国会会議録
 

平成19年6月18日- - 厚生労働委員会


○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
  五人の参考人の皆様、本日はお忙しい中、ありがとうございます。
  早速質問に入らせていただきます。
  私、佐藤先生から順番にちょっとお聞きしたいと思っております。
  佐藤先生は、国民の立場に立ってということをかなり強調されました。それは、その後、西沢さんの方からありましたが、私は、利便性と、それから安定感、そして不安を払拭することと、それが国民の立場に立ってということだと私は思っております。
  いろんなところでこの年金のことを話しますと、国民の皆さんはやはり今まで国にお任せして、あるいは政府にお任せしてやったことを責任放棄されているような気がすると、六分割して民間にという言葉自体に不安、一番大きな不安を持っているというのが私の実感でございます。
  そこで、社会保険庁のことをずさんだと一言で言われましたが、どうも行政一般論になっているような気がします。社会保険庁のどこが問題だったのかということが余りなかったような気がします。
  私は、厚生労働省からのトップ、ある一部の、一番上の層、それから次が社会保険庁の第二層、そして昔の地方事務官の第三層と、この構造でお互いに一体感を持って行動してこなかったと、それぞれが自分たちのところばかり目を向けていたという問題なんだろうと私はとらえております。そして、私たちは、これは年金機構に変わった場合もそうですが、これは社会保険庁だけの問題ではなくて厚生労働省全体の問題にかかわってきていると、そのようにとらえているんですね。厚生労働省の官僚の方と、それから今度新しくできる機構、特殊法人や独立行政法人、そしてそこに関連する業者と、三位一体のもたれ合いと私は言っておりますが、その構造がまた続くんではないかということを感じているわけです。
  そこで、ちょっとよろしいですか、先生は有識者会議の座長をされているということですが、厚生労働委員のメンバーの方は皆さん、我が党の櫻井議員の質問でこの厚生年金保険制度回顧録というものの内容を大体の方が知っております。厚生年金始めた当時あるいは社保庁をつくる当時の、どういう目的でこの年金を始めたかということが赤裸々につづられております。
  そこで、佐藤先生はラグビー部長をされておられて、私、社会保険というのは正にワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンだと思っているんです、それが正しいやり方だと。しかし、これに書いてある設立の過程では、決してそのような考え方ではないということを皆さん大体御存じなんです。
  そこで、有識者会議で過去の検証、どういう目的で年金を導入し社会保険庁を設立しというような検証はされたんでしょうか。

○参考人(佐藤英善君) 実は二段階になっておりまして、まず、私どもの前にもう一つ有識者会議が実はございました。その段階で基本的な問題点の洗い出しをしたと存じます。そこで基本的に、年金制度の責任をどこが持つかという基本的枠組みと、それからその執行機構につきましては行政機構の中で、それで扱うという基本線を既にお決めになっていたんですね。
  その上で私どもが具体的な組織の在り方を検討しておりましたので、結論を申しますと、今先生おっしゃったような過去の制度設計の段階までを検証したわけではありません。
  以上です。

○足立信也君 先ほど中村理事の質問の中で、データの管理が、これが一番の根本であって大事なことだと。そして、今の四つのコンピューター、NTTデータの四つのコンピューターシステムでやられているわけですね。
  それで、今、正にシステム開発、今のままではうまく使えない、機能が不十分だと、システム開発を今やられています。五年計画で、平成二十三年がゴールの予定だと思います。そのシステム開発をされている段階で新たに分割をして機構へ移すということが可能かどうかというのはどうお考えになりますか。

○参考人(佐藤英善君) これは、私どもの委員会の中に大山先生というその道の大家がおられまして、専門家がおられましたけれども、ITシステムの専門家でいらっしゃいますし、国全体のそういう情報化対応、これも全体をごらんになりながら検討なさっておられましたので、そちらの動きとの対応で動いていたと思うんですね。そういう形で進めておりました。
  それからもう一つは、データ管理その他の問題については、もちろん業務改革に大きく関係するものですから、当然、これまでの改革のプロセスその他については私どもが情報をいただいて、それで検討の素材にしてきた、こういうことです。

