国会会議録
 

平成18年6月06日- - 厚生労働委員会



○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
 山本先輩の目の覚めるような質問の後に、大体生理的に非常に眠い時間ではありますけれども、私も引き継ぎたいと思います。それが理由というわけではないんですが、昨日質問通告した二十一問、相当順番を変えてやりますので、対応していただきたいと、そのように思います。
 私が常々言っていますように、十九世紀後半のビスマルク以来、重工業の発達以来、高福祉の時代がもう戦後もずっと続いてきた。それに対して医療費抑制の時代というのを迎えたわけですね、レーガン、サッチャー。そして、世界は、今は医療費抑制の時代を超えて評価と説明責任の時代に入っていると、このことをずっと申し上げてきたわけです。効果が得られて、投入した資金に見合う効果が得られて、そして国民が納得すれば、それは資金投入はすべきなんだという考え方に今なっているわけです。
 なぜか。二〇〇四年、OECD加盟三十か国の世界の医療制度改革、これは各国の経験した経験則ですね。医療費削減は医療の質の低下を招く。  二番、医療費削減は人材の確保、離職の防止が困難になる。
 私の友人も、一般病院辞めて、二人ほどカナダ、イギリスに、これ研究のためでも何でもないですよ、医師として、もう渡ってしまいました。今は、元気な高齢者の方も海外へ移住する方が非常に多いというふうに聞いている。これは、ブレーンドレインという表され方していますね。優秀な人材あるいは能力が海外へ流出していると。この事態は、イギリスが相当な危機を覚えて今の政策取ったわけですけども、日本も近い傾向にあるということは確かです。
 三番、医療費削減はサービス、革新的医薬品の供給不足に陥る。
 これが世界の経験則です。この轍を踏んではいけないと、そういう趣旨で質問を進めたいと思います。
 究極的には、私は、ちょっと誤解を恐れず言いますと、社会保障というのは、安心して産める町、安心して死ねる町を目指すんだと、そのように私は思っています。
 その中で、どうして今回、医療費の将来推計についてですけど、これはもうずっと議論されたので詳しくは言いません。ただ、西島委員の医師会の推計もございました。これ、五十六兆、給付費が五十六兆でなくて四十八兆になるんだと、それは、個人当たりの医療費が高齢者が一・三%、それから一般の方が一・二%の増加と、これは二〇〇一年から二〇〇五年まで。これに対して、政府は、高齢者が三・二%、若年者が二・一%の増加と、平均で出しているわけですね。これは七年度から十一年度まで五年間。
 私たちが作った「崖っぷち日本の医療を救う」という中に書いておりますけれども、私たちの推計は、平成六年から平成十五年まで十年間、この医療費の平均は、高齢者では〇・二%、若年者で〇・七%の増加なんですね。これを二〇二五年度まで累乗していけば、医療給付費だけで政府案と二十二兆円の差がある。五十六兆対三十四兆。
 こういった大ざっぱな、あるいは信じられるのかどうか分からないような推計に基づいて今なぜ医療費抑制が喫緊の課題になっているのかと。この点が非常に大きな問題だと改めて言わせていただきます。
 そして、本日は、前回に引き続きまして、私は医療法等の一部改正について質問いたしますが、何が大事かと。  これからの医療は、自己決定権の尊重と生命の尊厳にかかわっているわけです。生命の尊厳というのは、生きている者も、亡くなった者に対してもです。この観点から、先週、私ポイントを挙げました。それは情報の公開だと、それから説明だと、そして相談に応じる体制だと、医療事故の原因を究明する機関の設置なんだと。そして、もっと大事なことは、日本の医療の質、病院の質を客観的に評価するシステムがない。それが評価と説明責任を果たせない今の医療の現実だと、私はそう思っています。
 そして、医療法等の一部改正について一つ一つ行きます。
 まず一番の患者等への医療に関する情報提供の推進、この中で、六条関係ですけど、入退院時における治療計画等の文書による説明の義務付け、これは私はいいんだと思います。クリニカルパス、クリティカルパス、今はクリティカルパスに統一されているようですけれども、私はそこで必要なことは、説明の前に、やっぱり病名を含めた患者さんの同意というのがこれ必要なんですね。いきなり医療機関に来て、転院であって、説明が始まる。そこに病名を含めた告知、この患者さんの同意は得られているのかということがまず前提条件だろうと私は思っています。
 今、がん対策基本法の話が出ましたけれども、公明党さんの案の中には、放射線治療のことをかなり重要視されて書かれているような印象がございますけれども、放射線治療医がなぜ増えてこなかったかと。これは、放射線治療をやるということはイコールがんだということに近かったわけですね。がんだということを患者さんに告知することのコンセンサスが得られたのって、まだ十年もたっていません。
