国会会議録
 

平成18年2月3日- - 環境委員会


○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
  民主党といたしましては、昨年の通常国会の集中審議、そして特別国会、そして今通常国会、この問題につきましては、アスベストの問題につきましては最後の質疑ということになりますので、ちょっとまとめるようなつもりも込めて、そしてまた、岡崎理事、それから傍聴席の方の怒りも受けて、ちょっと順番を変えて質問させていただきます。
  昨年の特別国会で私一時間掛けて、これまでの文科省それから環境そして厚生労働、研究と、それが施策あるいは法制度に生かされたかどうかということを検証しました。そのことが全然生かされていないなという気がいたしましたので、もう一度簡単に振り返ります。
  まず、管理使用のことなんですが、先ほど岡崎理事が触れておられました。これは、一九七〇年代は世界じゅうアスベストは管理使用でした。一九八六年のILOの石綿条約、これ以降、世界は全石綿の使用禁止の方向に向かったんですよ。日本は封じ込め、囲い込みの推奨、つまり管理使用をずっと続けたわけです。日本は一九九五年、労安衛法で、青、茶石綿の使用禁止をしました。しかし、このとき世界はすべて使用禁止の方向ずっと続いていたんですね。日本は白石綿の使用は残そうという方針だったわけです。
  世界は、先ほどから言いますように、青、茶、白の区別はしていないんですよ。日本でも、先ほど私研究のことを言いましたが、青、茶、白別々に研究されているというのはないんですよ。これは昨年答弁でもはっきりそうおっしゃっています。実際、できるわけないんですね。石綿の総数が問題なんですよ。総数として、石綿を総数としてとらえていたのは環境省なんですね。ここに問題があるのではないかと私は思いますし、中皮に限って言いますと、中皮に一番浸透しやすいのは白石綿だと。これも研究が出ているんですね。
  先ほど岡崎理事が言われた一九八三年のアイスランドとか、この流れは全石綿の禁止であって、もちろん白石綿を禁止しているんですよ。ところが、日本は二〇〇三年十月、労安衛法施行令の改正で、白石綿の輸入は合法として認め、石綿製材の在庫類の利用、使用は認める。二〇〇三年ですよ。こういう方向なんですよ。白は使っていこう、在庫品は全部使っていこう、こういう方向なんですね。先ほど総数でとらえているのは環境省だと言いました。つまり、全石綿の規制ができたのは環境省だけだったかもしれないんですよ。そこに責任があると私は言ったんですね。
  もう一つ、これ官と民の違いということで、先ほど学校パニックの件がありましたが、一九八七年当時、これ学校の調査は教室を、教室の天井、壁、外見上調べるだけで、危険性の高い給食室や廊下、放送室、機械室、体育館は調べていないんですね。放送室に、まあどうでしょうか、放送部員か何かで毎日行っている人というのは毎日暴露したかもしれないです。しかもその除去について、これは補助制度を創設して、希望者は手挙げ方式にしたわけですね。そのまた手挙げ方式の中でも、対象になったのが昭和五十一年以前に建築されたものとなったんですよ。ところが、昭和五十五年までアスベスト含有吹き付けロックウールは使われていたんですよ。なのに、対象は五十一年以前の建築物だったんですよ。
  ところが、そのちょうど同じとき、同じときに、旧建設省は各省庁の庁舎や公務員宿舎など国有の建物は石綿を使用しないことを決めました。国有の建物は石綿を使用しないことを決めました。同じ時期ですよ。そして防衛庁は、一九九〇年から九四年までにすべての建築物について吹き付けアスベストの使用状況を調査して除去しました。ちょうどこのときに、旧社会党から提出された石綿規制に関する法案が与党によって廃案にされたんですよ。そのときに防衛庁はすべて除去しているんですよ。
  その結果どうなったか。昨年十二月の国土交通省の調査、全国十八万九千九百七十一棟の民間ビルやマンションのうち、アスベストが露出していた建築物は一万六千三百四十九棟、八・六%です。厚生労働省の調査では、全国の病院や社会福祉施設四万三千二百六十一施設のうち、アスベストがまだ吹き付けられている施設が四千二百二十六、九・八%ですよ。一〇%をちょっと欠ける程度が民間そして病院や社会福祉施設にまだ残っている。これに対して、国土交通省の調査です、国の建築物は、八万四千二百七十六棟の調査で六百十一棟が未対策、〇・七%ですよ。十五倍ぐらいの差があるんですよ。国の施設と民間あるいは学校や病院、十数倍の差があるんです。こういう結果になってしまったんですよ。危険性を認識しながら管理使用政策ずっと取ってきた。その石綿を、白石綿を使用させ続けたのは、これ行政そのものじゃないですか。これから先は管理使用施策で使用させてきたと。それがどのようになったかと、どのような結果を導いたかということなんですが。
  まず、ちょっと唐突かもしれませんが、国の施策で、これは高度経済成長も支えたし、皆さん恩恵賜ったと、そういう施策を取ってきたということを考えると、なるほど補償と救済は違うという説明に終始しておりますが、じゃ、ここでいったん、補償と救済、あるいは賠償、国家賠償はどのように違うのかと、どういう認識か説明していただけますか。

