国会会議録
 

平成18年12月6日- - 少子高齢社会に関する調査会


○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
 本日はテーマが生殖補助医療の現場からということでしたので、先生方、ありがとうございます。特に、宇津宮先生は遠方からはるばる、どうもありがとうございました。
 私は、三点あるんですが、まずは阪埜先生、そして宇津宮先生、そして根津先生にお聞きしたいと思います。
 私は、やはり立法府の立場として法整備は必要だと、それは思っております。そこで、私たちの手元にある資料というか、私たちが考えるのは、二〇〇三年の厚生科学審議会の生殖補助医療部会、そこでの認められること、そうではないことというのをやっぱり考えるんですけれども、先ほどの阪埜先生の発言は産婦人科学会の会告に基づいて今これが許されているとか認められていないということで発言されていたので、そこをちょっと整理したいと私は思いまして。
 医療部会では精子も卵も胚も提供はオーケー、認められておりますね。代理母、借り腹も含めて代理懐胎は認めないと。それに対して産婦人科学会としてはここを認めているということを、ちょっとその四つに関しておっしゃっていただきたいというのが一点です。
 それから、宇津宮先生には、私も、それから私たちの党も保険適用にしていこうという方向性でずっと主張しております。これは、先ほど先生のお話の中で、昔は恥であるということがありました。これは周りのみんなが子供が多いからできないことが恥であって、ところが、今は少子高齢社会でどうしてつくらないのと、恥よりもむしろ罪のような意識を覚えられる方もいらっしゃると、また、そういう周りの視線を感じられる方もいらっしゃるわけですね。
 そこで、保険適用にした場合に、これは疾病である、あるいは病的状態であるという認識になるわけですけれども、先ほどの意識の変化とその病的状態であるという認識をどのように考えられるか。ちょっと具体的にいえば、先生のところは不妊治療の専門医療機関で分娩は扱っていませんよね。これはやはり分娩をされる方が一緒にいることは不妊のカップルにとっては非常につらいからだと私は思っているんですが、それが受け入れられるような形になれば保険もずっと平気に受けられるんだろうと私は思うんですね。多分、そこの辺の認識が今はできていないということがあると思うんです。そこら辺の感想をいただきたいなということですね。
 その中で、私たちが考えている、この前、先日ちょっとお話ししましたが、年齢制限を設けるとか、あるいは十年間という区切りを設ける、保険適用についてですね。となると、余り高齢の方が、具体的に言うとあれですけれども、五十歳になってもまだ子供できないかと、不妊治療に頼ってということはあるべきじゃないと、母体から考えても、そう思いますので、その年齢的な区分、あるいは年数の制限を設ける、この考え方についてどう思われるかという、この二点です。
 それから、根津先生には、法整備が必要だという御意見も多いし、私もそう思いますが、そうなった場合、医療部会でも産婦人科でも代理懐胎は認めないと、そうなった場合に、先生は、今ある医学的技術を享受したいという方がいらして、それを提供してもいいんだ、それが幸せにつながるという強い信念の方にとって法整備することが、今の流れで行きますと、やはり代理懐胎は認められないという流れになる可能性高いんじゃないかという判断の下に、今度、犯罪を犯すことになる。そうなった場合に、先生の信念がどういう形になっていくだろうかということが一つです。
 それから、先ほど山本委員の質問に関連するんですが、ヒューマンパピローマバイラスが原因であると言われている子宮頸がんですね、このワクチンの開発の問題がある。私は、これだけ低い日本の検診受診率、一四、五%から一七%、アメリカは八〇%ですね。このワクチンを性行為を始める前に接種するということで検診率が更に下がるんじゃないかと私は危惧するんです。その予防のため、頸がん予防のためのワクチンを早期に開発することと検診を更に広めることとどちらが大事だと思われるか、その二点をお伺いしたいと思います。