 私は、大学にいた当時、九六年ぐらい、日本、全部の患者さん、良性、悪性含めて全部の患者さんにアンケートを取りました。自分の病名に対して悪性腫瘍であっても告知してほしいかと、九五%以上が告知してほしいと。家族がその立場になったら告知した方がいいと思うかと、半分がイエスですね。ですから、それから数年たってもまだ日本にとっては、特に悪性腫瘍の場合、告知するかどうかのコンセンサスってないんですね。このこと、同意がまず説明の前に必要だという点が一点。
 それから、もし文書による説明の義務付け、違反した場合の罰則規定があるんですか、その点を教えてください。 ○政府参考人(松谷有希雄君) 御質問でございますが、今回の医療法の改正の一番の柱は情報の提供の推進だというふうに私どもも考えてございます。
 患者さんが提供される医療に関して適切な説明を受け、理解した上で医療を受けるということを支援するということは大変大事なことでございまして、これまでも医療法におきましてインフォームド・コンセントの理念を規定するなど取組を進めてきたわけですが、今回の改正では、これをより具体的に推進をするということから、病院又は診療所の管理者に対しまして、診療を主として担当するお医者さんの氏名、あるいは入院の原因となった傷病名、主要な病状、入院中に行われる検査、手術、投薬などの治療に関する計画などを記載した文書を患者さん又はその家族に対して交付して、適切な説明を行うことを義務付けることといたしてございますが、その運用に当たりましては、患者さんの病状等について十分説明をし理解を得るということが望ましいというふうに考えてございます。
○足立信也君 それは言いましたよ。
○政府参考人(松谷有希雄君) はい。
 それで、先生の御指摘の、患者さんのこれらについての理解を得た上で文書を交付するということが、この本来の改正の趣旨であるというふうに考えてございます。
 また、もう一つの御質問でございます交付等の義務に関する罰則規定でございますが、これについての罰則規定は設けてございませんけれども、医療法におきましては、病院等の管理者につきまして都道府県知事が立入検査、報告徴収、あるいは管理者の変更命令等を行う権限を定めているところでございまして、規制の実効性を担保するということにつきましては十分に可能と考えております。
○足立信也君 しょっぱなからちょっと抜けてはいるんですが、私がお聞きしたい一番目は同意のことなんですね。
 病診連携って盛んにやられています、実際やっています。ただ、病院に紹介して入院するということになると、診療所の先生方はあえて病名までは言わないことが多いんですよ。それは、病院に行ったらどういう説明を受けるか分からないから、自分から先入観を植え付けるような説明は避けるんですよ。これ現状なんですよ。
 ですから、いきなりそこに入院されたときに、文書へ残す説明が始まる段階の前にやっぱり同意というのが必要なんですね。それを家族の者に言っていいのか、あるいは自分だけは除外して家族だけに説明してほしいのか、そういったことの同意を得る、このきっかけがないんですよ、最初に。このことをどう考えるんですかと言ったんです。
○政府参考人(松谷有希雄君) 今回の改正の一番の趣旨でございますので、その運用に当たりましては、もちろん患者さんの家族内での状況、あるいは患者さんのかかっている病気又はその病状等によってその対応は様々だろうとは思いますけれども、いずれにしても、それらについて、病状等につきましては十分説明をし、理解をしていただいて、その上で、例えば家族に話すのか、あるいは患者さん限りにするのか、あるいは病名についてどの程度のあれをするのかということについて御納得をいただくということは、もちろんこの制度を運用する上での前提となるというふうに考えております。
○足立信也君 そうですね、そのままいくと二回説明が必ず必要という話になってくるんですね。ですから、説明の前に患者さんの、あるいは家族の希望、同意を前提の上でとかいう文言を必ず付ける必要があるんだろうと私は思っています。
 次は、同じ六条関係で、自己決定に資する情報の提供というところに行きます。
 これが、この中でやっぱり患者さんが一番知りたいこと、そこにいるドクターの専門性、専門医はどれぐらいいるのか、あるいはその病院、そのドクターの治療成績はどうなのかと、この情報がやっぱり欲しがっているんですね。
 ただ、日本は異常な国でして、これほどメディアを通じてドクターショッピングをあおっているような国はほかにはないわけですね。名医のところで手術してもらいたいという話があったにしても、名医にやっていただいたから皮膚が非常にきれいだと。皮膚を切開して縫っているのはその人じゃないですよ。胃がんや大腸がんで肝臓に転移があった、これはもうほかのところでは何もできない、ところがうまく手術をして助かったと。でも、生命に一番関係した肝臓の転移を手術したのは、胃がん、大腸がんの専門医じゃないですよ。別の科の先生ですよ、あるいは別のグループの先生ですよ。そういう実態なんですね。でも、ドクターショッピングで、日本の名医何人ですか、そんな話でその人に集まっていく。これは間違った事態ですよ。その病院のその科の客観的な評価というのがどうしても必要なんですね。