○政府参考人(寺田達志君) 補償と救済でございますけれども、補償につきましては、いわゆる民事上の責任に基づきまして何らかの被害をもたらした原因者がその生じた損害をてん補するというものであるというふうに考えております。これに対して救済というものは、そういうものに基づかない制度ということになります。

○足立信也君 責任の所在だけに今絞ってお答えになったんだと思います。
  じゃ、国家あるいは行政側の責任はどういうことにあるかと。それは公益のためを思って行政執行してきたという前提が付くんだと思います。そのことについてお伺いいたします。
  まず、今回、先ほど拠出金の話がございましたが、労災保険適用事業主から一般拠出金を徴収するということになっております。その理由は何ですか。
○政府参考人(寺田達志君) アスベストによる健康被害の特殊性ということでございますけれども、長い潜伏期間、それから被害の重篤性、それから予後が悪いということ、そうした被害サイドの問題と、更に加えまして、アスベストというものが委員御指摘のとおり日本の高度経済成長を支えてきたような、一千万トンに及ぶ輸入量があり、我が国産業社会を支えてきたと。こういう状況にかんがみまして、現在お苦しみになられている被害者の皆様の御負担というものをやはり我が国経済社会全体で何とかその一部分でも救済すると、こういう趣旨でございます。

○足立信也君 政府の出されている説明、なぜ一般拠出金を徴収するかについては、石綿の使用による経済的利益を受けてきている者すべてが、つまり利益を受けている。確かにこれは、私も業者の方に聞くと、非常に便利で良かったと。しかしそれは、先ほど言いましたように管理使用政策を取ってきたからなんですよ。
  それは、公益のためを思って行政がやってきた、その結果、健康被害が生じた。これは正に補償の概念じゃないですか。私はそう思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(寺田達志君) ただいま恐らく国の政策についての責任の所在についての御質問かと存じますけれども、その場合は、法令といたしましては国家賠償法の適用の有無ということになろうかと思います。
  この場合、結果責任ということではございませんで、公務員に不作為があったかどうかと、こういうことが論点になろうかと思っております。

○足立信也君 私の認識では、国家賠償というのは国が法律を犯す、まあこれは故意と過失あるでしょうが、法律を犯して害を生じたということがあるんだと思いますよ。
  ただ、補償は、先ほど言ったように、そうではないんです。やはり行政として、これは国民あるいは国全体の公益を図ってそういう措置をとってきたんだと。そのことが結果、被害を招いたんだと。これは、責任の所在が明確でないから云々という救済じゃなくて、やっぱり私は補償だと、補償の概念だと、そのように思います。これは多分水掛け論になるので、私は補償だと、定義からいっても補償だと、そのように思っております。
  では次に、最初に戻りますが、やはり、この法案を拝見したときに、どうしても私たち民主党としては、昨年提出した我が党の総合対策の法案と比較せざるを得ない、どうもそう考えています。私も作成の一員でしたので。
  そこで、ノンアスベスト社会の実現のために、健康被害に対する補償にとどまらない総合的対策、これはやっぱりどうしても必要だと。これが必要ではないって思う人はまずいらっしゃいませんから、絶対に必要だと。ここに提出されている新法以外に、アスベストによる健康被害に関する実態調査とその結果の公表、国民の健康相談、健康管理手帳を含む健康管理制度の創設、継続的な大気中濃度測定、アスベスト関連疾患の医学資料の保存、こういったことがやはり私は義務付ける必要があるんではないかと、そのように思っています。
  この政府の出された石綿に関する総合対策、昨年十二月の中で、それからまた予算案の中でも、今私が挙げましたような内容は予算付けされているんですね、十八年度。
  じゃ、十九年度以降どうするんだと、あるいは五年後十年後どうするんだと、このことは全く補償はないわけですね。先ほど私が挙げたような総合対策として必要だと思われる項目について立法化する、その予定、あるいはその意思はありますか。

