国会会議録
 

平成19年5月17日- - 厚生労働委員会


○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
  短時間労働者法のことをじっくりやろうと思いますが、先週の質問でちょっと私はっきりしたものを残したいというのと、先週かなり尋常な精神状態ではなかったですから確認が取れなかったところがございますので、ひとつその点だけ別に質問させていただきたいと、まず最初に質問させていただきたいと思っています。
  これは何かといいますと、ちょっと復習します。皆さん御存じのように、生命保険それから損害保険で申請がないがために支払漏れが三百六十億あると。これは何も、民間医療保険だけではなくて公的医療保険においても、高額療養費ですね、高額療養費を支給するには被保険者からの申請が必要とされているため支払漏れがあると、この前はっきり答弁されました。これは私は非常に大きな問題だと思っております。
  なぜかというと、民間との格差が余りに激しい。民間は、金融庁から業務改善命令まで出されて、業務停止命令も出ているわけですね。その点が一点。
  次が、これは消えた年金に続いていく問題だと思っているんです。既に保険料を払った時点で高額療養費制度というのは公的医療保険において患者さん側、被保険者側が当然もう得ている権利だと私は思っているんですね。そこのことをもう一回確認したいと思っています。
  健康保険法百十五条、それから国民健康保険法五十七条、要するに自己負担額が著しく高額であるときは高額療養費を支給すると、これは法律に書いてあるわけです。保険者の義務として、ここを私はもう成り立っているんだと思っているんですね。請求があった場合とかいう条件は一切書かれていないわけです。支給要件、支給額その他は政令で定めるとなっているわけですね。そして、政令にはどの程度の費用が掛かった人が該当するかという要件が定められていますが、申請の必要性については書かれていないんですね。省令に支給要件を委任するとは全く書いていないわけですよ。第四十三条に高額療養費の支給に関する手続に関して必要な事項は省令で定めると書いてある。省令で、やっと第百九条、健康保険法施行規則第百九条で申請書を提出しなければならないと書いてあるんです。
  今日、内閣法制局の方をお呼びしたのは、この高額療養費を被保険者が受ける権利、受ける権利というのは、健康保険法、この法律上で既に発生しているんではないかということなんですね。政令に下り、さらに省令のところで申請が必要だと書いてある。この申請というのは本来、被保険者が高額療養費を受ける権利の発生のための必要条件なんでしょうか、それとも単に事務効率上の理由で定められているだけなんでしょうか。そこら辺の解釈をお願いします。

○政府参考人(近藤正春君) 今先生の御指摘ございました高額医療費の問題でございますけれども、今の御質問のときにございましたとおり、確かに健康保険法の百十五条の一項で一部負担金等の額が著しく高額の場合に高額療養費を支給するということが書かれておりますけれども、法律の構成上、具体的な、実際に具体的な支給を行うに当たっては、御指摘のとおり、政令への委任によって支給要件や支給額その他の事項ということで、さらに省令におきまして高額療養費の支給を受けようとする場合には一定の申請書を保険者に提出しなければならないという形で具体的な手続が定められておりまして、そういう意味では省令において具体的な手続というものが定められておるということで、あくまでも健康保険法の委任を受けて具体的な手続を省令に落としているということであって、その手続規定についてその権利自身をどうこうということではなくて、あくまでも手続がそこで定められている。それで、全体として、手続を踏まえて支給がされるというふうに法律が政省令に委任をしているということだと思います。

○足立信也君 全体として解釈で委任されているから、それは法律から政令、省令まで下りてきて、省令で初めて書いていることが権利発生の必要条件だと今おっしゃったわけですか。その理由は何なんですか。

○政府参考人(近藤正春君) その法律と政令による支給要件というのがございましたので、支給要件に合致すれば百十五条第一項によりまして権利というものの、抽象的なのかもしれませんけど、まだ具体的にお金がもらえるというところではございませんけれども、権利としては確定をされていて、具体的に金額を受け取るというところまでで実際の権利が実現化するということであれば、そうすると、その手続まで踏まえて実現化するという趣旨で申し上げたわけでございます。

○足立信也君 法律上権利はもうできているけれども、それを具体化するために手続や申請が必要だと今おっしゃったわけですが、その必要な理由はなぜなんですか。

○政府参考人(近藤正春君) それは、むしろ健康保険法がそういう考え方で、法律で全部書き切るのでなく、政省令を委任をして、その全体の手続を政省令も踏まえて実態に合わせた政省令を作りながら、それに応じて実際の支給まで持っていくという形でのむしろ法律の作りをしておるから、そういうことだというふうに思います。

○足立信也君 それは、例えば保険者が支払う義務を負うわけですね、申請があった後ですね。それは当然、分かっていることあるいは分からないことって保険者にとってはありますね。その分かっていることあるいは分かっていない、その知っているかどうかというのは、その要件の中に入るんですか、理由の中に。手続、申請が必要だと、申請があった時点で初めて権利が発生してくるんだという解釈の中に、知っていることはあるいは知らないからと、その理由付けがあるんでしょうか。

○政府参考人(近藤正春君) 直接的な規定ではございませんけれども、健康保険法の中に例えば時効の規定等がございまして、こういう高額医療の費用を受ける権利というのは時効にかかってくるわけでございますので、そういう意味では、具体的に請求していないので多分時効の状態になってくるんだと思いますので、権利的には、一定の要件にきちっと合致したところで抽象的に権利としては発生していくということではあると思いますけれども、具体的な手続をしないと現実のものとして手に支給されてこないということだと思います。

○足立信也君 私が確認したかったのは、今までのやり取りの中で、実際にどれだけの医療費が掛かったか分からないから、申請に基づいてどれだけの医療費が掛かったということがスタートしないと権利は発生していかないんだという説明がかなりあったわけですね。それは事実ですか。その解釈でよろしいんですか。

○政府参考人(近藤正春君) その意味では、保険者の方からすれば、具体的に幾らを払うかということは現実の申請があり、分かってこないと、そういう意味では、具体的な形としての支給を受ける権利に対応する支給ができる状態ではないという意味において、完全な支給の申請がされて初めて保険者が具体的な支給権の実施に当たっての内容をそこで確定していくということだと思います。

