ありますので、お隣の友好国としてできるだけの支援をする、そのための前提としても私たちの経験を生かしたいと思います。

○足立信也君 ありがとうございます。
 できるだけ早くとおっしゃいました。先ほど具体的なタイムスケジュールで私が申し上げたのは平成二十一年、二〇〇九年の三月までしか二〇〇一年以前に亡くなられた方は申請できない、このリミットがあるわけです。とするならば、少なくとも一年以上はそのことに対して皆さんが関心を持ち、申請できる期間が必要です。
 ということで、どれぐらいまでに、できるだけ早くというのは分かりますが、どれぐらいの見当でされていますか。

○国務大臣(舛添要一君) 今の新法の請求期限もきちんと踏まえて考えないといけないですが、膨大な数の事業所の数があるというようなことも踏まえまして、何とか来年の春ぐらいまでには実現したい。これ何月何日と、ちょっと今作業中でもあり明言できませんが、そういう思いで頑張りたいと思います。

○足立信也君 少なくとも申請の時効期限、申請期限が切れる再来年の三月、それまでには一年以上の申請期間があると、このことを確保していただきたい、そのことをお願いします。
 次に、先ほどちらっと申し上げました二〇〇二年の、四百十八人の肝炎ということになっていますが、私は一点だけ確認したいんです。
 非常にこれ、新聞報道が様々です。ある新聞では四百十八人が全員C型肝炎と書いてある新聞もありますし、全員がC型肝炎の疑いと書いてあるのもありますし、全員が慢性肝炎と書いてある新聞もある。全く、これは多分、各記者の医学的な知識のレベルの問題もあるとは思うんですが。
 そこで確認しておきたいのは、二〇〇二年の調査の時点で、このとき確定していたB型肝炎、C型肝炎、つまり、B型であればHBs抗原プラスですね、C型であればHCV抗体プラスです。その方々というのは何人いて、そして今までの調べる過程の中で、現時点で分かっているB型、C型、それぞれ何名いたんですか。

○政府参考人(高橋直人君) 御答弁申し上げます。
 御指摘のその四百十八例の症例一覧表につきましては、フィブリノゲン製剤投与後に、C型肝炎やB型肝炎のほか、肝機能障害などの肝炎関連症状が発現したものを取りまとめたものとなっております。
 この当該症例一覧表の中で、それぞれの患者さんの現状、現在の肝炎に関する状況を示した欄が、これは肝炎(疑)と書いてございまして、それから関連症状という欄がございますが、ここの記載を見ていきますと、まず、そもそも詳細情報がないという方々も若干名いらっしゃいます。そのほか、今委員御指摘の、まずB型肝炎診断の根拠となります、これは現時点、現在の知見に基づく、あるいは平成十四年もそうでございますけれども、知見によるところのB型肝炎の確定診断であるB型肝炎抗原、これはアンチゲンということになりますが、その陽性であったとされるものは、このリストの上では三例。それから、C型肝炎にかかったあるいはかかっていたとの診断の根拠となりますC型肝炎抗体、アンタイバディーということになりますが、この陽性、あるいはHCV―RNA陽性、これであったものが十九例ということになっております。
 ほかにただ、C型肝炎という漠然とした記載なんかもございますんで、それがどういった事情でそういったC型肝炎という記載になっているか。その辺につきましては、今後私どもでやろうとしております、こういった方々に対する実態調査の中で更に医学的な調査をするということで予定いたしておりますんで、その中で調べてまいりたいと、かように考えております。

○足立信也君 一覧表を見て、私も実際に確定している人は何人だろうというのは、B型三人、C型十九人で、それは数は同じです。
 今後は検討会を設けるという話はお聞きしました。これから個別の調査を恐らくされるであろうと思います。その際に、やっぱり大事なことは、日本が、まあ世界でもそうです、八九年にHCVが同定できるようになって、それから原材料のスクリーニングに使われるようになった九一年ですか、外国産の原料のプールされているものに対するスクリーニング調査も始まったのもその時期ですね、それから輸血歴ももちろんあります。そういうことを踏まえて、今後の個別の調査の予定、検討の予定についてお聞かせください。