○政府参考人(寺田達志君) お答えいたします。
  ただいま委員の御質問の中でも御指摘ございましたけれども、政府といたしましては、昨年末、十二月の二十七日でございますけれども、アスベスト問題に係る関係閣僚会議を開催いたしまして、アスベスト問題に係る総合対策というものを取りまとめたところでございます。
  もとよりアスベスト対策というのは、この総合対策の中でも、一、すき間のない健康被害者の救済、二、今後の被害を未然に防止するための対応、三、国民の有する不安への対応と三つに分けて更に詳細に論じておりますけれども、もとより非常に幅の広い対策でございます。
  これを踏まえまして今回すき間のない健康被害者の救済としていわゆる救済法を、そして今後の被害を未然に防止するための対応の中で法改正が必要な事項四つをまとめましていわゆる一括法として提案さしていただきましたけれども、もとより石綿問題につきましてはこの二本の法律にとどまるものではございませんで、予算措置で行うものもございましょうし、既存の法制度の中で実現していく対策もあろうかと思っております。
  今回、政府といたしましては、法改正が必要な事項ということは、新しい救済の新法と、それから今回の一括法の四項目ということで整理させていただいておるところでございます。

○足立信也君 昨日の質問通告の際に、先ほどからの質問、それから今の質問、すべて答弁者は小池大臣だということになっているんです。
  今の話ですね、十八年度は予算付けをして、まあこれから審議が始まるわけですけれども、十九年度以降はどうなるか分からない。でも、これは必要だと。そして、それが今ある制度の中での予算の付け方によってできるかもしれない。あるいはまた別な法制度が必要かもしれない。かもしれない、かもしれないという話をしているわけですね。
  そこで、立法化する意思があるのか、あるいは予定があるのか、現在それを検討中なのか、そういうことはやはり大臣じゃないと答えられないんじゃないですか。

○国務大臣(小池百合子君) 基本的な考えは今、寺田審議官からお伝えしたとおりでございます。
  今回、この新法をこれから正に動かしていこうということでございます。その間に、この新法を実際に施行する中で見直しの観点も出てくるでしょうし、また実施していくことによって様々な新たな要素なども加わってくることもあるかもしれない。
  いずれにいたしましても、今回新法ができるということは、今後の予算措置そのものがむしろレギュラーなものとしてなっていくわけでございますので、今回この新法を加えまして、また今回の補正、そして十八年の本予算、さらにはその後もこの新法をベースにした形で必要な予算措置がされていくものと、このように確信をいたしております。
  なお、今申し上げましたように、今回のは全く新しい法律でございます。今後、施行していく中におきまして、実際に被害者の方々の申請状況であるとか、それから疾病についてのこれからの健診の問題などなど、様々施行する中で調整していくことも必要だということが多々出てくるということもあるかという観点から、今回の法律の中におきまして、附則として五年以内にまた見直しを行うということの定義もさせていただいたところでございます。
  衆議院の方で、私、五年後ということで、明確にそれ以降というようなニュアンスが漂ったかもしれませんけれども、法律的にも五年以内というふうに明記をしているところでございまして、そこは全く新しい国としての対応ということで臨機応変になすべきであると、このように考えておるところでございます。

○足立信也君 その答弁を聞いておりますと、先ほど私が具体的に五つほど挙げました、例えば濃度測定や実態調査や、あるいは管理手帳のこと、健康管理の促進、健康相談、このようなことは今回の、新法とおっしゃっていますが、石綿による健康被害の救済に関する法律案の見直しの中で足りる項目だと、そのように思われているということですか。

○国務大臣(小池百合子君) この新法を施行する過程において、必要な変更、そして追加などは適宜適切に行うべきだと考えております。

○足立信也君 ということは、まあ見直しというのはいろいろあるでしょうが、全く別、項目立てが相当増えることもあり得るような見直しになってもいいだろうという判断なんですか。

