国会会議録
 

平成18年6月13日- - 厚生労働委員会



○足立信也君 民主党の足立信也です。
 この法案の審議の前に同僚の朝日委員と相談していたことなんですが、二人とも医師でありますから、朝日先輩には健康保険法のことを中心にやっていただいて、私は、良質な医療をという医療法の方を中心にやってきたわけです。まだまだ残っております。そして、私自身も健保法については問いただしておきたいことが一杯ございますので、時間の許す限り御協力をよろしくお願いしたいと、そのように思います。
 ちょっと通告しておりませんが、最初に大臣にお聞きいたします。
 世界は、この十年、医療の質をいかに良くするかという動きをずっとしてきているんですね。その大事なこととして、提供されるべきサービスが提供されない場合がある、そして明らかに効果があるというエビデンスが得られているサービスが提供されないことがある、そして技術的な未熟がまだ各国で差があると、こういったことが医療の質の改善として挙げられているんですね。
 それに対して、この前も言いましたが、将来推計、あるいは現状の医療の質をしっかり変えていくんだということではなく、将来推計に基づいた医療費抑制策というものは医療の質の低下を必ず招くと、そして人材の確保や離職の防止が非常に難しくなるんだと、サービスや医薬品の供給不足に陥る可能性もあると。これは、OECD三十か国が話合いを持ってまとめた本に書かれてあるわけですね。これがそうです。二〇〇四年にまとめられて、去年、日本語訳で出ております。
 大臣、私は、二十三年間の外科医としての経験と、それから、がんを扱ってきた人間、そして各学会、がん学会、外科学会、その方たちの意見を一杯聞いてきました。そして、ある意味、研究者としての仕事もありましたから、そのことも踏まえて、我が党では「崖っぷち日本の医療を救う」という冊子を作らせていただきました。大臣、この本、読まれましたか。
○国務大臣(川崎二郎君) 読んでおりません。
○足立信也君 これは厚生労働省が訳されている。世界の医療制度改革です。方向性が出ております。これを十分に参照しながら私は冊子を作ってきたつもりです。
 では、医療法について入ります。
 順次やっておりましたが、今、五番目まで来ました。五、医療安全の確保についてです。資料も行っていますよね。
 まず、私は、患者さんが相談するところというのは、一つ大事なことは、自分が掛かっている医療機関ではないところに相談する体制があること、そしてそれは、例えば行政、役所のようなところではなくて医療機関に、医療の専門家、現場の経験のある人に相談したいということが大事なんだと、そのように思っております。
 その点におきまして、今、安全支援センターというのが設置されておりますが、これは、どこに設置されていてだれが相談に乗っているんですか。
○政府参考人(松谷有希雄君) 医療安全支援センターがどこに設置されているかということでございますけれども、これは、医療機関とは別に第三者としての立場から都道府県等が相談に応じるということで、都道府県ないしは保健所設置市あるいは保健所設置区に設置をしているものでございます。
 もちろん、相談に来られる方は、医療に掛かられる患者さんあるいはその家族という方々が来られて、苦情や相談に対応するということで、医療機関に対する助言等も今回明確にしたところでございます。
 今回の法案では、御存じのとおり、この医療安全支援センターの制度化を行って、その機能を明確にしたということでございます。
○足立信也君 役所の窓口とかあるいは保健所、それももちろんよろしいんでしょうが、私は、せっかく、がんに関しては地域がん拠点病院、あるいは小児に関しては二次医療圏内でそういうセンターを設けるという構想もあるわけですから、やはりそのような医療機関に相談できる窓口をしっかり設置すると、そのことが大事なんだということを申し上げておきたいと思います。
 次に、日本医療機能評価機構、ここには医療安全支援センター総合支援事業というのがございます。そのパンフレットといいますか、見ますと、これ、国民への情報提供というのが業務の内容として掲げられておりますが、実際、この評価機構から国民へ対して情報の提供というのはどのようなものがあるんですか。
○政府参考人(松谷有希雄君) 日本医療機能評価機構におきましては、その本来的な機能として、医療機関の第三者的な評価を行うほか、医療安全支援センターの総合支援あるいは医療事故等に関する情報の収集、分析、提供というようなことをやっているわけでございまして、その機能の一つとして、一般国民に対する情報提供も行っているところでございます。