○足立信也君 それでは、杉山さんに質問いたします。
  私たちの考え方は、働き方の多様性というのがもちろん今あります。私自身も、基礎年金番号の前に四つの年金手帳を持っておりました。
  そこで、まず一元化という考え方が、このような事態を生むこともなかったのではなかろうかと、一元化ということをまず考えました。そして、徴収システムはやはりこれも一元化がいいのではないかと、西沢参考人のお話もございました。
  次に、今、少子高齢社会でやるべきことは賦課方式からの脱却なんですね。先ほど、年金は賦課方式だと断定されましたが、私は、賦課方式から脱却していく方向ではないと維持できないと思っております。
  そして、四番目が保険料の流用問題なんですね。平成十六年の予算委員会でも、当時の小泉総理も年金保険料は年金の給付以外に使うべきではないと。そしてまた、自民党のワーキンググループの中でもそれはある意味総意であったんではなかろうかと、そういうふうに認識しております。
  今回の法案で、今まで年金に関する事業が事務とそれ以外のものと二つに分かれておりました。事務的経費に関しては、保険料を使うという時限的な法案でやってまいりました。これが、先ほど教育という、あるいは広報というふうに言われましたけれども、年金に関する事業全体すべて保険料が使えるというふうに法案では読めるんですね。この点に関して、保険料の保険給付、年金給付以外への流用に関してはどのように考えられておられますか。

○参考人(杉山千佳君) 幾つかかなり根本的な大きな提案があったかと思うんですけれども、本当に大きな問題に関しては、今すぐ私の個人的な意見を申し上げることというのはとても難しくて、いろんなところで議論をしていく必要があるんだろうというふうに思います。
  で、一点、賦課方式をやめてはどうかという御意見がある……

○足立信也君 ちょっといいですか。保険料の流用の問題だけで結構です。

○参考人(杉山千佳君) 流用の部分だけでいいですか。はい。
  その件に関しては、税金であっても保険料であっても、国民の負担であるということに関しては同じ負担だなというのが正直な気持ちです。で、お財布がどっちから出てくるのかという辺りの話でありましょうというところで、どのように説明をしていただければいいのかというところが一個だろうというのと、あと、私の感覚としては、保険料の中でそういった事務手続を行うというのは別にいいんじゃないですかという気がするんですけれども。それは、年金を運用するために必要な事務のお金ですので、その中に教育であったりとか広報があるというところは、それこそその範囲の問題ではあろうかと思いますが、一つ一つ議論をしていけばよいことではないかと思います。
  以上です。

○足立信也君 法案を見ますと、年金事業に関するすべてが保険料を使えるというふうになっていると私は認識しております。
  それでは、西沢さんにお聞きします。
  今、使うときは税も保険料も同じだろうという御意見がございました。私たちは、利便性を考えて、徴収するときは同じ扱い、あるいは同じやり方でいいんではなかろうかという考え方です。そこで、海外の事例も含めて、西沢さんは触れられませんでしたが、これシャウプ勧告で、日本がそのとき、厚生省は抵抗し、大蔵省はほぼまとまっていた案、国会提出の直前に見送られたというシャウプ勧告のことなんですが、外国の事例も交えて、税と保険料徴収、これ保険料も強制徴収ですから、どのような利便性を、もう一度お示しください。

○参考人(西沢和彦君) 直近で税と保険料の徴収統合したのはイギリスです。
  イギリスは、まずこういったことを調べました。事業主に対してヒアリング及び統計の収集を行いました。それまでは税と保険料、個別の徴収でした。組織が別でした。従業員の源泉ですね、それは別々の徴収でした、国税と国民保険料。ところが、中小企業、中小零細企業ほど源泉徴収の事務負担が多いといったことを彼らは見いだしました。これは当然のことです、規模の利益が働きませんので。大企業であれば、一つのコンピューターソフトで事務できますから、従業員一人当たりのコストは安いですけれども。そこでイギリスは、では政府に二枚出している紙を一枚にしようと、このことによって特に中小零細事業者の方々の事務負担が減ると、こういったことで国税と社会保険料の徴収統合を行ってきたわけです。
  これが直近の例でして、それ以前にも既にアメリカやカナダ、スウェーデン、イタリア、G7の諸国の中ではドイツ、フランス、日本を除き、G7諸国プラススウェーデンは一体的徴収をしていると。ドイツ、フランスにつきましては、公的年金、公的健康保険とはいいましても、元々私的年金、私的健康保険から発足しております。政府の制度とは一歩引いた制度でスタートしておる経緯もありまして、個別に徴収しているといった次第でございます。

○足立信也君 はい、よく分かりました。
  そこで、大蔵省はほぼその方向でいいんではなかろうかとまとめておられた。厚生省はどうも抵抗したみたいです。なぜだと思いますか。