○国務大臣(小池百合子君) 必要に応じての見直しは適宜適切に行うべきだと考えております。

○足立信也君 じゃ、一つ一つ後で聞いていきます。
  昨日の提案理由のその説明の中で、アスベストによる健康被害者のうち、既存の法律で救済されない被害者をすき間なく救済するために立法したと。すき間なくというのは、私は、なるほど法律上は、制度上は確かにすき間がないなと、まあ実際思うんですね。それは特に指定疾病に関してなんですが。中皮種、あるいは気管支又は肺の悪性腫瘍、そして石綿を吸引することによる発生する疾病であって政令で定めるもの、こう書けば、なるほどすき間はない。
  しかし、この書き方で、問題なのは、アスベストによって健康被害を受けた方が漏れなくになっているかどうかなんですよ。すき間は、制度上のすき間はないかもしれないけれども、それが漏れなくではないんじゃないかと、そこが問題なんだと思います。
  どのような人が救済の対象になるか、これが決まらないと私は議論が進まない。実際、衆議院の委員会でも、この認定に関して、物事のスタートじゃないかと、そこが決まらなくてどうやって審議ができるんだという、かなり食い下がった同僚議員もおりましたけれども、まあ先には進みませんでしたね。
  提案理由の一行目に書いてあるんです。健康被害を受けた人のうち指定疾病であること、そして石綿の吸引が原因であるという認定が必要であると、一行目に出てくるんですね。これがないと、これが決まっていないと、その後、じゃ救済の費用はどうするんだとか、幾らぐらいになるんだとか、そういうことを審議しようがないんではないかと。認定に関しては白紙委任にしてくださいと。それはやっぱり国会審議としては、もちろん、関係者あるいは被害に遭われた方々は何を話し合っているんだろうという思いがたまらなくあるんじゃないかと思うんですね。
  私は、今週月曜日、予算委員会、衆議院の予算委員会でああいう事態になって一日ずれました。私は非常にラッキーだなと思ったんですね。それは、衆議院の委員会で、昨日、二月二日の五時から石綿による健康被害に係る医学的判断に関する検討会が終局するという情報をもう当然得ていましたので、この検討会が終局する前に参議院ですべて審議が終わってしまったら、何のためにやるんだって思っていましたが、一日ずれたおかげで、今日は少しでも、少しでも具体的な内容が出てくるんではないかと、実は期待していますからね。
  そこで、昨日五時から行われたその議論の内容、特に指定疾病と認定の基準について、まず労災認定から、そして次に新法についてできるだけ分かりやすく、傍聴をされている方々にも分かりやすく説明してください。

○政府参考人(森山寛君) お答え申し上げます。
  今回のその創設いたしました特別遺族給付金、この対象の関係でございますけれども、この特別遺族給付金につきましては、石綿による疾患により亡くなっている労働者の遺族の方であって、時効がなかりせれば労災の対象になったということでございますので、この疾病としましては、現行の労災補償に係る疾病、これすべてを対象にしたいというふうに考えております。
  その認定基準でございますが、今先生お話ございましたように、その検討会、昨日でその考え方が取りまとめられたところでございますけれども、近々この報告書が取りまとめられる予定になっております。
  その中で、具体的に中皮種でございますけれども、これは御案内のように、そのほとんどが石綿によるものであるということがこの検討会で確認をされました。それで、私どもの認定基準の中におきましては、この中皮種の認定、診断が、確定診断がなされたならば、現在の認定基準で必要としている医学的所見につきましては、これは改めて要しないという方向で認定基準を改正をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  また、肺がんにつきましては、現行の認定基準では、石綿小体あるいは石綿繊維以外に、暴露歴、これが十年以上であるということを要件にしておりますけれども、石綿小体あるいは石綿繊維が一定数以上ある場合、これにつきましては、十年以上の石綿暴露作業従事歴を要しないというようなことで、昨日の検討会の考え方を踏まえまして認定基準を見直しをしていきたいというふうに考えているところでございます。
  主にそういう内容で検討会の考え方がまとまりまして、近々その検討会の報告書がまとめられることになっておりますので、それを踏まえまして私どもの労災認定の方の基準も先ほど申し上げましたような形で見直しをしていきたいというふうに考えているところでございます。

○政府参考人(滝澤秀次郎君) 昨日の医学的判断に関する考え方をまとめていただいた内容でございます。
  石綿を原因とするか否かの判断のための医学的知見でございますが、一つ一つ具体的に申し上げますと、中皮腫につきましては、中皮腫のほとんどが石綿に起因するものと考えてよい、それから中皮腫の診断の確かさが担保されれば石綿を原因とするものと考えてよい、また近隣暴露でありますとか家庭内暴露による発症の可能性もあるというような考え方がまとめられました。
  また、肺がんにつきましては、やや診断基準的な要素でございますけれども、肺内に一定量以上の石綿小体でありますとか石綿繊維が確認された場合に加えまして、よりルーチンなものとして、胸部エックス線写真の像又はCT画像において一定の異常所見が認められる場合に石綿を原因とするものであると判断できること、これは当然、原発性肺がんという診断されたケースでこういう所見があればということでございます。そういう考え方が肺がんについてはまとめられました。
  なお、石綿肺、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚につきましては、一般環境暴露による発症例の報告がないことなどから、今後の発生状況等について十分知見の収集に努めていくべきということが示されております。
  私ども、新しい救済制度の指定疾病に関することでございますので、今後、更に広い見地から、中央環境審議会において更に専門的な議論をお願いすることとしております。また、パブリックコメントを通じまして、最終的にこの認定基準に関する考え方を早めに、早急にまとめていきたいというふうに考えております。

