国会会議録
 

平成19年5月22日- - 厚生労働委員会


○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
  先週、前回は、総理大臣の本会議答弁を基に質疑をいたしました。今日もそれを踏襲いたしますが、この法案の条文に沿った形で今日はやりたいと思っております。
  主に前半は、今まで質疑の中でちょっと視点が足りないかなと私自身が思っております専門資格あるいは専門職の短時間労働者、このことがちょっと弱いような気がいたしまして、その点についてまず初めに集中的にお聞きします。
  これは八条関係、差別的取扱いの禁止のところにかかわると思うんですが、例えば総務省の労働力調査で、平成十七年、女性の短時間雇用者の多い職業は、一番が卸売・小売業、二番目が医療、福祉の分野になっています。これは、特に介護や社会福祉、障害者福祉の面で女性が多いと実感されると思いますが、私は、実は今医療機関というか病院、ここに非常に多くの短時間労働者がいるということをまず指摘して、その点について聞いていきたいと思っています。
  そこで、まず医療機関の場合、どういう短時間労働者がいるかということなんですが、まず嘱託。これは非常に専門性が高いので、その業種ごとにいろんな労働条件が付けられています。まず嘱託がいるという。私もそうです。それから臨時職員。これもやはり専門職がそれぞれ異なっておりますから、それぞれ単価が違います。専門職。で、臨時採用、そしてパート、アルバイト。これは比較的ルーチンワークに近いところがありまして、単発的なんですね。ここでパート、アルバイトが出てくるわけです。
  先ほど挙げました嘱託や臨時採用あるいはアルバイト、パートというのは、これすべて今回審議されております法案に該当する短時間労働者です、すべてがですね。特に専門職の場合は、正職員との業務区別は全くないんですね。ただ、ありますのは夜勤がないとか当直がないとか、そういう違いで、正職員ではなくなってきているわけです。
  これは医療機関が今どうしてそういう短時間労働者が非常に多いのかということは、明らかにこれはもうローコスト化です、病院のローコスト。一つの手としてアウトソーシングですね。請負や派遣が非常に増えていることと、そして二番目が今回ありますような非常勤の採用です。これはもう病院経営上ローコスト化と、人件費の削減ということが主なねらいなわけです。
  初めに、医師以外のコメディカルについてお聞きします。
  私、二、三の病院で調査といいますか調べました。例を挙げますと、看護師全部で四百三十二人中非常勤が四十九名、一一%、放射線技師や臨床検査技師あるいは理学療法士百三十二人中二十八名、二一%が非常勤、介護の関係、百二十九人中二十八名が、つまり二二%が非常勤、そして事務職は百七十八人中八十二名、四六%が非常勤。つまり、医師以外で八百七十一人中百八十七名、二一%が非常勤、こういうことになっているわけですね。患者さんから見ると、この方は正職員あるいは非常勤あるいは短時間労働と、全く区別付きません。患者さんから見れば同じです。
  で、その短時間労働者、今回の法案に該当する方の、先ほど言いましたように専門職に限って私今聞いております。そのミッションですね、使命とか責任とか、そういうことは正規の労働者、正規の職員とその短時間労働者、違いがあるんでしょうか。よろしいですか。

○政府参考人(松谷有希雄君) 医療機関で働いているコメディカルスタッフ、技術職員、いろいろな職種の方がいらっしゃいますけれども、その働き方もそれぞれの専門に沿っていろいろ違うというふうに承知しております。
  そのミッションでございますけれども、これはフルタイムの雇用の方あるいは短時間労働の方、それぞれで違うのかという御質問でございますけれども、技術職としてのミッション、患者さんに対するその奉仕の仕方といいますか仕事の仕方ということについては変わらないものだと思っております。