 アメリカで、レディングの悲劇というのを御存じだと思いますけど、白内障の患者さん、ほとんど異常がないのに心臓のバイパス手術を片っ端からやっていったと。健康であればあるほどリスクは低いし、成績は上がるわけですね。この成績を公表されたら、みんなそこに集まってきますよ。  これは経済的な理由からだったわけですけど、成績というものはいかに客観性を保つか。先ほどがんセンターの話ございましたけれども、この客観的な治療成績あるいは個人に帰さない、今は実際に研修医も一杯いるわけですから、一つの手術にしても、何というか、分担作業に近いようなところもあるわけですね、言葉は悪いですけど。そういった客観的な成績をどう担保するのか、この考え方、教えてください。
○政府参考人(松谷有希雄君) 今回の改正の柱の情報提供の、そのまた一番大事なところでございまして、患者さんの医療の選択に資するよう医療機関に関する一定の情報をすべての医療機関から都道府県に報告を求めまして、それを集約して分かりやすい形で患者さんあるいは地域の住民に情報提供する仕組みを創設するなど、その充実を図っているわけでございます。
 今御指摘の各医療機関の手術死亡率などの治療成績などの医療情報、いわゆる機微に触れる情報といいますか、センシティブな情報でございますが、こういったものにつきましては、患者さんが医療機関を選択をし、あるいは評価する際に必要性の高い情報であるという面もございますが、一方で、今御指摘のとおり、重症度別の患者さんの取扱件数によってこの手術の成績等は大きく異なってくるということで、評価が非常に異なり、難しい面がございます。あるいは、客観的に評価するための比較可能な基準やデータの収集方法が確立をしていないというようなものもございまして、直ちに公表することについて課題が残されているわけでございます。
 このため、厚生労働省といたしましては、治療成績等について、各医療機関の特殊性や患者さんの重症度の違い等による影響を考慮し比較可能なものにするなど、一定の条件が整ったものから実施をしていくということといたしたいと考えております。
○足立信也君 恐らく行き着くところは同じだと思うんですけれども、やはり査読性のある学会の論文とか学会発表とか、そこを通過したものしか公表できないような形にならざるを得ないんだと私は思います。何とかセンター、何とかセンターって、そこに患者さん集まるわけですけど、合併症があったら拒否するとか、そういうこともありますからね。是非、客観性ということは必要なんだろうと、その点はよろしくお願いします。
 次は、医療計画の見直し等を通じた医療機関の分化、連携の推進という項目のところですね、十三条関係。
 有床診療所の四十八時間入院規制、これが撤廃されます。ということは、当然医師、看護師等の人員配置基準が規定されるわけですけど、衆議院だったと思いますが、既存の施設については政令で定める日からこの人員配置基準の規定に入ると、医療計画に入ると、定める日から入る。新設のものは最初からこの医療計画の中に入って、つまり病床規制等を受けるというわけですよね。
 となると、今、医師不足の問題、産婦人科の問題、かなり言われておりますけれども、地域で新たな産婦人科のクリニックを開業しようとすれば、今の医療計画で満たされていればそこはできないという事態になるんでしょうか。
○政府参考人(松谷有希雄君) 今回、有床診療所の四十八時間の規制、入院期間制限の廃止をすることといたしているわけでございますが、人員配置基準等につきましては変えない予定にしてございますけれども、今御指摘のとおり、医療計画の中で基準病床数にはカウントをするということといたすところでございます。
 この結果、既に病床が過剰な地域において新規の有床診療所の開設や増床がなかなか難しくなるということになるわけでございますけれども、御指摘のとおり、例えばその地域で産科が非常に足りない、あるいはへき地、離島等で診療のリソースが非常に足りないといったような、地域に真に必要な医療機能を提供する場合などにつきましては地域の実情を把握する都道府県知事が特例的に増床を許可する制度がございまして、この制度の弾力的な運用によりまして必要な医療分野の新規参入ができるような方策も併せて行いたいと思っております。
○足立信也君 特例を認めるということですね、あり得るということですね。はい、分かりました。
 次は、医療計画、当然これは都道府県が作成するわけですけれど、それに当たってはどうしてもやっぱり基準がないといけないし、恐らく厚生労働省の方で基準に近いものは定めるんだと思います。
 そこで、基準の中で私が必要だと思うことは、目標とするベッド数それから医師数、それと同時に通院時間、どれぐらいでたどり着けるような目標設定をしているのかということが大事なんだろうと、それがなければ都道府県で医療計画立てるの非常に難しいなと私は思っています。
 そこで、まず通院時間なんですが、日本の救急車を利用した病院への到達時間、これ平均三十分というふうに聞いております。となれば、通常の通院ですね、この通院はどれぐらいの時間内に到達できればよしとするという考えで計画を立案、基準を考える予定なんでしょうか。例えば、一時間以内に到達、病院へ行ければいいではないかと、あるいは三十分じゃないといけないんじゃないか、三十分を目標に計画を立てる、そういう通院時間という概念についてはいかがでしょう。