○足立信也君 まとめますと、保険者は知り得ない部分があるから、権利は発生しているんだけれども、その権利を行使するというか、そのできる状態にはなっていないと申請が始まらないという説明ですね。
  実際、これは、一般の方は高額療養費って月に八万百円プラス一%ですね。高所得の方でも大体約十五万ですか。これ三割だと考えると、医療費が五十万以上掛かっている方はだれでも発生するというのは保険者はみんな分かっていますよ。知っていますよ、五十万以上の医療費が月々掛かった人はもう既に権利が発生しているって。これは、知り得ないから申請しないと権利がスタートしないという問題じゃないと思いますよ、全部分かっているはずですよ、五十万以上であれば。
  これは、ですから、法の解釈としては、もう法制局の方にお聞きするんではないんです、これ以降ですね、知り得ない部分があるから申請手続がないと当然の権利を行使する段階までスタートしないんだという解釈だと。しかしながら、今、私は、水田保険局長にお伺いしたいんですけれども、保険者が診療報酬表を手にした時点で、これ先ほどの高収入の方でも医療費が五十万円以上であればこれは高額療養費に該当するというのはもう既に知っているわけですよ、ですね。法解釈上知り得ないからということは当たらないんじゃないかということが私のこの高額療養費に関する考え方なんですね。
  そこで、例えば、今、昨年から私も何度か取り上げました病院の未収金問題ですね。これ三年間の推計で八百五十三億に達するという、四病院協会から出ていますね、未収金。この中で、私はほとんどだと思っていますが、高額療養費に該当する方が何割ぐらいいるんでしょうか。

○政府参考人(水田邦雄君) お尋ねの未収金のデータは四病院団体協議会というところがまとめられたものであると思いますけれども、そのうち高額療養費の支給対象となるものがどのくらいになるかということにつきましては記載がなく、私どもとしても承知をしてございません。

○足立信也君 多分知らないということをお答えになると思いましたが、私はいろんなところから、あるいは四病協からも話を聞いて、高額療養費制度に該当するといいますか、高額の方がやはり多いんですね、未収金問題に直接絡んでいる方は。これは、保険者もこの方は高額療養費制度に該当すると分かっているわけです、先ほど言いましたように分かっているわけですよ。そして、既に分かっているから権利は発生しているわけですね。
  具体的にどういうかと。これは時効が二年だという先ほどの話がございましたね。高額療養費に該当する方が払わない、病院は七割の支払が保険者側から入る。当然三割がいったん患者さん側から払われ、そして高額療養費制度を利用したら償還されると、患者さんに。病院側は、患者さんが戻ってくるのは一割だと仮定すると、二割分はずっと未収金で残るということですね。そういうことになりますね。その解釈はよろしいですね。

○政府参考人(水田邦雄君) 三割負担の方といたしまして、七割分が診療報酬として病院に入ると。その後、その三割部分が高額療養費に該当すると、その通常の方の場合でありますと八万百円プラス一%を超える部分が高額療養費で支給されるわけでありまして、その二割というのがどういうところから出たのかよく分かりません。

○足立信也君 ちょっと具体的に言いますね。じゃ、仮に胃がんの手術をして百万円掛かったとしますよね。三割は三十万ですね、単純に考えますと三十万。八万が高額療養費制度だとしますね。本来八万だけ払えばいい。今まで、三月までどうだったかというと、三十万を払って、あとこの差額の分、二十二万円は患者さん側がいただくということですね。そういうことですよね。
  それが、高額療養費を利用しないことによって、病院側の、あるいは高額療養費を利用する方が納めない、病院に払わないことによって、病院の収入は七割で止まったきりなんですね、七十万で。そこが未収金のかなりの分野を占めているわけですよ。ですね。
  で、四月から現物給付に変えましたね。ということは、現物給付の、今私、具体的な例で、病院は本来九十二万入るところが、高額療養費を利用せずに未納、病院に払わない事態で七十万しか入ってこないのが、現物給付になったからこれ九十二万まで入るわけですね、病院には。その差額というのは過去二年にさかのぼって保険者が支払う義務があると私は思いますが、どうですか。

○政府参考人(水田邦雄君) どうもその想定、今突然お話がありましたんでよく理解し切れていないわけでありますけれども、二十二万円というか、その高額療養費で当たる相当額の二十二万円を除した、その最後の患者が払うべき八万円について、これは単純にその未収金ということではないんでしょうか。保険者が払うべき額ではなくて、これ患者が払うべき額、純粋に払うべき額でありますので、これは正に病院と患者の間の診療契約に基づいて患者が支払うべき額、それが支払われていないということで、それは未収金という扱いになるんだと思いますが。

○足立信也君 そこの前提で、未収金の中で、高額療養費に該当する方がかなりの部分を占めている、僕の今まで聞いたところの話です。先ほど知らないとおっしゃったからそういう理論になるんですけれども。大部分の方が高額療養費に該当する方が多いということなんです。
  これ、現物給付になったから、その高額療養費制度に該当する方は自己負担の限度額だけ払えばいいわけですね。あとは保険者との間、医療機関と保険者の間ですね。ですから、病院に関してはほとんど未収はないわけですよ。患者さんのその自己負担分しかないわけですよ。ですね。
  でも、今までは高額だったから、高額療養費を利用せずに、高額療養費制度を利用せずに、自己負担分の、さっきの百万からいくと三十万は病院に払わなきゃいけないから払わなかったわけですね。これが未収金だったわけです。つまり、病院の収入としては七十万しかないわけですよ。そこに二十二万の差が生じているということですよ、三月から四月に。これは権利として、高額療養費制度を利用する権利が被保険者には生じていると、しかも知り得ているわけですよ、保険者はその状況を。だとしたら、二年間の時効の部分にさかのぼって、これは保険者が高額療養費制度に該当した、自己負担限度額を超える部分は医療機関に払う義務があるんじゃないですかという意味です。

○政府参考人(水田邦雄君) なお議論がよく分からないんでありますが、その二十二万円は、言わば高額療養費として患者たる被保険者が今の前提でも受け取ったわけでありますので、その二十二万円はそれは病院があくまでも患者に対して請求すべき金額であって、保険者に二重払いまでさせようというのは、それはちょっと無理なんじゃないかと思いますが。

