国会会議録
 

平成18年3月16日- - 環境委員会


○足立信也君 民主党の足立信也でございます。  
 私が用意しました質問の前に、大石議員の環境保全に対する熱い思いにつきまして、ちょっと一言申し上げます。  
 私は大分の出身ですから、昨年、ラムサール条約の登録地に竹田市から玖珠郡にかけてタデ原湿原と、くじゅう坊ガツル、ここが登録されました。昨年、その記念式典があったんですけれども、そこで記念講演をされた九重の自然を守る会の会長の、嶋田会長の言葉をちょっと申し述べたいと思います。  
 彼は二十分の予定を、環境省の方の到着が大幅に遅れたために四十分間講演されて、その中で彼がおっしゃったことは、単なる観光地にしてはならない、積極的に湿原に入り、山に入り、積極的に守ることが環境保全なんだと、このことを訴えておりました。積極的に人が加わっていって守れるんだということを力説されておられました。このことだけはお伝えしておきたいと、そのように思います。  
 それでは、私の質問に入ります。  
大臣所信において述べられた個別の政策の中で、最初と最後に触れられました石綿に関することと、それから水俣病に関すること。まず、水俣病についてです。  
大臣は、水俣病訴訟は、すべての水俣病被害者が地域社会で安心して暮らしていけるよう対策を進めると、そのようにおっしゃいました。  
私が用意しました資料?をごらんください。  
 左から説明していきますが、まずその青は申請件数ですね、認定の申請件数。それから、茶色と黄色が重なっております。茶色は認定件数、黄色は棄却件数です。ちょっと復習になるかと思いますが、順を追って言います。  
 昭和四十四年に救済法、そして四十六年に事務次官の通知、医療費の自己負担分はきちんと見るということですね。この条件としては、疑わしきは認定するという考えだったと私は解釈しました。  
 昭和四十九年に公健法ですね。それから、五十二年に環境部長通知の判断条件というのが出ている。条件としてはかなり厳しくなったと、認定に関しては厳しくなったと、そのように思います。  
 それから、昭和五十三年から臨時措置法、これができまして、その後、これは内容としては国へ申請替えができるということなんですが、その後、認定件数は、茶色の部分ですね、かなり減っていって、棄却件数が増えているように見えます。  
 そして、平成七年、三党合意、これで一万一千人の方が救済を受けたと。救済を受ける方は、紛争はそこで終結するということになったわけですね。ここで政治解決を選択しない方が五十九名ですか、いらして、この方が訴訟した関西訴訟、この最高裁判決が平成十六年の十月に出たと。その後、申請件数が急増して、現在三千六百七十一人、これは今年の二月現在ですね。お気付きのように、認定件数、棄却件数ともにゼロという事態となっております。  
 まず、この現実をどのように認識されているかということをお聞きしたいと思います。

○国務大臣(小池百合子君) 今御質問というか御指摘の中に既に触れられたところでございますけれども、改めて整理させていただきます。  
  平成十六年十月に水俣病関西訴訟の最高裁判決で国及び熊本県の責任が認められたということでございます。このことにつきましては環境省として真摯に反省をし、謝罪を行ってまいりました。そして、その後、関係者との協議を経まして、平成十七年の四月七日の段階でございますが、今御質問にもございましたように、すべての水俣病被害者の方々が地域社会の中で安心して暮らしていけるようにするための施策といたしまして、「今後の水俣病対策について」という施策を公表し、そして現在推進をしているところでございます。  
  一方で、最高裁判決以降に、お配りになられましたこのグラフで示されるように、水俣病認定申請を行って行政処分のなされていない方々、二月末現在で、数字で申し上げますと三千六百七十一名となっております。これには熊本県そして鹿児島県の認定審査会委員の委嘱が行われていないということがございます。そして、これら認定申請者の方々について行政処分が進まない状況というのが現在の背景になっているわけでございます。  
  国といたしまして、この認定審査業務を早期に、また円滑に実施するということは大変重要な課題と考えております。できるだけ早期にこの認定審査会を再開するということであるとか、健診体制の確保ができるように、引き続き熊本県そして鹿児島県と協力して取り組んでまいりたいと考えております。  
  それから、せんだって、三月の九日に自民党の方で水俣問題小委員会が開かれました。そして、そこにおきまして、国においても認定審査業務を行えるようにするために、議員立法で水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法というのがございますが、臨時措置法と短縮して言われているところでございますけれども、これを改正を目指すべきと、目指すということになったと伺っております。  
  この臨時措置法に基づきまして、国の審査会は県の審査会と連携をいたしまして審査を行うということになるものでございまして、法改正がなされれば国と関係する県が一致協力いたしまして水俣病の認定審査に当たると、このようになると考えているところでございます。