○政府参考人(松谷有希雄君) 今回の医療計画制度におきましても、療養病床及び一般病床の基準病床数を設定する圏域という位置付けでの従来の二次医療圏の考え方を残しているわけでございます。
 この二次医療圏の設定に当たりましては、一つには地理的条件等の自然的な条件、山とか川でございますが、それから二つ目には日常生活の需要の充足状況、三つ目には先生御指摘の通院時間も含めました交通事情等の社会的条件を考慮して一体の区域となるというようなものとして、病院における入院に係る医療を提供する体制の確保を図ることが相当であると認められるものの単位として各都道府県知事において定めるべきものとしているところでございまして、それぞれの事情がございますので、国全体で一律で、車で何分以内というような規定をしていることはございません。
 一方で、新しい今回の医療計画制度におきましては、がん対策あるいは脳卒中対策、小児救急医療対策など、主要な事業ごとに地域の実情において医療連携体制を構築をしていただき、その機能を住民、患者の視点に立って医療機能、連携の状況を明らかにしていただくということを新たに盛り込んでいるわけでございますが、この場合につきましては、必ずしも二次医療圏という従前の医療計画、圏域に限定することなく構築をしていただきたいというふうに考えておるところでございます。
○足立信也君 基本的には二次医療圏、あるいはその二次医療圏の枠を超えても、大体の、生活している地域からどれぐらいの時間帯で診療所あるいは病院が必要なんだと、その大まかな目標というのはやっぱり私、必要なんだと思いますよ。是非その点は考慮していただきたいと思います。
 次は病床数のことなんですけれども、これ衆議院の大臣の答弁で、今現在、日本は人口当たりのベッド数が非常に多いんだと、具体的に人口千人当たり十四・三、これはドイツ八・九、イギリス四・二、アメリカ三・三と、こういうの出ています、おっしゃっています。当然のことながら、日本の場合は精神病床も療養型病床もすべて入っていますね。これは精神病床と療養型病床除くと、一般病床だけでは人口千人当たり七・一になるんですね、計算すると。ということは、欧米とほとんど変わらないわけですよ。
 で、私がお聞きしたいのは、とはいいながらも、精神病床は七万床、社会的入院を減らしたいので削減する。療養病床は、これも今議論の真っ最中でございますけれども、二十三万減らすと。ということは、人口千人当たりの目標の病床数がこれぐらいだと言ってもらえば一般病床は何床削減する予定かというのがもう分かるわけですね。この一般病床の削減目標についてはまだ触れられておりませんので、大臣が人口千人当たり日本は多いと、減らす必要があると。じゃ、どれぐらいの数を目標にされているのか、教えてください。
○政府参考人(松谷有希雄君) 我が国の病床数につきましては、今御指摘のとおり人口千人当たりの病床数が十四・三床と諸外国と比較して多く、それを背景といたしまして、病床百床当たりでいうと医師数、看護師数とも諸外国と比べて少ないといったような課題があるわけでございます。今後、急性期医療への医療従事者の重点的な配置など、限られた医療資源を有効に活用して安全、安心で質が高い医療を効率的に提供する体制を確保するということから、一般病床などの病床数を適正な水準としていくということは重要な課題でございます。
 一般病床の病床数削減に係る目標というものは現在のところ設定してございませんけれども、医療計画制度におきましては都道府県が地域の医療需要などを踏まえて基準病床数を定めるということとされておるところでございまして、こうした仕組みを通じまして、それぞれごとに病床数の管理を行っているというところでございます。
 なお、今回の医療制度改革におきましては、医療連携体制の構築による医療機能の分化、連携を通じまして、総入院期間を短縮する医療計画制度の見直しを行うとともに、今回の十八年度の診療報酬改定におきましても、急性期入院医療における手厚い看護体制を整備する観点から一定の評価を行うなどの措置を講じているところでございまして、これらによりまして一般病床の平均在院日数が短縮される結果、将来的には一般病床の減少につながるというふうに考えております。
○足立信也君 看護師の配置とかいろいろ、市場原理を利用して自然淘汰を待つという感じの答弁に聞こえます。
 一般病床の削減目標はないということでしたが、社会的入院というのは社会的な要因がいろいろあって入院せざるを得ない、これを生み出したのは正に政治であって、それは何も精神病床、療養型病床だけに限られていることではありません。一般病床だって当然あるんですね。そこに対して真に入院が必要な患者さんだけを入院していただく、社会的入院はできるだけなくせる方向でいくという考えがあるんであれば私は目標は出せるんだと思います。私たちの案では、人口千人当たり六・七を目指しております。
 次に行きます。
 地域や診療所による医師不足問題への対応、三十条関係。ただし、医師数については最後あるいは次回に回します、相当多くの内容がありますので。医師不足問題への対応についてです。
