国会会議録
 

平成18年11月8日- - 少子高齢社会に関する調査会


○足立信也君 民主党の足立信也です。どうも先生方、ありがとうございました。
 特に諏訪先生と大澤先生に質問になるかと思いますが、私も足掛け十五年大学におりまして、やっぱり大学にいる文系の方が一番ワークとライフのバランスが取れているんじゃないかなって、私はそう思っています。
 なぜそんなことを言うかといいますと、産業構造なんですね。お三方のお話伺っていて、失礼な言い方かもしれませんが、第二次産業のサラリーマンにかなり重点が置かれた御意見だったような気がして、今、日本はやはり第三次産業、特にサービス業にかかわる方が物すごく比率が高くなっているわけですね。
 もう一つは専門性ということなんですが、先ほど諏訪先生のプレゼンテーションの中で、理想の仕事で、専門知識や特技が生かせるということと仲間と楽しく働けると、これが理想で挙がりましたが、専門知識や特技が生かせるということは希少性ということですね。それと仲間で楽しくというのは相矛盾するところがあるんですね。
 その専門性を高く持った人やサービス業の人、それをよりよく提供しようと思ったら、人を増やしていくしかないわけですね。実際、今増えているわけですね。そうなってくると、これは人件費をどうしていくかという形になって、それを、人件費を絞っていけば、少ない人数でより良いサービスという形になってくると、当然時間のシェアの仕方が非常に難しくなってくるというのが、今の産業構造から見た場合に日本がそういう特徴に流れているんじゃないかと私は思っているんですが、その点の、第三次産業、サービス業にかかわる方、あるいは専門職で人数が限定される方のワーク・ライフ・バランスについてのお考えを、お二人の御意見を伺わしていただきたいと思います。

○会長(清水嘉与子君) それでは、諏訪参考人、よろしいですか。

○参考人(諏訪康雄君) 非常に重要な御指摘だと思います。
 最初に、サービス産業といいますか、第三次産業に従事する就業者の比率なんですが、日本は大体六五%ぐらいでございまして、これが全体の中で圧倒的に多い。また、製造業と呼ばれる分野でも、第二次産業と呼ばれる分野においても、実はそこで勤めるホワイトカラーの人たちは、現実には第三次産業型、サービス産業型で働いている。こう考えますと、大変これは重要な課題であり、またここに対してしっかりと対応できないならばワーク・ライフ・バランス論は絵にかいたもちになるという御指摘は全くそのとおりだろうと思います。
 ただ、欧米を見てみますと、アメリカですとかスウェーデンのような国々においては、この第三次産業の比率は大体七五%ぐらいで日本より一〇%ポイントぐらい高いわけでございます。その意味では、サービス産業化することが即労働時間が長くなるというわけではやはりないのではないか。そうすると、こうしたサービス産業化をしていったときに、確かにサービスというのは、対人、対個人のサービスでも対事業所サービスにおきましても結局は人が人に対するサービスをするわけでございますから、このようなサービス関係における中身をどのように考えていくかということが重要なんだろうと思います。
 電話一本でいつでも即応するという形ばかりがすべてではないわけでございまして、やはりこの点ではシステムを整えて、こういう中においてワーク・ライフ・バランスを中に組み込んだシステムとしてつくっていく必要があるんではないか。さもないと、一時的にはもちますが、中長期的に考えるともたない、これが非常に重要な面だろうというふうに思っております。
 それからもう一点、大変痛いところをつかれたわけでございますが、文科系の先生方は自分がワーク・ライフ・バランス取りやすいから人にもやれと言っているんじゃないかというようなふうに、私はちょっとひがみかもしれませんが聞こえたわけでございますが、それはそうだろうと思います。確かに、文科系の先生方は労働時間が決して短いわけじゃないんですね。多くの人たちは、恐らく年間三千時間以上研究やその他でやはり非常に一生懸命やっているわけですが、ただ、就業場所ですとか時間において裁量性が高いということが、その意味では、はたから見ると場所に拘束されている理科系の先生方、つまり通勤して研究室に行かないと仕事ができないという人との差が出てくるんではないか。あるいは、実験など始めれば本当に十時間も二十時間も付きっきりでなければどうしようもできないというようなこととはやはり違うというところがあろうかと思います。
 私は、専門職の非常に厳しい最前線にいる人たちのワーク・ライフ・バランスの取り方はやはりこれは柔軟化ということなんだろうと思います。いろいろな意味での裁量性と柔軟化とそれから成果で評価するという方向でこれはいくしかないんではないかというふうに考えておりますが、しかしながら、すべての人がそのような専門的な分野でやっているわけではございませんので、サービス産業の多くの場合には、先ほどから申し上げましたように、人が人に対するサービスをする関係の中で、顧客の側が無限定にサービスを要求していきますとワーク・ライフ・バランスは取れなくなっていきます。
 この点についてどのような方策を、システムを組んでいくかというのがこれからの重要な部分でありまして、日本においてサービス業がなかなか国際的な競争力を持てないとか、あるいは生産性が高くない、したがって収入などにおいてどうしても見劣りする部分があるなどと言われているのは、やはりシステムにおける問題点があるんではないかというふうに思っておりまして、今すぐ、ではこうすればいいという例はなかなかすぐには浮かんでまいりませんが、しかしながら、小さな事業所などにおいて、それぞれに工夫しながら高い生産性を上げている例は多々あるわけでございまして、そうしたものを、先ほど池本参考人もおっしゃられていましたけれども、もっと、こんなやり方もあるんだ、あんなやり方もあるんだということがうまく伝わっていくような仕組みも、仕掛けも重要ではないかと思っております。