○足立信也君 質問の一と二をまとめてお答えになったような感じだと思いますが、繰り返しますね。  
  まず、この資料は、環境省の方からこれ数値で全部いただいたのを、それでは分かりにくいので私がグラフに直したものです。数値は環境省からのものです。  
  今の御説明で委員の方々は分かりにくいんじゃないかと思いまして、私なりに分かりやすく説明したいと思うんですね。  
  国及び県に賠償責任はあるんだと最高裁が認めた、これはおっしゃっていました。そして、もう一つは、メチル水銀中毒症に起因すると推認できる準拠を示した。これが大きかったわけですね。で、住民は、メチル水銀中毒症のその基準ですね、準拠を満たせば水俣病に認定されるのではないかと判断して、申請者が急増したわけです。ところが、審査する医師側としては、水俣病の判断条件、五十二年の判断条件を用いるべきか、あるいはメチル水銀中毒症の準拠を用いるべきか、非常に当惑しているんだと思うんです。そして、審査そのものへの関与を今ちゅうちょしているという状況です。  
  昨年二月二十八日の衆議院予算委員会分科会で、この五十二年の判断条件を見直すことは考えていないと、これ環境省が答弁されております。そして、今、大臣の答弁にございました臨時措置法、自民党の中で検討されている。これは、この私が出しました資料の昭和五十三、四年から平成八年までずっと書いてあるここの部分、この期間をまた設けるというような趣旨だと私は聞いております、正確ではないかもしれませんが。先ほど言いましたように、認定件数がぐっと減って、棄却件数がぐっと増えているように見えます。ということだけ付け加えておきます。  
  そして、もう一度、これから考えられる、まあ臨時措置法も含めて考えるということですが、現実の対処をしなければいけない立場に行政府としてあると思うんですけれども、これはもう方法としては、先ほどおっしゃったように国が関与して半ば強制的に処分内容、行政処分内容を決めるか、あるいは認定基準を見直すかと、その二つしかないと私は思うんですが、先ほどの答弁でもあったかもしれませんが、今後はどちらの方針、あるいは別の方針を選ばれておるのかと、もう一度だけ確認したいと思います。

○国務大臣(小池百合子君) 先ほどお答えさせていただいたところでは、国の認定審査の、審査会の再開ということを今自民党の方でお考えいただき、また与党としてこの後お考えをまとめていただくことになろうかと思います。  
  今、御質問は、その審査会での審査を進めるという観点と、それから、認定の見直しを、判断条件の見直しをするのかどちらかだということでございますが、そのお答えといたしましては、今回の判決そのものが公健法の認定基準としての五十二年判断条件の見直しということを要請したものではなく、すなわちこの判断条件を見直すということについては考えておりません。これは昨年の分科会での答弁と同じでございます。  
  また、国として、行政としての責任を果たすということから、最高裁判決、そして平成七年の政治解決がございましたけれども、これらを踏まえて、先ほど申し上げましたように、今後の水俣病対策ということについて取りまとめをさせていただいた。個々の対策については関係地方公共団体とも協力して着実に推進をしていく、これが今の国の姿勢でございます。