 まず、文部科学大臣の答弁は、どうも医師不足だという認識の下で答えられているように感じますが、川崎大臣は足りなくはないと、偏在の問題だと、これはもう一貫しておっしゃられている。で、これ、都道府県に設置されている医療対策協議会が医師確保の実効性ある機関にならなければいけないわけですけれども、先週私出しました資料の中で、カラーのもので、触れる時間が非常に少なかったですけれども、OECD三十か国の平均の医師数が人口十万人当たり二百九十。日本は、いろいろ都道府県で差があるでしょうが、最高でも二百六十。到達していないわけですね、平均に。
 その中で、都道府県に非常に医師数が平均よりもはるかに少ないところが一杯ある中で、都道府県の中で偏在を解消するというのは一体どうやればいいんですか。その都道府県そのものが少ない医師数でやられているところは、都道府県内では当然解決できる問題ではないわけです。その都道府県を超えた、枠を超えた医師不足の偏在に対してはどこが、どなたがどういう計画性を持ってその問題を解消していく予定なんでしょうか。
○国務大臣(川崎二郎君) この間の小坂さんの答弁は、私と十分調整した上で同じ認識を示しました。地域によって医師不足がある、それが大学の定員の問題、そして定員の問題というよりは、例えば東北地方で大学を卒業されると半分以上の方が東京圏へ戻ってしまう、五十人ぐらいしか研修制度の中でも残らないと、こういう問題を何とか解消していかなければならないという認識の中で示しました。
 そういう意味では、大体、これ田中角栄さんの時代でしょうか、一県一大学を造って、もちろん私学等あるところもございます。北海道ですと三つございますけれども、百人毎年医師を養成をしている。それがしっかり地域に定着しますれば、各県ともかなりの数字になっていたと思いますけれども、現実の話が、一つは、一番高いのは徳島でたしか二八二、指数的に申し上げれば。平均が二一一、埼玉が一三四という数字になりますでしょうか。そういった意味では、最近の数字から見れば、東京近郊の県、神奈川、埼玉、栃木、こういったところが人数は少ないと思っております。それから東北。
 こうしたところに対して、中期的には大学の卒業者が地域に残るという問題を検討しなければならぬだろうと。あわせて、七月ごろに全体の需給というもののもう一度見直しをいたしておりますので、その結果も踏まえながら議論をしなければならぬだろうと、こういうふうに思っております。
 短期的なことになりますと、これはやはり地域である程度調整をしていただかなければならないだろうと。しかしながら、地域でどうしても調整し切れないものについて、私どもどうお手伝いをさせていただくかというところが次の切り口として当然問題は出てくるだろうと。例えば、自治医科大学というものをうまく使う方法はないだろうかという問題も含めて、先日は衆議院の審議の中では、防衛医大の方から、沖縄でしたっけ、派遣というものをなされ、そんな形をもっと取れないかというお話もいただきましたけれども、いずれにせよ、地域内でどうしても調整付かないものについて私どもいろいろ協力をしていかなければならないだろうと、このような認識をいたしております。
○足立信也君 自治医大方式というのは大変な問題があると私は思っていますので、これは時間があれば後で詳しく触れさせていただきたいと思います。
 今の御答弁ですと、中期的には一県一医大制に基づいた大学を中心に考えていくんだという。都道府県での医療対策協議会は、ちょっとそこは管轄外のような話かなと思いましたが、短期的には都道府県の枠を超えたものは国がやるんだと、示していきたいという御答弁だったと思います。それで果たしてできるのかということは残りますが、次へ行きます。
 産科、小児科については集約化が必要だとおっしゃいました。これについてもまたじっくり話をしたいんですが、大臣は、都会で妊娠されて出産を控えた若い妊婦の方が里帰りをして自分のふるさと、地域で、地方で里帰り出産をするということは、この集約化の中に考慮されたんですか。
 私は、集約化が必要だと、偏在だと言うんであれば、当然のことながら、ある基準があって、それよりも多いところと少ないところがあるんだ、これが偏在ですよね。その偏在の、実際上、今まで何回か医師の需給に関する検討会ってやられていますけれども、基準がどこにあって、どこがそれをオーバーしていてどこが足りないんだと、そういうきちっとしたデータに基づいての偏在解消という意味でおっしゃっているんだと思いますが、その点の基準と多いところを示していただきたい。
 この二点ですね。里帰り分娩と基準と、その基準に対して多いところと少ないところ。そういう認識でお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君) 今、里帰りの問題で私のところに三重県の例が来ていまして、正直申し上げて里帰りでお産をされる方が多い、一方でその医療機関の集約化の問題について今様々議論をいたしております。