○足立信也君 これは去年、相当議論したと思うんですね。保険者には、減免措置をする義務がある、それから未収金が出た場合に強制徴収の義務も、義務という、できる権利があるわけですね。医療機関側にはないわけですね。このことはもう昨年議論したから、もうそのとおりなんです。要は、この三月から四月にかけて償還払いから現物支給に変わった。そして、償還払いの時代に当然高額療養費制度を利用する権利が持っていた患者が利用しなかった、行使しなかった。その方が病院にお金を払わなかったという事態がある。その部分は遡及して保険者に支払う義務があるんじゃないかという話を私はしているんです。
  それ以上難しかったら、今日は短時間労働者の件で私はもっとやりたいことありますので、そういう問題点の指摘なんです。それは御理解いただけると思うんですが。

○政府参考人(水田邦雄君) その二十二万円は、あくまでもそれは被保険者たる患者に発生したものであって、その患者が遡及して保険者に対して高額療養費を請求するということはそれはあり得ると思いますが、それは病院が、保険者に対して遡及して請求するというのは、これはやはり高額療養費の受給権は被保険者、あるいは被扶養者たる患者にあるわけでありますので、遡及できるのもそれもやはり基本的にはそれは患者であろうかと思います。

○足立信也君 分かりました。
  じゃ、二年間さかのぼって、遡及して、今まで高額療養費を利用しなかった、それによって病院へ支払ってこなかった方については、しっかりチェックをして、そして高額療養費制度を利用するように指導されるんですか。

○政府参考人(水田邦雄君) ちょっと今の急な御提案ですので、どのように受け止めたらいいのかよく分かりませんが、いずれにしましても、未収金問題につきましては、これから関係者、当事者集まりまして、具体的にどうするか、どう対応するか検討の場を設けるということで準備をしておりますので、幅広く検討をしていきたいと思っております。

○足立信也君 検討してください。
  三月からと四月からで、償還払いと現物払いになった時点で、これは大分、高額療養費制度そのものを利用できる権利というものは、実際に利用する頻度が相当違ってきていると私は思うんです。だから、それは国民の権利の問題ですよ。ですから、二年間、時効が二年であるならば二年間遡及して、それは高額療養費制度を利用してくださいと、これは言うべきことなんですよ、国民の権利ですから。そういうことを私は提案している。是非お願いします、検討を。
  いよいよ短時間労働者の質問に入りたいと思います。
  先ほど、うちの我が党の櫻井議員が言っておりましたが、私も読めば読むほどよく分からないんです、やっぱりこの法律がですね。読めば読むほど分からない。誤解を恐れず言いますと、これからずっと私の質問でそれを構築していくつもりですが、本来私は要らない法律なんじゃないかとはっきり言って思っているんです。それは読めば読むほど混乱してきたからであって、そこで、先ほどの議員の質問とはちょっと違う聞き方なんですが、法律というのは、それを対象としている、該当する方というのがあるわけですね。例えば、今、総務省の労働力調査ではパートタイム労働者は千二百五万人という数出ていますね。この法律が対象としている国民の、あるいは労働者は何名なんですか。

○政府参考人(大谷泰夫君) 先ほどの櫻井委員との議論のこれ連続になるわけでありますけれども、パート労働法が適用されます短時間労働者の定義は、一週間の所定労働時間が、同一の事業所に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比して短い労働者というふうにされているところでございます。つまり、パート法上の短時間労働者となるかどうかは、比較すべき通常の労働者とのバランスにおいても相対的に決まるものでありますから、言わば絶対的な何時間という基準で決めているわけではないので、総数として何名というふうに確定することは、これ難しいわけでございます。
  しかしながら、今引用されました総務省の労働力調査でありますが、これは調べ方の定義としては、平成十八年において、週の就業時間が三十五時間未満の者が千二百五万人というふうに調べたわけでありまして、三十五時間未満の者が千二百五万人ということで、ある程度の目安の数にはなるというふうには考えておりますが、ちょっとさっきの説明にもありましたように、もしある事業所が、正社員、通常の労働者が三十五時間という会社であった場合には、その方はパート労働者ではなくて言わば通常労働者になるわけでありますから、この千二百五万人につきましても、くどいようでありますが、全員がこの法律の対象の短時間労働者じゃないと、こういう整理になるわけでございます。

○足立信也君 想定でもいいんです、大体どれぐらいかなというのはあるはずなんですね。それをお聞きしたいんですが、例えば、これはもうもちろんパートの方、アルバイトの方いますね、これ派遣社員の方も当然いますよね。派遣社員の中には、派遣会社から見れば正規の職員で、派遣されている側から見れば非正規、派遣社員の方いますね。それから契約社員、今高齢社会になって定年退職後の契約社員という方一杯いますよね、こういう方も該当するんだと。あるいは嘱託、私なんかも今嘱託で非常勤でやっています。そういう人もいるだろう。そして、当然のことながら短時間正社員、短時間労働の正社員という方もいらっしゃるだろう。これらはすべてこの法律の対象になっているんですか。

○政府参考人(大谷泰夫君) これ一個一個のケースについて区分けしてお答えしなければならないわけでありますけれども、短時間正社員ということから申しますと、これ、その事業所にいわゆる通常の労働者として例えば四十時間という方がおられない、通常の方が三十五であれば、これはいわゆる三十五時間労働者でもこれは正社員でありますから、こういう方は短時間正社員になりませんが、一般にはその事業の例えば四十時間の所定内労働時間の企業で三十時間とか三十五時間という時間で、あとは正社員と同じ処遇で働いている方はこれは短時間正社員ということで、これはパートタイム労働者に含まれるわけでございます。
  じゃ、派遣がどうなるかといいますと、これは派遣労働者に対しましても、この法律のもちろん対象は及ぶわけでありまして、派遣元との雇用の関係で所定内労働時間が派遣元の会社の通常の正社員よりも短いということであれば、これは形式的には派遣元との関係においてはパートタイム労働法の適用があるということになりますけれども、より突き詰めて考えますと、派遣先との関係においては、これはそういう関係にはない、派遣元との関係でパートタイム労働者になると。請負につきましても、請負元との関係でそうなるということでございまして、実際に、ですから非正規社員と一般的にくくられている中で、そのうちの何人がいわゆるこの法律の対象となるパートタイム労働者になるかということになりますと、これは個々に定めていかなければならないわけで、実数をどんぴしゃで申すということはなかなか難しいということでございます。
○足立信也君 正規、非正規に限って今の御答弁をちょっと私なりにまとめますと、短時間正社員も通常の正社員に入り、なおかつこの法の対象者になるということだったと思うんですね、今のお話は。そのとおりでいいんじゃないかと思いますね。じゃ、そこまで。