○足立信也君 審査する側からの立場から考えると、メチル水銀中毒症の準拠がもう最高裁から出たと。これによっていくべきなのか、判断基準によるべきなのか。メチル水銀中毒症であって、メチル水銀への暴露歴、つまり大量に魚介類を摂取したとかいうことがあれば、これはメチル水銀中毒症の患者であって、水俣病だと考えてこれはある意味当たり前かなと思うんですね。ですから、審査する側は非常に迷っている、困っているんじゃないか、これが現実だということだけ指摘して、あとは次回に私譲りたいと思います、この件はですね。  
  ところで、ちょっとこれ余分なことかもしれませんが、被害を受けたと感じて認定申請をして、認められたら認定、認められなかったら棄却と言うわけですね、その両方をまとめて、これ法律用語でしょうが、処分と言う。被害者が申請をして、今度は処分されるんです。何かこう、ぐさっとくるような日本語ですよね。これは法律用語なんでしょうが、私、このグラフにも環境省の言われるとおりに処分件数と書きましたけれども、非常に心苦しいですよ。被害を受けたって方が申請をして、今度処分かと。これは何とかならないでしょうかね。

○国務大臣(小池百合子君) 法律用語というのは、えっと思うような表現が時々あるものでございます。これは法律全体の言葉としてどうあるべきかを考えていく必要があろうかと思います。  
  それからもう一点、もう一度ここの点を改めて先ほどの判断条件について明確にしておきたいと思うんですが、五十二年判断条件に関しては、水俣病の関西訴訟の最高裁の判決で、高裁判決において、五十二年判断条件は、公健法の水俣病認定要件として、これとは別個に判断準拠を示して、先ほどから御指摘ありますメチル水銀中毒症としての損害を認めたということはそのまま踏襲されているということから、今回の判決は公健法の認定基準としての五十二年判断条件を見直しを要請したものではない、そして、その判断条件の見直しということについては考えていない、この点をもう一度明らかにしておきたいと思います。

○足立信也君 次回へ譲ると先ほど言いましたけれども、最高裁の判決では、あえて水俣病という言葉を使わなかったのは、水俣病患者と称すると水俣病と認定された方に限定されると、認定された方という解釈を与えてしまうので、あえてメチル水銀中毒という表現を使ったということが書かれております。この点だけ発言させていただいて、次へ移ります。  
  何といっても現場混乱しているのは、やっぱり認定条件、判断条件が非常に、基準が大事だということにほかならないんですね。  
  そこで、大臣所信の今度は冒頭に触れられた石綿に関することですが、何とおっしゃっているか。円滑な施行に全力で取り組みたいとおっしゃいました。私、前回、二月の質問で、明確な回答がありませんでしたけれども、法施行前に、つまり今年度中に、もう申請受付が二十日からですが、三月中に結果を出しますと言われた項目についてその後の結果をお聞きしたいと、そのように思います。  
  まず、何といっても認定基準、特に石綿健康被害救済法における指定疾病の認定について。前回は、石綿肺などの石綿関連疾患が全く対象外になることは不合理であると私は考えております。大臣は、これから中環審、中央環境審議会で検討するというお答えだったと思います。その後の結果を説明してください。

○政府参考人(滝澤秀次郎君) 救済法の指定疾病の範囲につきましては、二月九日に医学的判断に関する考え方についてということで環境大臣から中央環境審議会に諮問いたしました。  その後、翌日の十日、環境保健部会が開かれまして、実務的に範囲等を検討する石綿健康被害救済小委員会の設置が決められ、さらに、その小委員会の開催が、二月二十四日、さらに三月一日と、二回御審議をいただきました。その翌日の三月二日、この小委員会からの御報告を受け、再度中環審の環境保健部会を開催し、御議論をいただいた経緯でございます。  
  その結果でございますが、石綿を原因とする中皮腫及び肺がんについては、その暴露から三十年ないし四十年という非常に長い期間を経て発症すること、さらには、石綿そのものが広範に大量に使用されていたことから個々の原因者を特定することが極めて難しい。さらに、二点目としまして、多くの方が一、二年で亡くなられることが指摘されました。さらに、自ら非がないにもかかわらず、何ら補償を受けられないまま亡くなられるというこの疾病全体の特殊性が勘案されまして……

○足立信也君 簡潔にお願いします。

○政府参考人(滝澤秀次郎君) 当面、指定疾患はこの二疾患というふうに判断されて答申をいただいたところでございます。

○足立信也君 分かりました。  
  それで、小委員会は、おっしゃいましたように二月二十四日と三月一日の二回実施されたわけですね。その前に、パブリックコメントが二月十日から二十日まで行われています。結果は、一昨日ですか、公表されましたけれども、その中で、私もすべて目を通しました、指定疾病に関するものは三十五件あって、その三十五件がすべてが石綿肺などの石綿関連疾患が除外されているのはおかしい、そういう趣旨でした、指定疾病に関してですよ。  
  で、このパブリックコメントの結果を踏まえた小委員会の報告書は、ちょっと私は納得いかないんですけれども、まず、このパブリックコメントについて、その小委員会であるいは中環審でどれほど審議されたか、その点について教えてください。

