国会会議録
 

平成17年3月31日- - 厚生労働委員会


○足立信也君 民主党・新緑風会の足立信也でございます。
 先週の本会議質問で、特に国保の問題でしたので、そこでやはり医療とは何だと、医療における裁量とは何だと、そしてその中で三位一体というのはどういうふうに考えるんだということを、私の思いを伝えさせていただきました。
 それに対して党の中からは、質問に比べて答弁がお粗末だという意見もございます。そしてまた、大臣本人から、言葉足らずであったので委員会の席できちんと議論をしてくださいということを伺いました。本日はもちろんもっと突っ込んだ議論をしようと思っておりますが、今審議されている法案の中で、もう一つ介護保険施行法の改正案というのがございます。この点、この法案についてはなかなかデリケートな部分があって触れられない部分が多いと思いますので、私はその法案に対してまず質問したいと思います。
 これは何が問題になっているかというと、措置入所ですね。措置入所というのを考えた場合に、特別養護老人ホームと、それから養護老人ホーム、市町村にとって二か所措置入所したわけですね。保険の管轄としては、特別養護老人ホームが介護保険で養護老人ホームが老人福祉法、そういう違いがあるわけですけれども、条件を見ると、六十五歳以上で身体上若しくは精神上又は環境上の理由、経済的理由とかいろいろあります。結局ほとんど同じなんですね。平たく言いますと、特別養護老人ホームが、介護が必要なんだけれども居宅では見られない人、養護老人ホームが、養護は必要なんだけれども居宅では見られない人、それぐらいの違いしかないわけです。
 実際それで、平成十二年の四月以前に措置入所になった方が両方の施設にいる。どちらも当然のことながら、五年間の時限でありましたから、もちろん養護老人ホームの方は要介護認定をしていったわけですね。養護老人ホームの方々も、これは介護三施設の話じゃないですよ、養護老人ホームの話です。養護老人ホームの方も年齢を重ねるにつれて要介護認定者が増えていった。これ同じような状況なわけです、比率の違いはありますけれどもね。その点について議論したいと思います。
 まず、今回の法改正について、なぜ同じような条件なのに特別養護老人ホームのことだけが殊更取り上げられて、そこに対する軽減措置というのを延長を図ろうとしているのかということがポイントです。まずその前提条件といいますか、前段階として特別養護老人ホームと養護老人ホームの、まず入所者、それから要介護認定者数ですね、それがどれぐらいの割合なのか。そしてもう一つ、その中で、生活保護、被保護者数がどれぐらいいるのかということを前提条件として教えてください。

○政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。
 特別養護老人ホームでございますが、入所者数、平成十五年十月一日現在三十四万一千二百七十二人になっております。特別養護老人ホームは要介護認定を受けた方でないと入れないということでございますので、例外がございます。旧措置入所者ということで、要支援非該当の方は五年間だけですが、今もうほとんど百人くらいになって、みんな行き先も決まっているということでございますので、理論的に言いますと、三十四万一千二百七十二人が建前としてはその要介護認定全部受けていると、こういうことでございます。
 生活保護の被保護者数につきましては、平成十五年十二月末現在、特別養護老人ホームで入っておられる方の被保護者数は一万二千六百九十八人でございます。
 養護老人ホームについて申し上げます。
 同じく平成十五年十月一日現在、養護老人ホームの入所者数は六万三千八百三十三人でございます。要介護認定の状況につきましては、養護老人ホームは、念のために、確認のために申し上げますが、介護保険の施設ではございません。要介護認定を受けておられる方は入所者の二一%でございまして、要支援の方が二・四、要介護の一、七・九、要介護二、五・〇、要介護三、二・六、要介護四、一・二、要介護五、〇・四という形になっております。
 それから、生活保護の被保護者数でございますが、養護老人ホームの方は措置入所でございまして、養護老人ホームに入りますと収入に応じた費用徴収が行われるということで、収入のない方には費用徴収が行われないと。生活保護は他法他施策優先になっておりますので、養護老人ホームに入っておられる方はそこで生活がなされていると考えまして、基本的には生活保護を受けている方はおられないと、こういう構造になっております。

○足立信也君 質問の通告の仕方が僕は悪かったのかもしれません。
 今何を比較しているかといいますと、旧措置入所者、同じような条件の措置入所であった人がその後要介護状態あるいは生活保護になっているか、その比較をしたかったので、僕の方からいいますと、旧措置入所者、これは時点の問題もありますが、去年の四月の時点で特別養護老人ホームは六万八千五百九十七、そのうち要介護認定者は六万八千四百五、ほぼ九九%ですね。それから、生活保護相当の収入の人が四万四千ですが、生活保護の認定を受けて被保護者になっている人は千人程度、これはその認識でよろしいかと思います。

○政府参考人(中村秀一君) はい、そのとおりでございます。失礼いたしました。

○足立信也君 それで、先ほどから問題にしているのは、措置入所者で要介護状態になった人、これは養護老人ホームには六万三千八百三十三人、さっきおっしゃいました。要介護認定になった人は、要支援を除くと一万九百十五人いるんですね。この方たちは介護を受ける権利はもちろんあるわけです、介護保険料を払っております。その方たちの介護の給付、これは、あるいはそれに対する特別養護老人ホームと同じような軽減措置ですね、これはどうなっているんですか。

○政府参考人(中村秀一君) 養護老人ホームにつきましては、介護保険をつくりますときに様々議論がございましたが、養護老人ホームにおいては生活支援が中心になされていると、その中で介護部分を取り出すことは非常に困難であると、こういうことから、養護老人ホームの方々は、御指摘のとおり、六十五歳以上の方でございますので介護保険料をお支払はしていただいておりますが、基本的には介護保険のサービスは受けれないと、そういう構造になっております。

○足立信也君 要点を言いますね。措置入所であった人が二つの施設に入っている。で、要介護者、どちらの方々も保険料、介護保険料は払っている。で、養護老人ホームの方は、要介護認定を受けている方は一万人以上いるんだけれども介護は受けられないという、端的に言うとそういうお答えだったわけですね。
 今回の施行法の一部改正で、更に五年間と区切っていたけれども、十月から食費の負担はありますが、延長しようと、でもまあ食費の負担があると。先ほど、措置費という形で全額見ているからこれはいいんじゃないかと。それは介護もその中に含めているという意味でおっしゃっているんだと思いますが、単純に比較した場合に、養護老人ホームと特別養護老人ホームに入っている方で随分差があるという印象をだれもが抱くと思うんです。この差はどうして出てきたんですか。

○政府参考人(中村秀一君) 申し上げました経過でございますが、介護保険制度をつくるときに、介護施設としてどういう施設があるか、その他の制度としてどういう施設があるか、そういうことの整理をいたしました。現行の介護保険制度は、老人福祉法に基づく特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設を介護保険施設にしたわけでございます。今施行法で問題になっておりますのは、その特別養護老人ホームを介護保険施設にしたときに伴う利用者負担の変更があったと。旧措置制度のときの利用者負担と介護保険の一割負担との間にギャップが出るので、そこのところの負担軽減の特例措置を講じた世界になっております。
 養護老人ホームは介護保険の制度に入りませんで、措置制度として、老人福祉法の措置制度として残っておりまして、この老人福祉法の措置施設と介護保険の適用関係の問題になったわけでございますが、介護保険つくったときには、介護サービスについては、措置費の中で生活支援サービスの中に軽度の方の介護の部分は入っているんではないかと、その部分は措置費で見ているので介護保険サービスの適用はしないと、そういうことで整理されて今日に至っているということでございます。

○足立信也君 分かりにくかったと思うんですが、私なりに整理しますと、介護保険料は払っていると、でも施設が違うから介護は受けられない。だとしたらですね、ヘルパーさんあるいは介護福祉士の方でも訪問していただいて介護を受けてもらう、あるいは通所、デイサービスでも通って介護を利用すると、そういったことは当然可能じゃないかと思うんですね。なぜ、保険料を払っていて、当然の権利として介護の給付受ける権利があるのにそれが可能にできなかったのか、今まで。この点についてはどうですか。

○政府参考人(中村秀一君) 繰り返しのお答えで恐縮ですが、介護保険法をつくりましたときの整理として、養護老人ホームにおきましては、養護老人ホームにおきましては、施設の機能といたしまして、生活指導などのサービスとともに生活援助サービスを提供している部分があり、その生活援助サービスは、施設サービスの中で一体的に措置費により提供されておりますので、養護老人ホームの入所者は在宅給付の対象としないという整理が行われたところでございます。

○足立信也君 まあ、そうなんですね。だから、介護の専門の方も配置はされているわけじゃないし、軽いからこれはそこにいる職員でできるだろう、そういういい加減なことですよね。
 で、言わしていただきますと、先ほど介護保険法の施行のときから、ときにという話がさんざん出てきますので言いますが、衆参両院とも附帯決議で、「法施行後における養護老人ホームの在り方については所要の検討を行う」という附帯決議になっています。この五年間、どういう検討をしてきて、どうしようとしているんですか。

○政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。
 今委員から御指摘がございましたとおり、平成九年十二月二日の参議院の厚生労働委員会あるいは平成九年五月二十一日の衆議院の厚生、当時、厚生委員会でございました、厚生委員会でそれぞれ、「法施行後における養護老人ホームの在り方については所要の検討を行うこと。」と、こういう整理がなされました。
 介護保険法の見直しを検討してまいりました社会保障審議会介護保険部会の昨年七月の報告でも、現行は介護保険の対象となっていない養護老人ホームにつきましても、介護保険制度、もう保険料が払っているという御指摘もありますので、関係どうするかについて検討を進めて、早急に結論を得るべきだという御指摘いただきましたので、その後も私ども検討会で検討を重ねまして、昨年十月結論を得ました。
 一つは、措置施設としての性格を維持すると、養護老人ホームは。しかし入所者の重度化に伴う介護ニーズに対しては外部の介護保険サービスの利用を認めるということで、今委員から御指摘のあった割り切れない感じがするというところについては解消をすると。それから、いろいろ地域の実態を見ますと、入所者の方々の実態などの中でも、契約施設であるケアハウスに転換するという道も開くということで、養護老人ホームがケアハウスになること、そうしますと、介護型のケアハウスになりますと、介護保険でサービスの、介護保険上の特定施設になることも認められますので、更に介護ニーズにこたえられることになります。
 それから、一つの養護老人ホームの中で措置施設と契約施設の二部門を有する施設への転換も認めると、こういう方針を出しまして、今回の改正の中で、これらの点につきまして対応できるような法改正を提案しているところでございます。

○足立信也君 検討会を持って、それから検討、で、今回の改正でという話ですので、これからは考え方ということで尾辻大臣に伺いたいと思います。
 今のお話で流れは十分御理解いただけたと思うんですね。今回の施行法の一部改正、五年間延長するということではあるんですけれども、それは、衆議院の委員会の議事録を読んでおりますと、データを出しながら、五年間延長することによってほとんどの方が亡くなるであろうというニュアンスが非常に強いんですね。でも、介護する側の人間あるいは介護されている側の人間からいいますと、措置で入所していても、中には元気になって家に帰りたいと思っている人は必ずいるんですよ。亡くなっていくことが前提の話ではないんですね。介護する側の人間も、少しでも良くして家に帰してあげたいと、それが現場の気持ちなんですよ。それが全然感じられないですね。それが、措置入所になった二つの施設で対応が全然違ってきているということに僕は表れていると思うんですよ。
 厚生労働省が自慢の、自信を持ってつくった介護保険制度ですね。これはやっぱり社会保険の在り方をそのまま表している。だとしたら、生活保護が必要な人にはちゃんと生活保護を与えて、そして介護保険料きちんと払う、その払っている人たちにはきちんとした介護の給付を与えるんだと、これが当たり前の感覚だと思うんですね。
 そして、最後になります、もうおなかすいている方も多いと思いますので。
今の検討段階で、これからやるということなんですが、大臣に、養護老人ホームに措置で入っている方々、この方々にどうやったら介護を正当な権利として受けることができるのかと、これを是非考えていただきたいし、そう実行してもらうしかないと思います。(発言する者あり)そういうことになるんですよ。ただ取りになるんですね、やっぱり。
 是非、この点についてお考えですね、できれば、介護保険法の改正はどうなるか分からないという結論を言ってしまうとどうしようもないですけれども、これは別の話ですよ。これはただ取りになっているんだと思うんですね。そこを是非、今後どうするか、いつまでにどうするか、その点をお答えください。

○国務大臣(尾辻秀久君) 今お話しいただいておりましたことは、これは附帯決議にもございますように、介護保険法を作ったときからの課題でございまして、そしてそれが、その間五年たったわけでありますから、御指摘いただきましたように、五年間何していたんだということはございます。
 ただ、そうしたことの経緯はございますけれども、先ほど局長からもお答えいたしましたように、今後の在り方として、入所者の重度化に伴う介護ニーズに対しては外部の介護保険サービスの利用を認める、こういうことで今回の改正をお願いいたしておりますから、このことによって今後は解決される問題だというふうに考えております。