 どの医療機関が第三者的な機能評価を受けたのか、あるいは医療安全支援センターの総合支援で申しますれば、センターの業務内容あるいは身近な相談窓口の紹介、あるいはセンター職員や医療機関に対する研修の状況及びセンターで受けた相談の傾向などの情報提供、それから研修を受けた支援センター職員を通じての相談内容に沿った情報提供、また医療事故等に関する情報提供につきましては、特定機能病院等から報告された情報を収集、分析をいたしまして、そのまとめにつきまして情報提供を行っているとかいうようないろいろな面での情報提供が行われていると承知しております。 ○足立信也君 いろんな面での、多分それ、質問の二番と三番、今まとめてお答えになられたんだと思います。三番では何を聞こうと思ったかというと、医療事故防止センターという補助金事業があります。そのことも今触れられたんだと思うんです。
 追加で質問さしていただきますが、今内容はこういうことをやっているというのをおっしゃいました。どのように国民に知らされているのか、これが一点。
 それから、先ほど医療安全支援センター総合支援事業という、これ委託事業ですね、そのことをさっき聞いたわけですね。この十八年度予算とそれにかかわる人員、それから今度の質問である医療事故防止センター、これ補助金事業ですね、それにかかわる予算と人員、それをお答えください。
○政府参考人(松谷有希雄君) まず医療安全支援センター総合支援事業でございますが、事業の予算額は六千二百万円でございまして、四人の人員体制で業務を行っております。
 それから……
○足立信也君 事故防止センター。
○政府参考人(松谷有希雄君) 医療事故に関する情報提供の関係でございますけれども、これにつきましては、医療安全にかかわる医療専門職、安全管理の専門家などで構成される二十六人の分析班を設けまして、六人の事務局員の人員体制で業務を行っております。事業の予算額は一億二千万円ということとなってございます。
 この情報提供につきましては、この機構のホームページ等を通じまして情報提供を行っておりますし、また、医療事故等につきましては冊子も作成をしておるということでございます。
○足立信也君 合わせると一億八千二百万、国の医療の安全あるいは事故防止に関して中枢的にやられているところ、この件に関しては一億八千二百万で終わらせようと。このことが、良質な医療を提供する体制で果たしてうまくいくのかな、実際に分析されていて、その予防策、解決策まで提示できるような体制になっているのかなって、多くの疑問が私はあるわけです。
 そして、午前中にありました、無過失補償制度のことがありました、医療事故に関してですね。これはなるほど私は必要だと思っているんですが、この無過失医療制度、検討会、審議会で国の方から委託されてやられていると思います、今。私の同級生がそのメンバーの一人ですが、これ前提条件が、きちっと、報告だけではなく調査機関を、第三者的な調査機関があって、そして無過失補償制度に該当するのか、あるいは訴訟に該当するのか、民事なのかということの判断、医療がどの程度かかわっているかということを調査する機関がないと意味ない話なんですね。その大前提があるんです。このことを前回まで私はずっと申し上げてきたわけです。
 次に行きます。
 三番、いよいよ地域や診療所による医師不足問題への対応というところです。
 資料をごらんください。これ、もう何度か皆さん、目で見られていると思うんですが、大事な点は、これはOECD三十か国で、日本の人口、この場合は千人になるんですね。十万人に直すと、日本が三十か国中二十七番、二百人ですね、十万人当たり。もっと大事なのは、これは何を言いたいか。プラクティシングフィジシャンズと書いていますね。要するに、医療に従事している人の数をきちんと出しているんですよ。ですから私は、今日午前中の議論にもありましたように、医師免許を持っている人の数ではなくて医療機関に従事している人の数が大事なんです。
 そして、この右側にあるのはもっと大事なことです。じゃ、医師をどういうふうに増やそうとしているのか、減らそうとしているのかということです。日本よりも十万人当たりの医師数の少ない国は、すべて日本よりも多く増やそうとしております。そして、日本よりも多い国でも、これざっと見て、半分以上は更に増やそうとしているということなんですね。
 午前中、どれぐらいの、策定の要因は何があるかということと、それから基準はどれぐらい考えるかという話がありました。そのことで私はこれを、資料を前回求めたわけですね。
 これが、実は私、理事会へ諮っていただいて全議員に届けてほしいといった内容が、二次医療圏別人口十万人当たりの従事している医師数、表の資料の二番目です。これは全部を全委員には渡さないということですので、表紙だけ。よろしいですか、三百七十・二次医療圏でどれぐらいの医療従事者が、医療機関に従事している医師がいるかという表の一部です。十何ページあります。
 そして、これだけでは分かりにくいので、次の資料をごらんください。資料二の二です。これを、人口十万人当たり従事している医師数を度数分布に表しました。