○足立信也君 なかなか理解が多分難しかったかと思います。私なりに、じゃまとめてもう一度聞きますね。
  中皮腫に関しては、労災と新法という両方を言っていきます。重要なことは、労災も新法も、中皮腫に関しては病理組織学的検査は必ずしも全部絶対必須というわけではないということ、それから作業歴に関しては、労災は一年以上ですけれども新法は問わない、暴露歴ですね。
  肺がんに関しては、さっきちょっと気になることをおっしゃったんですが、職業歴、暴露歴、今まで十年以上というのがあったんですが、これは、肺がんに関しては要しないというふうに労災の方で言われましたか、そこを確認したいです。
  石綿肺、良性石綿胸水、それからびまん性胸膜肥厚については、これは労災の場合は個別に協議する、ただし十年以上の暴露歴が必要、それで新法については、これは指定疾患には入れないという認識で、間違いがあったら訂正してください。

○政府参考人(森山寛君) まず、肺がんの方でございますけれども、先ほど申し上げましたのは、これは今の認定基準は、これは先生おっしゃいましたように十年以上ということで、一定のまたプラーク等の医学的所見、これを要しております。
  今回、検討会で具体的に、アスベストとみなされるような肺がん、これにつきましての一定の、石綿小体等の一定の数が示されました。そこで、私ども基本的に、その十年以上である、そしてまた一定のその石綿プラーク等の医学的所見が必要であるという大枠は、これは今後とも変えていかないということを考えておりますが、昨日の検討会で考え方が示されました一定数のものにつきまして具体的数字を、先生御案内のとおりでございますけれども、一定数の石綿小体あるいは石綿繊維が、これが示された場合には十年以上の石綿暴露作業歴を要しないというふうにしていきたいというところでございます。

○政府参考人(滝澤秀次郎君) 中皮腫の確定診断の関係でございますが、昨日の考え方の整理の中では、中皮腫は診断が困難な疾病であるが、臨床検査だけで判断することなく、病理学的に診断を行うことが重要であると。ただし、患者さんの状況によっては困難な場合もあるというような記述がございます。
  さらに、こうした分野の専門のドクターが総体的に少ないという状況が指摘されておりますが、この考え方の整理の中で病理診断の精度を向上させるためには病理医の研修等の確立が必要である、また今後、病理診断が困難な症例については、全国レベルで病理医、臨床医、疫学者による中皮腫パネル、これは症例検討会的なものでございますが、中皮腫パネルを開いて診断を確定していくことも望まれるというような御指摘もいただいておるところでございます。
  そのほかの疾患については先ほど答弁したとおりでございまして、今のところ、昨日の考え方の整理の中では一般環境経由のものはないということで整理されておりますが、今後、中環審の御審議も踏まえたいと考えております。

○足立信也君 内容がちょっと難しいのでこれ以上ちょっと控えますが、ちょっと私の意見を聞いてください。
  十年以上の、肺がんの場合、十年以上の暴露歴を、これは、それを病理学的にそうみなせる濃度といいますか、それで医学的にはいいだろうとしたわけですね。ですから、暴露歴が説明、証明できない場合は病理検体、生検材料が必要になるということになってきます。これは気管支洗浄含めてそうですね。そして、今の新法の方でも、まあ必須ではないとは言いながらも、やっぱり欲しいというようなニュアンスで聞こえてきましたね。この点は、これは衆議院の岡本代議士がかなりやられていまして、僕はあんまり、あんまりというか、これ以上やってもきっと理解が得られないとは思いますが、ちょっと、どれだけ大変かということだけは触れておきますね。
  実は皆さんに今日資料を渡そうかと思ったんですが、それはなぜか、どういうものかというと、病理組織医学的生検材料を採るためにどれだけ大変かということを、病院の患者さんへの説明書を持ってきたんですね。これは気管支鏡検査、検査ですよ、気管支鏡検査、死亡率が〇・〇〇六%です。
  それから、経済的なことを言うと、僕自身は余り好みませんが、恐らくその方がショッキングだと思うので、胸膜プラークを始めとするびまん性肥厚、これは今のヘリカルCTなんかではもう八割以上分かるというふうに専門医は言っています。
  ところが、衆議院の委員会でもありましたように、病理医が組織を見て診断が一致する、中皮腫だと診断が一致するのは四割ぐらいしかないんですね。これは班研究で森永先生、昨日も一緒だと思いますが、彼の報告でそうなっていますね。CTだともう八割以上分かるんだという現状。
  それから、金額的なことなんですが、胸部のCT、これ一万四千円。ところが、先ほど出ました気管支鏡の生検、三万一千円。気管支鏡で採れればいいですが、非常に末梢や胸膜の病変だとすると、胸を開いて生検する、手術的にですね。試験開胸、九万七百円。今は傷をできるだけ小さく、しかも全肺やあるいは胸膜面を観察しながら胸腔鏡下で胸膜生検、胸膜切除というのをやりますね。これはまあ中皮腫の確定診断を求められたら、一番今やられるんじゃないかと私思いますね。三十一万です。
  医療費抑制、医療費抑制というふうな話になっていますが、これはまあちょっと問題の観点違うかもしれませんが、八割以上分かると言われている一万四千円のものなのか、三十一万以上掛かって入院をして、そして診断率四割というものを求めるのか、この点は是非今後の検討課題にしてください。しかも、認定されなかったら自己負担かということにもなります。
  そこで、先ほどの認定基準の話にまた戻るわけですが、平成十五年九月に石綿による疾病の労災認定基準が変わりました。心膜、精巣鞘膜の中皮腫、あるいは良性石綿胸水とびまん性胸膜肥厚が新たに追加されました。その新たに追加した理由、そして、その後認定された労災認定患者数を教えてください。