○足立信也君 そうなんですね。患者さんに対しては、やはり病院の職員というのは非常勤であろうが正規の職員であろうが、ミッションとしては変わらない、これが当然皆さんそう思われているでありましょうし、正にそのとおりです。
  じゃ次に、これ医師についてお聞きいたします。
  前々回の質問で、この四月十日に開かれた地域医療支援中央会議に出されました日本病院会の資料、このことに対して柳澤大臣の評価をお聞きしたんですけれども、病院勤務医の実態をうかがい知ることができたと、できるという答弁をいただきました。ですから、それに基づいて、先ほどはコメディカルですが、今回は医師についてお聞きします。
  これは、十五年の四月と十八年の四月を比較した場合に、病院にとって、この管理者に聞いた場合ですね、医師が増えたというところは四九・七%、半分あるんです。確かに増えていると私は思いますよ。医師は増えております。で、減ったが三四%です。ところが、これから質問ですが、病院経営や医師定数などを考慮しないで、地域の医療ニーズに対して良質かつ適切な医療を提供するためには医師は足りているかという設問がございます。これに対する回答、勤務医、五千、済みません、五百七十六の病院管理者ですね、の回答を教えてください。

○政府参考人(松谷有希雄君) 社団法人日本病院会が実施をいたしました医師確保に係る調査におきましては、地域の医療ニーズに対して良質かつ適切な医療を提供する観点から医師数が現実的に足りているかという質問がございまして、これに対する回答でございますけれども、医師が足りていると回答したのは五十三病院、九・五%であり、医師が足りていないと回答したのは五百三病院、九〇・五%という結果となっております。

○足立信也君 先ほど言いましたように、病院管理者から見ると医師は増えているんです。病院の医師は増えている。しかし、足りているかどうかとなると、九〇%以上が足りないと答えているんです。これは何か。二つ考えられると思うんですね。医師の仕事内容が変わったということと、もう一つは、その仕事をやらなければいけない実質人数が減ったということです。このどちらかが考えられるんです。
  勤務医五千六百三十五人が回答しているわけですが、計算しますと、九三%がこれ常勤の医師が回答しています。ほとんどが常勤の医師が回答しております。そこで、勤務時間が増えた人と、三年前に比べてですね、勤務時間が増えた人と減った人の割合及び増えた理由、なぜ勤務時間が増えたのか、この理由の最も多いものを教えてください。

○政府参考人(松谷有希雄君) 先ほどの日本病院会の実施いたしました勤務医に関する意識調査の中で、勤務時間が五年前と比べて変わったかという質問がございまして、これに対して、勤務時間が増えたというふうに回答した者は二千百六十八名、三八・五%であり、勤務時間が減ったと回答したのは九百八名、一六・一%でございました。なお、勤務時間は変わらないと回答された方が二千二百三十六名、三九・七%ございました。
  この勤務時間が増えたと回答された二千百六十八名の方に対してその理由を尋ねていらっしゃいますが、最も多く挙げられた理由は、患者数及び診療時間が増えたほどに医師が増えていないというものでございまして、これが六五・八%となってございます。また、書類を書く時間が増えたというものが五四・七%、会議等が増えたというものが四五・八%、これは複数回答でございますので数が一〇〇%以上になってございますが、そういう状況でございます。