 まず、これを眺めている間に一つお聞きしたいのは、今まで衆議院からまた参議院へ、十六年度末の医師数は二十七万人という話がずっと出ております。では、医療機関に従事している医師数、看護師数は何人でしょうか。
○政府参考人(松谷有希雄君) 国内の医療機関に従事している医師数につきましては、平成十六年の医師・歯科医師・薬剤師調査によりますると、平成十六年十二月末現在で二十五万六千六百六十八人となっております。
○足立信也君 それは、私がお渡ししました二の一、資料の一番右の欄、ごめんなさい、右から四番目になりますか、人数ですからね、これを足し合わせると二十五万六千六百六十八名になるわけですね。これを十万人で割ると、十万人当たり二百一人という数になるわけですね。大臣答弁は二十七万をベースに二百六人というふうに来ているわけですね。
 では、この中で重複ですね。例えば、私が大学に勤めている間は、うちの科は平日の他の病院へ行くこと禁止でしたが、科によっては週に一回数時間とか、それは地域医療のためということで仕事へ行かれる、そういう方はそこの非常勤医師という扱いにもなっている。これ、重複はあるんですか、ないんですか。
○政府参考人(松谷有希雄君) この調査は医師・歯科医師・薬剤師調査というものでございまして、それぞれの医師、歯科医師、薬剤師から二年に一度お届けをいただく、法律に基づいて御報告をいただくというものでございますので、医療機関を通じた調査ではございませんので、重複はないものと思っております。
○足立信也君 ここで、先ほどの資料の説明へ入らしていただきます。
 もう一度、二の二をごらんください。
 この上の段、赤い線で区切ったのは、今、日本の平均が、従事している医師数は二百一と私言いました。ということは、それより左側、二百八十二の二次医療圏はここに達していないということです。
 そして、十万人当たり二百から二百五十まではちょっと小刻みに出してみました。これは、大臣が平成二十九年には三十万人になる、それ以降は過剰になると、そのときの人口を一億二千万とすると人口十万人当たり二百五十人です。この二百五十人というラインで区切ってみました。
 それ以上医師が存在する二次医療圏は、全国三百七十のうち四十六個です。そこに、将来これ以上は過剰だとおっしゃる二百五十というラインの、現在で二百五十以上医師がいる、人口十万人当たりですよ、二次医療圏数を書き出してみました。全国で三十五都道府県。で、四十六・二次医療圏ということなんですね。
 これは、例えば北海道は二次医療圏が二十一個あるのに、今現在二百五十人以上いるところは一か所しかない。で、当然のことながら、十二県は一つもないわけですね。これで、都道府県内で偏在を解消せよという根拠はどこにあるのかということをまずお聞きしたい。
 その点について、前回の質問で、都道府県の中で対処し切れないものはその枠を超えてやるしかないという話でしたが、実際上、こういう現実なんですね。この三百七十・二次医療圏ある中で、これ以上は過剰だとおっしゃる数に今現在あるのが四十六にすぎないんだと。トップは断トツに東京なんですね。千人を超えております。ある区だけですけどね。
 この分析をごらんになって、果たして都道府県内でどれほどの偏在の解消ができるとお思いですか。その点をお聞かせください。
○政府参考人(松谷有希雄君) 二次医療圏ごとの詳細な分析でございますが、これを見ますると、特定の、例えば各都道府県で中心的な場所の二次医療圏に医師が集中をしているということを表しているのではないかと思っております。また、全国的に見ますと、東京が十三か所のうち五か所ということでございますので、二百五十人以上いるところはそういうことだということであろうかと思います。
 どの程度が足りるか足りないかということでございますけれども、全体で見ますと、二百八十二が二百未満ということでございますので、各都道府県の中で高いところというところからこういったところにどのような形で医療の提供を進めていくことができるのかということをまず考えるということではないかと思いますが、それが困難な場合もあろうかと思いますので、そのための手だてもまた場合によっては必要になるのではないかというふうに考えております。
○足立信也君 実際上は都道府県内では無理だということなんですね。
 それと、先ほど私はこれ、理事会に対して、委員長に資料請求しました。これは委員にはどうもお出しできないということなんですが、これは、もう一つ私、一ページ目だけ出しましたが、非常に重要なのは、診療所に勤務している医師、それから病院へ勤務している医師もしっかり数が出ているというところなんですね。これは今後の医師数の需給状況あるいは設定をするに当たって非常に重要な資料だと思います。