○政府参考人(森山寛君) お答え申し上げます。
  この労災認定基準につきましては、これは症例の発生状況あるいは国内外の新たな医学的知見等の状況から必要な見直しをこれまでも行ってきたところでございます。
  平成十五年に先生今おっしゃいました新たな疾病を加えたわけでございますが、これは、心膜の中皮腫につきましては労災認定の事例が具体的に発症いたしました。それからまた、良性の石綿胸水あるいはびまん性の胸膜肥厚につきましては、国内外の報告例が集積をしてきたという実態がございます。これを踏まえまして見直しを行ったものでございます。
  これらの疾病の具体的件数でございますが、心膜の中皮腫は一件、それから、良性の石綿胸水それからびまん性胸膜肥厚につきましては、それぞれ五件認定をしているところでございます。

○足立信也君 まず、理由のところなんですけれども、これはもう、条文というんですか、通知というんでしょうか、はっきり書いていますね、石綿との関連が明らかな疾患であると。だから追加された。そして、先ほど挙げた三つの病変についてはそれぞれ認定されている人がもういるということですね。つまり、石綿によるという原因が明らかであって、認定された人はいるんです、労災ではですね。
  そして、昨年の尼崎市と鳥栖市の住民健康相談の件なんですけれども、これは、尼崎市では六百四十九人受診して二百七名が要精密検査、そのうちアスベスト疾患が見付かった人が三十名、医療が必要だと判断された人が二名です。ですから三十二名。その内訳は、中皮腫一名、肺がん一名、石綿肺一名、胸膜プラーク二十九名。
  で、職業性暴露か環境性暴露か。先ほど部長は、今回指定疾病に入れなかった三つについては環境性暴露では今まで報告が一例もないということがございました。先ほど私、三十二名の疾患、ここ挙げましたけれども、職業性暴露が十名、環境性暴露が十一名。そういうことです。だから、環境性暴露では今回指定疾病に入れなかった疾病が起こらないんだということにはならないですね。
  そして、鳥栖市でも、これ八百八十一人受診して百二十八人が要精査。アスベスト肺疾患は百二十八人中六十二人。この六十二人の内訳は、元従業員二十四名、関連取扱業種二十一名、住民や家族十七名。この十七名がすべて中皮腫あるいはアスベストが原因である肺がんであるはずがないですから、そのほかの石綿疾病が相当いるというこの事実ですよ。
  これを、このデータを見て、あるいはもう多分手元にあるんじゃないかと私は思いますけれども、それでも一例も報告がないから指定疾病から外すということは正しいんでしょうか。認定はされているんですよ、実際。

○政府参考人(滝澤秀次郎君) 今御指摘の尼崎市、それから兵庫県も含めて実態調査を既に進めておりますけれども、私ども、その関係の別の専門検討会も何回か開催してきております。そういう調査結果を、吟味を二月のたしか九日でございましたか、次回の検討会も予定しております。
  先ほど来申し上げています昨日の考え方の整理の中では、正にこの分野の専門の先生方六名がいろいろ文献、過去の症例報告等々を踏まえまして、一般環境経由のものは報告されていないという整理をしておりますが、今後そういった疾患の発生状況等を十分注視すべきだという意見も付記されているわけでございまして、そうした要素も踏まえて、今後中環審等の御審議を進めていただくつもりでおります。

○足立信也君 今の発言で、専門家の意見は聞いたと。私のデータで、今やられている住民健康相談あるいは調査ではどうも合わない経過が出ている、結果が。今後はこの追跡が是非とも必要だという認識は今お話しされたと思いますよ。
  政府案では、救済と補償、これを分けて、これ額の差で表しているわけですね。だとしたら、私は認定に差を設ける必要は全然ないと思うんですよ。額で差を付けて更に認定でも絞ろうと、その根拠はどこにもないと思います。
  ちょっとここで、今までの、新しい指定疾病とか認定基準についてずっと話をしてきたわけですけれども、大臣にお聞きしたいんですけれども、これまで法律では、今までの法律では救済できない被害者の方々を救済するために新法を作るとおっしゃってきた。アスベストによって健康被害を受けた、あるいは受けたと思っている国民のうちで、この新法で新たに救済される方と救済されない方、これ概念的で結構ですから、どのようにとらえていらっしゃいますか。