○会長(清水嘉与子君) それでは、まず阪埜参考人からどうぞ。

○参考人(阪埜浩司君) 先ほどの足立理事からの質問ですけれども、我々日本産科婦人科学会は文部科学省の管轄の社団法人になっておりまして、当然、我々の学会からも、当時、生殖補助医療部会には委員を出していたということで、その意見はなるべく尊重するというスタンスでずっと決めてまいりました。
 精子に関して言えば、これは同じですね。精子提供に関しては認めているということがございます。会告の中に落とし込まれていないもの、すべての生殖補助医療技術が落とし込まれているわけではないので、卵子に関しては認めるという委員会提案ぐらいまでは行ったんですが、会告にはならずにとんざしているという状況があります。ですから、卵子の提供に関しては規定していないというところですね、今現在。
 胚に関しては、これは生殖補助医療部会は認めたんですが、本会としてはこれは生殖補助医療部会においても強く反対の立場を述べたんですが、そこは生殖補助医療部会の報告書とはずれています。胚提供に関しては禁止、認めないという立場を取っております。
 代理懐胎に関してはやはり同じように認めないという立場ですが、当時、本会の倫理審議会の意見の中でも罰則をもってという、それが果たしてふさわしいのかどうか。つまり、それをやった人に対して刑事罰を処するという、それはちょっといかがなものかという議論があったことは確かでございます。本会としては認めないという点では一致していますが、刑事罰をもって対処するということに関してはどうかという、そういう意見があったということは事実でございます。ですから、卵子に関しては今のところ会告の中には規定していません。

○参考人(宇津宮隆史君) 足立先生、先生方が保険適用に対して熱意持って活動されているということはこの前からお話を聞いていて非常に心強く思っております。
 今先生が言われたお話、正にそういうところに大きな問題が存在している、そこを言われたと思うんですけれども、まず昔は恥であったのが今はもう罪みたいになってしまっていると言います。実にそういう状況は全然変わってないようです。どこに日本はこういうふうにあるのかなと思いまして、日本人でない人に話す機会があるときにいつも聞くんですけれども、特に欧米系の人たちはそういう意識は余りないようですね。
 それで、やはりこれは日本の農業という、昔からの村の構成員の一人として子供が生まれてこないとこれは恥だというふうな、そういうふうな何か文化がそのまま残っているんじゃないかなという気がしております。
 それで、最近でもそうだと思えるものは、今日お見せした、うちで治療して赤ちゃんができなかったにもかかわらずうちで治療をやめた人たちがいらっしゃって、その人たちにアンケート用紙を配りました。結果はああいうふうな状態ではあったんですけれども、実はこれ、もっと深い意味がありまして、百七十通送りました。そして、返事が返ってきたのが約七十通でした。そして、あて先が分からなくて返ってきたのが三十通ありました。ところが、残りの七十通は、行っているはずなんですけれども、返事がありませんでした。ですから、患者さんはいまだにうちの病院で赤ちゃんができたということ、若しくはうちの病院、赤ちゃんがその方たちできてないもんだから、だからもっと傷付いた状態でいらっしゃるのかなという、それを表していると思います。そして、さらに今、幸いにも赤ちゃんができても、うちでできたということを隠したがるということ、そういうふうなあれでありますので。
 ですから、大分という地域、田舎の方ですので特にそういう傾向が強いのかなとは思いますけれども、嫁して三年子なきは去れという、そういう状況というのはそんなに変わっていないんじゃないかなという気がしております。
 そこで、分娩施設と一緒にやれないかということのお話もありましたけれども、そういうふうな状況でありますので、よそで治療していた患者さんがうちに来られると、妊婦さんがいないので、それで、ここに来てほっとしたという、そういうふうなことを言っていますので、恐らく不妊の治療というのは日本の場合は分娩施設とは切り離して運営しなければずっと恐らく無理じゃないかなという気がしております。
 それで、保険適用の意見ですけれども、先生がおっしゃるように、年齢制限であるとか回数制限であるとか、そういうふうなことは十分考慮しなければいけないと思います。というのは、うちの経験で、患者さんが大体いつも本当は三十万円、四十万円払わなければいけないんですけれども、五回以上とか十回以上チャレンジする方々には、やはり経済的に無理だろうということで、割引というか、そういう制度でやっていたんです。最終的には十何回やっている人たちは一回につき五万円ぐらいでやっていたんですけれども、ところが、それはかえって悪いということが分かりまして、やはり患者さんは、自分はそういうふうに妊娠しにくいということを安い料金でやっているものだから余り認識しなくなってしまうんです。ですので、これ実はあなたはこれぐらいに一回の治療に掛かっているんですよということを認識してもらうためにも割引をしない方がいいんじゃないかと思ってやったところ、患者さんがそこで自分の立場を本当に分かって、そして治療をやめていく。
 これやめるのが本当にいいのか悪いのか。ずるずるずるずる引っ張って何百万円もこれに費やしていって、最終的には赤ちゃんできない状態で打ちひしがれて終わってしまうという、そういうふうな状態に行く方が悪いんじゃないかなという気もしておりますので、ですので、体外受精のこの妊娠率というのはこういうふうに統計できちんと出ていますので、私は、一けた台、十回ぐらいまでなら保険を一〇〇%通してよろしい、それ以上になったら半分になるとか、四十歳までは一〇〇%でいいけれども四十歳以上は半分しか通らないよとか、そういうふうな制限を設けていいんじゃないかと、そういうふうに思っております。
 それが、その患者さんが最終的に子供のいない生活を選ぶという決心もしなければいけないわけですから、いたずらに妙な希望を抱かせて、そしてお金を浪費するようなことにならないようにしたいなと思ってうちでは取り組んでおります。