○政府参考人(滝澤秀次郎君) 先ほども申し上げましたように、二回の小委員会におきまして、認定の対象となる指定疾病あるいは認定基準に関して提出されたパブリックコメントの意見をすべて一覧とした資料を提出いたしまして、逐一事務局から説明し、御審議をいただきました。  
  指定疾病の範囲につきましては、パブリックコメントにおいて石綿等の中皮腫、肺がん以外の疾患についても指定疾病として追加すべきという意見が多く寄せられたわけでございますが、それを踏んまえて小委員会で議論が行われ、先ほど申し上げたような結論、答申をいただいたところでございます。  
  ちなみに、ちょっと個別の意見でございますが、パブリックコメントにおいて、中小の石綿取扱事業所が集中している地域、あるいは石綿製品製造工場の周辺の住民に胸膜プラークあるいは石綿肺が発見される等の意見が寄せられたことについて議論を個別に行いまして、これらの診断はそもそも難しい、あるいは疾病の定義の誤解あるいは誤診の可能性もある、あるいは胸膜プラークの所見者、さらにはその他の疾患について疑われる者は、将来、肺がんであるとか中皮腫の発生につながる恐れもあるということから、健康管理システムをきちっとしていくというようなことも意見として付記されたところでございます。

○足立信也君 後半部分は私も把握しておりますので後でまたちょっとお聞きしたいと思いますが。  
  パブリックコメントについては審議は十分されたというような発言でございますが、私も会議録を見せていただきたいと言ったら、会議録はまだできてないということですので、委員の方一名と、それからその小委員会を傍聴した二名の方にお聞きしました。パブリックコメント、特に指定疾病にパブリックコメントを取り上げた議論というものはほとんどなかったんではないかということを言っておりました。これは聞いただけですので、何とも言えませんということだけ付け加えさせていただきます。  
  一昨日に公表されたパブリックコメントの結果なんですけれども、指定疾病に関する回答、この内容なんですが、石綿健康被害救済法の立法の趣旨は中皮腫と石綿による肺がんの方を迅速に救済することであるから、当面この二つの疾患を指定疾病とすることが適当だというふうに答えている。私、法案をまた振り返って見直しましたけれども、二つの疾患を指定疾病とすることが適当だというようなことは触れられてない、書かれてないと私は思うんですけれども。  
  ところで、前回の質問で、私の質問に対する大臣の答弁で、「今回の救済の対象としての疾病は、石綿を原因といたします中皮腫及び石綿を原因とする肺がんを想定し、また、かつ昨日の医学的判断に関する検討会において、よりその点を詰めていただいた」、そのように発言されているんですよ。順序が逆なんじゃないかと思うんですよ。法案では、中皮腫と肺がんその他政令で定める疾患と、そのように書かれてあって、石綿による健康被害に対して救済する法案だと。二つの疾患を最初から想定して、その証拠固めを検討会並びにパブコメ、小委員会、中環審とやってきて、それを固めたという趣旨のように取れる。正にそうだと思いますが、初めに二疾患を想定したというふうに答弁されているんですけれども、この想定したのは誰なんですか。  
  法案の趣旨からいくと、最初に疾患名を決めて掛かった法律ではないんではないか。そういう議論は今までしてこなかったと思うんですが、そういう想定したというふうに発言が、私、振り返って議事録を見るとあるんですね、小池大臣。最初に想定したというのはどなたなんですか。

○政府参考人(滝澤秀次郎君) 手元にちょっと条文そのものはございませんが、法律の本体で疾病の特殊性という表現がたしか出てまいったかと思います。それで、中皮腫と肺がん、その他政令で定めると。その二つの疾患について指定疾病の条文に出てくるわけでございまして、特殊性というキーワードでもって法案そのものが想定しているというふうにも解釈できると思います。