 具体的に申し上げると、ある市が六人の施設を持っている、隣の市が二人の医師を持っている、そこを県の主導で集約化、というのは六名いたところが四名になってしまう。産科というものを提供するときにどうあったらいいだろうかと当事者同士随分議論をしていただいたようでございますけれども、なかなか当事者同士では結論を得なかったということで大学の主導で、結論として外来の二名の方は残す、外来を残す、しかしながらお産をされるときについては一医療機関に集約をさせていただくということで大学側の提案があったようでございます。
 それに対して、外来ではなく、その二名も常にいてもらってお産ができる体制を整えてくれということで、今様々な議論をされているところでございますけれども、最終的にやはり医療の安全というものを考えていったときに、そこは集約化をしなければならないだろうと。そうなると、ふだんの健診、外来はできますけれども、お産をされるときには三十分か四十分車で走ってもらわなきゃならない。このことについて様々な議論がされておるようでありますけれども、そこのところは医療の安全という問題も含めて県なり大学が判断をした話でありますので、私が直接口を出す話ではなかろうという判断を今いたしております。
 そういった意味では、かつては二人お医者さんがいらっしゃって自分の地元へ帰れたら十分のところに医療機関があった、それが隣の市へ移って四十分走らざるを得ない。この問題についていろいろな議論がされておりますけれども、そこは先ほど申し上げた県が主導を取りながら集約化ということで御理解をいただきたいし、入院ということになれば当然安全というものが担保されなければなりませんので、そのような対応が取られておると、そういうケースが多いと思います、正直申し上げて。過去はいた、自分のふるさとへ帰ればいた、しかしながら今は隣の市へ集約化されてしまったということについて様々な、従来と違うじゃないかというお話をいただきますけれども、現実に生まれる子供の数が減ってきておることも事実でございますので、何とか住民の皆さん方に御理解をいただくようにしていかなければならぬだろうというように一つは思っています。
 それから、偏在の問題については先ほど申し上げましたように、徳島が二八二という数字になっていますし、埼玉一三四でございますので、そういった意味では地域的な偏在はあるでしょう。
 それから、診療科で申し上げれば、産科が、子供の数に比較して考えていけば減ってきていませんけれども、医師数というものを考えていけば減っていっている診療科になっているんだろうと理解をいたしております。
 小児科の問題については、現実に医師数、絶対数としても増えてきておりますけれども、午前中議論いたしておりましたように、女医さんが増えてきておることも事実でございますので、同じように集約化を図って仕事の形を変えていかないと現実の医師数というものを確保できない、確保できないがゆえにまたその医師がお辞めになってしまうと、悪循環をいたしておりますので、そういう意味ではやはり集約化のスピードを速めないと労働問題として大きな課題を余計持つことになるだろうと、このように思っております。
○足立信也君 里帰り分娩の話ですと、今の大臣の具体的なお話ですと、これは都会と地方の二極化がますます進むというか、自分の生まれ育ったところではどうも産めない状況にならざるを得ないという趣旨だったと思いますね。
 後半の部分は、私は、都道府県が医療計画を作る中で、医師は偏在しているんだというんであれば、その都道府県の中での偏在、どれぐらいの基準に対して、どこが多くてどこが少ない。例えば、今まで、昭和五十九年の佐々木委員会ですか、それから平成六年の前川委員会ですか、二次医療圏内で、どの二次医療圏では医師が過剰な状態にあって、どこでは不足しているというのをデータは出ているはずですよ。その基準になるところと、実際上、都道府県の中での偏在という実態を教えてくださいと言ったんです。
○政府参考人(松谷有希雄君) 過去二回の医師需給の検討会は、看護の需給とちょっと違いまして、全体でのマクロの推計ということで、二次医療圏の数字を積み上げるというやり方を取っておりませんので、先生お求めのような形での数字はないということでございますが、絶対的に医師がどの水準であるべきかということについては、これはだれが決めるというものではなく、ゴールドスタンダードというものがあるわけではございません。  医師はもちろん多ければ多いほどそれは便利なわけですけれども、これは全体として、そのときの我が国あるいはその地方、その地域での医師の状況ということが関係するようですが、そういうグロスの話をしていてもあれなので、今回の医師についてはそういう絶対論でどこだという議論ではなくて、具体的にその医療圏、あるいはその県、都道府県において具体的にどこで足りなくなって、あるいはどこにお医者さんがいらっしゃるのかというようなことを具体的に見ながら、それに対する対応を推し進めていくということが実際的なことではないかと思っております。
 もちろん、県全体で本当に、県全体であればその中で何とかやりくりすることはできますし、県全体として少ないということであれば、もう少しブロックで対応をしなければならないということでございまして、この場合には国もお手伝いをする必要があろうかなと思っております。