○委員長(岸宏一君) じゃ、いいですね。

○足立信也君 時間ですので。
 もうだれもが疑問に思うことなんですが、措置で入った人たちの軽減措置はそこでちゃんと、きちんとやるのかという話も出てきますし、まだまだ今後に続く課題だと思います。
 ですが、一回中断して、午後にまた回したいと思います。

○委員長(岸宏一君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会

○委員長(岸宏一君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。

○委員長(岸宏一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案及び介護保険法施行法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に鈴木厚生労働大臣官房長を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

○委員長(岸宏一君) 休憩前に引き続き、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案及び介護保険法施行法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○足立信也君 午前の終わりに、自分自身ちょっといささか不穏当な言葉かなと、あるいは自分にそぐわないという気がしまして、ちょっと本意が伝わっていないような気がしますので、一言だけ言わせていただきます。
 それは、ただ取り、ただ払いという発言なんですけれども、私はそれに対しては、生活保護費、実は特養に生活保護相当者が四万四千人いて、でも生活保護の被保護者になっているのは千人程度しかいないんだという事実。でもそれに対しては、措置費として介護の分も居住の分も食費の分も全部面倒見てあげてるんだというような発言を中村局長がしなかったのは正しいと思いますし、そういう発言すべきじゃないと実は思っておりまして、でも、それはやはり依存と分配の政治そのものなんですね。
 私の言いたかった本意は、生活保護の受給権のある人はやっぱりきちんとそれをもらって、そして保険料、介護保険料をきちんと払って、そして自分の当然の権利として介護を受けるんだということが自立した社会であって地方分権なんだと、そのことを伝えたかったのが私の本意です。
 その流れで、本会議の質問に対する答弁でちょっと不十分と思われる点について、特に国保について順を追って質問したいと思います。
 都道府県等の健康増進計画及び医療計画、介護保険の計画に対して、国に今度新たにできました財政調整交付金、これ、このことが県の計画にどのように反映させられるんかという質問をいたしました。それに対しまして答弁は、医療費適正化をしてもらいたいということがございました。
 当然、国保は無職者の占める割合がもう五割超えて五一%、当然老人加入率も高くて、保険に関係なく、政管健保も組合健保も全部含めて、年齢が高くなればなるほど医療費は高くなると、この現実はもう間違いなくあるわけですね。ですから、国保の部分が一番老人医療費という問題に関しては苦しい状況になっているという認識はもう間違いなくあると思います。
 その中で、国保の部分に県の、裁量とおっしゃるんですが、裁量じゃないと私は思いますが、県の財政調整交付金を持ってくること、そしてそれが医療費の適正化をしてもらいたいというその論法からいくと、医療費の適正化というのは一体どういうふうに考えているのか。それは、医療費を抑制してくれと、県が率先して抑制してくれということですか。そのことをまず確認したいと思います。

○国務大臣(尾辻秀久君) 医療費の適正化という言葉でございますけれども、これは単に医療費の量的な縮減という側面だけではございません。良質かつ効率的な医療サービスの提供を通じて、正に医療費を適正なものにするという意味で医療費の適正化という言葉を使っておるところでございます。

○足立信也君 これは医師会の方からなども盛んに言われていることだと思うんですが、社会保障費が二〇〇四年度、国民所得に対して二三・五%だと、そのままいくと二十年後には二九%になるんだと、特に医療と介護が増えていくんだ、これを抑えなきゃいけないという、それを金科玉条のように言われるわけですね。
 ところが、国際比較をしてみると、仮にそのままいって二九%になっても、二九%という値がどうなのかと。それより低いのはイギリスぐらいしかなくて、それも二七%ちょっとで、ブレア首相は医療費を一・五倍にしようという方針も立てているわけですね。となると、仮にそのままいって二九%になっても、先進諸国といいますか、OECDの中でやっぱり一番低いという認識はきちんと持ってもらいたい。
 でも、でも私は医療者ですから、我々が目指すのは、だから抑制していくんではなくて医療の質を変えていくんだという思いです。質を変えることによって、決して二十年後に二九%にはしないと、その思いが強くあるということをまず、そして日本の医療が進むべき道はそれしかないんだということを是非肝に銘じていただきたいと、そのように思います。
 そして、国と都道府県の(「同意見」と呼ぶ者あり)ありがとうございます、国と都道府県の財政調整交付金、これをもう盛んに委員会のたびに議論になっております。一体どういう役割分担をするのかと。これに対しては、答弁は、国は医療費や所得格差等を全国レベルで調整する、それで県は都道府県内の、あっ、地方はですね、都道府県内の格差を調整するんだと。言葉で言えばそうかもしれませんけれども、やっぱり全く理解できないんです。
 ですから、まず根拠として、財政調整交付金、これはいつ交付されるんですか。国は僕は概算払いが十一月で年度末に最終的な交付があるという認識ではおりますが、県の場合、県が市町村に交付する場合、それは一体いつを考えているんですか。

○政府参考人(水田邦雄君) 国の財政調整交付金の交付につきましては、先生ただいま御指摘のとおり、毎年第三・四半期、十一月ごろに前年度の交付実績の三分の一相当額を概算払いとして交付をいたしまして、最終的には年度末に交付額を確定しているという流れになっているわけでございます。
 今御質問のありました都道府県の財政調整交付金の交付をどうするかということでございますけれども、これにつきましては、都道府県がやはり県内市町村の意見を踏まえつつ決めていただくものという根本的な性格ございます。
 私どもとしては、市町村の資金が不足しないように、また調整交付金の交付事務等の面で市町村に混乱が生じないように決めていただきたいと、このように考えてございます。

○足立信也君 交付時期も含めて都道府県が決めてもらいたいという回答、答弁だったと思いますけれども、国が平準化するために各市町村に財政調整交付金を配る、そして都道府県は都道府県の裁量でそこに財政調整を加えてほしいと。これは、国からも調整が加わってある金額が渡っている、それに加えて県で裁量を発揮してほしいという論法に聞こえるわけですね。
 でも実際は、都道府県の財政調整交付金がいつ配付、交付されるのか全く分からないわけですね。そうすると、県が裁量を持って、都道府県が裁量を持って国保における県の役割を大きくする、そういうことになりますか、交付のタイミングを考えて。やっぱりそれは私ならないと思いますし、例えば国保の収納率が低い場合、財政調整交付金、これ国のですね、減額措置がありますね、三割以上。これペナルティーですよ。でも、それでは市町村がやっていけない。じゃ、県としてはそこは厚く交付しようと。国の意向と合わないわけですね。国がペナルティーだってやっていることに関しては、県としてはそれは平準化してあげないとかわいそうだという思いがあるわけですね。となった場合に、全く相反する方向に行く可能性の方がはるかに多いわけですよ。
 そもそも、財政調整を行う機能が二つもあるということ自体が、当然違った基準、違った概念で交付すると思うわけで、その国と県の関係というのをもう一度お聞かせ願いたいんですよ。どっちが財政調整の裁量を持っているのかと。それはやっぱり交付されるタイミングに大きく影響されると思いますし、国がペナルティーを科しているようなところに、県としてそれは手厚くしてあげないとかわいそうだということは許されるんですか。そう考えているんですか。その点をお聞かせください。

○政府参考人(水田邦雄君) なかなかきちんとした形で現段階ではお答えできないのが残念なんでありますけれども、ただ、これは今回のこの都道府県の財政調整交付金という性格からして、なかなか国としてすべてを説明するということができるものではないということはまず御理解賜りたいと思います。
 先ほどの、その配り、配分時期についてどうするか。これは、安定的にこの事業をするという意味からは今までどおりの形でしていただいた方がいいなという願望はございます。ただ、そこのところは私どもが決めることではなくて、やはりそこは県の方でよくよく市町村の意見を聞いていただいた上で決せられるべきものと考えております。
 それからもう一つ、その大きな流れといたしましては、県の役割の拡大ということの中身でございますけれども、再三申し上げているように、私どもとしては、国保におきます広域化、運営の広域化でありますとか医療費の適正化、そういった方向に向けての市町村の努力というものを例えば評価するということも、私どもとしてはそういう願望というものは持っております。ただ、それにつきまして決定的なことを申し上げるには、やはり都道府県と、知事会ないし市長会、市町村会、総務省と共同してガイドラインを作った上でお示しをすると、こういう手順になろうかと思います。

○足立信也君 大臣に、じゃお伺いします。
 先ほどのペナルティーの話も含めて、国の考える財政調整の意向と都道府県が独自に考えた対市町村に対する財政調整の在り方が全く違った事態になった。国としては、これは都道府県に対して指導が行くんですか。あるいは、なぜそういう反した行動を取るのかという説明を求めることになるんでしょうか。

○国務大臣(尾辻秀久君) そうしたことがありますから、まずガイドラインで大きく考え方をお示しする、そして都道府県は、またそのガイドラインに沿ってといいますか、ガイドライン見ながら県の条例、都道府県の条例で定めていただく。そうした過程がありますから、その中でお決めいただければ、申し上げておりますように、ガイドラインに法的拘束力があるわけでも何でもありませんから、基本的には県の条例がしっかりした定めですし、それに基づいて交付される。このことについてだれも、そのこと自体にとやかくは言えない、こういうことになります。

○足立信也君 とやかくは言わないということだったと思います。
 だとしたら、私の質問の中で、当然、これはどちらも財政調整交付金でありますから、国も都道府県も不確実ですよ。不確実な財源。これはもうお認めいただけると思うんですね。市町村の財源が不足する可能性が高い、そうした場合はどうするんですかという質問に対して、急激な変化がないように県に見てもらいたいんだという答弁、急激な変化がないようにです。水田局長の衆議院での答弁でも、これ当然、不交付団体、不交付自治体ございますね、これに対しては国からの財政調整交付金は出ない。都道府県からも出ない可能性があるのかという質問に対して、それはあり得ると。つまり、先ほど言いましたけれども、二重の不確定要因で、県の財政が底をついたからやっぱり出せないんだよということもあるわけですね。
 そうすると、最低限確保されているのは、定率国庫負担が四〇%から三四%に減った、その三四%分しかないわけですね、確実なのは。で、大臣が、急激な変化がないように県に見てもらいたい。これは、市町村としては不確実な要素が増えて、確実なのは六%減ったんだと。急激な変化がないようにするためにはどうしたらいいか。できるだけ四〇%に近付けてもらいたいという、それしか結論はないんですよね。そういう使い方を、もちろんこれは県の裁量になるわけですからそういう使い方もしていいよという答えになるんだと思うんですが、やはり市町村にとって大事なことは、安定した財源としては四〇%に非常に近い、あるいは四〇%のものをちゃんと確保してほしいということと、先ほどからの議論で、これ堂々巡りになるんでもうこれ以上は財政調整のことはちょっと言いたくはないんですけれども、やはり調整するのは一か所ですよ。裁量を持ってそこに調整を加えると。僕は、これから先、医療制度改革ありますけれども、その財政調整の機能に関しては僕は都道府県が持ってもいいと思っているんです。でも、それが一か所であるべきだと思うんですね。
 その考え方に対しては、御意見いかがでしょうか。

○国務大臣(尾辻秀久君) 都道府県間の格差というのもあります。都道府県間の格差があります。そこの部分を見ながら国が全国調整をするという面と、やはり都道府県が、あくまでも都道府県内だけのことで市町村の調整をするという、これは両面あってもいいのではないかと私は思っております。

○足立信也君 財政調整交付金の交付先は市町村ですよね、全国の市町村、数は減って二千足らずになるかもしれませんが。平準化を目指して国は財政調整交付金を交付する予定ですよね。それが、今の答弁は、やはり都道府県の格差をまず国があたかもやるような答弁なんですが、交付先、受け取る先はいつも市町村であって、そこに二重の裁量が加わっているから話がややこしくなる、おかしくなる、見えない。そのことを僕は言っているわけですね。
 ですから、先ほどの答弁は本会議での答弁とほとんど同じ内容でしたが、やっぱりそれは間違っているんじゃないかと私は思うんですけれども、どうでしょうか。

○政府参考人(水田邦雄君) 若干補足をさせていただきますと、ただいま、その都道府県の格差自体を都道府県が調整することは、これはできないわけでありまして、国の役割というのは残ると。現に、知事会におきましても、アンケートに答えて三十の県が国の調整を残してほしいと、こう言われているという事実はございます。

○足立信也君 今あえて局長が代わりに答弁されたんですけれども、でも、大臣は多分お分かりになっていると思うんです。交付先は市町村なんですよ。それが都道府県の格差を是正するんだ、あるいは平準化するんだということにはならないわけですよね。そこを聞いているんですけれども。先ほどお手を挙げられたので。