 ただし、これは、こういう形で計算をしてくださいと医政局医事課へお願いして出していただいたものですよ。通常はこういうデータを用いていないということなんですね。医事課の方には非常に短期間で御努力いただいて、大変ありがとうございますが、これがないとやはり計画というものは立てられないんじゃないかと私は思います。そして、この中に、午前中もありましたが、では非常勤、常勤の区別は、この病院に勤めている医師数、診療所に勤めている医師数の中で、統計的に常勤者の数、非常勤者の数はとらえているんですか、厚生労働省としては。
○政府参考人(松谷有希雄君) 午前中も御答弁申し上げましたけれども、この統計は、医師・歯科医師・薬剤師調査でございますので、それぞれのお医者さんからの御報告ということでございますので、そのようなデータとしては統計調査からは把握できないということになってございます。
 なお、これとは別に、医師数につきましては、それぞれどの程度の常勤職員、非常勤職員が病院に勤務しているかということについて、医療法第二十五条に基づく立入検査結果を取ってございますが、その中では、常勤、非常勤についても個票に戻りますと区別がございますので、これを集計し直すことにおいて算出することは可能でございますので、お時間をいただければ算出させていただきたいと考えております。
○足立信也君 私は先ほどいろんな立場のことを言いましたが、実は日本では、これが事故死なのか、あるいは病死なのか自殺なのか、あるいは事件なのか、その死因を究明するに大切な病理医あるいは法医学者も非常に足りない。あるいは、外国から見ると、行政に携わる医師というものも足りない。そして、基礎医学の研究者も足りない。つまり、医療機関に従事していない医師も足りないと言われているわけですね。そして、医療機関に従事している医師の数を出していただいたら、常勤、非常勤の区別はないけれども、OECDの平均が今二百九十人、十万人当たり二百九十人という事態の中で二百一と。そして、二百五十に達したらもうそれ以上は要らないという根拠が一体どこにあるのかということを私は改めて申し上げたいと、そのように思います。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
 先ほど、医療の質の改善に向かってこの十年世界は動いてきたと、そのように申し上げました。患者さんが要求する、要望するサービスの質を上げれば上げるほど、それに従事する人間の数というのはやっぱり必要になってくるんですね。
 私は、今、なぜこれほど医師不足という問題が表面に出てきたか。これは、やはり常勤の医師数が非常に足りなくなってきたことと、そして国立大学の独法化にあると私は思っています。
 医師数が、医師数の中に占める女性の割合が増えてきた。それは、女性が医師になることがいけないというんではなくて、その女性医師に対して労働環境の整備をしてこなかったということが一番の原因だと私は思っています。
 今、二十九歳以下では男性医師は毎年百人減っていると、女性医師は毎年三百五十人増えている。ところが、女性医師は、三十代から四十代にかけて結婚、出産、育児等で半数の方が辞める、常勤ではなくなる。このことが一番の問題で、これは私が、そうですね、大学卒業して数年、ですから、今からもう十五年ぐらい前、既に女性の医学部の学生は四〇%超えていましたね、四〇%、私の大学の場合。それぐらい、もう昔からの話なんですね。このことを改善してこなかったと、あるいは目を向けなかったと、これが非常に大きいんじゃないかと私は思います。そして、今まで、医師需給に関する検討委員会の報告の話が出ましたが、先日もちらっと触れましたけれども、医師の過剰は医療費の高騰を招くんだと、そういう強いどうも基礎的な認識があるんですよね。
 一割削減という形が出てきて、大臣が非常によくおっしゃられる平成六年から十年までの、この前川委員会の中では、先日も言いましたように、平成二年以降、病院から開業医へ流れる方が増えてきた。これは、もう病院では医師が過剰状態で就職できないから開業の方へ回っているという、そういう共通認識がどうもあった。それから、今、医師不足の問題でいろいろ言われております卒後臨床研修、これによって、二年間研修することによって総医師数としては五%削減効果があると。これは本末転倒の話なんですね。  これちょっと、先ほど女性医師のことをちらっと私言いましたので、もうちょっと詳しく言いますと、小児科学会が大学やあるいは急性期の、大きな病院を対象に調べたアンケートで、女性医師が妊娠したとき深夜勤務あるいは当直の免除がないのが三割、産休の代替要員がないのが五割、産休中の身分保障がないのが二割、育児休業制度がないのが三割、こういう状態なんですね。このことをまずすぐにやらなければ女性は常勤の職場へ戻ってこない、そのことを強くまずは訴えたいと私は思います。
 そして、医師需給に関して、勤務状況調査というのを厚生労働省やられました。この中で、じゃ実際に、今医療現場で働いている人間がどれだけの週当たりの労働時間働いているか、平均労働時間と週八十時間以上勤務の割合、これを教えてください。