○足立信也君 不足ではない、偏在だと言っておきながら、都道府県内での偏在の状況が把握できていないという話ですよね。だから、納得できないんですよ、ずっと衆議院の議論でも。少なくとも分かるはずなんですよ。二次医療圏内の基準はどうやって定めたらいいか分からないみたいな、何でも丸投げみたいな話をされても非常に困るんですけどね。
 二次医療圏で足りているところ、足りていないところって、私、一部知っていますので、これはそういうデータとしてこの委員会に提出してほしいなと思うんですが、いかがでしょうか。
○委員長(山下英利君) 理事会で協議をいたします。
○足立信也君 はい。
○委員長(山下英利君) 質問を続けてください。
○足立信也君 それでは次、四番、五番をちょっと入れ替えますね。まず、医療従事者の資質の向上というところに関係していきます。
 私、先ほど、一昨年以来、評価と説明責任の時代に入ったというのを何度も繰り返しているんですが、そこで大事なのは、医療機関の質の評価、そして医療の質の評価なんですね。これ、がん治療の均てん化という言葉も使われておりますように、あるいは標準治療のガイドラインというのも三十疾患に近く作られております。そういう標準治療がこの医療機関でどれだけやられているか、その結果がどうだったか、そういうふうな医療機関の質、そこで提供されている医療の質を評価するというシステムが必ず必要なんです。
 今、日本にある医療機能評価機構というのは、これは私も内部の人間よく存じ上げておりますけれども、やはりハードの評価なんですね。安全面、衛生面、そういったことはどうかと。そうじゃなくて、ソフトの、中で行われている医療の質の評価ということがこの国にはどうも欠けていると私は思うんですが、そのことについて、今後の希望でもあるいは目標でもよろしいですから教えてください。
○政府参考人(松谷有希雄君) 日本医療機能評価機構において各病院の客観的な評価というのが行われているわけでございますけれども、もちろんこれは希望に基づいて行われておりますが、評価の手法についてはいろいろな学問的な議論がございますが、マクロでは、御存じのとおり、構造的なもの、あるいは医療のプロセス、そして医療の結果といったような三つに区分されるというふうに伺っております。
 医療機能評価機構においては、できるだけその三者が評価の対象にできるように今研究を進められているというふうに伺っておりますけれども、客観的に見られるとしても、構造的な面、あるいは少しプロセスに入ったところというようなところに今の段階はあるというふうに伺っております。
 患者さんが医療に関する選択を適切に行って良質な医療を受けるということから、そういった評価の情報を得るということも大変大切でございますので、これにつきましては、その内容、評価の手法の開発も含めて進めていくということが大事だというふうに思っております。
 また、治療法につきましても、いわゆるエビデンス・ベースド・メディシンですか、根拠に基づく医療ということに基づいた診療ガイドラインというものを策定するというようなことによってその質の向上に努めるということも、この評価機構等にも御協力をいただいて進めているところでございます。
 医療の結果、アウトカムと言いますが、ここの評価につきましてはまだまだ難しい面もございますけれども、先ほどの医療情報の各医療機関からの提供の中で申し上げたところでございますけれども、これを比較可能なものにするというような手法の開発を通じてできるだけオープンなものにできるように努めてまいりたいと思っております。
○足立信也君 これは絶対に取り組まなきゃいけない分野なんですね。これを是非やる必要がある。
 次から三つぐらいはこれまた飛ばさざるを得ません。
 医療安全支援センターについて。
 私は、今実際に医療機関に掛かっている患者さんがその事後に、例えば手術の後だとか、その事後に別の医療機関に相談に掛かれるということが非常に大事なんだと思っています。それが都道府県やあるいは保健所といったような行政機関ではなくて、医療機関に相談に掛かれるということが非常に大事なんだと私は思います。がん診療拠点病院やあるいは小児科に対する地域の小児科センター、そういったものを活用しながら二次医療圏内に是非ともそういう相談機能を兼ね備えた医療機関が必要なんだと、このことを主張させていただきたいと思います。
 飛ばしまして、去年の六月に日本学術会議が提言を出されました。これは医療事故再発防止と被害者救済ということの提言ですね。
 その中でやっぱり医療関連死というものが大変問題になってきて、今回も福島、大野病院の事案もございますけれども、これは何といってもその要点は、提言の要点は、医療関連死が発生した場合、その過誤、過失を問うことなく、第三者機関に届け出る、届出がまず第三者機関であるということ。それから、第三者機関は医療事故の科学的分析と予防策樹立を図ると。そして三つ目に、第三者機関は被害者側への有効で迅速な救済措置の実施のためのADR導入や被害補償制度の構築を図るということが提言されています。