○政府参考人(水田邦雄君) どういうふうに申し上げたら分かっていただけるかなんですけれども、確かに国の調整交付金も市町村に行くわけでありますけれども、先ほど私が答弁いたしましたのは、都道府県間の格差を都道府県の調整交付金で調整することはできないということを繰り返しになりますが申し上げているわけでございます。
 ある一つの県が、その当該県の中の市町村間の是正はできますけれども。それじゃ、東京と沖縄の調整を東京ができるのかということでございます。

○足立信也君 それでは、国の財政調整交付金の目的は都道府県の格差をなくすことなんですね。

○政府参考人(水田邦雄君) 繰り返しになりますけれども、私は都道府県が都道府県間の調整をできないという一点を申し上げているんで、国は、そういう都道府県間の格差の要素も含めて、市町村に対する、例えばほかの要素もございます、所得調整だけでなくてほかの様々な要素もございますので、市町村に対して調整をしているということでございます。

○足立信也君 解決の方向には向かわないと思うので、なんですが、まるでA県の市町村全部がB県の市町村全部よりも高い医療費になっている、あるいは財源が不足している、どちらか。まるでA県全体が同じような、全体として同じような格差がまずあって、そこのことを話しているような気がしてならないんですよ。A県の中には高いところ低いところ全部あって、B県の中でも混在しているわけですよ。その中で一回平準化しようと国が言っているわけですね。それは都道府県の格差調整ではないじゃないですか、対象は市町村なんですから。
 都道府県が都道府県の格差調整できるわけないというのは、それはだれが考えても当たり前ですよ。でも、市町村に対する格差是正を考えているわけですから、先ほども、繰り返しになりますが、その県に属している市町村がすべて同じ傾向にあるわけじゃないわけですよね。そこを聞いているんです。

○政府参考人(水田邦雄君) これも実態に即して申しますと、例えば沖縄県という例を先ほど申しましたけれども、所得面でおきまして、実際問題といたしまして総体として、もちろん沖縄県の中での市町村様々ございますけれども、総体として見ますと例えば東京に比べて低い水準にあるわけでありまして、その部分の調整というのは、都道府県間と申しましたのは、それぞれの市町村を取り上げても全体として見たときにかなりの差異があるということを申し上げたわけでございます。

○足立信也君 何か市町村それぞれの交付の話が、市町村全体を見てという訳も分からないところに行ってしまったような気が僕はします。もう堂々巡りだと思いますので、次に行きます。
 医療における地方自治体の裁量についての私の質問で、答弁は、国保の基盤、体力の強化が図られ市町村の保険者機能が強まる、地域の実情に応じた保健事業などの展開が可能になるという答弁です。保険者でもない県が国保の財政調整を行うことが、どうしてほかの組合健保、政管健保あるいは共済保険の県民の、県民のですよ、健康増進計画や医療計画に裁量を発揮できるんですか。国保の財政調整交付金に対する県の、県の財政調整交付金ができたことが、県民全体のいろんな保険に加入している人たちの健康増進計画、裁量を発揮することにどうしてつながっていくんですか。それを教えてください。

○国務大臣(尾辻秀久君) 先日の本会議で、地域の実情に応じた保健事業などの展開が可能になると、こういうふうに申し上げました。具体的にそれどういう中身だと、こういうことでございます。
 まず一点目は、都道府県の財政調整を通じて国保の広域化が図られ、そして国保の運営体制が強化される、要するに国保の運営体制が強化されるということになるのでと、こういうことであります。なれば、保険者たる市町村が地域の実情に応じ、被保険者に対する保健指導等の保健事業を充実させることが可能になる、こういうことでございます。これがまず一点目であります。
 それから二点目は、医療費に地域差がある中で、健康増進計画、医療計画等の作成主体であります都道府県、これはもう都道府県がこうした計画は作るものでありますから、その都道府県が市町村の保健事業等の取組を考慮しつつ財政調整を行うことで、これまた保険者たる市町村が都道府県の方針に沿った形で地域の実情に応じた保健事業等をより積極的に展開することが可能になるというふうに考えておるところであります。

○足立信也君 あたかも市町村がすべての保険の保険者であるような錯覚を覚えます。だとしたら、県の、都道府県の財政調整交付金を国保以外の、国保の財源以外に使うことは認めるんですか。

○国務大臣(尾辻秀久君) 調整交付金は国保の財政を調整することを目的としておりますから、国保財政と関連しないものに対して交付することはできません。

○足立信也君 だとしたら、国保の加入者、まあ四割弱、そこに対する財政調整の機能を持っている、それによって県民全体の医療計画、それをやっていけるんだという説明と僕は合わないとどうしても思うんですね。
 で、私なりの国保に対するまず問題点の解決の仕方からじゃお話ししたいと思います。
 何といっても、国保の保険料、保険税、どちらの言い方もいいんでしょうが、ことなんですけれども、端的に言いますと、政管健保、それから組合健保に比べて、上限ですね、負担の上限、その上限の設定が五十三万円と定額になっている。ほかの保険は保険料率で決まっていると。具体的に言いますと、大体課税対象、所得ですね、所得に換算すると四百万ぐらいで、収入に換算すると七百万、そういったところでもう上限に達しているわけですね。それ以上の人たちはすべて上限の支払で済んでいるわけですね。上限限度を払っている人の割合が五・四%。で、政管健保は、これは先ほど言いました保険料率でいきますから、収入が約千五百万、千五百万まで行くと上限となって、これが大体年間六十五万。十二万円の差があるわけです。そして、政管健保のその上限を払っている世帯の割合が一・七%、組合健保が一・三%です。上限を払っている人の割合が国保は四倍あるいは四倍以上になるんですね。
 そして、現実の問題として、どうしても中間層、所得の中間層が負担が非常に多いという現状、現実の問題が生じてきているもう一つの原因として、これは所得の低い国保の世帯に対しては軽減措置を行っている。ですから、収入の少ない方に対しては、それで、軽減措置によって本来得られるはずの保険料、保険税が少なくなっているわけですね。
 そこで、ちょっと考える手段、材料として、その軽減措置を行っている世帯の数、それとその保険料額ですね。それから、上限措置によって、上限措置に掛かっているといいますか、その世帯はどれぐらいあって、そのままの率というか、保険料率の考え方でいった場合にどれぐらいの保険料が払われなくて済んでいるかという点について、ちょっと数を教えてください。

○政府参考人(水田邦雄君) 国保の保険料の軽減措置を行った世帯の、まずそれについてお答えしたいと思いますけれども、平成十四年度におきます保険基盤安定事業の実績によりますと、軽減世帯は七百六十七万世帯でございまして、一般世帯数に対する割合は三七%程度となってございます。また、保険料の軽減額の総額は三千億円でございます。
 それから二つ目に、上限額を超えた世帯の数の割合、それからその影響額ということでございますけれども、平成十四年度の国民健康保険実態調査によりますと、保険料賦課限度額を超える世帯数は百二十五万世帯でございまして、全世帯数に対する割合は五%程度となってございます。
 それから、この保険料の賦課限度額を超えているために実際には賦課されていない保険料額、これは具体的には制度を前提としなきゃいけないんでなかなか計算できないんですけれども、仮にその上限撤廃の効果額というものを機械的に計算をいたしますと、約一兆一千億円ということになろうかと思います。

○足立信也君 まあ単純に足してはいけないんですけれども、足すと一兆四千億円、上限と軽減を合わせると一兆四千億円という話になるわけですね。
 国保の、働き盛りの中間所得層といいますか、これはもちろん子育てにもお金は掛かる、介護も見ている部分がある、そういう世帯、四割弱のその中間所得世帯が保険料全体の七割を負担しているんですね。だからこそ収納率低くて延納、未納が多いわけですね。そこで、国民年金と同じように空洞化、あるいは破綻しているというわけですよ。
 片や、上限設定で、これ以上は幾ら所得があっても払わなくていいという方の数が四倍以上あると。その負担を中間層だけに強いている。ここをまず改めないといけないんじゃないか。先ほどの計算でいきますと、所得四百万以上は、四百万円の人であろうが一千万、二千万の人であろうが保険料の負担は五十三万で決まっているわけですね。これはどう考えてもおかしいことだと私は思います。
 先ほど、中間層へ負担を強いているんだと、それを解決するためには、軽減措置もありますけれども、その上限設定というものを考え直さなきゃいけないんじゃないかという提案に対しては、いかがでしょうか。

○国務大臣(尾辻秀久君) 医療保険でありますから、たくさん保険料を払えばたくさん返ってくるというものではない。したがって、上限を設けるというのは、これは考え方として当然だろうと思っております。ただ、その上限をどこで定めるかという議論でございます。
 そして、この国民健康保険というのは被保険者間の所得のばらつきが大きいものですから、大体一番上の上限のところで納める方の割合をどのぐらいにするかということでこうしたものを、上限額を今逆算して定めておるというのが今のやり方でありますけれども、そうした中で、大体国保の場合は五%ぐらいになるようにと、一番上限で納める方の割合が五%ぐらいになるようにというのを基準にして今額を出しておるわけでありますが、それが今五十三万になっている。それを、妥当なのかちょっと低いのかという、こうした御議論であります。
 そして、もうこの御議論というのはいろいろあることも私どもも承知をいたしておりますし、今の先生のような御意見もあるわけでございます。したがって、今、保険者が市町村でございますから、こうした保険料の賦課というのをどうするかというのは、市町村の御意見も踏まえながら今後の見直しが必要であろうというふうに考えるところであります。

○足立信也君 保険料の設定の仕方については本当に難しい計算式がございまして、その目標、上限額の目標が大体五%に設定しているんだと、それはおっしゃるとおりです。その設定が間違っていませんかということなんですね。それが政管健保、あるいは組合健保に比べるとはるかに多くの層がそこに該当してしまっているということを申し上げたかったんですね。
 今回の国民健康保険の、国から県への負担の転嫁というふうに私はとらえますけれども、やはり今できることから取り組んでこれを改善して、その次に医療制度全体の改革があるんだと、そういう考えで臨まないと、やはりこの国の将来を見通した正しい医療制度設定というのは僕はできないと思いますし、これから、秋、来年にかけて大いにそのことに関しては議論していきたい、そのように思っておりますので、今法案に対しては私は反対の立場で質問させていただきました。
 以上で終わります。