○足立信也君 法案そのものがですか。  
  先ほど挙げましたように、指定疾病というのは中皮腫と肺がんとその他政令で定める疾病というふうにはっきり書かれているわけですよね。  
  資料をちょっとごらんください。いろんな、中環審までの中で石綿肺を始めとする石綿関連疾患を除外した理由として、環境暴露で石綿関連疾患が発見されたことはないと、これを何度も何度も繰り返されているわけですね。  
  で、二番目の資料ですが、これは前回の質疑で共産党の小池議員が出された一次スクリーニングとは別の話なんですね。私、これ口頭で聞いたんです、この左側の十七年十二月二十八日現在という。受診者、これ、住民健康診断ですよ、受診者六百四十九名のうち要精密検査が二百七名いたんですね。そして、要精密検査、精密検査を受けた方のその後の診断がどうなったかということを、当然ここが一番大事なわけですから調べているわけですね、尼崎市としては。医療機関からその回答があったのが左側、百四十一名だったんです。そして、要医療が二名、経過観察七十五名。このうちでアスベスト疾患と診断された人ですね、精密検査の結果、胸膜プラークが二十九名、石綿肺が一名ということだったんです。これを私、口頭で言ったんですね、質問のときに。  
  その後どうなったんだろうと思ってもう一度お聞きしたんですよ、尼崎市に。そうすると、当然人数増えていますね。要精密検査が二百三十六名になって、医療機関から確定診断といいますか最終診断といいますか、その回答があった方が百八十名、経過観察が九十二名、要医療が三名、肺がんが一名増えました。経過観察の中でアスベスト疾患が五十六名、二十六名増えました。ところが、その内訳は、当然市としては把握しておりました。はてなはてなと書いていますが、口外してはいけませんということで、今回は回答していただけなかったんです。なぜでしょうかね。  
  これは、指定疾病を決める段階で住民健康診断をやって精密検査をやって結果が出た。そこに、どうも、胸膜プラークはまあ長年掛かるでしょうが、石綿肺がいるんだと、石綿肺の方がいるんだと。その後、人数が増えて、その後どうなりましたかと聞いたら、もう教えられないんですということです。これに対してはちょっと答弁求めるわけにもいかないかもしれませんが、現実はそういうことです。  
  なぜそういうことになったのかということを皆さんに心の中で考えていただきたいと思うんですけれども、じゃ、この人たちどうするのかということなんですね。  
  先ほど、確定診断というか本当の診断はちょっと当てにならない部分があるんじゃないかと部長さんお話しになりましたね。診断が当てにならないというんであれば、この方たちはこれから医療保険によって普通の医療を受ける、ずっと受けるわけですね。そういうことですよね、経過観察ですから、受診して、何度も。普通の医療を受けるその診断、その診断が当てにならないってさっき言われたんですよ。だったら、石綿関連疾患については普通の医療で下された診断が当てにならないからって言ったら、それは医療保険で医療が受けられるのかなと。そして、その当てにならない、診断は非常に難しいんだということであれば、普通の医療、医療保険で受ける医療じゃない別の仕組みがないと、この人たちはこれから先、定期的に検査を受ける、あるいは治療を受けることが医療保険上できないんじゃないでしょうか、医師の立場ですから。どう思われます。

○政府参考人(滝澤秀次郎君) 診断が難しい云々のコメントは環境保健部会あるいは小委員会で出された話でございまして、そのままお伝えいたしました。  
  専門性の非常に高い分野でございますので、一般の医師あるいはこの労災関係の元々勉強していらっしゃる先生方、若干、その目利きといいましょうか、そういうものに現実的に差が出てくるという問題を指摘されたのかと思います。  
  そうした方が、リスクの高い方あるいは所見のある方、それが宙に浮いてしまうではないかという御指摘ですが、目下、厚生労働省と環境省で連携いたしまして、そういった所見のある方あるいはリスクの高い方をどういうふうに健康管理をしていくかというのは十八年度からスタートすべく、これは具体的に検討を進めております。そういうすき間が、すき間といいましょうか、そういう方々がフォローアップできないようなことにならないようにしたいと考えております。