○参考人(西沢和彦君) シャウプ勧告が出ました後、大蔵省がいったん法案までまとめて、またそれが審議入りせずに廃案になったといったことを、私もそこまでは聞いております。
  以下申し上げることは推測ですけれども、当時は大蔵省、厚生省、労働省がそれぞれ税、社会保険料を集めて、国として集めておりましたが、推測で申し上げますと、国税で一括徴収してそれで一般会計なりに入ってしまった、あるいは国税の人が汗をかいて集めたお金は厚生省、労働省もなかなか自由に使いにくいといった事情があったというふうに私は推測をいたしますが、ちょっと推測で恐縮ですが、以上です。

○足立信也君 先日のテレビ中継があった委員会質問で、これ佐藤先生にお伺いいたします、でも自民党の片山議員がおっしゃっておりました、税と社会保険料は違うだろうと。私は、不規則発言になるかもしれませんが、具体的にどこが違うからできないんだということを言ってほしいということを申し上げました。
  佐藤先生は長年かかわっていられると思うんですが、なぜ徴収、税と保険料、一体的にできないとお考えですか。

○参考人(佐藤英善君) まず、シャウプ勧告の、昭和二十四年でございましたけど、これはもう国、地方の財政問題を含めた改革論議なんですね、一つはね。そういう側面から私も、専門領域に近いものですから詳しく存じておりますが、そこで、その話をすると長くなりますから。
  まず今日的に見た場合、先ほど西沢参考人の御発言等があって大変勉強になった点は多うございますが、基本的に私は、例えば今、取る側からいかに徴収率を上げるかという観点からお考えになるのか、それからもう一つは、年金というものの社会福祉性ですよね、これをどうするかという、そういう観点を僕は頭の中に描いているんですね。そうすると、国税庁の皆さんは果たしてそういう福祉的観点から政策立案ができるかという問題が一つございますよね。そうすると、先ほど私が言っていることと矛盾するんですよね。つまり、国民の立場で、オール・フォー・ワンでありますけど、そういうことにはならないんじゃありませんか。予算の締め付けやるのは大蔵省さん、国税庁はその外局でありますから、制約をするのはね、こういうことだと思うんですよね。ところが、やはり本質的に政策が異質なんですよね。その政策立案と、それからそのためにそれを支える財源をどうするか。
  それをもし、先ほどおっしゃったように税制で持っていくということであればそれは割と分かりやすいと思うんですけど、そちらの議論をきちっとしないで、取る方、観点からお考えだけになるというのは、ちょっと私は賛成しかねる。老後の安心を大蔵省さんが考えている、財務省さんが考えていただけるんだったら別ですが、そういう政策立案は御専門じゃないんですよね。そういうことがまず根本的にあるんで、まだほかにもいろいろありますがね。

○足立信也君 目的によって、各省庁それぞれ目的が異なっていて、そしてまたそれが縦割りという表現もあるわけですね。両面のお答えだったというふうに認識いたしました。
  済みません、磯村さんにお伺いします。
  この法案、日本年金機構法案だけでも二つの第三者機関あるいは第三者委員会ができるんですね、もう公布の日からできるわけです。それがアウトソーシングの推進であったり、職員の採用のシステムづくりですね。さらに、それに加えて宙に浮いた年金といいますか、消えた年金記録の問題で、また検証委員会と、各地方地方に新たな第三者委員会、四つできるようになるわけですね。
  社会保険庁は人員削減計画をずっと続けておりまして、たしか三、四年で五千人だったかと思うんですね。新しい機構に変えようと言っている段階、その前に第三者委員会を四つつくってやっていく、人員削減してやっていくと。これに対してどのように思われますか。

○参考人(磯村元史君) どちらが先かという問題が一つあろうかと思うんですが、ここのところはまだ、私、はっきりどなたからもその辺の段取りを伺っている機会がございません。
  仮に、記録管理の判定のための第三者委員会を先につくるということであれば、あるべき論としては、人員削減の前にそちらの方に人員を移すべきじゃないのかなと思います。
  以上です。

○足立信也君 山田さん、申し訳ございませんですが、時間がありませんので。
  私は、社会保険庁という名前を消して、似て非なるものなのかあるいは別物なのか分からないような段階だと思うんですが、要は、今までのこの回顧録も含めて、社会保険庁のような役割の機関をなくすというのが大事なんだと、そのように思っております。
  社会保険というものがどういう役割を担っているのかをしっかり認識していただいて、そして徴収の面は、それは目的が違うだろうということになればすべての省庁にわたって似たような機関がまた必要になってくるという無駄の問題もございますし、私はやはり利便性というものは何よりも欠かせないんだろう、そしてまた、今国民の皆さんに、今までずっと信頼してきたのに、国のやっていることだから信頼してきたのにと、それに対して裏切られたような気持ち、この不安感を払拭することがまず大事だと思っております。
  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。


070618厚生労働委員会会議録より
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