○政府参考人(高橋直人君) リストに載っている方々の投与された年月というのはかなり広いタイムスパンにわたっているものでございまして、もちろん今委員御指摘の非常に直近の方、直近といいますか平成に入ってからの時期に感染をしたのではないかと推測されるような方々もいらっしゃるわけでございます。そういった投与時期の問題も含めまして、今度の実態調査の中できちんと調査いたしたいと、かように考えております。

○足立信也君 個別の検討の結果を見て私も当然自分なりに検討したいと、そのように思っています。
 今日少し話題が出ておりました混合診療のことです。地裁の判決もあり、私ども民主党の姿勢というのをまず示さなきゃいけないとは思っておりますが、これは国民皆保険の理念を守るということです。それはもう恐らく厚生労働省も同じだと思います。理念とは何か。必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により担保すると、このことであると思います。
 じゃ、今国民の皆さんとその基本理念の中に何がギャップがあるのかと。これは、現在評価療養という形で効果と安全性が確立したものは速やかに保険導入してもらいたいということが一点。それから、ドラッグラグ、デバイスラグと言われておりますように、海外と比較した場合、利用できるまでの時間の問題ですね。主に集約するとこの二点だと思っています。これは私どもはそういう姿勢であります。ここを何らかの法的措置あるいは制度上で早くできる、そのギャップを埋めることができると私たちは思っています。
 そこで、まずちょっと具体の例をお伺いしたいんですが、最近よく私のところに依頼が来る中で、脳脊髄液減少症に対するブラッドパッチ療法、このことが、ちょっと具体的な話なんですけれども。先日、訴訟を起こすという、少年が訴訟を起こすという報道もあったかと思いますが、今まで余りはっきりしなかった、何とも言えない症状を訴えて怠け病じゃないかみたいな形で言われた方もいらっしゃると思う。その中で、この脳脊髄液減少症それからブラッドパッチ療法、このことが今までどういう検討の過程でどういう結論になっていったかということをちょっとお聞かせください。

○政府参考人(水田邦雄君) お答えいたします。
 ただいま御指摘のありました脳脊髄液減少症に対するいわゆるブラッドパッチ療法についてでございますけれども、平成十九年七月二日の第二十回先進医療専門家会議におきまして、エックス線透視下での硬膜外自家血注入による髄液漏閉鎖術として検討されたところでございます。
 この検討に先立って評価を行った専門家から、この技術に関しましては、第一に、そもそも脳脊髄液減少症の診断方法について様々な議論があり、いまだ確立されていないということ、第二に、その治療法とされているいわゆるブラッドパッチ療法についても一般的なものとして認知すべきかどうかについては議論が分かれるところという理由が示されまして、保険診療との併用を認めること、すなわちこの場合には評価療養とすることにつきましては時期尚早との判断が下されたところでございます。
 私どもとしましては、まずはこの有効性等の評価につきまして関係学会での研究の成果を待つ必要があると考えております。

○足立信也君 資料の四枚目をごらんになりながらちょっと聞いていただきたいんですが、今出ました評価療養ですね、下、改正後のところにA類型、B類型という形でございますね。今のその脳脊髄液減少症については、まず疾患概念も確立していないということで評価療養の対象とはならないと、その二点があったわけですね。ところが、脳神経学会とか今診断のためのガイドライン作成中だと聞いております。
 これは疾患概念として確立した場合、評価療養としての検討、再検討ということはあり得るんでしょうか。

○政府参考人(水田邦雄君) 当然ながら、先ほど申し上げました二つの指摘につきまして新たな知見が出てくれば、それはもう一度検討をお願いするということになろうかと思います。

○足立信也君 分かりました。
 そこで、この資料を、先ほど出したものを見ながら行きたいと思います。
 以前の高度先進医療は、これ指定医療機関というんですか、当然高度先進医療ですから、それに関する専門の方がいて、しっかり文献上も認められていて、しかも例数もかなりあって、そういう医療機関あるいは医師が申請をして、その場所で高度先進医療が受けられるわけですね。これがあったと。それが評価療養と選定療養という形になって、この部分では自由診療にもちろんなるわけですけれども、それ以外のものは保険併用が可になっていると、この認識だと思うんですね。
 これからお聞きしたいのは、じゃ、保険適用というものは何なのかと。これは普遍性が確立されて、安全性、効果の面で普遍性が確立された場合にすべての医療機関でその行為が可能になるという意味だと私はとらえているんですが、その解釈でよろしいでしょうか。