○政府参考人(大谷泰夫君) もうちょっと詳しく言いますと、事業所によりますが、そういうケースが多かろうというふうに思います。

○足立信也君 分かりました。
  平成十七年のデータですけれども、女性の短時間雇用者の多い職業、一位が卸売・小売業で二七・二%、二番目が医療・福祉の一五・四%なんですね。確かに私の周りは相当この短時間労働者というか非正規というか、非常に多いですね、今ね。
  実際これ、短時間正社員と言えるのかどうか。大体病院は三交代でやっています。患者さんの入院ベッドの管理のために準夜帯だけ毎日やる人っているわけです。毎日夜働くというのは、これはやっぱり労働基準法の問題がありますから、大体週四日なんですね。四、八、三十二時間。それで、四十時間の人に比べると、これ明らかに短時間正社員なんですね。こういう人もいれば、当然、今まで議論に何度もなってきました、小児科は三十代で大体半分の方が辞められると、常勤をですね。産科に至っては五六%の方がもうお産を取り扱わない、つまり常勤じゃなくなるという事態ですね。
  この人たちはどうやっているかというと、大体週ごとにいろんな病院で外来をやっていますね。あるいは、夜はまた違うところで当直したりしていますね。非常勤の形か、アルバイトの形か、特に最近多いのは大学院生ですね。昼夜開講の大学院とか働きながら大学院に通うとか非常に多いです。この方々は、それこそ毎日違うところに行っていますね。こういう方の労働の管理義務というのは、どの雇用者側に該当するんでしょう。そういう非正規でアルバイトをやっている、あるいは非正規でも何でもないアルバイトの連続、あるいは正規でありながら派遣の形で夜だけ当直を依頼されるとか、そういう方の場合の労働の管理というのはどこが責任を持つんでしょうか。

○政府参考人(大谷泰夫君) 一般的に申しますと、一人の方がいろいろな事業主のところで短時間の労働をしておられるということになりますと、それは包括的にどこか一か所でということではなくて、それぞれの事業主との関係において、この法律でいえば、パートタイム労働法の言わば対象になっていくということでございます。合算された対象という形ではならないと思います。

○足立信也君 ということは、それぞれの判断でしょうが、例えば常勤で週五日勤めているとしますね。依頼、契約に基づいて夜働きに行くと、そのまま次の日も当然働くわけですね。そこで、一日当たりの労働時間あるいは週のトータルの労働時間が割増し賃金の該当になるという形、ケースありますね、当然。そこのところの労働の管理というのは、本来常勤であるところと、派遣されて夜間あるいは昼間、日直、当直をやられる、そのどちらになってくるんですという話なんですよ。

○政府参考人(青木豊君) 労働時間につきましては、労働基準法にも適用がございますけれども、複数就業している場合については通算して労働時間管理をするというのが法律の規定になっているわけでありますが、基本的にはここの規定というのは同一の、特に当初想定されておりましたのは、同一の企業において、労働基準法は事業場ごとの適用でありますので、同一企業内の別の事業場にある場合に、そういうのを通算して管理をしろと、こういう趣旨だったということであります。
  しかし、今御指摘になりましたように、別の事業主で働いているという方が随分増えてきてまいりました。そういう場合にどうするのかということでありますが、我々の考え方といたしましては、例えば一日の八時間の管理をして、それを超えたら時間外労働として割増し賃金を払えという規定が法律上、労働基準法上あるわけでありますが、それは、八時間を超えることとなる、つまり今のお話でいえば後の方の事業主がそういう義務を負うということになるだろうというふうに思っております。
  しかし、これは今申し上げましたような事情で法律が作られているわけでありますので、そういう意味では当初想定していたものとはかなり違うのではないかなという思いは持っておりますけれども、今の規定上は、そういうようなことになっているというふうに理解しております。

○足立信也君 分かりました。所定の八時間を超えた場合はその後の方ということははっきりしました。
  そこで、冒頭、私言いましたように、これなかなかこの法律の立ち位置といいますか意味が余り私ははっきりしないというのは、この短時間労働者の雇用管理のこの法律の中に、基本方針そして指針というのがはっきり出ていますね。その中で、労働基準法や最低賃金法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などの遵守がもう当然うたわれています。そのように監督されているんだと思います。
  そこで、それぞれちょっとお聞きしたいんですが、割増し賃金率は今二五%以上、休日は三五%以上ですけど、これ、短時間労働者と言われている人の中でも、当然、一日においては割増し賃金の対象になる方はかなりいらっしゃるわけですね。それが、二五%以上を支払われていないという事業所はどれだけあるかというその割合は把握されていますか。

○政府参考人(青木豊君) 割増し賃金については法定の労働時間を超えた場合に払うということでありますので、パートの人が、ここは所定労働時間は非常に短いわけでありますけれども、短い場合であっても法定労働時間を超えた場合ということでありますので、通常は、余り時間外労働のための割増し賃金を払うという事態は一般の労働者に比べて出現する場面は少ないかと思いますが、いずれにしても、労働基準法上の適用はパートに対しましても等し並みに共通してあるということであります。そういうことでありますので、私どもとしては、パート特有の問題ではございませんので、一般的に労働者が法定時間を超えて労働する場合の割増し賃金の支払について労働基準監督機関として指導をいたしておるわけであります。
  そういうことで、全体、立入り等を含めて十二万件ほどの監督指導件数がございますけれども、そういった違反については、三十七条違反、割増し賃金支払違反は十七年度で二万事業場、一七%の違反率ということを承知をしておりますけれども、パートに限って、パート労働者に限って特に集計をしているということではございませんので、それを分別しての数字は持ち合わせておりません。