○足立信也君 ポイントだけ繰り返しますね。
  医師は増えているんです。そして、常勤の方の勤務時間も増えているんです。なぜなのか。それは、今ございましたように、患者数及び診療時間が増えたのに医師が増えていないのと、書類を書く時間が増えた、会議が増えたと。これは、特に後者の二つは、主に常勤の医師が負っている内容なんですね。つまり、医師は増えた、しかし勤務時間が増えた原因の多くは、常勤の方にその内容の負担が増えてきているということが今のアンケートの数値から私は言えるんだと思います。
  そこで、これ昨年の医療制度改革のときにデータとして私出した記憶があるんですが、病院への立入検査で、医師充足状況、平成十六年度の医師充足状況というのがございます。常勤の医師で、病院の患者対医師の比率をきちっと適合しているというのは三五%しかありません。そして、今全国で常勤の医師は十三万一千人、非常勤の医師は十二万三千人ですね。先ほど私コメディカルのことを申し上げました。大体二割以上が非常勤であると。ところが、医師はほとんど同数ですね、常勤と非常勤が。こういう事態になっているんです。残念ながら、この調査は平成十六年に一回行われただけで、その前も後もどうもないみたいなんですね。
  私の実感として、病院に勤務する医師は非常勤が非常に増えていると思います。これは以前も柳澤大臣と何度か議論しましたが、産婦人科も小児科も明らかに三十代、妊娠、出産を契機として常勤を辞めていかれる、五割以上の方が辞めていかれる。これも明らかに示していることで、病院の非常勤、つまり今回の法案ではパート、短時間労働者ですから、先ほど嘱託のこと、それから非常勤採用、それからパート、アルバイトのこと、すべて含んでいますから、この働く形態の方が医療機関で非常に増えてきているということが実態なんですね。
  その目的は、先ほど言いましたようにローコスト化。診療報酬はここ十年ずっと下がっているわけですね。そして、となると、患者数を増やしていくしかない。患者数を増やしていくためには医師を始め従業員、仕事にかかわる人を増やしていくしかないわけですね。となると、診療報酬が下がっているわけですから、給料を下げるしかないわけですね。そのためにはどうするか、人件費下げるためにはどうするか。短時間労働者を増やすしかないわけです。短時間労働者を増やしたがために、正規の職員は減ってしまった。正規の職員は責任と負担が増大してきた。会議や資料、先ほどお答えになったとおりです。その結果、どうなったか。正規の方が病院を辞めていくと。
  私は、これはそういう循環になっているんだと思うんですね。これははっきり言うと、専門職の使い捨てじゃないかと私は思っています。こういうことが悪循環として今現実の問題として起きているんだと私はそう解釈しておりますが、大臣の見解はいかがでしょうか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 病院のお医者様について、常勤というか正規のお医者さんと、いわゆる短時間労働の形を取るお医者さんとの組合せのお話がございました。
  私どもとしましては、日中勤務のみに短時間のお医者さんが勤務されるという場合には、常勤のお医者さんが夜勤をされるというようなことになって、非常にその点きついという面もありますが、同時に、例えば短時間勤務を希望する女性が病院で外来、日中やっていただくということになると、常勤の勤務が入院診療に集中できるというような、これは望ましいというか、そういうことで、常勤の練達の先生が入院診療に集中できれば、病院における治療の在り方としては私どもは望ましい面があるというふうに考えておりまして、ここのところはむしろ専門の足立委員なぞのお考えもお聞かせいただきたい。そういう、うまく本来の病院の在り方からポジティブに評価できる面もあるのではないかと、こういうようにも考えております。
  しかし、私どもは、病院勤務医の先生方の勤務状況が厳しいということは、これはもう本当に認識を十分していると考えておりまして、この先生方の負担の改善を図るために、私どもとして、現在でも拠点病院づくり、あるいは病診の連携を密にするためのネットワークの構築、さらには、先ほど話題になりました事務の負担というようなものについては、コメディカルというか、その他の職種との役割分担と、こういうようなものを様々講じまして、先生方が本来の使命というか、そういうものに時間をお割きいただけるような、そういう環境をしっかり調整をしていかなければならないということを考えて、そういう取組をいたしておるということでございます。

○足立信也君 昨年の参議院にあります少子高齢調査会の第一回目、武見副大臣出席されていたときだと思いますが、民間では、例えば育児、介護のときにはワークシェアですね、一人のポストを二人でシェアし合うということができていたんだけども、どうも公務員はないんだということが問題指摘されまして、それは早急に法改正しなきゃいけない、まあそのことが功を奏したかどうかは別にして、今国会で国家公務員と地方公務員、そういういわゆるワークシェアができるように改正されました。
  私は、今の話ですと、結構医療機関というのは、ある意味ほかの短時間労働者と比べていいのは、自分の意思でというのが相当強いんですね。これはいいことだと私は思っております。やるべきことは、やっぱり短時間正社員、正規の職員で短時間労働、これが働き方の多様性ですよ。まず私は、ここでやる、ここに取り組むべきだと思っております。
  では、次は九条関係ですね。均衡の取れた待遇の確保、ここに行きたいと思います。
  これもやはり総理の答弁で、総理は、待遇改善に関して努力義務であっても行政指導の対象とするんだと、そのようにおっしゃいました。
  そこで、この九条の一項、二項で、特に一項の方は、意欲、能力又は経験等を勘案しと、そして、決定するように努めるものとする。この勘案する努力義務があるわけですね。この勘案する努力義務というのは、行政指導としてどう評価するのか、具体的によく分からないんですが、教えてください。