050331厚生労働委員会会議録より
このページのTOPに戻る

平成17年3月25日- - 参議院本会議


○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、意見を述べながら質問をいたします。
 冒頭、去る三月二十日、福岡県、佐賀県、そして大分県において、福岡県西方沖地震により被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 いわゆる三位一体の改革について振り返ります。
 二〇〇二年五月二十一日の経済財政諮問会議、租税収入と歳出における国と地方の逆転現象を是正する手段として、国税と地方税を一対一にするという提案は、税金の配分を見直すという観点から正しいと私は思います。しかし、そのことが財務省、総務省及び他の省庁の三方一両損であるという発想は、正に中央集権の構造疲労を象徴する発言であり、三方一両損という暗い言葉を三位一体という形而上的な言葉で置き換え、えたいの知れぬ、至上命題であるかのごとき錯覚を与えました。
 基本方針二〇〇三では、官から民へ、国から地方へ、国と地方の役割分担とうたいながら、専ら国の財政事情のため、地方経費を圧縮する方針が打ち出されました。さらに、自立、インディペンデンスを目指す社会だという言葉から、自律、自らを律するオートノミーだと言葉をすり替えていきました。
 基本方針二〇〇四では、地方が自らの支出を自らの権限、責任、財源で賄うと明言し、しかしながら地方の裁量は認めず、そこにあるのは負担の転嫁だけ。相変わらず依存と分配の政治手法を繰り返しています。これが国と地方の構造改革と言えるでしょうか。
 私の地元の大分には、JリーグJ1の大分トリニータがあります。一九九四年設立のトリニティー大分が前身です。トリニティー、日本語に訳せば三位一体です。県民、地元企業と行政が魂でつながっています。その三位一体という言葉を、ただ経済主義で負担を分配することに使い、主権も裁量も与えない。本来、政治の三位一体とは国と自治体と国民ではないでしょうか。
 麻生総務大臣にお聞きします。いわゆる三位一体の改革案で、地方自治体は一体どのような裁量を新たに得たと言えるでしょうか。また、総務大臣が自治体の長であった場合、この改革案を歓迎するでしょうか。御意見を伺います。
 国と地方の協議について伺います。
 平成十六年度の地方財政が、一兆三百億円の補助金削減に対し、税源移譲はわずか四千五百七億円、さらに、地方交付税が二兆八千六百三十二億円削減され、総額三兆四千四百二十五億円の減少でした。確かに、地方には裏切られたという思いが強く、だからこそ、地方は総理からの丸投げにも真正面から向き合いました。当然のことながら、再びだまされないために前提条件を付けました。確実な税源移譲、負担転嫁の排除、新たな類似補助金の創設禁止等、地方の意見を確実に反映することです。提出案には、生活保護、児童扶養手当など格差なく国による統一的な措置が望まれるもの、そして老人医療、国民健康保険、介護保険など制度全般の見直しの中で検討すべきものは税源移譲の対象にしないことが明記されています。
 八月二十四日の地方案の提出、最初は判を押していない改革案を出し、総理の約束を得た後、判をついたものと差し替えました。不退転の決意がうかがえます。政府案の提示後、十一月二十四日、最後の協議の場でも、約束を破られたという思いがにじみ出ております。
 総務大臣に再び質問いたします。総理が度々発言した真摯に受け止めるという言葉の意味を説明してください。
 厚生労働省の対案として、地方案は老人医療、国民健康保険、介護保険などの負担金に対して具体案を示さないのは基本的に問題であるという認識は一体どこからくるのでしょうか。地方六団体提案の四十七項目九千四百四十億円に対し、十三項目八百五十億円の税源移譲、本日の法案分では四項目五百九十億円です。そして、唐突に都道府県財政調整交付金などの導入による六千八百五十億円。尾辻大臣は、医療保険制度改革で国と地方が議論をしていた、そこへちょうど税源移譲の話が出てきた、だから一年前倒しで行う、そのように答弁されました。
 今後の予定では、税制改正の前に医療保険制度改正がある、制度があって税源移譲がある、これは正しい過程だと私は思います。しかし、システムを変更する前に負担を先に決め?るのは論外です。
 財政調整交付金は、収入額が不足する市町村に対し、その不足額を埋めることを目的としています。都道府県が住民のために立案する健康増進計画、医療計画に財政調整交付金をどのように反映させられるのか、尾辻厚生労働大臣の認識を伺います。
 財政調整交付金で国の裁量と都道府県の裁量が全く相反した場合、市町村に利益はあるでしょうか。国と都道府県の財政調整交付金における役割の違い、どのような役割分担を想定しておられるのか、具体的にお聞かせください。
 国の財政調整交付金の一%、定率国庫負担分の六%、そして保険基盤安定制度分の二分の一、これらは所得譲与税によって人口比で都道府県へ配分され、凸凹の部分は交付税でならされます。一〇%から一六%に増えた財政調整交付金が収入の不確実な部分であるということは、市町村の収入が不安定となり、不足した場合、市町村は更なる一般財源を投入、又は保険料を上げることになるのではないですか、大臣の見識を伺います。
 私の尊敬する宇沢弘文東大名誉教授は、医療は市民の人間的尊厳を守り、魂の自立を保ち、自由を最大限に確保するために基幹的な役割を果たす、安定的な社会を具現化するための社会の安定装置である、官が全部をコントロールするのではなく、市場原理で支配されるものでもないとおっしゃっております。医療と教育は社会的共通資本であり、社会にとって共通の財産である、そしてまた、経済が医療に合わせるべきであって、医療が経済に合わせるべきではないとも経済学者の彼はおっしゃいます。
 本当の保険者の機能とは、被保険者が健康な生活を送ることができ、万が一病気になったときは安心して医療機関に掛かることができる、そしてお金もそんなに掛からない、そのような状態をつくり出すことです。
 健康寿命が最も長く、老人医療費の最も低い長野県の取組は、生活習慣、居住環境を改める、保健師や医師がどんどん地域へ踏み込み健康教育活動を展開する、これは長野全県下の取組です。これこそが自治体の裁量というものではないでしょうか。県が財政調整を行うから裁量権があるのではありません。国保のトップである市町村長と住民、医師、保健師が一体となって健康というものを生きがいのための手段ととらえる、正に三位一体です。
 国と地方の財政調整交付金が不確実であるため、市町村の医療政策は受診抑制に働きます。早期胃がんと進行胃がんを比較した場合、早期胃がんの方が症状を訴える率が高いことを御存じですか。ささいなことでも気軽に受診することによって早期がんの発見率は高まり、早期の状態で発見できるほど治癒率は高くなり、入院期間も短縮され、医療費も抑制できるのです。
 受診しやすいということが安心感を生むという観点からは、小児や超高齢者の医療を立替払ではなく現物給付にしたい、これも医療における裁量です。しかしながら、財政調整交付金では償還払しかあり得ないのです。
 医療における地方自治体の裁量というものをどのようにとらえるか、改めて尾辻大臣に伺います。
 尾辻大臣は、社会保障について、補助金の廃止を多くし地方自治体の裁量に任せれば、一定水準のサービスを地域格差なく保障するという国の責任が果たせないと答弁しておられますが、その補助金政策こそが地域間格差を生んだのではないですか。そしてまた、新たに創設される地域介護・福祉空間整備等交付金、次世代育成支援対策交付金がともに使途が限定された交付金であり、依然として事業計画の採択に中央省庁の権限が完全に維持されています。これでは、より煩雑な手続や混乱を生むだけではありませんか。
 国が大きな方針を決め、地方が実態に合った運用をする。税源移譲を行えば、地方六団体が言うように膨大な事務処理は不要となるのではないですか。総務大臣に見解を伺います。
 あわせて、厚生労働大臣に、今回の二つの補助金の交付金化によって、国と地方の事務作業量はどの程度減ると考えているのか、伺います。
 平成十五年度の国民健康保険の経常収支は約四千億円の赤字です。国は将来更に負担増になると思われるものから地方に押し付け始めています。まず取り組むべきは、保険料負担額の上限を支払っている世帯の割合が五・四%と、政管健保一・七%、組合健保一・三%に比較して約四倍という実態を改めるべきだと思います。大臣の判断を伺います。
  基礎年金国庫負担二分の一の財源についてですが、三分の一から引き上げるのに二兆八千億円必要です。その財源のために、現下の経済情勢で、定率減税の縮小、廃止は行うべきではないと考えます。保険料も引き上げ、国庫負担二分の一を実現するために所得税も引き上げられるのでは、国民は負担に耐えられません。年金抜本的再改革の入口に立ったという認識に立てば、現在ある財源から他の予算の無駄を省くことにより、国庫負担二分の一を実現すべきであると思います。
 年金抜本的再改革の議論中にかかわらず、定率減税の縮小によって財源とする。このことを先行議決することの道義的責任をどう考えますか。大臣の見識を伺います。
 理念を間違えたいわゆる三位一体の改革、そして、方法、手段を間違えた国民健康保険への都道府県の負担の導入は、例えて言うなら、最近胃の調子がどうも良くない、食事の指導を受けたいと訪れた患者さんに、今、日本では大腸がんが急激に増えている、食事指導よりも大腸がんの予防のために大腸を全部摘出しましょうと言っているようなものです。──笑い事ではありません。大腸がんについては食生活も改めますし、ちゃんと定期検査も受けますから摘出の必要はないのではないですか、そう質問する患者さんに、それでも全部摘出すれば大腸がんの危険性はなくなるんです、百年安心の治療法ですと強制します。
 我々は、これを政治過誤と呼びます。医療過誤を起こした医師は資格を失うか業務を停止します。政治過誤を起こした責任の取り方を国民は知っております。その最もシンプルな方法が政権交代であるということを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕

○国務大臣(尾辻秀久君) 都道府県策定の健康増進計画等と今回の国保制度改正との関係についてお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、都道府県は、健康増進計画、医療計画、介護保険事業支援計画の策定権限を有しておりまして、これらと整合的な医療費適正化のための計画の策定等を進めていただきたいと考えております。また、都道府県調整交付金の配分に当たりまして、これらを踏まえた市町村国保における医療費適正化の取組を考慮することはあり得ると考えております。
 次に、国と都道府県の調整交付金の役割についてお尋ねがございました。
 調整交付金は、医療費や被保険者の所得の状況等の違いにより生じる市町村間の財政力の不均衡を調整することを目的として交付することといたしております。このうち、国が行う財政調整は、医療費や所得格差等を全国レベルで調整するものであります。これに対して、都道府県が行います財政調整は、国の調整を考慮しつつ、保険運営の広域化や医療費の適正化を促進させるという都道府県の役割も踏まえ、地域の実情に応じて都道府県内の格差を調整することが基本となるものでございます。
 今回の国保改革による市町村の国保財政への影響についてお尋ねがありました。
 今回の国保における財政スキームの見直しに当たっては、都道府県が県内市町村の意見を十分に踏まえ、市町村の国保財政に急激な影響が生じないよう調整を行っていただきたいと考えております。
 医療における地方自治体の裁量についてお尋ねがございました。
 今回の国保法改正により、国保の基盤、体力の強化が図られ、市町村の保険者機能が強化され、地域の実情に応じた保健事業などの展開が可能になると考えています。
 また、平成十八年の医療制度改革に向けて、都道府県が自主性、裁量性をより発揮し、地域の実情に応じた保健医療体制の整備が図られるよう、医療計画の見直しを進めてまいります。
 地域介護・福祉空間整備等交付金及び次世代育成支援対策交付金についてのお尋ねがございました。
 これらの交付金は、個別の施設ではなく計画全体に対して交付金を交付いたしますために、個々の施設の図面審査が不要になります。あるいはまた、計画に記載した事業の廃止等でなければ、計画の内容に変更があっても変更協議は不要となりますなど、国、地方とも事務の簡素化が図られるものと考えております。
 国民健康保険の保険料の上限額についてのお尋ねがございました。
 国保の保険料の?上限額の在り方につきましては、受益に比して負担が過度にならないものとするという上限額設定の考え方や、被保険者間の負担の公平性の確保という観点から、実際に保険料の賦課を行う市町村の意見も踏まえて、見直しが必要かどうか検討する必要があると考えております。
 最後に、基礎年金の国庫負担引上げについてのお尋ねがございました。
 今回の法律案では、昨年の年金改正法で示された道筋に沿いまして、安定した財源を確保しつつ、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げを着実に実現するため、定率減税の見直しによる増収分の一定額を引上げの財源に充てることとしておりまして、年金制度を将来にわたって持続可能なものとし、国民の信頼の確保につながるものと考えております。
 一方、少子高齢化が進展する中で、年金を始めとする社会保障全体については、税や保険料の負担と給付の在り方も含め一体的見直しを行う必要があります。年金制度の在り方につきましては、これと整合性を図りつつ見直しを図る必要があると考えておりまして、与野党間で早急に具体的な議論を開始していただきたいと考えておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

○国務大臣(麻生太郎君) 三位一体に関する評価についてのお尋ねがあっております。
 この改革により、様々な国庫補助負担金が一般財源化されたのは御存じのとおりです。
 これによりまして、いわゆる国の基準に縛られることなく、地域の実態に即した事業が期待できるようになりました。また、創意工夫というのも生かせますので、より効率的な事業執行が可能なものになると考えております。既に、公立保育所におきましては、これまで対象外でありましたいわゆる駅前の保育所などが実施できるようになるなど、その効果は、少しずつではありますけれども確実に出てきておると存じます。
 また、改革の全体像というものは、地方から提出をいただいたものに関して、その案を基に協議を重ねて取りまとめたものであります。その内容については地方から一定の評価もいただいておりますと、私どもは地方からの話から聞いております。
 最後に、もう一点、おまえが首長だったら同じようなことを考えたかという御質問でしたけれども、やったことがありませんので何とも分かりません。しかし、もし私が首長であっても同様の評価をしたものと存じます。
 次に、真摯に受け止めるという総理の発言についてのお尋ねがあっておりましたが、三位一体像の全体の取りまとめというものに関しては、地方に改革案の提出というものをお願いし、それを受けて総理から、地方からの改革案を真摯に受け止め、関係各大臣は、改革案の実現に向けて率先して、責任を持って全力で取り組み、平成十七年度予算に最大限生かしてもらいたいとの指示があっております。
 これを受けて取りまとめた全体像というものは、地方の改革案を一定程度反映されたものと考えておりまして、これをもって真摯に受け止めたものと理解をいたしております。
 税源移譲によりまして、事務量削減効果についてのお話があっております。
 国庫補助負担金にありましては、地方においては交付申請、実績報告、また変更手続など、膨大な事務手続が必要になっております。他方、国におきましては、審査、内示、また交付決定、検査などの事務を行っているのは御承知のとおりです。
 地方六団体が指摘しますように、一般財源化すればこれらの事務手続が不要になりますことから、地方の事務が大幅に効率化され、他方、国の事務の減量になるものと考えております。(拍手)