○国務大臣(小池百合子君) 今回の救済の対象としての疾病は、石綿を原因といたします中皮腫及び石綿を原因とする肺がんを想定し、また、かつ昨日の医学的判断に関する検討会において、よりその点を詰めていただいたところでございます。また、これは言うまでもなく、労災の対象にならない方々を救うという観点からは、その労災の中に入らない方々に対しての救済策として全く新しいものであることはもう御承知のとおりだと思います。
  昨日の検討会で様々な症状によっての医学的な考え方がお取りまとめいただいたところでございますけれども、先ほど部長、保健部長の方からもお話しいたしましたように、更に広い見地から中央環境審議会において専門的な御議論、お願いをして、そして認定基準に関する考え方は早急に取りまとめていきたいと思っております。
  私とすれば、この石綿の原因ではないかと不安に思っておられる方々、ことごとく何とかならないかという思いを抱くのは当然でございます。ただ、いったん、この救済策を進めるに当たりましては、やはり対象となる方を何らかの基準で特定せざるを得ないということは、これも御理解いただけるのではないかと思っております。
  今そういった基準ということについて御議論をいただいているところでございまして、先ほど委員御指摘のように、実際に検診を受けるために何と開胸手術をしなければならないといったような現実、そういったところと、患者の、被害者の皆様方のそういった心情なども勘案するようなことは十分やっていかなくてはならないのではないかと、このように思っておりますが、いずれにいたしましても、この新法を進める際には何らかの基準がなければ、やはり、私はそう思うんだけれどもだけではなかなか進めていくことはできないかと思っております。
  概念的ということでございましたので、お答えさせていただきました。

○>足立信也君 私はだから、基準が必要だって言っているんですよ。そこを決めるのが物事のスタートだって言っているんですよ。
  端的にお伺いします。アスベストによって健康被害を受けた方の中で新法では救済されない方というのはいるという認識ですね。

○国務大臣(小池百合子君) 何らかの基準に当てはまる方々を救済していくということでございますので、今逆説的にお答えいたしました。

○足立信也君 これは政令で定めることになっております。
  大臣にお伺いしますが、法施行前に政令で、つまり閣議決定で指定疾病を定める予定はありますか。

○委員長(福山哲郎君) 滝澤環境保健部長。

○足立信也君 閣議決定の内容を大臣が答えた方がよろしいんじゃないですか。

○国務大臣(小池百合子君) これからの審議を経ました上での決定ということになろうかと思います。

○足立信也君 どういう結論になるか分からないにしても、法施行前に、つまり今年度中に政令が出て新たな指定疾病が加わる可能性があるというお答えでよろしいでしょうか。

○国務大臣(小池百合子君) 今、その昨日の検討会、そして中央環境審議会、こういった御議論を踏まえて決定されるということでございます。

○足立信也君 次に行きます。
  先ほど法整備が必要なんじゃないかと言いました。五項目ほど挙げました。一つ一つ行きたいんですが、全部は行けないかもしれません。
  現在、全国百四十の地域、三百六十地点で緊急大気濃度調査をしています。この中には、四十二のアスベスト飛散が懸念される地域、尼崎を始めとするアスベスト被害が発生した三つの地域、そして二十の解体現場が含まれています。
  既に百以上の地域で採取、サンプルの採取が終わっています。私は終わっているだけでも結果を教えてほしいと言いましたが、教えてくれませんでした。三月中に結果を公表するということです。もし仮に境界基準なんかと照らし合わせて異常があった場合、この大気濃度調査、モニタリングを今後、十八年度は予算設定しておりますが、その後継続する予定はありますか。
  もう一つ。先ほどから話が出ておりますが、私の昨年の委員会の質問で、過去の輸入量から考えると年間二千六百五十人、二〇一二年以降は出ていくだろうと。そして、二〇四〇年ぐらいまではその値が続くであろう、今後増加するのは間違いない。それから、建築物の解体、二〇一〇年ぐらいからどんどん進んでいくということを踏まえて、その濃度測定はいつごろまで必要になるだろうという、見通しで結構ですが、お答えください。