○参考人(根津八紘君) 今、法で禁止されるというふうに予測までしていただいちゃったんですけれども、私は幾らか光が見えてきたというふうにとらえてここへ出席さしていただいたわけでございます。
 というのは、本当に代理出産をしなきゃいけない人たちというのは、本当に不妊症の中のごくごく一部の方なんですね。そういう人たちが選ぶその選択肢を僕はやれと言っているわけじゃないんですよ、選択肢だけは残しておいていただきたい。なぜかといえば、私のところへ来る患者さんは、産婦人科学会で禁止しているものですから、そこのドクターは、代理出産という方法はあるよと言って子宮を取っておきながら、じゃ、先生紹介してくださいと言うと、僕は反対だし産婦人科学会じゃやっちゃいけないと言っているからといって、それでその患者さんほうり出しちゃっているんです。だから、言うんだったらやっぱりそれをちゃんと責任持たなきゃいけないと思う。
 それから、外国へ行くのは許す、さっきの話ですけれども、伊藤さんからも話がありました、生まれてしまったのでしようがないという感じなんですが、僕は、日本の国はアメリカの属国じゃないわけですから、日本人として日本人の責任を持たなきゃいけない。アメリカの女性の子宮を借りて子供を産んできた人を、それを認めてあげる、それはいいですよ、もうどこでもいいから助けを求めていくというのは、これはいいと思うんですが、そうじゃなくて、国内で、海外行って認めるんだったら、国内でやっぱり認めてあげるような、そういう立場をつくってあげないと、じゃ、その患者さんたちはどうするのかと、僕はね。どうして説得しないのかと僕に言われますよ。僕は説得しますよ。もう赤ちゃんのないことも人生じゃないかと説得するけれども、それは先生、お子さんがおられるからいいでしょうけれども、私は五人の娘を持っておりますけれども、その人間が、持っていない人にあきらめろということを僕は言えない。
 だから、僕は、作った人たちは私の患者さんのところへ来て是非説得していただきたい。その責任を持つならば、禁止の法律を作っていただいて結構だと思います。
 それから、ビールスのワクチンを開発する。僕はそれは、開発するのと並行して検診率を上げるという両方の方向でいくべきであるんじゃないかというふうに思っております

061206少子高齢社会に関する調査会会議録より
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