050325参議院会議録より
このページのTOPに戻る

平成17年3月15日- - 厚生労働委員会


○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
 党の中では三人目ですので、私は、尾辻大臣が所信でわずかしか触れられなかった厚生労働行政における日本と海外とのかかわり、これについて質問したいと思います。
 ですが、午後の冒頭、我が党の朝日先生から大変重い時代認識の話がございましたので、一言、言わさせていただきます。
 恐らく、ここにいらっしゃる方の中で私が直接当事者として一番多くの人の死を見てきたと、そのように思っております。今、日本人の死因のトップは悪性腫瘍、悪性新生物、その六割が消化器がん。私は消化器がんを専門に扱ってきた人間として数多くの死を見てきました。患者さんにとっては、自分が、私が人生の最後で頼れる人間になるかもしれないと、そういう思いで、私は目標として、その人の死、あるいは生きていけることに対して納得させてあげたいと、納得を持って迎えてもらいたいと、そのような思いでやってきました。私どもの大学では、医学部の一年生、入学して二か月間、尊厳死あるいは安楽死について十人のチュータリングという形で、十人の少人数で徹底的に討論をします。そういったことを受け止めて私はやっております。尊厳を持たせること、言い換えれば納得していただく、これがこれから先、少産多死の世界で大変大事なことだと私は思っております。
 では、日本と海外とのかかわりについて質問いたします。
 まず、三月三日まで行われました日本とタイとのFTA交渉におきまして、タイ式マッサージの受入れの可否が問われている問題についてお聞きします。
 この問題に関しては、法務省がリラクゼーションを目的とした就労に限って受け入れようとしていると、そういった報道がなされ、物議を醸しましたが、これに関しては、法務省に確認したところ、そのような事実はないと明確に否定しておりました。
 それでは、厚生労働省として、この問題に対しどのような考えで臨んでいるかという点と、先般行われましたFTA交渉において実際にどのような話合いが行われたか、この点について教えてください。

○国務大臣(尾辻秀久君) タイとのFTA交渉でございますけれども、タイ側から、タイ伝統マッサージ等の技能者等の受入れについて要望がなされているところでございます。
 あん摩マツサージ指圧師、はり、きゆう師等に関する法律におきまして、あん摩マッサージ指圧師の業務は、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持つ者のみが行えるものであるとされておりますから、日本で保健福祉の専門家として就労するというのであれば、そのためには日本の国家資格を取得していただくことが前提であるということを言っておるところでございます。さきのタイとの交渉におきましても、そのような私たちの基本的な考え方に沿って対応をしたところでございます。

○足立信也君 妥当なお答え、考え方だと思います。
 それでは、法務省から厚生労働省に対して、マッサージの定義や、いわゆるタイ式マッサージを行う者の資格について文書で質問が送られてきていると思いますが、それに対しどのように答えているか教えてください。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 日タイ経済連携協定交渉におけるタイ側の人の移動に関して、マッサージ関係の要望につきましては、いまだにその内容について確定的なものではないということで、引き続き私どもタイ側からの具体的な要望内容を見極める必要があると考えております。
 そのような回答を法務省に対して行っております。

○足立信也君 なぜこうきちんと回答できないのか。先ほどの交渉の経過とは大分話が違うような気がします。
 それは、やはり国内でも無資格者が横行している現状があると。それがやっぱり負い目になって、外国に対しても毅然とした態度が取れないんじゃないか、そういう気がします。
 タイ側に、実際に日本ではタイ式マッサージと称して国家資格を持っていない人が業としてやっていると、どうしてかと問われた場合には一体どう答えるんでしょう。
 あはき法において、あん摩マッサージ指圧は有資格者のみが行えることとなっております。外国人に対しても同様に対処するのは当然だと私は思います。
 しかし、岩尾医政局長は昨年のこの委員会で、マッサージの明確な定義がない、当該行為の具体的な態様から総合的に判断するんだと。そして、どのようにしたら免許取得者が保護されるのか、無資格者との区別ができるのかということはもう少し検討させてください、そのように答えられました。
 資料一を、お手元の資料一をごらんください。
 昨年十月に厚生労働省に対し提出された照会書です。ボディーリラクゼーションと称して行っている、全身を、これ二枚目にありますが、全身を手のひらあるいは指で押す、両手でわしづかみにする、そういった行為が書かれておりまして、これがマッサージに該当するかという問い合わせです。
 そして、それに対する回答が資料二です。何と今年の一月ですね、三か月後です。その内容は、先ほど申し上げた行為は、人体に危険を及ぼす危険があるから、あん摩マッサージ指圧に当たる。だから、資格を持っていない者が行ってはいけないというものです。
 そしてその後、一月後に逮捕されました。そして、一週間後に、二月二十一日の全国課長会議で昨年三月と全く同じ通知、つまり、あん摩マッサージ指圧は免許を持った者しか業として行ってはいけない、あん摩マッサージ指圧を行っていないのにマッサージと広告してはいけないと、昨年三月と全く同じ通知を出しております。
 なぜ回答に三か月も掛かるんでしょう。そしてまた、この一年、非常に問い合わせが多くて、寄せられているという状況の中で、あん摩マッサージ指圧に関して、この一年で一体何が変わったんでしょう。お答えください。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 昨年三月の全国医政関係主幹課長会議におきまして、各都道府県の主幹課長に対しては無資格者の取締り等について依頼をしております。各都道府県において個別の事例に応じて適宜対応していただいていると思っております。
 今年の二月の主幹課長会議でも同様の依頼を行っておりますので、特に当該の取締り等について方針が変わったということはございません。
 委員御指摘の照会文書でございますが、業者が行った行為がこうした無資格者の取締りの対象となる行為に該当するか否かという事実確認など、照会確認、照会内容に係る確認等の作業を行う必要があって三か月の期間を要したものでございます。
 疑義照会に関しては、可能な限り迅速な対応を心掛けておりますけれども、事実確認に当たりましては慎重な判断を要する必要な時間が掛かるものであると思っておりまして、御指摘を踏まえつつ、今後とも迅速な回答に心掛けてまいりたいと思っております。

○足立信也君 この照会書は、実際に警察署の方がそちらへ行って実際にその行為を受けて、そして、受けた行為がマッサージかと聞いているだけなんですね。
 それに三か月掛かるというのが私は納得できませんし、この問題は長年尾を引いていることですから、私の考えだけを述べさせて、この点に関しては終わりたいと思うんです。
 現状のままではタイに対しても日本政府の主張は説得力を持っていないと私は思います。それどころか、国内の無資格者にはマッサージを許して、外国人には許さない。となれば、国際的に不信を買うおそれがあります。もはや国内だけでなく、国際問題にも発展しかねないと私はとらえた方がいいと思います。早急に対処することを強く望みます。
 続きまして、最近急増しております日本国内での外国人の医療費未払の問題です。
 多くの外国人の方が医療機関を訪れております。当然無保険者が多く、不法就労の外国人も多いわけです。医療人としては、無保険者だから、あるいは不法就労だからという理由で診療を拒否することは許されません。世界人権宣言、国際人権規約、あるいは難民の地位に関する条約でも、合理的な理由などがない限り社会保障政策については外国人に対しても適用されるべきだとされております。
 御存じのように、病院の多くは今経営難で、無保険の外国人が受診した場合、昔は、収支に余りとんちゃくしない国立病院へ行けと、そのように言っておりました。ところが今は国立病院も独法化して、補助金をもらっている救命救急センターへ行きなさいと多くの病院が患者さんにそのように説得しております。あるいは極めて人道的に対処して医療行為を行い、その結果、未収入という事態を招く。この治療費はだれかが負担しなければいけないんです。この医療費未収問題に対処するために、救命救急センターにおいて必要な医療が提供できるよう財政処置が行われておりますが、未収金は確実に増えております。
 補助の仕組みについて、これは非常に複雑だと思うんですけれども、簡潔に分かりやすく、補助の仕組みについてお答えください。

○政府参考人(岩尾總一郎君) この救命救急センターで費用回収できない未収金につきましては、まず当該センターにおいて運営に係る収支が赤字であった場合、そして外国人の未収金に係る額について、国、都道府県、事業者がそれぞれ三分の一ずつ負担するという補助制度を創設して、地域の救急医療を支援しているということでございます。

○足立信也君 今のお答えでは、まず赤字であること、それから国と都道府県と事業者が三分の一ずつ負担するという、そういう回答でした。
 もう一つ重要なことは、一か月一件当たり三十万円を超えた部分のみ補助するということになっております。一か月一症例当たり三十万円を超えなければ対象にならない。一か月二十五万ずつ、二か月で五十万円掛かっても対象にはならない。一か月五十四万仮に掛かったとしても、三十万円を超える部分ですから、二十四万の三分の二、つまり十六万を半分ずつ国と都道府県が補助すると、そういうことになるわけですね。しかも、先ほどお答えにありましたように、大前提として、赤字経営じゃなければ補助しないということがあるわけです。さらに、事業者自身が三分の一を補助する、それは補助と言えますか。おかしいと私は思います。
 資料三をごらんください。最後の紙ですけれども、全国の救命救急センターが、この月末、二月月末ですかね、百七十六か所。補助を受けているのは大体百三十。そのうち外国人にかかわる未収金を補助している、補助を受けているのは十前後です。年度別に言いますと、十四年が十四施設、十五年が九、十六年度が十三施設、そのようになっております。例えば、私の勤務していた病院では、十五年度の未収金が四百二十万、それに対する補助が百二十万。十六年度が既に未収金九百十万になっております。
 施設運営そのものの補助であれば複雑な算定式があるわけですけれども、それとかあるいは経営努力を促す、そういった意味でそういう仕組みも必要だとは思います。でも、外国人の未収金の問題は全く別なものだと私は思うんですね。個々の病院の問題では決してないと。この制度は、不法滞在者を救命救急センターへ集める趣旨、そういう趣旨で作られています。そのような仕組みを作っておいて、センターそのものに自己負担を強いると、これはやっぱり制度として間違っているんじゃないかと私は思います。外国人の未収金に関しては、通常の運営費補助、それとはちょっと切り離して、医療行為に対して未収なわけですから、しかもそれを制度として救命救急センターに行うように、そういう取組をしているわけですから、大臣として、この外国人の未収金に関する見解はいかがでしょうか。

○国務大臣(尾辻秀久君) 重篤な緊急救急患者に対しまして二十四時間三百六十五日救命医療を行う救命救急センターでは、たとえそれが無保険者の外国人の場合であっても適切な医療を実施をしていただいております。お話のとおりであります。一方で、医療費に係る費用回収に困難を来しておることもまた事実であります。このために、外国人に係る救急医療に関しては、平成八年度より生命に直結するような緊急かつ重篤な疾病に対応している救命救急センターに対して補助をしておるところでございますが、当該補助制度は救命救急センターの運営の安定化に資するものとして設けられたものでございます。
 一方で、これを外国人に係る救急医療の費用に応じて補助をすることにした場合に、一つには不法就労しておる外国人の滞在を助長するおそれがありますし、また国民が保険料を支払って医療システム維持するという日本の医療保険制度を形骸化するおそれなどがありますので、これは慎重に検討すべき課題であると考えておるところでございます。
 なお、先ほど限度額三十万円とおっしゃいましたが、十七年度からこれを二十万円にする、引き下げることは予定をいたしております。

○足立信也君 保険制度については、やっぱり一定の期間保険へ加入できないような、そのような仕組みを作っているわけですね。ところが、先ほど重篤な救命救急のためにということをおっしゃられますが、実際上は、救急車で搬送される方よりも三倍以上の方が、やはりほかの病院では、これは補助が出ている病院に行きなさいよというふうにやられるわけですね。だから、実際はそこに集まってきていると、そのことをやっぱり認識していただきたいと、そのように思います。
 次は、日本へ入国する今度は動物の問題です。一昨年に改正されて今年の九月施行の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律についてです。
 この改正で創設された動物の輸入届出制度が今全国の基礎医学者、医学研究者の間で大変な問題になっています。簡単に申しますと、この制度は、哺乳類、鳥類などを始めすべて対象として、輸入の際には感染症にかかっていない旨を示した輸出国政府発行の証明書、輸出国政府発行の証明書の提出を義務付けるものです。感染症予防のためには大切な制度だと思いますが、実験動物の輸入に関しては問題が生じています。三月十二日の朝日新聞の夕刊にもう報道されましたけれども、原因の究明やあるいは治療法の開発、創薬、そういったことに対して動物実験は非常に重要です。そして、私も当然動物実験やっておりましたが、今や世界じゅうの最先端の研究者同士が、互いの研究に資するために、それぞれの研究成果を反映した、トランスジェニックマウスですね、を融通し合うことが普通行われています。そのとき重要なのはマウスをやり取りするスピードなんですね。マウスは三週間で、マウスというのはハツカネズミですね、三週間で出産します。そして、三週間で離乳が終わって、そのときから実験ができるようになるわけですね。実験に用いられます。このタイミングが重要なんですね。三週間しかないということなんです。この法律が施行されることによって輸入手続に時間が取られてしまうと、全国で行われている先端的医学研究が一斉に滞ってしまう、そういう危険性があるんです。
 厚生労働省としてこの問題にどのように対処しているか。これは昨年来、私も何度かこのままでは大変なことになるよという話はしておりますので、対処されていると思いますが、九月の法施行時までにどのようなスケジュールで臨んでいるか、教えてください。