○足立信也君 恐らくそうだと思うんですが、私、資料を用意したものが過去四回、私が知る限りの過去四回の調査ですね、パートタイム労働者の調査。その中で経時的に追えるようなもの、実施者が一番左に書いていますね。その調査期間、それから対象者、経時的に追えるもの、あるいは特徴のある調査結果といいますか、これをこう一応列挙してみたんですね。
  だから、今おっしゃったようにパートに絞ったデータというのはないだろうという想定の下でやっているんですが、しかしこれは、この法律の中の指針で基準法をしっかり遵守することとなっていて、でもパートタイマーに関してはそのデータはありませんと言われると、これは行政としてしっかりやってきたのかなという、先ほどの櫻井議員の話と通ずるところがあるわけですけど。少なくとも、遵守することと法律上で書かれてあるわけですから、これはパートタイマーとしてはどれだけ時間外、一日の所定の八時間以上どれだけ働いていて、それが割増し賃金がしっかり支払われていないというようなことはやっぱり押さえられて当然だろうなと私は思っているんですよ。
  そういう観点で聞いていきたいと思うんですけれども、この表の中では、やっぱり時間外労働というのは、この例えば上から二段目の時間外労働のところは、本人の事情を考慮して時間外労働をさせているというのが七割あるわけですね。しかも、その一個下を見ると、パートの方に残業を期待している率、正社員がですよ、パートの方の残業を期待しているというのは四割超えているわけですね。こういうことがある。だとしたら、やっぱりそこは調べていないといけないんじゃないかと私は思っているんです。
  次にお聞きしたいのは、これ年次有給休暇なんですね。有休の消化率といいますか、どの程度の方が消化しているのだろうかと。このデータはどうでしょうか。

○政府参考人(青木豊君) この委員がお触れになりました年次有給休暇につきましても、一般労働者につきましては取得率は平成十七年四七・一%というふうに承知をいたしておりますけれども、パートタイム労働者についても同様にもちろん年次有給休暇の取得については法律上も保障されておりますし、その取得促進ということもやっているわけでありますけれども、パートタイムを分別してパートタイム労働者に関する取得率というのは特段把握してはおりません。

○足立信也君 いや、そうだと思うんですけど、やはり例えば労働基準法を遵守しなさいってなったら、やっぱりそこは行政の監督責任は僕はあるんだと思うんですね。これ以上聞いても恐らく同じだと思うので、例えば健康診断は実施しているかとか、この件も恐らくパートに分けてはないですよね。まあまあ、いいです。ないですよね。

○政府参考人(青木豊君) 確かに私ども、健康診断についても同様でございますが、私どもはパートであるから適用しないとか、一般労働者のみ適用するという、そういう法体系でありませんで、およそ労働者であればそれぞれ健康診断なりあるいは年次有給休暇なり、あるいは法定労働時間を超えた場合のものについては一般労働者と同様にパートでもきちんと法に定められた権利あるいはそういった事業主の義務、そういったものは均てんされるわけでありますので、特段私ども行政といたしまして分けてその対処をするということにはなっておりませんので、そういう意味でパートのみを分別してその集計をするというようなことを特段行政としていたしているというわけではないのでございます。

○足立信也君 私と全く一緒なんですよ。すべて労働者は皆同じじゃないかと私は思っているから、この法律はなぜ必要なんだろうという一番最初の話に戻ってくるんです。私自身はそういうふうに思っているんですね。
  ただ、あえてこの短時間労働者という抜き出した状況がありますからね、先ほども質問にもありましたように。だから定めている、抜き出して定めているわけですね、法律を。だとしたら、それに基づいて、じゃ正規の方はこうだ、パートの方は実態はこうだと、労働基準法の遵守されている率はどうだということは把握されていてしかるべきだと私は思うんですよ。
  私は、全体として働く者として同じ、基本的人権もそうですし、労働基準法は遵守しなければいけないのも当然のことですよね。私はそういうふうに思っているんですよ。それも何もかも、やっぱり要はこの短時間労働というものが働き方は個人の意思によるものであると、働き方の選択はですね、この大原則があって、労使で話し合って契約がしっかり結ばれていると、そして労働者の権利が保障されているという状況であれば、やはり私は働く者は一緒で、同じ考え方の対処でいいんだと思っているんですね。わざわざこの法律がある以上それに基づいた監督指導、これは今のお話を聞くと、私はあえて言いますと不十分ではないかなという気がしているんです。
  そこで、この調査の一覧を大体皆さん理解されたと思いますが、今問題になっている差別禁止に関してはですね、この一番上の段の正社員との職務の同一性という欄の中に書いてあって、この四・七%というのは、事業所の方は四・七%の方がそう判断されている。残業等の拘束性や責任の重さも含めて正社員と同じ仕事をしているというのが、事業所の方は四・七%。ちなみに、正社員の方は四・一%、パートの方は五・〇%、これが大体四、五%という政府の答弁にずっとなっているわけですけど。
  これで、じゃ続いて私は各国との比較をしたいんですけれども、本来、例えばアメリカはこの短時間労働者に関する法律とかはありませんね。各国等はどういうふうになっているか。私が持っている資料ではフランス、ドイツ、イギリス、アメリカなんですけど、ここ十年程度、正規の雇用者とそのパートの割合というのはどういうふうに変化しているんでしょうか。教えてください。

○政府参考人(大谷泰夫君) フランス、ドイツ、イギリス、アメリカにおきますパート労働者の全労働者に占める割合でありますが、OECDの統計によりますと、ドイツについては増加が見られますものの、フランス、イギリス、アメリカについては顕著な傾向は見られないところでございます。