 私たち民主党は、医療関連死だけではなくて異状死、これは、例えばこれは事故死と扱われたものあるいは自殺と扱われたもの、実はそこに犯罪がかかわっている可能性だって否定できないわけですね。そういった亡くなった方への生命の尊厳、これは私は死因の究明だと、そのように繰り返しておりますけれども、この死因を究明するシステムあるいはその届出先というものが第三者である必要性が絶対にあると思っています。
 今現在、これは医師法二十一条の関係で警察に届けられるわけですけど、異状死届出件数が二〇〇三年で二百五十件、そのうち立件は一割以下ですよ。医療関連、特に医療関連に関しては警察に届けても何の立件もできないということなんですね、現状は。
 モデル事業があります、恐らくモデル事業のことを触れられると思うんですが、私は、このモデル事業には大変な問題があって全く第三者機関になっていないということがすべての根源だと思っております。この提言を、日本学術会議の提言を生かすための医療事故の再発防止と被害者救済に関する取組、この点について、モデル事業のことは結構ですから、それ以外の分野で考え方を教えてください。
○国務大臣(川崎二郎君) 日本学術会議の提言においては、医療事故の再発防止、過誤、過失を問わない、第三者機関への届出、被害者の迅速救済のための第三者機関による裁判外紛争処理制度や被害者補償制度の導入が提言されております。これらの課題について、医療事故の再発防止や萎縮医療の防止に加え、不足が指摘されている産科医の確保という観点からも検討を進めていくべきだと考えております。
 問題は、医療関連死などの原因を中立的に究明する体制をどのようにするか。実は、午前中の答弁で申し上げた産科の皆さん方お集まりいただいて、この中立的機関をどうやってつくれるかと。御議論として、東京なり大阪に置いたらいいじゃないかという議論がありました。しかし、現実、やはり解剖しなければならないということになると、少なくともブロック単位では置かなければならぬだろうと、こういうふうに思います。
 さあ、その体制が各地域でしっかり取れるか。特に今第三者、どういう意味で第三者と言われたか分かりませんけれども、地方の県においてある大学の卒業のお医者さんが医療事故を届けたと、そのときにその大学の関係者がそこに混じっているということになると、当然これは信用性の問題になると。したがって、他の人でやらなきゃならないと。他の人でやらなきゃならないとなると、それだけのものを地方にしっかりつくり得るかと。東京、大阪は既に検死制度の中でかなりのものができ上がっておりますけれども、地方においてどういう形でこういうものをつくれるかという問題と、今の法規定であります医師法二十一条との関係を、受入れ機関ができたといたしまして、法務省としっかり議論をして問題をしなければならないと。それから、原因究明や被害者補償の財源をどのように確保するかという問題が当然あると思っております。
 ただ、今モデル事業をやっておりますけれども、それが終わるまで待つということではなくて、並行して進めなければならない。先ほどちょっと尊厳死の話を申し上げましたが、尊厳死とこの異状死問題について厚生労働省としてもできるところへ切り込んでいかないと、医療問題の解決の中の大きなテーマになってきておると認識いたしておりますので、できるだけ早くやりたい。しかしながら、つくったものが結果として疑われるものになってはならないということで、そこのところは相当議論をしてつくり上げなければならないだろうと、このように思っております。
○足立信也君 そのモデル事業の問題点は、遺族側がこれは調べてほしい、モデル事業に登録してほしいということを言えないということ、それから総合調整医は警察へ届けるのかモデル事業に回すのか判断する権限が全く与えられていないと、そういう問題があります。
 まだ積み残しが一杯あります。ただ、その中でどうしても私言っておきたいことは、医師数のことは次回へ譲りますが、今までの政策、先ほど医師の需給の検討会の話でも、医師が過剰になると医療費が高騰してしまうんだと、過剰診療を触発してしまうんだと、そういう概念でずっと進んできているんですね。実は、平成二年のときの検討でも、診療所ブーム、開業ブームというのがあったんですけれども、それは医師が過剰になって病院へ就職できなくなったというふうに判断しているんですね。大変な間違い。私は、今の矢崎先生が中心となっている検討会のどういう結論を出されるのか、非常に期待をしているところです。
 繰り返しますが、世界の轍を踏まないこと。医療費抑制は医療の質の低下を招く、人材の確保ができなくなる、そしてサービスの供給不足に陥るんだという世界が踏んできた轍を日本が踏まないように、一つ一つの質を改善することが今医療制度改革の最大の論点だと思っております。どうか御検討をよろしくお願いしたいのと、私もまた機会がございましたらもう一度質問をさせていただきたい、そのように思います。
 ありがとうございました。

060606厚生労働委員会会議録より
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