○政府参考人(田中慶司君) 御指摘の制度でございますけれども、感染症を人に感染させるおそれのある動物の侵入を防止するという目的で、感染症法に基づきまして、輸入のときに動物の数量等を厚生労働大臣に届け出るとともに、輸出国政府機関が発行しました衛生証明書を提示するというものでございます。本年九月に施行されることになっております。
 この制度は、感染症の侵入の防止の観点から、実験動物ではあってもその対象としております。しかし、定期的な微生物モニタリングが実施されているなど通常以上に高度な衛生管理がされている実験動物につきましては、円滑な輸入が可能となりますように衛生証明書の発行方法等につきまして検討しているところでございます。医学研究等に支障が出ないように準備を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○足立信也君 今、要約いたしますと、高度な衛生管理をやっているところに対しては何らかの措置を講ずるというか考えるということだったと思いますが、じゃ、現状、今どうかといいますと、国内外の動物実験施設は確かに検体検査を含むもっと高度な衛生管理を行っていて、なおかつ施設の獣医師が発行した衛生証明書を添えて輸出しているんです。何よりも、実験が適切に行われているか、あるいは実験結果が本当に正当なものであるか。一番大事なのは感染なんですね。感染があったらだれも信じられる結果ではないし、それはもう国内外を問わず認められないことなんですね。だからこそ、動物実験センターは検体検査を含む高度で本当に厳格な万全の体制で感染対策を行っているんです。
 しかしながら、この秋に先ほどおっしゃいました施行される感染症予防法では、どうやってそれを証明するかということに関しては、感染症状がないというあいまいな、そんなあいまいな証明を政府に出してもらおうとしているんですね。BSEの問題で全頭検査をしないで、歩かせてこれは大丈夫と言っているのとほとんど同じことですね。
 幸いにも、アメリカやあるいはEUでは、政府がしっかり関与した形で実験動物施設の高度な衛生管理ができているんですね。ですから、その仕組みをちゃんと利用して、やっぱりスピードが第一ですから、迅速な輸入手続ができる体制を何としても九月までにつくり上げていただいて、獣医師が発行した、きちんとした検体検査に基づいた衛生の証明書、これを、あいまいな、ただ臨床症状がないという政府が発行する証明書よりはるかにもう、はるかに精度の高い証明書を何とか活用するように、それを是非お願いしたいと思います。
 今までは日本への入国についてでしたが、次は、日本人が海を渡る、臓器移植についてです。
 臓器移植法が施行されてから七年半が経過しました。この間、脳死下の臓器提供は三十四例です。臓器移植法では、第一条に「移植医療の適正な実施に資することを目的とする。」と。それから第二条に、生存中の自己の意思は尊重されなければならない、さらに、移植術を受ける機会は公平に与えられるよう配慮しなければならない、そういうふうになっております。一方、海外渡航臓器移植患者は、心臓八十一例、肝臓が百八十三例とか非常に多くあるわけですけれども、法に規定されている、政府として、移植医療の適正な実施に資する、生存中の自己の意思を尊重する、移植術を受ける機会を公平に与える、そのことは政府としてやっぱり努力しなければいけないことなんですね。
 そこで、昨年八月、内閣府の行った世論調査から何点か質問します。
 概要を少し述べさせていただきます。
 二年前にも同様な世論調査があります。それに比べて、脳死での臓器提供に、本人の書面による意思と家族の承諾が必要なことについて、その周知度、何と八三%から七八%へ、五%二年間で下がっています。知らないということです。心臓停止後、家族の承諾があれば腎臓と眼球、角膜ですね、眼球について臓器提供できることについては、二年前に知っていた人は三一%、それが更に二七%まで知っているのが下がっているんです。周知が、周知度が下がっているという認識がまず一つです。
 それから、三五・四%の人が脳死判定後に臓器提供したいと考えている。ところが、ドナーカードの所持率は一〇・五%、そのうち提供の意思を記入している人は六一%。つまり、六・四%の人しかカードによる臓器提供の意思表示をしていないんです。三五・四%の人がですよ、人が希望していて、ドナーカードにそれをきちんと表示できているのが六・四%にすぎない。ちなみに、そのカードの配布枚数はもう一億枚に達しようとしています。人口、もっとも十五歳以上と比べますと、ほとんどもう匹敵する数になっていますね。この枚数と、その自分の意思がカードに表れていないということについて、この点と、それがどうしてそういう差が生じるのかという点と、もう一つ続けて答えていただきます。
 八一%の人が臓器移植に関する情報を十分受けていないと答えています。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などを通じた広報活動が効果的であると、国民の八割の人がそのように答えております。この二点についてお答えください。
 なぜ、意思があるのにカードに意思表示ができていないのか、なぜ周知度が下がったのか、有効な広告ができていないのか、この点です。

○政府参考人(田中慶司君) なかなか難しい御質問でございますけれども、確かに臓器提供の意思カードは九千五百万枚、既に配布をしているところでございます。
 先生の御指摘の内閣府の世論調査によりますと、臓器提供に関しまして、提供したいという方が三五%である一方、実際にそのカードを所持して、それに、カードに記入がされているという方が六・四%ということでございます。
 これはまあ、この世論調査の中を見まして少し分析してみますと、その理由を見てみますと、カードの入手方法が分からなかったとか、臓器移植についてよく知らないというようなことがございまして、これはやはり必ずしも十分な普及啓発が行われていないということなのかなと、あるいは、そのカードの入手方法についても多少不具合があるのかなということでございまして、今後ともそれらの点について改善に努めてまいりたいというふうに思っております。
 また、先ほどの周知度が多少下がっているという御指摘でございますけれども、誤差の範囲ではないかなというふうに私ども理解しているところでございます。
 また、臓器移植についての啓発について十分ではないという方が八〇%という結果でございますけれども、これに関しましても、より一層私ども啓発普及を努めていく必要があるのかなというふうに考えております。今年からは全国の中学校に対しまして教育用の普及啓発パンフレットを配布するというようなことも始めましたし、平成十七年度に関しましては公共広告機構、ACですが、これに協力していただきまして、テレビ、ラジオ、新聞等による多角的な普及広報を行うということも計画しているところでございます。

○足立信也君 最後の質問は飛ばします。そして、事実だけを申し上げます。
 臓器移植ネットワークからの意思表示カードによる情報です。五百二十四人の脳死下臓器提供希望者に対して、脳死判定の実施率が六%です。これは様々な理由も多分あるんでしょうが、希望者に対して実施判定率が六%というのは、それは医療側も含めていろんな問題点が中にあるんだと思います。このことを是非分析していただきたいと思います。
 臓器移植法の改正を声高に叫ぶよりも、現行法制下でできることがもっと一杯あると私は思います。それを移植関係者だけに任せてはいけないんです。国として本格的に取り組まなければ国際的信用を失うと私は思います。私は、このグローバル社会において、日本はあるいは日本人はこのように考えると主張することが大切だと思います。決してダブルスタンダードになるような姿勢を取らないこと、より日本のアイデンティティーを高めると思います、そのことがです。
 そういうことを申し上げて、移植に対する私の考え方を再度付け加えさしていただいて、それは私が移植の実際の手術をやっていた経験があるからです。是非そのことについてこれからも前向きに、あるいは、できることをきちんとやるんだと、そういうような姿勢で取り組んでいただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

050315厚生労働委員会会議録より
このページのTOPに戻る

平成16年11月25日- - 厚生労働委員会


○足立信也君 民主党・新緑風会の足立信也でございます。
 本日は、児童福祉法改正案の審議でございますが、初めに、現在衆議院で継続審議中の臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案について、一部で委員長提案にするという声が聞かれますので、若干の注意を喚起する意味で申し述べたいと思います。
 主な改正点は、「医師の指導監督の下に、」「政令で定める生理学的検査を行なう」、これを、医師又は歯科医師の指示の下に厚生労働省令で定める生理学的検査を行うとなるわけです。後半部分の政令か省令かの違いはあっても、行われる生理学的検査の内容は恐らく余り変わらないと思います。
 生理学的検査といいますのは、皆さん一番なじみの深いものが心電図検査あるいは脳波検査などですが、頻度の非常に高い検査に超音波検査があります。腹部超音波検査や乳腺、甲状腺の超音波検査です。これを、医師又は歯科医師の指示があれば、つまりオーダーがあれば、口頭でも、文書でもですね、オーダーがあれば臨床検査技師が単独で行ってよいとするものです。委員の皆さんも超音波検査を受けた方は多いと思いますけれども、すべて医師による検査のはずです。
 私は、日本でも有数の超音波検査の専門家と言える臨床検査技師さんと長年一緒に超音波検査を行ってきました。確かに、一部の方は非常に優れた検査技術と情熱を持っておられます。しかしそれは、医師と一緒に検討、追求を重ねてきた結果です。超音波検査の特徴は何といってもリアルタイムだということです。検査の場で意見を交わしながら切磋琢磨しなければ上達しません。
 この改正案が成立すれば、医師は超音波検査のオーダーがしやすくなり、臨床検査技師の地位は向上するかもしれません。しかし、単独で行うようになれば臨床検査技師さんの技術、診断能力は低下し、無意味、無駄な検査が増加するでしょう。何より患者さんのためになるとは思えません。専門的に技術を高めた技師さんの資格認定が先にあるべきだと私は考えます。委員の皆さんに是非その認識を持っていただきたいと思います。
 さて、本題の児童福祉法改正案ですが、児童の保護者に対する児童相談所による指導措置について家庭裁判所が関与する仕組みが盛り込まれ、衆議院の厚生労働委員会では、「児童福祉に関する家庭裁判所の機能の強化に向けての取り組みを進める」、このことが附帯決議されました。
 家庭裁判所の承認が必要な児童福祉施設への入所措置件数は、この十年間で約十倍に増えております。
 さて、家庭裁判所の機能強化とは何が求められているのでしょうか。家庭裁判所の扱う家庭内の紛争である家事事件、非行を犯した少年の事件、ともに児童虐待の問題が関係することが多く、増加しております。
 家庭裁判所の事件は、医学、心理学、教育学、社会学等の専門的知識を活用し、科学的調査に基づいて取り扱うことが基本方針とされています。これを家庭裁判所の科学主義というのだそうですが、重要なことだと思います。中でも医学的見地からの診断は特に重要で、少年事件においては、その診断や発達障害などに対する薬物指導、家事事件においては、その調査、処遇選択、調停に必要な医学的診断、各種障害の判断、立会いのサポート、精神科にこれらのことは依頼しております。家庭裁判所の機能強化を考えるときに重要な点として、精神科医、特に青少年の心の問題を専門とする精神科医の必要性があると思います。
 そこで、質問いたします。
 まず、家庭裁判所において精神科の医師を置くことの法令上の規定はどうなっているでしょうか。

○政府参考人(寺田逸郎君) 裁判所法の六十一条の第一項に、各裁判所に裁判所の技官を置くという規定がございます。この規定に基づきまして、それぞれの裁判所に裁判所技官として精神科の医師が置かれております。

○足立信也君 それでは、現在の精神科医師の配置につきまして、その実数を教えてください。

○政府参考人(寺田逸郎君) 裁判所からお聞きしたところでは、家庭裁判所には現在、家庭裁判所のすべての本庁、五十庁でございますが、これと十の支部に家庭裁判所の医務室が設置されておりまして、そのすべてに精神科の医師が配置されております。
 具体的には、今年の十月一日現在で七十三人の精神科医師がおりまして、常勤が十六名、非常勤が五十七名となっております。