○足立信也君 顕著な傾向は見られないというのは、多分横ばいに近いということなんでしょうか。
  で、もう一つ、例えば五月十四日の日経新聞に、大阪大学のこれ政府の格差の議論のところでよく出てこられます大竹教授のコメントがあるんですけれども、アメリカの所得の格差拡大は高所得者の所得が増えている、日本の特徴は低所得層の所得が低下している、これが格差の原因であると。当然、先ほどの質問にもありましたように、バブル崩壊後の不況の時代に非正規雇用あるいはパートというものが導入されてきたが、本来景気が回復しているんであれば、今ここでやるべきことは正規あるいは正社員への回帰だと思うんですね。
  そこで各国のことを今お聞きしたわけですけど、じゃ、今挙げられた国の中で、パートという働き方をされた方が正規、正社員へ復帰あるいは新たになるこの割合の変化はどうなんでしょうか。

○政府参考人(大谷泰夫君) フランス、ドイツ、イギリス、アメリカのうち、フランスのみがパート労働者から正社員への転換を希望する労働者に対して優先権を付与するという法制度を有しており、他の諸国につきましてはこのような権利性を法制度上設けていないというふうに承知しております。また、これらの諸国におけるパート労働者から正社員への転換の割合の数字につきましては承知いたしておりません。
  なお、我が国における正社員への転換の数字につきましては、これ平成十七年の労働政策研究・研修機構の調査によりますと、四五・一%の事業主が正社員への転換制度があると答えておりまして、二三・三%の事業主が適用事例もあるというふうに答えているところでございます。

○足立信也君 各国に関しては正社員への転換の割合に関しても把握されていないということなんですが、ちょっと先に質問をしている項目に飛びますと、今までのデータを見ておりますと、日本はここ五年あるいは六年程度、パートの方の比率というのはほとんど横ばいですね。それに対して、非正規雇用というのはずっと増え続けていますよね。大分先になりますけどね。
  この増えている方というのはどういう働き方の方々が増えておられるんでしょう。

○政府参考人(大谷泰夫君) 総務省の労働力調査特別調査それから労働力調査によりますと、平成十三年とそれから平成十八年の数値を比較した場合に、非正規の職員それから従業員はトータルで三百十七万人増加しているわけでありますが、その内訳を見ますと、パート、アルバイトというグループは二十七万人の減、マイナスであります。一方、派遣社員が八十三万人の増、あとその他ということで、これは契約社員あるいは嘱託その他が含まれているというふうに考えますが、これが二百六十一万人の増ということでございまして、パートよりもむしろ派遣社員や契約社員等、その他のものが増加してきたというふうに考えられております。

○足立信也君 今ちょっと飛ばしてお聞きした理由は、先ほど各国はほぼ横ばいだとありました。日本はやっぱり非正規の方が増えているわけです、今のお話のように。ほとんどが派遣とその他、その他というとよく分かりにくいんですが。となると、正社員に変わっていく率というのは、各国で考えると、当然非正規雇用を選んだ方もいらっしゃるわけですから、正社員になる方もある一定程度いるから横ばいなわけですね、ですよね。それが日本は非正規が増え続けているということは、やはり正社員への転換といいますか、新たに正社員になるといいますか、という率が、先ほど挙げた各国に比べるとやはり低いんではないかと私は思っているから、今ちょっと質問の順番を変えてお聞きしたんですね。
  先ほども例を挙げましたが、バブルの崩壊後に、これはある時期、やむを得ざるような部分もあって、あるいは企業の論理かもしれませんが、増えてきたこの非正規雇用、中でもパートの働き方、そして、今の時点でやるべきことはいかに正規への回帰を図っていくかということだと私は思っているんです。これが一番重要な部分ではないかと思うんですね。
  先ほど成長戦略のこと、櫻井議員からありましたけど、これは要は、日本に欠けてきたのは何かというと、トリクルダウンですよね、大きな企業が利益を上げ、それが中小の企業へ回り、そして最終的には雇用されている方に回っていくと、この論理が、所得再分配機能が日本は元々低いですから、そういうトリクルダウン方式で潤ってきたわけですね。ところが、先ほどの指摘のようにその考え方、企業の倫理が変わったんだと思うんですが、上層部にある方が利益を独り占めしてしまうというような状況の中で、雇用されている側の人まで回っていかないという事態になっているんだという理解だと思うんですね。これは本田宗一郎さんも、経営者になったら、経営者が考えるべきことはその従業員、社員の家庭を守ることだとおっしゃった言葉がありますように、以前はそういう倫理観があった、企業の倫理としてもあったんだと思うんです。それがなくなってきたから、一部の上層のところにとどまってしまっている、下流まで流れてこないと。
  じゃ、その企業の上層部の問題だけかというと、これは青森県の給食費の問題のように、払えるのに払っていないという、これは一般の国民にもそういう倫理観は確かに失われてきたのかもしれないけれども、私は、今景気が本来回復しているとすれば、いかに正規の、短時間労働の正社員でもいいですが、正社員へいかに戻していくのかというのが非常に大事なことだと私は思っていますので、その点を指摘させていただきました。
  次からは、本会議で代表質問、我が党の代表質問に対する総理の答弁の中から、多少気になる文言が随所に見られますので、そのことをちょっとお聞きしたいと思います。
  まず最初に、総理の答弁から、フリーターなど若年者を中心とした非正規雇用の増加は将来の格差拡大や少子化につながるおそれがあるということをおっしゃっていました。これは、現実は、非正規雇用の増加が現時点では格差拡大や少子化の原因ではないという、将来のおそれはあるということを言われていますから、現実はそうじゃないという認識だろうと思うんですが、大臣の方もそう考えられておられるかということを確認したいと思います。お聞きしたいと思います。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 非正規雇用の増加の現象についてのまず認識が前提としてありますが、これにつきましては、経済の置かれている構造的な変化というものが一つ背景にあると同時に、そういうものの中で非正規雇用が増加するには、やはりそれを受けて立つ労働者側の価値観の多様化ということも背景にあったと、こういう認識で、企業、労働者、双方のニーズからこうした現象が出現したということでございます。
  それで、そういうことで非正規雇用の増加があるわけでございますが、それが今の格差としてとらえられるかというと、これは我が国の所得格差を示す指標として仮にジニ係数というものを取った場合には、これは先ほど委員もお触れになられた大竹教授なぞもそうだし、また政府の見解もそうなんですけれども、やはり高齢世帯の増加であるとか、あるいは世帯人数、世帯の人員数の縮小というようなことで説明が付くという見解でございまして、したがいまして、この非正規雇用の増加というこの現象は分かって、それは低い賃金でということは分かるんですが、日本の経済社会全体の所得格差まで引き起こしているかというと、そういう要因よりも、今申したような高齢化世帯であるとか、あるいは世帯の人数の縮小の方にむしろ、で説明が付くので、まだそこのところまではマクロ的には行っていないと、こういう認識が背景にあるんだろうと思います。
  そういうようなことで、この下りについては、むしろ将来の格差拡大ということを引き起こすという、そういう懸念を訴えておられるものと考えております。
  それからまた、少子化についても、今フリーターの人たちが子供を持つ、生む、そういうところまで仮に行っていないということであれば、それがそのまま本来子供を持つべき、持つべきと言うとまたしかられるかもしれない、持てる、そういう年齢に達したときにはそれが少子化に結び付いてしまうと、そういう懸念をここの下りでは申し上げているのではないかと、このように理解をいたしております。