○政府参考人(松谷有希雄君) 現在行っております医師の需給に関する検討会に関連いたしまして、昨年十二月から本年一月にかけて行われました医師の勤務状況調査の中間報告によりますると、病院常勤医師の休憩時間も含めました一週間当たりの在院時間は平均で六十三・三時間でございました。その中で、外来診療及び入院診療の時間は一日およそ七、八時間程度であったということ等が報告されております。
 なお、この報告で、今御質問の週八十時間以上働いている者の割合につきましては、勤務時間の取り方もあるため確定的には申し上げられませんが、仮に、例えば休憩時間も含めたその病院にいる時間、在院時間といたしますと、勤務医で一五・三%、開業医で二・四%、また外来診療、入院診療、それから教育研究を合わせた時間で見ますると、勤務医で四・八%、開業医で〇・七%の方が週八十時間以上働いているということになっております。
○足立信也君 あれ、今言い間違いですか。合わせた数の方がパーセントが少ないというのはおかしくないですか。
○政府参考人(松谷有希雄君) 休憩時間も含めた在院時間、要するに、病院に行ってから帰るまでの時間の方が長くなります。そのうちの診療、外来、入院の診療、教育研究の部分、休憩等を除いた時間が合わせた時間の方でございます。そっちの方がちょっと短いということになります。
○足立信也君 衆議院からずっと、大学病院が抱え込んでいる、大学に人を一杯呼び寄せて、卒後臨床研修の必修化によって、そして市中病院の医師が減っているという議論がずっとありましたね、私はそうは思ってないんですね。先ほど言いました独法化がかなり絡んでいるんだと思っていますが。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
 今数として、厚生労働省が同じく十五の国立大学病院の計六十診療科を対象に行った調査がございますね。これで週八十時間以上の勤務をしている人のパーセンテージ、三七%ですね、大学、今、お話ですと一五・三%です。二倍以上、週八十時間以上働いている状況なんですね。参考人の意見陳述でもございました急性期病院の疲弊は極度に来ている、大学病院も同じように、急性期病院と同じように疲弊した状態で元気がない、さらに教育研究もやらなければならない、こういう実態で病院にいる時間、週八十時間以上いる方が三七%だというのが現状です。
 これは非常に危険な状況で、もちろん労働基準法違反で過労死認定にもかかわってくる程度なんですが、調査をすると九十時間未満はそれほどストレスは増えないと書いてあるんですが、九十時間を超えると、うつ病とか疲労感のストレス反応が労働時間に比例して増えていくということが出ています。そして、最初は自分の自由時間を削るけれども、八十時間以上になると睡眠時間を削るという非常に危険な状況になっている。こういうことに対しては今ドイツで大ストが行われていますね、大学病院に勤める医師たちのストライキが続いております。こんな労働条件ではやっておられないと。
 私は、そういう状況だけはお話しするとして、先ほどなぜ独法化と言ったのは、そうは言いながらも少しずつ、労働基準局の努力、指導などによりまして少しずつ改善してきている。それから、独法化によってやはり労働基準法はできるだけ守らなきゃいけないという方向性で人が必要になってきているんですね、法を犯さないために。このことが実は大きいんだと思います。
 そこで、先ほど、これから文科省にちょっとお伺いしたいんですけれども、私は医療機関に従事する医師の数も従事しない医師の数も非常に世界的に見て少ないということを申し上げてきた。だとすると、緊急避難的に今増やすための努力かあるいは中長期的な努力が必要だと、これはそう思います。
 そこで、自治医大のように、十年間地域医療を義務付ける、奨学金という形で、返済しなくても済むのはそういう義務付けという意見ございましたね。私はこれ非常に危険だとある意味思っているんです。それは、今、医学部六年、臨床研修二年、合わせて最低八年ですね。そこから十年間義務付けられた場合に、日本が今世界のトップクラスにある基礎医学の研究者がいなくなりますよ。これは是非とも避けなければいけない。ここ数年ずっとノーベル医学賞候補には名前が挙がっている人もおりますけれども、彼らはやっぱり二十代後半に非常にいい研究をやっております。この芽が摘まれる可能性がある。これをすべてに適用するのはやはり間違いだと思っていますし、十八歳のときに現役で行って、二十六歳で働けるとなって、これから十年間地方へというこの義務化は非常に厳しいと思います。
 そこで、私自身の経験でもあるんですけれども、入学当時は、例えば防衛医大、自治医大、私立の医科大学、国立一期校、二期校、公立医大と、六回ぐらい受験の機会があったですね。自治医大に合格した方で国立の医学部へ合格した方は辞退者が多かったです。これは、九年間という義務があるから、ない方がいいということで辞退された方、非常に多かったと私は記憶しています。