○副大臣(武見敬三君) 御指摘のとおり、この九条一項でありますけれども、これはパート労働者の働き方やそれから貢献の仕方、これについて評価をして、何らかの形でそれを賃金に反映させようという考え方であります。このパート労働者の職務の内容、職務の成果、それから意欲と能力、それから経験などを勘案して賃金を決定するよう求めるという、正にこれは努力義務という形で設定されております。
  具体的な例を挙げますと、例えば事務の仕事、それから工場の製造ラインの仕事、それから社長秘書の仕事といったような、この三つの職務につきまして、職務の内容を勘案せずに一律の時給としている現状を改めまして、それぞれの職務ごとに賃金を定めるというようにしようと考えております。それからまた、工場の製造ラインの中で組立てを行う職務について、経験によって熟練度が増しても一律の時給としている現状というもの、これも改めようと。そしてそれから、熟練度に応じて賃金を定めるようにしようと、こういう考え方です。
  こういった措置を講じていく場合にはこの九条を履行しているものと評価するというふうに私どもは考えております。

○足立信也君 具体的で、よく分かりました。去年の教育基本法みたいに、道徳心をどう評価するんだというのと似たような議論で、勘案してますよと言えば終わるのかというふうな懸念がありますので、具体的に教えていただいて、どうもありがとうございます。
  続きまして、十二条関係、通常の労働者への転換の推進ですね、この項目に入りたいと思います。
  前回、私、OECDの対日経済審査報告書、ポリシーブリーフ、お見せして質問いたしました。つまり、日本は非正規労働から正規になった割合が非常に低いと、そこで労働の二極化が固定してしまっているという評価がありました。
  そこで、この正規労働者への転換の推進に関して総理は、正社員への転換推進も、まあ三年前じゃないですけど、企業もいろいろだと、その企業によっていろんな考え方があるからということで、一律に同一の措置を強制することはかえって実効性を欠くと、そのようにおっしゃいました。これは、その措置の仕方一つ一つが余りに硬直的な考えにすぎないかなと私は思うんですよ。すべての企業に対して一律に同一の措置を強制するということは、そういうことを提案、質問者もしたわけではなくて、そのことがかえって実効性を欠くというのは、どうも私は納得ができない答弁なんですが、大臣もそのように考えられておられるんでしょうか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 企業における正社員の募集、採用というものですけれども、これは、今委員はいろいろな考え方が企業によってあるからというふうにお取りになられているわけですが、このいろいろというのは、企業の規模であるとかあるいは状況であるとかというようなことを、むしろ客観的な方を念頭に置いておりまして、例えば毎年多数の正社員を採用するというような企業に対して、数年に一回正社員を、少数というか、極端な場合には一名ぽつんと採用するというようなのが企業の全体として見たところの実態だということでございます。
  そういたしますと、前者の毎年正社員を多数採用するようなそういう企業にあっては、むしろ制度を導入しておくというようなことが正社員化を進めるためのありようとして考えられるし、また我々として評価できると。
  それに対して、数年に一回、正社員をもう本当にごく少数入れ替える中小企業のような場合には、この法文をそのまま言うとちょっと大げさになっちゃうわけですけれども、今度正社員やるから、外の人もやっぱり募集するけれども、君もちゃんと選考の申出をするようにというような格好で周知をするというようなことで、そういう、それぞれ客観的に置かれた企業の状況、それに伴う正社員募集のありようというものに対応したような、そういう方法というのはいろいろであろうと、こういうふうに考えておりまして、そういうようなことから総理もここで答弁をなさったわけですけれども、一律に同一の措置を強制することはかえって実効は上がらぬじゃないかと、こういうことを申したというふうに、私ども検討の結果こうなった理由として、あるいは背景としてそういうふうに考えたと、こういうことでございます。