○足立信也君 そのとおりだと思うんですけれども、中央環境審議会で、もう一つ答申の中で重要なポイントは、先ほどもちらっとおっしゃっていましたが、「胸膜プラークの有所見者や良性石綿胸水、石綿によるびまん性胸膜肥厚の疑われる者については、将来中皮腫、肺がんの発症につながるおそれもあることから、今後、定期的な健康管理を行うためのシステムを整備することが必要である。」というふうに答申されております。当然だと思います。  
  ということは、これから何十年にわたってその患者さんをフォローアップしなきゃいけないわけですね。ということは、少なくてもある機関、機関というか、オーガナイゼーションという機関ですね、が、その方を登録されていて把握していなきゃ不可能ですよね。この登録制度については、これ多分委員の中からも強い希望があったと思うんですが、この点についてはいかがですか。

○政府参考人(滝澤秀次郎君) 健康管理の関係の登録ということでの御質問かと思いますが、当然のことながら、一般の住民検診あるいは肺がん検診、そういった既存の検診の場を通じてまず一次スクリーニング的にチェックしていこうと。先ほど申し上げたように、有所見者あるいはいろんなヒストリーとしてリスクの高い方、こういった方々に対して定期的に健康管理をチェックしていこうと。それは当然地域においてしかるべき機関、労災病院的なものがセンターでございます。あるいは、地域には保健所もございます。そういったことをシステム化して、その方を、個人の方を、きちっと五年、六年、フォローアップしていくという体制も併せて構築していくということになろうかと思います。

○足立信也君 フォローアップするために登録とか名前は控えておくということですよね、まあそれは、だと思います。  
  次に、三月中に報告したいとおっしゃった、この前の質問でですね、緊急大気濃度調査の結果なんですが、今、全国三百六十地点で緊急大気濃度調査をしました。非常にアスベスト飛散が懸念される地域や、尼崎とかもう被害が発生した地域も含まれています。三月中に報告するということを伺いました。その後、結果はいかがでしょうか。  
  簡潔で結構です。

○政府参考人(竹本和彦君) 御指摘のありましたアスベスト緊急大気濃度調査につきましては、現在、専門家の先生方の御意見を仰ぎながら最終的な総合解析を行っているところでございます。先ほど先生の御指摘のありましたとおり、私ども、三月末の、今月末の最終的な取りまとめ、総合的な取りまとめに向けまして現在鋭意作業をしておるところでございまして、取りまとめが終わり次第、速やかに公表をしたいという予定で現在作業を進めております。

○足立信也君 三月十六日というタイミングが悪かったのかもしれませんけれども、もう出てないとおかしいことなんではないかと思いますし、この結果があってこそ、来年度、予算これ組んでるわけですから、更にどの地域に絞ってやるということを決められないんじゃないかと。公表されると思いますけれども、是非皆さんに周知していただきたいと、そのように思います。  
  残りの時間は、ちょっと私かねがね疑問に思っていることなんですが、昨年のアスベスト被害の総括といいますか、ということで、すき間の問題、縦割り行政の問題も指摘されておりましたが、もう一つ、予防的アプローチということがおろそかにされてきたのではないかと大臣がおっしゃるわけですけれども、この予防的アプローチというのが非常に私ははっきり言って理解できないんです。  
  どういう意味でおっしゃられているのか分からないんですけれども、英語で言いますとプリコーショナリーアプローチ、日本語で予防的取組方法、又はプリコーショナリープリンシプル、日本語で予防原則。これについて国会図書館で調べてもらいました。  
  予防的アプローチというのは皆さん恐らく理解されると思うんですが、科学的確実性がなくても被害が甚大になるおそれがある場合には原因と疑われるものを規制すると、そういう考え方ですね。例えば、地球温暖化への二酸化炭素の影響、遺伝子組み換え作物による被害、そしてオゾン層破壊に対する影響が実証される以前のフロン、こういったものへの規制、こういうのが予防的アプローチだと、そういうことなんですね。つまり、人や環境に対して実際の被害が出る以前の考え方です、その前の。  
  日本では、労災認定、これは職業によって、アスベストに関しますと、アスベストの暴露がはっきりしていて、それが原因で中皮腫や肺がんになった。この労災認定の第一号は、中皮腫患者が一九七八年ですよ。石綿が原因の肺がんは一九七三年ですよ。  実際に被害が出ているんです。しかも、労災認定ということは因果関係がはっきりしているんですよ。そこで予防的アプローチということを持ち出されても、意味が分からない。どういう意味で使っておられるのか。ちなみに、国会図書館で調べた結果、小池大臣がアスベスト被害と予防的アプローチを関連させた発言されましたけれども、世界じゅうでそういうふうに関連させた論文、ゼロですよ。  
  どういう意味で、予防的アプローチがおろそかだったのがアスベスト被害をどうしたっていうふうにおっしゃるのか。大臣の理解の方法でいいですが、因果関係がはっきりして七〇年代に既に労災認定されている疾患ですよ、分かりやすくできれば説明していただきたいと思います。