○政府参考人(水田邦雄君) 評価療養として保険診療との併用が認められている先進医療の対象になるような医療技術につきましては、普及性、有効性、効率性、安全性、技術的成熟度及び社会的妥当性という点につきまして更に実績を重ねて将来の保険導入に向けて検証を行うと、こういうプロセスになるわけでございます。
 個々の技術の導入の際についてでありますけれども、ただいま御指摘のように、特に要件を設定せずにすべての医療機関において実施可能とする技術もあります。これは一般的なわけでありますが、そのほかにも、施設基準等を設定して医療機関を限定して実施を可能としている医療技術も現在の運用ではございますということを申し上げたいと思います。

○足立信也君 今おっしゃった後半の部分は、恐らくハード面じゃないかと思うんです。その施設が認定されるような設備がある、あるいはそれに従事する専門的な業種の方が何名以上いるという話じゃないかと思うんですね。
 この治療法はここでしか、この指定機関でしかやれないということは、保険適用になったらなくなるんじゃないですか。

○政府参考人(水田邦雄君) 例えば心臓移植の場合、その移植術を保険で請求できるためには、やはり一定の認められた施設であるということが必要でありますので、先生がおっしゃられた一般的な設備要件、人員要件、もう一歩踏み込んだ形で運用しているものもございます。

○足立信也君 大臣、私はそこが大きな問題だと思っているんですよ。今まで先進医療の場合は届出医療機関があって、そこで行われる分は自由診療、でも保険併用可ですね。普遍性がある、それから安全性、それから効果の面で確認されたら保険適用になる、基本的にはこれどこでもやれるようになるわけです。そのギャップが大き過ぎるんですよ。ハードルが高過ぎるんですよ。
 例えば、肝炎の問題で我々が提示しているものは、やはりインターフェロン、ペグインターフェロンのリバビリンの併用療法というのは、ある程度しっかりした知識とその集積があるところじゃないと危険だろうと。安易に、乱診乱療ということもあり得るわけですね、どこでもやってしまう。ですから、保険適用となった場合の実態、これは国民の皆さんもある程度懸念があると思いますよ。あそこでやって大丈夫なのかなと、そういう気持ちがあると思う。そこのところと、今評価療養で自由診療が認められている部分との間が余りにハードルが違い過ぎるんですよ。
 私は、評価がしっかりして保険適用になった場合でも、届出医療機関といいますか、限定的にその治療がやれるというものをもっと増やすべきだと。これが保険適用への道筋、早く、スピードを上げて保険適用にするための一つの手段、中間的な手段ですね、これが実は足りないんだと私は思っているんですよ。
 そのことで、今私の考えはそういうふうに申し上げましたが、日本の医療が国民皆保険の理念を守る、そして新しいものを取り入れなきゃいけないとなった場合に、今のような考え方がないと、そのギャップが大き過ぎるために広まっていかないと思うんです。この点について大臣のお考えはどうですか。

○国務大臣(舛添要一君) いい指摘をいただきましたんで、やはり今本当に高度の先進医療技術というのは、ハード面の下支え、そういうインフラがなければやっていけませんので、これ正に財源の問題を含めて、それから医療のネットワークをどうするか。一次、二次、三次という、こういう緊急医療についてもピラミッドを形成している。こういう中で、地域各拠点にこういうことを整備することを目標として掲げながら、その実現に向かって努力をしたいと思います。