○足立信也君 これは、短時間労働者から正規、通常の労働者への転換の推進の話ですから、私は今の答弁ですと、会社の客観的な指標としていろいろあると。それは、私はそこでもう既に働いている短時間労働者の方の方がよく知っているんだと思いますよ、会社の状況は。ですから、例えば私は民主党案のように希望を優先しなさいということは言えるんじゃないかと思うんですよ。
  先ほど大臣の答弁で、周知することについて具体的に君もどうだという話を今されました。それであればいいと思うんですよ。ところが、この条文は君もどうだというのはないんですよね。周知すればいいということなので、その君もどうだいということが、つまりそれは優先したらどうかという意味合いだと思うんですね、私は。このことを、周知というのはいろんな手段あるわけですよね。いろんな手段があることの中にそれは当然入るかもしれませんが、やっぱり私たちは、短時間労働者の希望をまず優先しましょうということは入れるべきだという主張をしてきたんですね。そのことだけはお伝えしておきたいと思います。
  その中で、今私が申し上げたようなうちの案ではございますが、総理が、新規学卒者の就職の機会を制限するおそれがあると、こうおっしゃったですね。これは総理は、御案内のように再チャレンジ支援策ということで言っておるわけですが、就職氷河期にちょうど就職の時期があった方、あるいは団塊ジュニアの方々、この方々が正規雇用への道、それもまた再チャレンジの一番重要なことだとおっしゃっているわけで、それが新規学卒者の就職の機会を制限するというのは何も一律に全部正規に変えなさいと言っているわけでもありませんし、このことは、再チャレンジ支援策と短時間労働者の希望を優先するということが新規学卒者の就職の機会を制限するというふうにおっしゃると、意味合いがまるで逆のことを言っているんじゃないかと私はとらえるんですね。そこのところの説明をもう少し詳しく、再チャレンジとは全然矛盾しない答弁の内容であるということを説明していただけますか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 民主党さんの案もそういうことを配慮しながらのような条件が付いた優先的な採用ということだったかと記憶しておりますけれども、いずれにいたしましても、現に短時間労働という形で事業所にいる人をもう絶対的な優先順位で高めておくと、こういうことはやっぱり硬直的に過ぎる制度ではないかという評価がありまして、その一つの、まあ何というか、硬直的な制度を入れた場合の弊害を分かりやすくするために新卒者をもう完全に排除してしまうというか、そういう何か順番みたいな格好になってしまうというのはいかがだろうかという懸念を多分総理はここで言われたんだろうと、その限りでそういうふうに言われたんだろうというように思うわけでございます。
  いずれにいたしましても、私どもとしては、再チャレンジ、何度でもチャレンジができる、そういう社会がいい社会。そういうふうに何回も機会が与えられる、一度くじけてもあるいは失敗してもまたチャレンジができる、機会を確保できるという社会がいい社会ということでございまして、したがいまして、その優先順位をもらえなければそういう社会ではないというふうに決め付けるというか、考えてしまうということはちょっと当たらないんではないか。そういうことでなくても、要するにチャレンジができるということでございますから、私は、結果が保障されなければ再チャレンジにはふさわしくないということまで言うことが再チャレンジということではなく、機会が与えられるということで再チャレンジ社会ということの我々の理念と申しますか、そういうものとの整合性は取れているんではないかと、このように考えます。

○足立信也君 今の御答弁で、私ちょっと腑に落ちたのは、要するに絶対的な優先権を我が党としては主張していると、そういうふうに……

○国務大臣(柳澤伯夫君) 配慮はしているけれども。

○足立信也君 ええ、解釈したと、あるいは曲解したと、あるいは誤解したということであれば、この発言、私はああそうかなと思います。そういうふうにとらえられたんだろうということでございます。
  次に行きます。次はILO条約についてです。
  今まで、短時間労働者については第百号、第百五十六号と、日本はそれぞれ批准しております。その百五十六号条約についてなんですが、この条約の内容には家族的責任を有する労働者ということがございます。内容としては、家族的責任を有する労働者が職業を自由に選択する権利を行使することができるようにすること。そして、雇用条件、社会復帰で家族的責任を有する労働者のニーズを反映すること、こういうふうにあります、条約で。この家族的責任を有する労働者というものはどういう人を指すのかと。そして、先ほど柳澤議員の質問の中で短時間労働者のこの法に該当すると思われる人数とか、一定の目安が出されておりましたが、この家族的責任を有する短時間労働者というのはどれぐらいだと把握されているんでしょうか。