○国務大臣(小池百合子君) 予防的アプローチということは、世界的に申し上げるならばリオ宣言という、その歴史、歴史的というか、そういった区切りという判断ができるわけでございますが、今のこのアスベストに関してでございますけれども、旧環境庁の時代に国際的に石綿のがん原性ということが指摘されたのが昭和四十七年以降、また環境保全の観点から一般大気環境中の石綿の状況に関する調査検討を行ってきたわけでございます。そのほか、自治体であるとかそれから関係省庁への排出抑制の要請などをし、対策マニュアルの作成なども各時点での科学的な知見に応じて必要な対策を実施してきたものでございます。  
  また、法律とすれば大気汚染防止法があるわけでございますけれども、石綿の排出規制を未然防止の観点から導入してきたのは平成元年なんですが、それ以前の段階では、文字どおり科学的確実性の不足をもって対策の実施を遅らせてはならないとする、正にこれが予防的アプローチでございますけれども、その考え方がまだまだ社会的には浸透もしていなかったということでございます。  
  そして、昭和六十年の専門家検討会において、我が国の一般環境大気の状況から見て、一般国民にとってのリスクは、もしあるとしても石綿に関する作業従事者と比べて著しく小さいとの結論が得られておりまして、これが当時の科学的知見であったわけでございます。  
  つまり、今御指摘の点は労災という問題と、それから一般大気という問題についての考え方の相違ではなかろうかと、このように思うわけでございますが、いずれにしましても、現在の視点から振り返りますと、当時仮に予防的アプローチの考え方が浸透しているといったような環境が整っていれば、未然予防の観点から更に早期に排出規制を講じることがあり得たのではないかと考えるところでございます。

○足立信也君 繰り返しますが、世界的にアスベスト被害が増大したのは、予防的アプローチというふうに結び付けて発言されたのは世界で小池大臣が初めてだということ、この発言は重いと思います。  
  それから、私、前回の質問で出しました。今因果関係がはっきりしないというようなことをおっしゃったと思いますが、これ官民格差のことを私話しましたけれども、ここに通知があります。昭和六十二年です。その中で、これはどういうことかと、建設大臣官房から全国の地方建設局あての内部通知ですよ。読みます。「石綿は、数々の優れた特性を有するため、広範囲に利用されてきたが、一方においてその有害性が公的に評価された」、そのように書いていますよ。そして、建設省に関しては、これからは新築においては使用しないこと、今あるものは撤去せよと書いている。  
  その結果、この前詳細に申し上げましたが、更に追加調査で分かったことを言います。防衛庁の場合は二万二千二百棟のうちアスベスト使用は七十棟で〇・三%です。民間は一〇%前後だったということを覚えていられると思いますが、〇・三%。そして、財務省所管の合同宿舎です、公務員宿舎、三千七百六十四棟のうち六棟がアスベストが残っている。〇・一六%ですよ、六十分の一です、民間に比べて。居室はもちろんゼロですよ。こういうことが当然のことながら分かっているから、官のもの、国のものはそういう対策をやったと。民間の方はできていないんだということをもう一度強調したい、そのように思います。  
論理的に予防的アプローチというものを、無理なことを押し通そうとするのは、どうしてもやっぱり対策の遅れの責任回避の論を張っているとしか私は思えないんですね。  
  この問題はこれで終わるわけではございませんから、次回もまたアスベストの問題を取り上げていきたいと、そのように思っております。  
  私の質問を終わります。

060316環境委員会会議録より
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