 そこで、これ調べるの難しいかもしれませんが、今現在、自治医大の受験者で、都道府県のレベルで選考される方、あるいは栃木に行って最終選考の方もいると思いますが、辞退者ってどれぐらいいらっしゃるんでしょう。
○政府参考人(磯田文雄君) お答え申し上げます。
 自治医科大学の平成十八年度入学者選抜におきまして、合格後に辞退した人数は、第一次試験におきましては合格者三百十四名中十六名、第二次試験におきましては合格者百六名中十二名であると承知しております。
○足立信也君 非常に多いと思いませんか。一割以上が辞退するんですよ。やはり十八歳の時点で将来の義務化まで含んだ決断をするのは無理ですよ。そして、医学を大学で勉強するということは必ずしも、皆さんは医師イコール臨床医と思われるかもしれませんが、そうじゃないです。やはり基礎医学へ進む人間、社会医学へ進む人間、いろんな人間を育てたいし、そういう場面を見せなきゃいけない。それを十八歳の時点から、どの程度考えられているか分かりませんけれども、強制していくのは私は非常に無理があると、そのように思います。一割以上の辞退者というのは普通の事態ではないと思います。
 そこで、じゃ、どうしたらいいかと。午前中も地方枠ですか、の話がありましたけど、現状はどうなっているかと。
 私の大学の例で言いますと、元々定員が百人。医学部というのは義務は六年以上百八十八単位ですね。百人いたと、それを、先ほど言ったいろんな委員会で医師は削減しなきゃいけないということで一割減になって九十人になった。そして、その九十人の中に推薦枠というのがあって、何人にするか、二十人とか二十五人とか。地方枠というのはその推薦枠の中にすぎないんですね。じゃ、これをどんどんどんどん広げていったら、推薦枠以外の一般入試、頑張って勉強した方の枠がどんどん狭められることになるんですね。
 私が提案したいのは、定員百人、仮に、今仮の話です、百人と出ていますが、それを一割で九十人にした。残り十あるんですよ。この十で今何をやっているかというと、編入学ですね。編入学というのは、その十の枠の中で幾らでもいいわけですよ。今、編入学、いわゆる学士入学という話、聞いたことあると思うんですが、この規定は、大学で、他の大学で取得した六十単位までは認めようということですね。ですから、もちろん、ほかの大学を卒業した方も六十単位認めてもらって三年から編入、あるいは卒業していなくてもそれだけの単位を認められて入ってくるという枠があるわけですね。
 私は、その編入学の中にも、編入枠の中にも地方枠というのを設けたらどうかと。つまり、百から九十へ減ったその中の、推薦枠の中のさらに地方枠以外にも、百から九十に減ったその残りの十の差、その中に地方枠というものを設けたらどうかということを考えておりますが、その点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(磯田文雄君) 今御指摘の学士編入学制度でございますが、平成十年度以降、各大学の医学部で導入が進められておりまして、平成十七年度現在、国立二十九大学、私立八大学において実施されておりますが、地域医療に従事する医師の養成の観点からは編入学生に占める県内出身者の割合や卒業生の県内の医療機関への定着状況等を見守る必要があるとの意見もあります。
 こうした状況の中で、御指摘のような学士編入学の募集人員の一部を地域枠、当該都道府県の高等学校等卒業者の枠として設定した大学の例や、現在検討を進められている大学の例も承知しており、このような取組は地域に貢献する医師の確保のための取組の一つであり得ると考えております。 ○足立信也君 もう一つ提案したいのは、ほかの学部、ほかの大学を卒業した人は六十単位まで認められると。今日、午前中、歯科医師が余ってきている、歯学部の入学定員の削減もしているという話が出てきました。歯学部の学生というのは六年間の教育を受けた後に卒後臨床研修もやると、こうなりました。人体解剖も行い、基礎医学もきちんと勉強している。歯学部の学生が、例えば六十単位ではなくて、百単位まで認めるという枠を設定すれば、歯学部から医学部への編入が、四年生へ入ったりということが可能になるんじゃないでしょうか。これは一番現時点では最速の医師養成の手段の一つかと思いますが。
 例えば、六十単位という枠を、六年間のそういう教育を受けた、あるいは保健学科でもあり得ると思いますが、これを広げるという可能性はあり得るんですか。
○政府参考人(磯田文雄君) 今御指摘のような御意見も一部にはあるということは伺っておりますが、現在、私どもといたしましては、そのような御提案も含めた様々な取組について工夫、改善の検討を重ねておりまして、そのような検討の中で考えてまいるべき事項と考えているところでございます。