○政府参考人(大谷泰夫君) 百五十六号条約についての今お尋ねでありました。
  この中で、家族的責任を有する短時間労働者とはどういうものかということについては第一条に定義がございまして、「この条約は、被扶養者である子に対し責任を有する男女労働者であって、当該責任により経済活動への準備、参入若しくは参加の可能性又は経済活動における向上の可能性が制約されるものについて、適用する。」、それから第二項で、「この条約は、介護又は援助が明らかに必要な他の近親の家族に対し責任を有する男女労働者であって、当該責任により経済活動への準備、参入若しくは参加の可能性又は経済活動における向上の可能性が制約されるものについても、適用する。」というふうに規定されておりまして、これがここで言う家族的責任を有する労働者であるというふうに解釈するわけでありますが、それについて日本にどれぐらいいるかということにつきましては、実はこれにどんぴしゃの数字は現在把握しておりませんが、例えばパートタイム労働者の中での配偶関係等を見ますと、配偶者相手は男子で三五・四%、あるいは女性の場合で配偶者六九・〇%ということで、そういった中から今のような条文に当たる方が決まってくるんではないかというふうに考えています。確定した数字は持ち合わせておりません。

○足立信也君 となると、確定した数値は持ち合わせていないということですが、これは条約上、家族的責任を有する短時間労働者については、先ほど私が申し上げましたようなことをやらなければいけないというふうになっているわけですね。ということは、家族的責任を有しない方と有する方と、これは今まで、例えば指針とか指導内容とか、法的には多分この区別はないと思いますが、家族的責任を有している方、有していない方、そこの見極めてどういうことをやらなきゃいけないというのを今まで指導されたことはあるんですか。

○政府参考人(大谷泰夫君) パート労働者ということに着目して、そのパート労働者の中でいわゆる家族的責任を有する方とそうでない方ということで、指針や指導で使い分けをしたことはなかったと思います。

○足立信也君 いや、そこのないというのがやはり私は問題なんじゃないかと思うんですね。これ条約、一九九五年六月に日本は批准しているわけですね。つまり、この法案ができた一年後ですか。そこで、家族的責任を有する方と有しない方というのが実際どういうふうに分けられて、そこにやらなければならない義務規定とか努力義務とか、そういうことがないというのは、ほとんどこの条約の文面を余り重くはとらえてられないんじゃないかと。
  今実際、以前は家族的責任を有しない方の比率が私は高かったんだろうと思います。でも、今は家族的責任を有している方の方がはるかに多い、この現状があるわけですね。振り返ってこの条約を見ると、これは行政として不十分な対応だったんではないかと私は思うんですが、その点についてはコメントございますでしょうか。

○政府参考人(大谷泰夫君) これはパートタイム労働法のことだけで説明し切ることは難しゅうございまして、私もちょっとそこの当時の全体の労働法制との関係については承知しておりません。批准したということで、これは誠に雑駁な話でありますが、国内の法制についての整合性は取った上で批准したものというふうに考えているわけであります。
  それから、今回、じゃ、パートタイムの労働法がこれとの関係でどうかというふうに申しますと、これは両者のむしろ差異を設けてしているものは条文ではございませんけれども、いわゆる均衡の待遇を図る過程で、職務の言わば事細かに実態を精緻に比較して通常の労働者との関係を図っていく、そして違うものは違うなりにも均衡をしていこうという考え方で進めておりますので、労働者に対して、労働者の言わば選んだその働き方のチョイス、例えばほとんど正社員と同視すべき者、それからある一定期間は同視できるような状態な方、それから職務は一緒だけれどもやはり正社員並みのいわゆる勤務ローテーション取れない方、それから全然違う方、それぞれに応じた対応を今回も講じているわけでありますが、そうしたものは、結果としてこういった考え方と流れとしては矛盾することはないものではなかろうかと思います。

○足立信也君 いろいろ過去に手を付けられてやられたことをいろいろ取捨選択してみたら、多分それに該当するところはあるんではないかという雰囲気の答弁だったと思います。でも、はっきりそれで言えることは、明確に家族的責任を負う方とそうじゃない方という考え方に立脚した行政のかかわりというものが今までやはり私は希薄だったんだと、このことだけは指摘しておきたいと思います。
  そこで、同じくILO条約で百七十五号、これ日本はまだ批准しておりません。この批准に至らない主な理由というものはあるんでしょうか、何か教えてください。