○足立信也君 平成九年三月に、できる限り、これ、医務室のことですけれども、できる限り一人は精神科を専門とする医師で、非常勤の家庭裁判所医師はできる限り大学又は大学病院の医師から任用するという最高裁判所からの通達が出ております。全国の五十の本庁、二百三の支部、合わせて二百五十三ですが、に常勤の精神科医師は合計十六名ということです。非常勤は五十七名で、主力は非常勤医師なんです。しかし、この家庭裁判所の非常勤精神科医師がいなくなるという事態に陥っております。
 前回、十一月四日の質問で私は、最後に、卒後臨床研修の必修化、これによって、研修医を指導する医師の確保という観点から、また国立大学の独立行政法人化によって、医師の派遣先の選定により採算性の高い施設を優先するようになったと、その結果、地域の中核病院で小児科医、産婦人科医、麻酔医が不足した、あるいはいなくなった、そのような事態になっている、このことの注意の喚起を促しました。
 これは精神科についても言えることなんです。今、地方の家庭裁判所から非常勤の、大学の職員です、非常勤の精神科の医師が撤退しようとしております。
 ちょっと説明させていただきますと、国立大学の法人化で、本来、大学の収入が法人化前とほぼ同じはずでした。ところが、法人化によって新たに発生した経費は三百五十億円。大きなものは、雇用や労災の保険料、役員人件費。さらに、非常勤職員の均等待遇化で三百二十億。サービス残業一掃に二百七十四億。合わせて九百億円以上です。教員一人当たりの研究費が軒並み五〇%近くに減っております。平均すると年間二十万円というデータがあります。私が大学の教官であったころは四十万弱でした。ですから、ちょうど半分くらいです。特に地方の大学にこのしわ寄せが大きいんです。
 ですから、報酬の低い非常勤はやれない状況に大学は陥っているんです。家庭裁判所の精神科の医師は、児童福祉の面からあるいは社会の要請の面から是非必要だと思います。
 そこで、質問いたします。
 以上のように、家庭裁判所において精神科医は重要な役割を担っており、今後その必要性は今まで以上に高まっていくものと考えます。ところが、実際には現状維持も困難な状況に直面しています。家庭裁判所の機能を強化し、児童福祉に資するための対応を至急実施すべきと考えます。いかがでしょうか。

○政府参考人(寺田逸郎君) この医師をどのように配置するかということにつきましては、これは司法権をつかさどっておられます裁判所の独立した司法行政権にかかわる問題でございますので、行政府の方から御意見を申し上げるのは差し控えるべきだろうというふうに思いますが、ただ、裁判所からお聞きいたしていますところでは、それぞれの家庭裁判所においてその地域の医学系の大学や医療関係機関、医師会等に働き掛けをされまして、裁判所の事件の審理手続における精神科医師の必要性を十分に御説明され、これまでも、精神科医の確保、あるいは関与の必要な事件の審理に支障を来すことのないようにいろいろと努力されているということでございまして、この努力は今後も続けていかれるというふうにお聞きしております。

○足立信也君 それ以上のお答えはちょっと無理かと思います。
 それでは、厚生労働省として、家庭裁判所における精神保健を専門とする医師、先ほどからのお話で必要性は十分理解していただけたと思うんですが、厚生労働省のお考えをお聞かせください。

○国務大臣(尾辻秀久君) 改めて申し上げます。
 児童福祉分野に関する家庭裁判所の関与につきましては、委員御指摘の保護者に対する指導措置に関する勧告のほか、保護者の意に反して児童を施設に入所させる場合の承認、あるいは児童相談所等からの親権喪失請求への対応、こうしたものが想定されるところでございますけれども、児童福祉を保障する観点からこれらの業務に適切に対応していただくことが必要と考えております。
 家庭裁判所にどのような職員を配置し、これらの業務に当たるかは、今もお話ございましたけれども、裁判所の御判断ではありますけれども、厚生労働省としては、委員御指摘の精神科医を始め、青少年の心の問題に適切に対応できる体制が確保されることが望ましいと考えております。

○足立信也君 ありがとうございます。
 続きまして、小児慢性特定疾患について伺います。法務省の方、どうもありがとうございました。
 昭和四十九年に小児慢性特定疾患治療研究事業が始まって以来三十年です。児童福祉法の中で法制化される、親の会からは歓迎する意見が出されております。私は、三十九疾患の追加、それから十五疾患の除外、トータルで五百十二疾患になると思いますが、それをすべて見ましたけれども、私個人としては納得できます。
 この法制化によって、自治体独自で行っている単独事業、例を挙げれば、北海道の骨疾患、群馬県の進行性筋ジストロフィー、神奈川県の急性腎炎、山口県の心臓カテーテル検査、長崎県の難治性てんかんなど、このような自治体独自の単独事業にどのような影響を及ぼすと考えておりますか。

○政府参考人(伍藤忠春君) 今回の法制化でございますが、現在予算措置でやっている事業を法律に基づく安定した事業にしようと、こういうことでありますので、疾病の入り繰りはありますが、基本的な、国がやる事業という性格は変わらないものでございまして、それにプラスして各自治体がどのような疾患を対象にしてこういう公費負担医療事業を行うかということは、それぞれ各地方公共団体がその観点から地域の実情に応じて判断をすべきということでありまして、この事情は今回の法制化によっても変わらないというふうに思っておりますので、地方自治体で適切に判断をしていただきたいというふうに考えております。

○足立信也君 では、法制化によって何が変わるんでしょう。新制度でやっぱり心配なのは、先ほど家西さんお話ししておりましたけれども、やはり自己負担の導入と重症度基準、この二つにどうしても懸念が残る。重症者に限定すれば、悪くなり切るまで受診を控える、そういう可能性もあります。自己負担については恐らく、特定疾患治療研究事業、難病対策です、これに準じて生計中心者の所得によって、先ほど八段階とおっしゃいましたが、七、八段階の設定がされると思います。
 残る重症度基準についてなんですが、疾患としては重症ではないけれども、現在、日常生活に非常に不都合がある場合、あるいは進行性の疾患で近い将来に必ず重症化する危険がある場合、また、ほかの疾患の合併により急変したり重症化した場合、治療を必要とする期間の見通しが非常に長い場合、このような場合はその重症度基準に考慮されているんでしょうか。また、重症度基準の中で、自己負担のないそういう場合も想定されているんでしょうか。

○政府参考人(伍藤忠春君) 今回の対象疾患については、そのそれぞれの対象疾患ごとにこの重症度基準というものを設けて今回の事業の対象になるかどうかということを判断をしていくと、こういう仕組みになっておりますが、この重症度基準というものの考え方でございますが、私ども今いろんな専門家の方々の意見も聞きながら考えておる、何といいますか、メルクマールでありますが、一つは症状の重さということでありますし、二点目に治癒の見通しとそれから治療に掛かる費用、こういった点などを含めてこの疾病の特性を総合的に考慮して設定をしていただきたいということで、具体的な基準については、専門家の御意見も伺いながら具体的に設定をして大臣告示で定めるという手続になるわけでございます。
 それからもう一点の、その中でも特に最重度の重症患者というものについての扱いでございますが、例えば寝たきりの状態にあるといったような、こういう非常に最重度の患者さんについては自己負担を徴収しない、そういうカテゴリーとして扱うというふうなことを考えております。

○足立信也君 それでは、私の理解では、疾患だけで、疾患名だけでは認定されない、その疾患名の診断が付いているけれども認定されない方が、患児がいる。それから、自己負担を強いられるといいますか、自己負担が必要な患児がいる。そして、最重症は自己負担が必要ない、自己負担をしない患児がいる。この三段階に重症度の面では分かれているということで理解しました。
 その場合に、特に今回一斉に見直すわけですから、今まで認定されていたのに今回は重症度の基準から、認定から外れてしまう、必ずそういう方が生じると思いますけれども、その場合の不服ですね、不服の場合に不服審査が可能だと当然私は思います。
 それともう一つ。認定後に例えば自己負担が必要だという範疇のものに認定された場合に、例えば風邪をこじらせて、心疾患の場合に風邪こじらすと本当に重症化してしまいますが、場合によっては亡くなる場合もある。その場合に、いつでも再申請が可能なんでしょうか。
 その二点を。

○政府参考人(伍藤忠春君) 今回のこの小児慢性特定疾患事業とそれから行政不服審査法に基づく不服審査と、こういう関係についてのお尋ねでございますが、この行政不服審査法に基づく不服申立ての対象となる、これ、行政庁の処分というものが前提になるわけでありますが、今までの判例では、これ、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものと、こういう解釈で、ちょっと堅いあれですが、そういう解釈でございます。
 小児慢性特定疾患治療事業、これは法律に根拠を置いて、都道府県はこういう事業を実施できるという規定があるだけでございまして、予算の範囲内でといいますか、この実施が都道府県に義務付けられている、あるいは国に義務付けられているというものでもありません。
 それから、予算の範囲内で、患者の健全育成、児童の健全育成という観点からこういうことを積極的にやっていこうということで今回法定化をしたものでありますが、あくまで事業の実施主体がそういう観点から行うものでございますので、申請に対して不承認ということになったといたしましても、先ほど言ったようなこの要件に該当する、行政庁の処分というようなものには該当しないというふうなことだと思いますので、同法による不服申立てを行うということは、これは不可能ではないかというふうに考えております。
 ただし、今御指摘のありましたような、その後いろんな形で重症化をして、その時点で申請をできるかということでありますが、それは、医学的な今度示します重症度基準ということに該当すればそれは再申請することは十分可能でありますので、その時点でのそれぞれの状態を的確に判断をして、対象にできるかどうかということを判断していくというふうに考えております。

○足立信也君 不服の審査はできないということだと解釈いたしました。
 ところで、今回の事業の性格ということになるわけです。これが多分処分という解釈に僕は結び付くんだと思いますが、それは尾辻大臣が本会議の質問に対する答弁で、小児慢性特定疾患治療研究事業は、その治療が長期にわたり、医療費の負担も高額となる小児慢性特定疾患について、その研究を推進し、その医療の確立と普及を図る、患者家族の医療費の負担を軽減すると答えられました。
 しかし、これは改正前の今までの事業の実施要綱に書かれてある目的であって、今回の事業は性格が大分異なる。今までの事業であれば、研究の推進にその目的があったわけです。この場合は、研究の対象にならない程度の軽い患児は除外されてもある意味仕方ないかもしれません。しかし、今回の新事業の目的は、第二十一条の九の二に、医療の給付が目的であって、研究にも役に立つと書かれております。であるとすれば、医療の給付が目的であるならば、自治体から医療の給付が受けられないと認定されたときに、その不服を訴える場があって当然だと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(尾辻秀久君) 個々の患者が事業の対象となるか否かについては、新たに設定されます医学的基準を踏まえまして、実施主体である地方公共団体において、専門家によって構成される協議会の意見を聞いた上で適正に判断されると考えております。したがいまして、今不服を受け止めるような具体的な仕組みを設けることは困難であると考えております。
 いずれにいたしましても、見直し後の対象疾患及び医学的基準につきましては厚生労働大臣告示で定めることとしておりまして、その周知徹底を図るなど、適切な事業の運用に努めてまいりたいと考えます。

○足立信也君 具体的にこうしたら不服申請できるようになるんじゃないかという提案はできない部分もございますが、大臣の認識の中で、今までは研究事業であった、これが医療の給付を図る、それが目的に変わったと。百億円の予算で治療を行う、そして研究に対しては三千万ですね、大人の特定疾患治療の研究は二十一億、これは明らかに医療の給付が目的である事業だと。それを今まで受けていた、受けられていた患児がそこから除外されてしまう事態になる。これは不服を申し述べる機会があって当然だというのが私の考えです。その点は是非お含みおきください。
 小児の入院治療には両親を始めとする家族の支えが欠かせませんし、五百十二疾患すべてに専門の医師がいる病院もあり得ません。新制度の中で、入院中の患児の家族のための宿泊施設や宿泊費の補助についてはどのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(伍藤忠春君) この小児慢性特定疾患の患者及びその家族につきましては、自宅と入院先との二重生活、こういったことで経済的な負担、あるいは家族が離れて過ごすということの精神的な苦痛、こういうのがあるわけでございまして、こういった観点から、宿泊施設につきましては、平成十年度補正予算それから平成十三年度もこれは補正予算でございましたが、慢性疾患児家族宿泊施設国庫補助ということで、十年度は三十二か所、十三年度は七か所の施設整備を図ってきたところでございます。

○足立信也君 国立小児医療センターのすぐ近くにある一泊千円の施設とか、小児慢性特定疾患を扱う病院、小児科医には地域差が非常に大きいと、この点を是非考慮をしていただきたいと思います。
 大変申し訳ないんですが、三つ質問を飛ばさせていただきます。文部省の方にも来ていただいたんですけれども、申し訳ありません。
 最後に、医療類似行為、前回質問をいたしました医療類似行為について一言申し上げます。
 厚生労働省は、今年三月十五日の全国課長会議で、あはき法第一条のあんま、マッサージ又は指圧が行われていない施設においてマッサージなどと広告することについては、同施設においてあんま、マッサージ、指圧が行われていると一般人が誤認するおそれがあり、公衆衛生上も看過できないものであるので、各都道府県におかれてもこのような広告を行わないよう指導方お願いすると説明しました。三月十五日です。
 私は、前回の十一月四日の委員会でこの課長会議で示された規制を有効にするための方策を提案したつもりです。ところが、西副大臣の回答は、「マッサージという既に普及した、言わば一般名詞の使用を特定の資格だけに許すということについての逆に影響があるのではないか。」というものでした。これは、取りようによっては三月の課長会議で示した内容を真っ向から否定したばかりではなくて、自ら所管するあはき師資格制度そのものを否定しかねないものです。当然のごとく、この発言はあはき業の団体の方から猛反発を受けております。あはき師資格制度を所管し、今日までその発展に努めてきた厚生労働省の副大臣として、この発言は撤回すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○副大臣(西博義君) 足立先生にお答え申し上げます。
 貴重な質問時間、再答弁のために取っていただきましたことを心より感謝申し上げたいと思います。
 私も実は、前回の答弁につきまして、その後、自身が申し上げました内容について若干気になりましたもので、議事録等を読ませていただきました。この間の私の答弁が、今までの厚生労働省の指導、先ほど先生が挙げられました平成十六年三月の全国医政関係の主管課長会議においての指導でございますが、否定するかのように聞こえる答弁であったなということは、正直、自分自身も感じておりまして、そのことについては、私自身は決して否定して逆の方向性を出そうという意思で申し上げたつもりは毛頭ないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。