○足立信也君 じゃ、検討をお願いします。
 先ほど、十八歳で、将来十年間の間あっちへ行けということを言うのは非常に難しいと私は言いました。私は、やはり医師になって、前期の卒後臨床研修が終わった三年目、ここにやはり国としては科ごとあるいは地域ごとに標準数あるいは目標数というものを掲げてあげた方が選ぶ側の人間も選びやすいと思います。必ずしもそれは、衆議院の議論で職業選択の自由とかいう話が出ておりますが、科を選ぶということは、私自身の経験からいって、それほど人生を左右するようなことではないという印象がございます。もっとやはり目標設定数というものははっきりしていいんじゃないかと、そのように思います。
 医療法改革のもう最後になりますが、六番目の医療法人制度改革。私は、これは、この改革案、解散時の残余財産の帰属先の制限あるいは社会医療法人債の発行、そして基本的に、公的であるということと公益性を持つということは同義ではないと私はずっと思っておりますので、基本的にこの改革案、私は賛成です。
 しかしながら、やはり先ほどからの議論をずっと聞いておりまして、高齢者が特に増えてくる時代に、医療と介護のすき間はないんですね。シームレスですよ。だとしたら、私は、特養もこの社会医療法人が併設設置できるということは必要なんではないかと思います、個人的な意見ですけれども。
 それでは次に、生活習慣病のこともちょっとあるんですが、どうしても触れなきゃいけない高齢者の自己負担の増加、これはちょっと看過できないので、資料をごらんください。
 これはまず日銀の調査です。家計の金融資産に関する世論調査、日銀のものです。
 貯蓄、つまり預貯金ですね、の保有世帯と非保有世帯、これスケール違います。保有世帯の方は上が一〇〇、非保有世帯は上が三〇、で、このように推移しています。意図的と思われるかどうか分かりませんが、交差地点は二〇〇一年、現内閣の誕生のときです。これだけでは分かりづらい、あるいは所得格差は高齢者一人世帯の増加による、ジニ係数の変化はそれが原因ではないかと、はっきりした所得格差はないというような意見もございますので、分かりやすく、次の資料をごらんください。
 これは、年代ごと、そして年間収入ごと、貯蓄のない世帯、ある世帯を三次元的にこの日銀からいただいたデータで作ってみました。貯蓄のない世帯、二十代から七十代まで全部増えている。これ年間収入別に見ると、貯蓄のない世帯というのは、やはりさすがに一千万以上の収入のところは貯蓄のない世帯がそれほど増えてはいない。しかし、それ以下、一千万以下の世帯においては貯蓄のない世帯がどんどん増えているということです。  やはり高齢者は自分の健康あるいは生活のために貯蓄を取り崩して今の生活を保っている、あるいは保てない人ももういるかもしれない、こういう現状なんですね。
 そこで私は、かねがね言っていますように、元々老人保健法の中ではこれはなぜ高齢者の自己負担が少なかったのか。これは、生理的機能の低下あるいは併存する疾患が多い、例えば手術をした後でも合併症を併発しやすい、そういうリスクがあったから自己負担は低く抑えられてきた、そうですね。ところが、現役並みの所得があれば、現役並み所得と称して一般の方と同じ自己負担をお願いするという考え方が果たして正しいのか。  障害者自立支援法のときにも言いましたが、障害者というのは、その障害の原因になった疾患、病気以外の病気で医療機関へ受診する機会が三倍以上ある。高齢者は四倍以上だと言われている。それだけリスクが高いような状況の人に、いわゆる健康弱者の人に、所得の面で現役並みと同じであったらリスクを顧みず同じ負担を設けるという考え方が本当にいいんだろうかということです。
 確認のためお聞きしたいんですが、障害者自立支援法における自立支援医療の中で自己負担の限度額というのがありますね。それ以外の病気で受診した場合、今回、自己負担限度額という、少し増額されますが、あるわけですね。それは自立支援医療の分は除外されてトータルの医療で掛かった上限が今回の医療保険における上限額、自己限度額の設定ですね。これは確認したいと思います。
○政府参考人(水田邦雄君) 御指摘の、自立支援医療を受ける障害者に対する高額医療費の適用の問題でございますけれども、計算過程に即して申し上げますと、まず自立支援医療の対象となる医療における自己負担額を算出いたします。次に、この自立支援医療の対象外の医療に係る医療保険の定率負担分を算出いたします。その両者を合算した上で、合算額が医療保険における自己負担限度額を超える場合にその超えた額と同額の高額療養費が支給されるということになります。
 したがいまして、いずれにしましても、自立支援医療の対象となる医療と対象外である医療の両方を受けた場合でありましても、最終的な自己負担額が医療保険の自己負担限度額を超えることはないという結果になります。