○政府参考人(大谷泰夫君) パートタイム労働に関する条約、ILO第百七十五号条約におきましては、比較可能なフルタイム労働者、この法律でも通常の労働者との比較で構成しているわけでありますが、この比較可能なフルタイム労働者として、パート労働法における通常の労働者と類似の概念が定義されておりまして、これとの比較においてパート労働者と定義する体系を取っていると、いや、比較において定義していくという点では、これは私どものパート労働法と同じ考え方なんでありますが、しかしながら比較可能なフルタイム労働者につきまして、この条約では事業所の外にいる者も含む概念であるということになっておりまして、私どもの考え方では事業所の中で比較し得る通常の労働者を対象にしておりますので、そこにおいて両者の考え方が違っているということで、この条約については基本的に建て組みが違うということで批准できていないところでございます。

○足立信也君 そうでしょうか。先ほど私、専門職の短時間労働者ということで病院の例を挙げましたが、事業所の外だという方が相当数おられますよ。ここも取組が私足りないところじゃないかと思いますが、私は、この百七十五号が批准できない最大の理由は第十条じゃないかと思っていまして、フルタイム労働からパートタイム労働への転換、又はその逆の転換が任意に行われることを確保するための措置、ここにあるんじゃないかと。このことが今回の改正案でも一番、特に野党議員の方を中心に足りないと、それでは足りないというところに入ってきているんではないかと、私はそのように思っております。
  次に行きます。
  十五条、十六条及び第五章として書かれております短時間労働援助センターについてお聞きいたします。
  今回、現行法では短時間労働援助センターの業務の第一に挙げられていた短時間労働者の職業生活に関する調査研究、これが今回削除される。この、私は非常に重要だと思うんですが、調査研究というものはどこが行うようになるんでしょうか。

○政府参考人(大谷泰夫君) 短時間労働者の職業生活に関する調査研究につきましては、これ特定の団体に行わせる業務ではなくなるわけでありますが、仮に今後、厚生労働省としてこれらの調査研究が必要となる場合には、厚生労働省所管の独立行政法人や民間の調査研究機関を活用して実施することになるというふうに考えております。

○足立信也君 私、前回の質問のときに、短時間労働者に対する就業形態あるいは処遇、主な四つの検査を列挙をして皆さんにお示しいたしました。
  そこで、今申し上げましたように、このセンターの業務の第一に調査研究が挙げられていたんですね、今までは。そこで、この四つの今までの調査のほとんど規模は私同じだと思いますが、今日は資料として出しませんでしたけれども、この実際の調査研究のそれぞれの決算額というものを教えてください。

○政府参考人(大谷泰夫君) 御指摘のありました四件の調査研究事業の決算額でありますが、まず一つ目、平成十四年二月に二十一世紀職業財団が発表しました多様な就業形態の在り方に関する調査、これは決算額が三百七十二万八千円であります。それから二つ目の平成十八年一月に二十一世紀職業財団が発表しましたパートタイム労働者実態調査、この決算額は四百六十五万六千円であります。それから三つ目、平成十八年六月に労働政策研究・研修機構が発表いたしました正社員とパートタイマー等の均衡処遇に関する意識調査、この決算額が四百四万九千円であります。四つ目の平成十八年七月に労働政策研究・研修機構が発表いたしました多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査、この決算額は千五百一万五千円でございました。

○足立信也君 ちょっと質問を飛ばします。
  そこで、この四つの今の調査ですね、調査期間一か月、一か月のものが多いですし、それから人数、先ほど言いましたように対象者は四千人から五千人、まあ大体変わらないんですね。
  そこで金子政策統括官にお伺いしますが、この最後の、最後のといいますか平成十七年十二月の調査、報告は十八年になると思いますが、これだけが極めて高額なんですね。四倍近いですね。これはどうしてなんでしょうか。

○政府参考人(金子順一君) 今御指摘をいただきました調査でございますが、これは独立行政法人労働政策研究・研修機構において実施したものでございます。
  この調査は、実は対象といたしました事業所が一万社、それからその事業所で働く労働者十万人に対して郵送でアンケート調査を実施したものでございます。
  本調査に要した経費が他の調査に比べましてかなり多くなっているという御指摘でございますが、これは、当該法人から聞いているところでは、一点目として、統計的な精度を高めるために標本設計に当たって手間の掛かる方法を採用したということ、それから、対象がこれはパートタイム労働者だけではなくて非正規全般ということでございまして、特に直接雇用以外の外部から受け入れている人材、請負でございますとか派遣、こうした者も含めましてその企業に聞いているというようなことで、調査自体が非常に網羅的、総合的なものであったと。こういうようなことで、調査の内容、実施方法が他のものと異なるということで経費が掛かったというふうに承知をしているところでございます。
  ただ、今委員から御指摘がありましたように、回答者数という意味での調査対象者数はそんなに変わっていないということでございまして、これは、端的に申し上げれば、一万社に出したわけですけれども、有効回答率が八・七%というような数字であったというようなことで、この辺が低かったというようなことが原因になっているというように承知をしているところでございます。
  なお、この実施に当たりましては外部の民間の業者に委託をして実施しておりますけれども、実施に当たりましては一般競争入札を行った上で適正にこれを実施したと、こういうように承知しております。