○国務大臣(小池百合子君) 今の二点の御質問、順番にお答えしたいと思います。
  まず、モニタリングでございますけれども、御指摘ありましたように、昨年来この石綿の問題が大きくクローズアップをされてきたということにかんがみまして、昨年秋からアスベスト緊急大気濃度調査を実施してまいりました。吹き付け石綿が多用されたのは昭和四十年代でございますので、その四十年代に建造された建築物が今後次々と建て替え時期を迎えるといったことなども勘案いたしまして、引き続きこの一般大気環境中の石綿濃度の把握をするというのは重要だと考えております。
  そういったことをベースといたしまして、環境省として来年度も引き続きこの調査を実施したいと考えておりまして、また、大気汚染防止法におきまして、大気の汚染状況の監視、都道府県知事が行うということにされておりますけれども、今後は自治体との連携の下でモニタリング、この充実に努めてまいりたいと考えております。ですから、引き続きこれらのことを行っていくということでございますけれども、やはり環境省の方で行う仕事の大きな一つがモニタリングでございますので、これは自治体の方に今役割が移っておりますけれども、連携を取っていきたいということが一点。
  それから、二件目の御質問でございますけれども、まず、住民の健康診断、健康管理ということが重要でございますけれども、厚生労働省が設置いたしました石綿に関する健康管理等専門会議というのがございます。そちらで検討が行われておりまして、この検討結果については厚生労働省と環境省とがその情報をシェアし、また連携をして対応するということといたしております。
  そして、この調査、環境省の調査研究事業として来年度から実施を予定をいたしておりますけれども、具体的な医学的検査の方法であるとか、どれぐらいの期間継続して調査をするのか、どれぐらいの調査期間が必要なのかというようなこと、内容につきましては、具体的なその柱については、今後専門家の方々の御意見なども聞きながら進めてまいりたいと考えております。

○足立信也君 引き続きやる必要があるという、そのことは私も賛成いたします。
  小さな政府、改革改革という中で、これ予算措置、法もない状況ですね。来年度は予算を付けてもらいたい。じゃ、再来年度あるいは十年後どうなっちゃうんだろう。このことについては、先ほど見通しの中でも相当長い期間これは必要だと、これはやっぱり法整備必要なんじゃないかと思います。
  そして、同様の趣旨で、先ほど住民健康相談の件をもう触れていただきましたけれども、例えば尼崎市や鳥栖市、先ほど私、多くの人が受診して要経過観察の人、話しました。この方々は、市の方は、今年の四月以降は政府が予算を組んで追跡すると、してくれるようになったと、良かったということをおっしゃっております。じゃ、来年以降どうなるのか、来年度以降どうなるのか。追跡、潜伏期が胸膜プラークまで、岡山労災病院の岸本先生の意見では二十年、中皮腫は三十八年、どこまで追跡してくれるのかな。これ、法整備が絶対に必要なんじゃないかなと私は思います。
  あわせて、もう言わせていただきますけれども、この大気濃度調査、住民健康相談、そして住民健康調査、これすべて絶対に法制化して予算が必要だと私思います。発生状況をやっぱりあまねく調べないと特別拠出金だって計算できないわけですね。そして、国民の健康管理をしっかりするためにアスベスト関連疾患の登録制度、これはもうどうしても必要。疾患がなくても暴露歴がある人だけは登録していくとか、それも、その方も登録していく。そのような全体としてそれこそ省庁の垣根を越えたような登録制度を設けていかないと、これは早期発見早期治療につながっていかないし、予防にもつながっていかないと、私はそのようにとらえます。
  もう簡潔でいいんですが、去年の小池大臣の発言でスリーSと言われて、ずっと売り文句のように言われているような気もしますが、スピーディー、シームレス、それでセキュアという話をしましたが、どうも最近の話はスピードスピードばかり言って、本当にすき間がなくなっているのかな。あるいは三番目の安全という、安心というのは全く触れられていない。これじゃ被害に遭った方は安心できない。スリーSと言っておきながら、もう一・五Sぐらいになってしまったと、その思いが非常に強いですね。
  最後に、ちょっとそのことについても実は大臣のお考えをお伺いしたかったんですが、ちょっと最後にこれだけはお伝えしておきたいことがございますので。
  皆様のところにも多くの患者さんあるいは家族の、遺族の方から手紙が届いていると思います。私、これだけはどうしてもお伝えしたかった。読みますね。私は労災によりアスベスト疾患に苦しむ患者の一人です。同時に、環境暴露の被害者からすれば加害者側の一人です。被害者であり加害者でもある私は、環境暴露によって苦しんでおられる方々の救済を是非お願いしたい。被害者でありながら加害者の一人だと、そういう二重の苦労、苦悩にさいなまれる人がいるんですね。これは、制度のすき間はなるほど防げたかもしれない、しかし漏れなくにはなっていない、このことを是非訴えて、私の質問を終わります。

060203環境委員会会議録より
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