○足立信也君 安心いたしました。ちょっと一部、厚生労働省の方でもちょっとそこら辺理解されてなかった方がいらっしゃったので、あえて聞きました。
 現役並み所得の話を今したわけですけど、これ実際、説明によりますと、現役並み所得と把握される方が百二十万人から、七十歳以上高齢者ですよ、二百万人という、八十万人増える。その現役並み所得の判断は、一人世帯の場合は年収で三百八十万ですね、二人の場合は五百二十万。その現役並みの収入と言われる方が八十万人増える。実際は保険料も上がり、年金給付も下がりという中で八十万人増える。
 そして、十分な低所得者対策をしますと言われますが、いわゆる低所得者とされる方々、これが五十万人減るんですね、計算上は。これで、現役並み所得とされる人が八十万人増えて、低所得者とされる人が五十万人減るという、これが十分な低所得者対策を取っていますという説明になるんでしょうか。その点をお答えください。
○政府参考人(水田邦雄君) 新たに現役並み所得者になる方の数は、実はこれ、現在百二十万でそれが改正後二百万ということで、単純に差を計算しますと八十万人でございますが、これ四捨五入の関係がありまして、実は実際には九十万人の方が新たにこの現役並み所得者になるわけでありますけれども、それから、もう一つおっしゃいました低所得者のうち五十万人が一般の所得者になるということであります。
 これ、それぞれにつきまして、言ってみますと経過措置なりを講じているということもございますし、申し上げておりますのは、現役並み所得の方につきましては、例えば外来につきましては、入院と異なって受診回数が多くても自己負担限度額に達することは少ないということを考慮しまして、高齢者につきましては入院、外来を合わせた自己負担限度額とは別に外来に掛かる自己負担限度額、月額四万四千四百円でございますけれども、それを設けることとしたというふうに、個別それぞれにつきまして、それぞれの状況に応じまして特例措置なりを講じているということを申し上げているつもりでございます。
○足立信也君 低所得者という対象は少なくなると、この事実は変わらない。現役並み所得だという対象者も増えるということです。
 今日の最後に、大臣にお伺いしたいと思います。
 私たちは、年齢で区切るなと、そして、患者さんの望みをできるだけかなえるように努力する、テーラードメディスン、まあいろんな言われ方しますけれども、一人一人の状態に合った治療を選ぶ、これが理想だと、そのように思っております。そのためには、十分な注意が必要ですし、例えば手術した後は十分にフォローアップしないと危険です、危ない。ある意味、医療費は増えるでしょう。ただ、世の中はそういうふうに動いているし、それが正しいんだと、自己決定に基づいて行えば正しいんだと、私は思っています。そのことと、高齢者医療制度を設けて、これから診療報酬をつくり上げるということを言われております。高齢者にふさわしいということと、一人一人の状況に応じた、その人に合った医療、テーラードメディスンという考え方、矛盾はないですか、どのように大臣は整合性を求めていますか、それだけお聞かせください。
○国務大臣(川崎二郎君) もちろん医療の提供に当たっては、患者個々人の病態等を踏まえた適切な対応をなされるということはまず基本だろうと思います。そういった意味では、まず、国民皆保険制度の中で保険によって医療は提供される、これをまず守らなければならないだろうと思います。  一方で、後期高齢者の心身の特性等にふさわしい新たな診療報酬体系を構築すると。これを、後期高齢者全体を典型的にとらえるのではなく、いずれにせよ、七十五歳以上のお年寄り、いろいろあっても、我々が一日も早く職場に復帰するための受ける医療と、後期高齢者がそういう意味では身体の病状を回復しながら介護制度まで移るまでの全体の流れをかきながら描いていくものとはかなり違うんだろうと、こういうふうに考えております。
 したがって、まず前提は、委員も御心配いただいておりますとおり、患者個々人の病態を踏まえた医療というものが原則にはなってくるだろうと。そこはこの間も少し申し上げたんですけれども、私ども、二〇二五年の目安ということで出させていただきました四十八兆円、そのうち後期高齢者の医療には二十三兆円が掛かることになるだろうと。そういった意味では、その当時、私どもが、約二千万人でございますけれども、一人当たりの単価が非常に急激に下がる、削減するというような体系にはしていないということは御理解賜りたいと思います。
○足立信也君 終わりますが、まだまだ私も聞きたいことはございます。そして、大臣も、この本を一度は読まれて、もっと時間を掛けて審議した方がいいのではないかなと思ってくれれば幸いだと思います。
 以上です。

060613厚生労働委員会会議録より
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