○足立信也君 今の御答弁は、格差拡大については現時点ではそうではなくて、やっぱり将来の問題であると、少子化については余り言及されなかった、だと思いますが、この点、今から分けてお聞きします。
  ジニ係数の話が出ましたけれども、どうしても、あのデータ三年ごとに調べているんですが、二〇〇二年のものが最終になっていまして、二〇〇五年のものがいまだに出てきません。幾ら要求しても、まだ調査中あるいはデータの整理中ということでいまだに出てこない。これは二〇〇〇年を越えてからの変化がいかに大きいかということが大事なわけで、私は、二〇〇五年のデータが出た時点で更にもう一度格差については、格差拡大については検討したいし質問したいと思っておりますが。
  これ、OECDの昨年の対日経済審査報告書です、ポリシーブリーフ二〇〇六。この中に書かれていることは、安倍政権のポイントとなる政策に直接結び付くようなことが一杯出ております。その中で、もう私がかいつまんでここに関連しているところだけ申し上げますと、生産年齢人口において所得格差が拡大していると、日本は。日本の相対的貧困率はOECD諸国の中で最も高い部類に入っていると。主な要因は、労働市場における二極化の拡大であると。このデータによりますと、十年前は一九%だった非正規労働者が三〇%以上になった。パートタイム労働者の賃金はフルタイムの四〇%であるというようなことが書かれています。そして、非正規労働者から、先ほどの議論でありましたように正規になる率が低い、ほかの各国に比べて低い、これは労働市場の二極化を固定してしまっている。更に悪いことに、日本は民間、特に民間の教育費が非常に掛かる。これが理由で二極化した、固定された二極化が更に世代間を超えて、世代を超えて引き継がれているというようなことが書かれています。このデータに基づけば、やっぱり非正規の増加、非正規雇用の増加というものが格差社会の原因の一つであると、原因の一つですね、一つにあると私は言えるんではないかと思っておりますが、このデータ、今私が話しただけでどうかとは思いますが、こういう対日経済審査報告書二〇〇六でそういう指摘があるということを踏まえて、格差社会に絞って非正規雇用の増加がその原因の一つであるとは考えられる、あるいは言えるんではないでしょうか。その点についていかがでしょう。

○国務大臣(柳澤伯夫君) ですから、先ほども申し上げましたとおり、この日本の経済をマクロ的につかまえてジニ係数というものの推移を見ますと、これはもう随分前からずっと漸増的に緩やかな上昇を示していたと思います。
  そういうことで、この緩やかな上昇を示すというものを、これはそういう体制をどう解すべきかということについて、私どもといたしましては高齢者世帯の増加という人口動態要因と世帯人数数の縮小という家族形態の変化要因というもので説明ができると、マクロ的にそういうふうな説明をした方がむしろこの傾向を読み解くにふさわしい解釈であると、こういうことだろうと思うわけであります。
  したがって、今のこのジニ係数の上昇というものをすぐにマクロ的にこの非正規雇用の増加ということに結び付けるという、このことはまだ必要ないというか、そういう状況にあると、こういうことだろうと思うんですね。
  ですから、これがずっと続いた場合には、更に先ほど申した二つの要素以上に大きな要因として挙げなければならない事態もあり得るかもしれない。こういうことで、将来、そのことはやはり心配、懸念をされると、そういうことをやっぱり防がなきゃいけない、こういう認識だろうと思います。

○足立信也君 やっぱり二〇〇五年、あるいは今回、調査を行われたのは二〇〇六年だったかもしれませんが、そのデータが今までのトレンドとどう違うかというのがやっぱり一番大きいんだと思います。これは私も分析してまたお聞きしたいと思います。
  後半部分の少子化のことなんです。これは予算委員会で大臣にお聞きしましたけれども、将来の、将来、少子化へ関係するかもしれないということではなくて、今現実の問題として大きく関係していると私は予算委員会で指摘しましたけど、ちょっと繰り返しになります。
  これは厚生労働省の労働経済の分析ですね、昨年の、労働経済の分析で二十代後半の男性では、これ、配偶者を持つ率、要するに結婚しているかどうかですね、正規の労働者が三四・四%持っている、三人に一人ですね。ところが、非正規の労働者は一四・八%、七人に一人しか結婚してない。パート労働者は一〇・二%、十人に一人。これは明らかに雇用形態によって、男性に限ってですけれども、結婚する率ですね、配偶者を持つ率が明らかに違うと、三人に一人から十人に一人まで違うわけですから。これが一点。
  それからもう一つ、これも予算委員会で資料を出して説明しました。二十一世紀成年者縦断調査、これは経時的に二十歳から三十四歳までですか、フォローしている率ですけれども、二十歳から三十四歳の女性では子供を産んだ、第一子を産んだ割合、子供を産んだ割合ですよ。正規の社員が四〇・七%、四割ですね、が子供を持った。しかし、非正規は二七・七%ですね、一〇%以上少ない。さらに、第二子を望むかどうか。第二子を望む割合は正規の社員が七一%、七割。ところが、非正規の社員は四三%。三〇%も違うんですね。子供を、実際に第一子を産んだ、あるいは第二子を望むかどうかも、この働き方に、この形態によってこれだけ違うという。
  これ、この現実で非正規雇用の増加が少子化の一因であるとなぜ言えないのか。やはり、少子化の大きな、結婚の率も三倍以上の差があって、子供を持つ率も三割近い差があると。非正規雇用の増加が少子化の一因ではないと思っておられるのか、本当にそう思っておられるのか、この点をお聞きしたいと思います。