○足立信也君 いい提案と言っていただきましたけれども、やはり私は足りない部分はそのところだと思っていますし、これは我が党の考え方でもその部分をやっぱり広めていかなければいけないという形で、これから法案提出も含めて出していきますので、また議論したいと、そのように思います。
 最後の議題としては、議題といいますか、提案としては、十一月三十日に、これは新聞報道で来年の通常国会に法案を提出というふうに報じられました、いわゆる診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する第二次試案、この件について質問いたします。
 厚生労働省の方は御存じのように、全国の特に勤務医を中心として大変な批判の声が上がっているというのはもう御存じのとおりです。その矛先が、現時点では厚生労働省というよりも医師会やあるいは学会幹部に向かわんとしておりますが、このことも認識していると思います。
 私も実はその立場、ある意味同じような立場を取りたいと思っている人間ですが、この問題は何なのかと。これは大きく分けますと、ちょっと言葉で言いますが、問題点としては、予期しない死の届出の全例義務化、義務違反はペナルティー、これが一点。それから、委員会の構成メンバー、特にそこに被害者代表が入っているということ。それから調査委員会で調べた報告書は、民事訴訟、それから刑事事案として利用する、行政処分にも利用する、この点。
 要するに、これは完璧な、徹底的な統制手段ですね。これを見せられたら、現場としてはやっぱり萎縮医療になっていきますよ。現時点でももう副作用報告、厚生労働省あるいは医療機能評価機構も含めて副作用報告がかなり減少してきていますね。その報告を出したことが将来、医療事故の原因はそこの報告にあったと、副作用、従来の治療法でやったけれども間違って、いい経験をしたというような症例報告も出せなくなってきている事態です。
 それから、当然のことながらこれ憲法第三十八条一項、自己負罪拒否特権ですね。自分に不都合なことを全例届け出て、そこで全部話さなきゃいけないのかと。まあ憲法にも抵触する問題も含まれています。
 これは様々問題が今私が挙げましたようにあります。そもそもこれは医療界のバイブルといいますかヘルシンキ宣言ですね、患者さんのことを考えたヘルシンキ宣言、これに反している内容なんですよ、実際に申し上げますと。
 なぜこんなことになったのかなということをちょっと私なりの原因分析をしたいと思っています。
 これは、福島県立大野病院の産婦人科の医師の逮捕事案以来、死因究明は絶対にやるべきだと、調査委員会設置すべきだと、これは皆さん共通の思いです。そのことと、特に来年もう施行されるかもしれない無過失補償制度、このことが私は混同されているような気がしてならないんです。
 なぜかといいますと、無過失補償制度というのはそもそもは、そもそもは過失の程度に応じてその責任を決めて、その中で医師に過失がない場合に無過失補償制度ということだったわけです。過失認定が大前提にあるわけです。これは医療事故というよりも医療過誤ですね、これがターゲットだったわけです。

   〔委員長退席、理事谷博之君着席〕
 この無過失補償制度は、幸い現時点では通常分娩による脳性麻痺だけに限定されそうですが、欧米の方向を見ていますと、それから私自身あるいは大臣の考え方も、その疾患単位だけ、その範囲だけではとても足りない話だろうということは共通に認識されていると思います。これを広げていくに当たって、無過失補償制度をやるためには、やっぱり過失の認定と、それを処分する機関と、それから支払機関と、不可欠な要素なわけですよ。その過失の認定の機関を、先日自民党の方から日本医療機能評価機構に対して答申を求めた無過失補償制度のその答申の文面を拝見しましたけれども、その過失認定の委員会が死因究明の調査委員会とほぼ同じと、あるいはそれを利用するというような考えがあるんですね。ここに問題があるんですよ。
 そもそも死因究明の役割というのは、患者さん側あるいは遺族側と医療者側双方の納得ですよ。説明があって、そして理解する。お互いに納得が得られれば、それが一番いい。そういう死因究明のための制度を今考えているわけです。そのことと軌を一にして無過失補償制度の議論が上がってきたがために、過失の認定委員会というものを一緒にしようという発想がそもそも間違っている。医療事故というものはヒューマンエラーもあります、システムエラーもある、そして誤解によって生まれた不信もある。そのことを解決するための委員会と過失を認定するための委員会というものは一緒じゃないんですよ。全く別物だと。
 残念ながら、日本には先ほど言いましたヒューマンエラーやシステムエラーの考え方が非常に弱いです。何かあったら、それは医療者側の責任だろうという発想が非常に強い。まずやるべきは、当然のことながら医療従事者の自浄機関があるべきなんですが、そもそも医療事故というものはなぜ起きるのか。そのことの共通認識がないから、そのことをやるのがまず最初なんです。そして、無過失補償制度に行くんであれば、これは別の意味での過失認定が当然必要になってくるという発想に立たないと、本質が見えていないと思うんです。
 このことをまずは私は提案したいんですが、私の今までのいろんな会議での認識の中でそこに問題点があるような気がしてならない。そのことについて大臣の見解をまず伺いたいなと思います。