○会長(清水嘉与子君) それでは、大澤参考人、どうぞ。

○参考人(大澤真知子君) 御質問ありがとうございます。
 サービス経済化になっていく中で日本がどう対応していくのかということだと思いますが、サービス経済化の中で非常に、二十四時間営業する事業所が増えてきましたり、人手が必要となっていく中でワーク・ライフ・バランスをどう獲得するのかということについてもう少しちゃんと答えろという質問だったんじゃないかなというふうに思います。
 確かに二十四時間のお店がたくさん増えていますし、それから日本が休んでいるときでも海外ではオフィスが開いておりますから、そういう中では本当に二十四時間体制になってきて労働時間が不規則になっていく、そういう問題に対してどう対応するのかということを考えることが非常に重要になってきたということだと思います。そういう点で、逆に柔軟性が必要になったから柔軟な働き方が、導入することのメリットが増えてきたという議論もできるわけでして、イギリスの例なんですが、これは図書館を日曜日も開けてほしいという要望があったという例です。
 ほとんどの人がやっぱり日曜日に図書館を使いたいと思っているが、日曜日に働きたいと思っている人はいないと。職員が反対しているので開館できなかったんだけれども、ここで、イギリスでワーク・ライフ・バランスになってから、じゃどうしようかということで、シフトを組んで、日曜日に働きたい人を募ってみたところ、実は家庭にいる奥さんで、日曜日には家に夫がいて子供を見てくれるから図書館で働きたいという女性が結構いたと。まあ地域にも近いし、社会活動もしたいという。
 そういったところで、実際に人々の希望を募って、どういう時間帯で働きたいのか、どういう形態で働きたいのかということを労働組合が中心になって人々の希望を聞いて組合せをして、一年ぐらい掛かったということなんですが、それによって、そうでなければ働かなかった専業主婦の人たちも家庭から図書館に働くことになり、結局、図書館が日曜日に開館するということは非常に良かったということで、かつ正規の職員の人たちも、別に自分たちの労働時間に問題がなかったということなんですね。
 要するに、柔軟性をどう導入するかというときに、日本は正社員の数を減らして、まあ店長さんとかそういう人は正社員ですが、それ以外の人はほとんどアルバイトという形で非常に安く使ってコストを削減しようというふうに考えてきたわけですが、もう一つのやり方は、正社員の短時間労働を組み合わせていくことによってより多くの保障がある仕事が増えて、かつサービスも充実すると。つまり、一人の人が疲弊してしまうわけじゃなくて、いろんな人が自分の都合に合わせて働けるわけですから、結局、仕事が生み出されて雇用も増え、かつ税収も増えていくという、で、より希望に沿った働き方が実現される可能性が高くなってくるんですね。
 これがいろいろな国でワーク・ライフ・バランスが求められてきたもう一つの理由で、今までの第二次産業中心の働き方の延長線上だとどうしても過重労働や労働時間が長くなってしまう、そういうことに対して新しい発想でいく。ですから、その分、労働時間が短い分、収入も少ないわけですが、雇用の保障があり、技能形成ができるということです。
 御質問、済みません。

○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。

○足立信也君 ありがとうございます。
 かつて、今もそうですけど、出雲市役所が三百六十五日オープンにした、しかし総人件費は上げなかった、そういう変化を職員ものみ込むかということだと私は思います。

○参考人(大澤真知子君) そうですね、はい。

061108少子高齢社会に関する調査会会議録より
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