○副大臣(武見敬三君) ただいま委員御指摘のとおり、この平成十八年版の労働経済の分析において、総務省就業構造基本調査を基に集計した結果によりますと、確かに配偶者のいる男性従業員の割合を就業形態別に見ますと、二〇〇二年、正規の従業員が六七・二%、非正規の従業員が五三・〇%でございまして、非正規従業員の方が正規従業員よりも有配偶率が低いというのは事実でございます。
  また、第四回の二十一世紀成年者縦断調査の結果におきまして、第一回から第四回までの三年間に結婚した男女の割合を結婚前の仕事の正規、非正規別に見ますと、男では正規が一五・二%、非正規が六・三%、女では正規が一六・八%、非正規が一四・九%となっております。
  同様に、三年間に第一子を産んだ妻の割合をこの妻の出生前の仕事の正規、非正規別に見ますと、正規が四〇・七%、御指摘のとおりでございまして、非正規が二七・七%となっております。
  したがって、これらの調査を踏まえて見た場合に、こうした非正規で結婚率及び第一子を産む可能性ともに正規よりも低いという、そういう確認ではないかと思います。

○足立信也君 それを踏まえて、やはり少子化に大きな影響をこの働き方、雇用形態というものが少子化へ拍車を掛けているというか、原因の一つであるということは言えないでしょうか、今のデータに基づいて。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 現在の少子化というものがどういう背景で生じているかということについてですけれども、この問題はやっぱり複合的ないろんな要因があるだろうと思うわけでございます。そういうことで、この非正規雇用の現在の大きさというものもその一因であるわけだということは今言われたわけですけれども、じゃ、すべてがそういうことであるかというと、そういうことまで言い切るだけのことは今現在の少子化の説明要因としてそういうふうにとらえるべきかということでもない。
  しかし、こういう非正規雇用は明らかに少子化に結び付いていくわけですから、これまで将来にわたって非正規雇用の増加というものが進んでいく場合には、それはもう非常に少子化の問題にも大きな要因として立ち現れてくるであろう、こういうことであろうかと思います。

○足立信也君 共通認識であろうと思います。
  何度も繰り返しておりますが、やっぱり働き方の選択は自らの意思によるものであって、そして短時間であろうが短時間正社員というような制度もやっぱりきっちりあるわけですから、私はノンレギュラーと言われるような、そういう呼称されるような事態はやっぱり余りふさわしくないと思っていますので、働き方の選択は多様であるべきでありますが、可能な限り正社員、正規の職員へ戻っていくという方策が大事なんだろうと思っています。
  総理大臣の発言に基づいて、あと八条、九条、十二条という予定はしているんですけれども、もう時間がそれほどありませんので飛ばします。
  そして、厚生年金の対象者の拡大ということもおっしゃいました。その中で、余り積極的ではないかのような発言も大臣、総理の方からありましたので、ちょっとその厚生年金に関して少しだけお伺いしたいと思います。
  総務省の行政評価・監視結果、勧告がございました。これで厚生年金への加入漏れが六十三万件から七十万、事業所ですね、あると。そして、そこへ従事されている従業員として将来この厚生年金を受け取れない可能性のある方は二百六十七万人だということが発表されて、そのことが勧告があったという事実がございます。それについてだけ、最後の残りの時間でお聞きしたいと思います。
  まず、二点あると思うんですが、雇用関係にある者が厚生年金の強制適用となる要件と、そして今総務省が発表されたこのデータ、二百六十七万人、これと対応するような厚生労働省としての調査結果はあるんでしょうか。その点をお聞きしたいと思います。

○政府参考人(渡邉芳樹君) 入口のまず厚生年金制度の適用事業所のルールだけ、まず先に私から申し上げたいと思います。
  厚生年金保険法第六条におきまして、次の各号のいずれかに該当する事業所若しくは事務所又は船舶を適用事業所とするとして、第一号として、いわゆる法定十六業種ですが、物の製造から最後には社会福祉事業、更生保護事業に至るまで列記してございます。そのほかに、第二号として、国、地方公共団体、法人の事業所又は事務所であって、常時従業員を使用するもの、第三号は船舶と、こういうことでございますので、総じて言いますと、法人事業所については規模、業種を問わずすべての事業所が適用事業所となると。個人事業所については、常時五人以上の従業員を有する製造業など十六の適用業種の事業所と、こういうふうになっております。

○政府参考人(青柳親房君) 後段の七十万事業所について、社会保険庁においてどのように把握をしておるかというお尋ねにお答えをいたします。
  社会保険庁におきましては、厚生年金の未適用の事業所につきまして、適用を進めていくために事業所の業務実態、それから従業員の勤務形態を個別具体的に把握するというふうに努めておるところでございます。具体的には、雇用保険の適用事業所のデータあるいは法人登記のデータ、こういったものを活用いたしまして、事業所の業務実態等を個別具体的に、個々に把握をした上で加入促進に努めるということでやっておりまして、平成十六年度からは、特に把握した個々の未適用事業所について、その後の適用事業所を継続的に管理するという形で進めております。この結果、個別具体的に把握しております未適用事業所の数でございますが、平成十八年三月末現在で六万三千五百三十九事業所でございます。
  なお、一点、七十万事業所との違いについて一言申し上げさせていただきますが、七十万は一定の前提に基づきまして推計をされた数というふうに承知をしておりますので、社会保険庁においては、繰り返しになりますが、個々具体にどこどこの会社という形で把握しておる数、先ほど申し上げた六万三千五百三十九事業所でございます。

○足立信也君 分かりました。後段の部分は来るべき法案の審議のときに更に詳しくやりたいと思いますし、残りの質問は次回、来週へ回したいと思います。
  どうもありがとうございました。

070517厚生労働委員会会議録より
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