○国務大臣(舛添要一君) ノーフォールトの認定、いわゆる無過失のこの認定、それから今おっしゃった死因の究明、別の見方をすれば、相当オーバーラップする部分は当然あります。
 しかし、今委員が重要な御指摘をなさったのは、結局、例えば医師の立場に立ってみたときに、その死因究明の結果というものがどういうふうに使われるかというのは非常にこれはある意味で問題になり得るわけですから、取りあえず死因究明という一つのステップが、これはどの患者さん見てもそのことを一番求めているわけです、アンケートを見ても。ですから、そこをまずきちんとやる。そして、じゃ、次にこの過失の認定をやる、何%過失があったか。それはまた非常に別の角度からもやっていかないといけない。
 ですから、これも私もまだ完全に整理できていないんですけれども、完全に分離した全く別の委員会という形で設けてやるのか、ないしはその死因究明制度の委員会の一部に仕事をさせるのか。しかし、今の委員の、足立先生の提案からいうと、これはむしろ完全に分けた方がすっきりするということだろうというふうに思います。ですから、そういうことも含めてきちんとこれは議論をしていく。
 自民党の中でもそのことを検討しているチームがありますけれども、要するに、極めて重大な過失でない限りは、例えば死因究明の委員会に出てきた結果を民事、刑事含めて使わないという歯止めを掛けたいという案を聞いております。
 しかし、これも一つの考え方ですけれども、委員のおっしゃった提言にすればより更に一歩進んだ形になりますんで、というのは、大野病院のケース、これはもちろん私は個人的に重大な過失とは思いません。しかし、現に逮捕されていますから、歯止めとして重要であるかどうかというのは議論が必要だと思いますんで、あくまで厚生省の出した案は一つのたたき台として、広く議論を踏まえた上で、パブリックコメントを含め、また民主党の皆さん方や他の委員の皆さん方の御意見も賜ってよりいいものにしていきたいと思います。

   〔理事谷博之君退席、委員長着席〕
 むしろ、私がもう一つ疑問なのは、患者の代表がそこに入っていることのプラスマイナスについての評価をどうするかを若干悩んでいる面がございます。その点について、もし時間の許す限り、むしろ補強的に委員の御意見が賜れればと思います。

○足立信也君 繰り返しになるかもしれません。
 死因究明、これは患者と医療従事者双方の納得、紛争解決のための死因究明であるべきなんですね。ということは、説明と話合いの場を提供する紛争処理機関というのが大事、このことは指摘したい。大臣がよく言われている医療ADR、これも当然必要になってくる。それと、無過失補償の過失認定というものは、これはもう過失のグレーディングといいますかね、ということですから、そこの点はしっかりわきまえていただきたいと思います。
 最後に、一分間で。
 先ほど言いましたが、これは医師のバイブルと言われるヘルシンキ宣言を、これを踏襲した形で、平成十六年、日本医師会が医師の職業倫理指針というものを出しています。これをちょっと紹介したいと思います。
 これは、この報告制度というものは、医師及び医療施設の設置者、管理者が過失を把握する必要がある、その原因を究明して将来の再発防止に役立てなければいけない。したがって、施設内で作成、提出する報告書は自発的なものとし、外部に公表する必要はないものとするべきである。同時に、過失や事故を報告したことにより不利益処分がなされないように制度設計する必要があるというのが倫理指針でございます。
 この方向性に基づいて私どもも、もし来年法案提出されるんであれば、私どももしっかりした考えに基づいた法案提出するつもりでおりますので、また議論したいと思います。ありがとうございました。




20071204厚生労働委員会会議録より
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