○足立信也君 今の話で、統計の手法も変えたということがございました。でも、これは実際に回答された方の数が余り変わらないので、これによってそんなに、四倍近いお金が掛かるとは思えません。主な違いは対象の郵送者がほかのところより多かったと言いますが、それで一千万以上も増えるのかという疑問もございます。この点は、またいずれ質問する機会があったらと思います。
  ほかのところは、私、気になっているのは、これは先ほどから何度も言いますが、短時間労働援助センターの業務の一番に調査研究が入っているわけですよ。ところが、今の話ですと、やられているのが二回しかないんですね、二回しか。じゃ、ほかの年度は、これ実際、その調査研究というのは恐らく予算を組んでいると思うんですが、ほかの年度の予算と、実際に調査はやっていないんですが、決算額、それを教えてもらえますか。

○政府参考人(大谷泰夫君) ここで言います短時間労働援助センター、この指定を受けておりますのが二十一世紀職業財団でございまして、この二十一世紀職業財団にその時期に応じてパートタイムに関する調査を委託したわけでありますが、ほかの年度におきましては、これは御承知のように、この団体は男女雇用機会均等法の仕事も所管しておりまして、過去の経緯を見ますと、各年、専ら、例えばポジティブアクションに関する調査であるとか企業と女性との関係、あるいは管理職のキャリア形成、職場におけるハラスメント等々、逐年、そちらの方の事業の方が調査等の実績は上がっておったというふうに承知しております。

○足立信也君 これからますます、この労働実態の調査研究というのは私は必要になると思っています。この部分が、この法案が成立したらこの七月から削除される状況になるわけですね。ほかの機関を使って、機構を使って継続される、やられるということですが、これはやっぱり定期的に確実にやってもらいたいなというのが私の希望でございます。
  そろそろ終わりにしますが、この法案の審議、私、冒頭に、誤解を恐れず言わせていただければ、この法案、要らない法案じゃないかということを申し上げました。それは、例えばアメリカはないわけですけれども、やはり本人の意思に基づいてというのが大前提だと思うんですね、この短時間労働に関しては。本人の意思があってその契約が雇用主と交わされていると、そして労働基準法を遵守しなければいけないという決まりもあるわけですね。そのことがきっちり果たされていれば、私はやっぱりこれは何のための法案かなと、ずっと読んで、よく理解できないということを最初言いました。私はそういうふうに感じます。
  あえて言うならば、この短時間労働、その中には嘱託もあり、正に非常勤の部分もあり、短時間の正社員の部分もあり、パートもアルバイトもあり、よく分からないくくりの中で特殊な労働形態をこれつくり上げているわけですね。このことは、かえって私はその特殊な労働形態というのを固定してしまう危険性があると思いますし、逆に言うと、雇用主がその特殊な労働形態に逃げ込んでいる事態だと。特に医療機関なんか私はそうだと思っているんですね。これはやむを得ない、収入がもう上限があるわけですからやむを得ない、でもそこに逃げ込んでいる余地を与えている。
  指針は先ほど変わらないという説明がありました。行政の指導監督が行き届いていれば、私はあえて、これは本当に必要なのかなという気がいまだにしております。もっと言うならば、これは行政の指導監督、あるいはそれをすべて果たせなかった、先ほど責任を有する、短時間労働者のことでもそうです、家族的責任のこともそうです、私はやっぱり指導監督が行政として十分じゃなかったのかなと。違う言い方をすれば、行政の自己弁護のための法案じゃないかなと、そういう気が私はしております。このことをあえて申し上げて、私の質問を終わります。

  どうもありがとうございました。

070522厚生労働委員会会議録より
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