○足立信也君 この問題につきましては、私は、有資格者の保護と、何より国民の安全確保について今後十分に議論をしていきたいと、そのように考えております。
 以上で私の質問を終わります。

041125厚生労働委員会会議録より
このページのTOPに戻る

平成16年11月10日- - 災害対策特別委員会


○足立信也君 民主党・新緑風会の足立信也でございます。お三方とも大変示唆に富むお話をいただきまして、お忙しい中本当にありがとうございます。  私は、それぞれ御三方お一人お一人に一点ずつの質問にしたいと、そのように思います。  まず、中貝参考人になんですが、私はPRのことについてお伺いしたいんですけれども、その前に、あれだけの水没状況になった場合に、元々想定されていた避難所、それが実際は水没によってどれだけ使えなくて、そして結果として四十四か所になった、その数の点をちょっと教えていただきたいんですけれども。

○参考人(中貝宗治君) 事前に豊岡市が指定しました避難所の数、ちょっと私、今数字持っておりませんが、今回避難勧告するに当たって市民に連絡をしました避難所はすべて水没をしたとしても大丈夫だと、一階がつかったとしても二階以上に逃げることができる、堤防が決壊したとしてもその濁流に流されない距離にある、あるいはそれだけの強度を持っている、そういうものを洗い出しをいたしまして放送いたしましたので、今回のことに関していえば、すべての避難所は機能したというふうに考えています。  ただ、済みません、防災計画の避難所は地震のときも想定をし、火災のときも想定をし、水害のときも想定をしておりますので、どうしても中間的なレベルでの避難の指定がなされていることがございまして、今回、その中からこの水害に関してどこなら大丈夫だということを洗い出しをする必要があったと、こういうことでございます。

○足立信也君 じゃ、本論のPRについてなんですけれども、報道にもございましたが、私も聞いたところによりますと、勧告と指示は勧告の方が重いって思われている方もかなりいらっしゃるんですね。ですから、まず必要なことは、避難勧告と避難指示は一体どういうようなもので、それが出た場合にどのような行動をしてくださいというまずPRが必要だというこの点のことと、あともう一つ、防災基本計画では浸水想定区域や土砂災害の危険箇所というものをあらかじめというのか公表しておかないといけないということがあるんですが、避難勧告・指示に関するPRの話と、それからその公表について、そのことを教えてください。

○参考人(中貝宗治君) 勧告と指示は、言われましたように、実は私の家内自身も、勧告を受けたのになぜお父さん指示に変えたんだろう、というふうに疑問を持ったということですので、広く市民の中でもそういう声があります。したがって、議員が御指摘になりましたように、事前のPRももちろん必要だと思いますけれども、しかし事前のPRはほとんど心に残っていないということが実態としてあったのではないかと思います。したがって、事前のPRはもちろん大切なんですが、私たちの反省といたしましては、放送のときに、これがどういう意味を持つのかという言わばそしゃくをした表現をすればよかったな、このように考えているところです。  それから、浸水区域の公表は実は豊岡市内でも既になされておりましたけれども、それを個々の家庭に配るペーパーは実は準備中でございましたので、それがなかったというのが私たちも大変悔やんでおります。ただ、豊岡は長らく水害に苦しんできた町でございますので、多くの元々そこの地に住んでいる人々にとっては、伊勢湾台風のときはここまで水が来た、したがってすぐここまで逃げるようにといったことが言わば語りぐさとなって伝わっておりましたので、その分が少し豊岡の場合は救われたのではないのかと、このように考えています。

○足立信也君 どうもありがとうございます。  廣井参考人にお伺いいたします。  準備情報、準備情報ですね、その段階が非常に大事だろうと私も思います。ところが、豊岡の例でもございますように、まず聞き取れない、大体が音によって伝わるものが多いので聞き取れない。それから、落ち着いて文節ごとに区切ってしゃべると緊迫感がないという話もございましたが、それに加えて高齢者、先ほどございました高齢者、それから視覚障害者、聴覚障害者、そのような方々がいらっしゃいます。そして、事前のPRよりも何よりも、その場に、そのときにどれだけ逼迫している状況かを伝えることが最も大事だと、今、中貝参考人の方からありました。ということを踏まえて、となれば、一番有効なそれを伝える手段ですね、というのは先生の考えではどれなんでしょうか。

○参考人(廣井脩君) 複雑な問題ですけれども、まず避難関係の情報に幾つかございます。  法律に基づかない自主避難の勧めというのが一つございます。それから、災害対策基本法六十条に基づいた避難の勧告、これは災害の発生のおそれがある場合あるいは災害が発生した場合に市町村長が出すということになっております。それから、避難の指示でございますけれども、これは急を要する場合に市町村長が出す?と、こうなっております。ただ、実際の文面ではほとんど避難勧告、避難指示の区別が付いておりません。そこで、緊急性が伝わらないと、市民には伝わらないということになります。  実は、そこのところは今後課題かなと思っておりますが、例えば避難の指示の場合には、重大な災害が発生するおそれがあるということを強調するとか、緊急に避難をしてくれというようなことを強調するとか、そういうような文章上の表現を工夫するということが一つございます。  それから、私は、緊迫感ということで思い出すんですけれども、もう古いことですが、昭和五十八年に山陰水害というのがございました。島根県の三隅町で大変大きな災害がありましたが、あのときには避難が大変、まあ大成功と言っていいぐらい成功しております。それはなぜかといいますと、自治体の職員が危険地域に避難の勧告、指示は出しました。それに加えまして、市町村長さんが防災無線のマイクの前に立って非常事態宣言という、聞き慣れない言葉なんですが、もう町は非常事態であると、したがって市民の方々はこれはもう必ず避難をしてくれと緊急の呼び掛けをいたしました。これが非常に功を奏して避難が促進されたというケースがございます。ですから、避難の指示等々と同時に、自治体のトップが市民に直接呼び掛けるというような方法も有効かというふうに思います。  もう一つ、高齢者のことでございますが、実は避難所の問題というのは大変重要な問題で、考えなければいけない問題だと思います。  大体、水害の避難というのは腰まで水につかるぐらい緊急な事態になってやっと避難するというのがおおよそ、大体の一般的傾向です。そこで、何キロも離れた避難所に避難するときに結局犠牲になってしまう。水害で外に出ていて亡くなった方が多いのはそういう理由からなわけです。そこで、なるべく近くに避難施設を設ける必要がある。水害の避難というのは実は地震の避難所を応用しているだけなので、水害に特化した避難所を作っている地域というのはほとんど知りません。  私が申し上げたいのは、これは土砂災害はちょっと別なんですけれども、都市部の水害に関しては、近くのビルの高いところに逃げる、そうすれば少なくとも命は助かるということで、避難ビルという発想は津波にはございますんですが、水害についても避難ビルという発想を導入した避難計画というのが高齢化社会になってくると重要かなというふうに思っています。  よろしいでしょうか。

○足立信也君 ありがとうございます。  それでは、栗田参考人にお伺いしたいんですが、ボランティアセンターとそのボランティアコーディネーターのことなんですけれども、ボランティアセンターは社会福祉協議会が主宰していると。どうも私は、やはり取り扱う対象がかなり違うんではないかという思いがしまして、栗田さんとしてはどこが所管されるのがいいと思われるかという点と、それから、私の同僚も医師のボランティアということで災害があったところへよく行きます。何といっても一番大事なのは、指揮命令系統がうまくいくかどうか。で、ボランティアコーディネーターが非常に重要だという認識はありますし、先ほど市長さんからも、専門家を早く、それはまさしくボランティアコーディネーターじゃないかと私は思っているんですね。  それとは少し離れますが、先ほど資金、人材面で非常に苦労しているというお話がありました。今、ボランティア行為に対する報酬ではなくて謝礼の意味で、そういう趣旨のものは認めるべきではないかという意見が出始めております。その点についても栗田さんのお考えをお伺いしたいと思います。

○参考人(栗田暢之君) 一口に災害ボランティアといってもいろんな種類があるといいますか、結局どの時期に活動する団体であるかということもそうでしょうし、これは本当に緊急救援を要するお医者さんの、例えばAMDAという岡山の団体がありますけれども、ああいうところは一般のボランティアとやっぱりちょっと違った活動をしなきゃいけませんし、どの時期でだれが入るかによって非常にその災害救援の在り方も全然変わってくると思いますが、私が申し上げたのは、一般論としての多くの市民が駆け付けたボランティアという意味で使わさせていただきました。  そういう方々が、特に特技もないんだけども自分の思いで被災地に入ってくる方々がたくさんいらっしゃる。そういう方々をコーディネートするのはやっぱり僕は社会福祉協議会がいいんじゃないかと思っていまして、ただ、何といいますか、地元できちっとしたそういう体制のNPOが育っていれば、そこと協働しながらといいますか、絶対的に災害救援のNPOが、私たちのようなこういったコーディネートを心掛けた団体もありますし、災害救援というと本当に現場に駆け付けて、自分たちが駆け付けて何ぼだという団体もありますし、やっぱり温度差もいろ?いろありますから、どの時期にだれが入っていくかということに対しては、災害救援NPOとかボランティアといっても非常に多岐にわたりますから、でも、その一般のボランティアさんがやっぱりどこかを目指して来るというときには、社会福祉協議会が曲がりなりにもボランティアセンターという機能を平常時から持っておりますから、つまり、災害ボランティアのときにも、究極のコミュニティーワークだというふうに全国社会福祉協議会の報告書には書いておりますけれども、災害が起こったときにその機能をしない社会福祉協議会はふだんから何しているのかということが逆に問われますよという警告もあるぐらい、社会福祉協議会は頑張ろうとしていらっしゃるんです。  ところが、社会福祉協議会でもこれはやっぱりいろいろありまして、例えば、元々職員が二人とか三人しかいない地域にボランティアさんが百人二百人集まってきても、これは混乱するばっかりですし、その社会福祉協議会なんかを中心として、結局、私も、その社会福祉協議会の職員が唯一ボランティアでちゃんとお給料をもらって年間生活している方々が社会福祉協議会の職員だと私は思っていますから、むしろその方々が中心となって、いかにその方々に対して応援団を組み合わせていくのかということがやっぱり大事じゃないかな。  ただ、その社会福祉協議会に別におんぶにだっこという意味じゃなくて、改善していただきたいのは、我々なんかと連携する場合に、まだその前段で申し上げたような非常に警戒をされるとか、結局、その縦のつながりでだれかの紹介がないと入れないとか、いろんなもう硬いことを言われるわけですね、緊急事態においても。その辺の融通さみたいなものが社会福祉協議会の、特に、例えばその社会福祉協議会の職員でも優秀な人たちがたくさんいらっしゃるのに、その上が抑えてしまうから、結局やりたくてもその事務局長とか会長レベルが全然理解しなくて、いい判断ができないということも現場では生じているようです。  それからもう一つの、ボランティアの有償の件ですけれども、非常に難しい問題ですから私一言で申し上げられませんが、例えば、私の知っている障害者のケアをしている団体の代表なんかに言わせますと、ボランティアというと非常に軽い乗りで申込みがあって、非常に、例えばその食事を介助しなきゃいけないとか、生活の支援をしている人たちがボランティアという、そういう非常に軽い概念で申込みがあって、でも、その軽い概念の申込みをやると、あっ、今日行けなくなりましたとかって、そういう電話がすぐ入っちゃう。それじゃいけないから、少しでもお金を払って責任を持たせるために有償ボランティアという制度を設けていますよと。  だから、単に何かこうボランティアに対してお金を出すということはこれは基本原則としては私はやってはいけないことだと思いますが、いろんな事情がある中で、そういうお金をきちっと出した方が責任を持ってやっていただけるんだという場面では使われているという話がありますから、ですから、使い分けをきちっとしていかないと、すべてがいいとかすべてが駄目だという議論ではどうもなさそうだと私は思っています。

○足立信也君 我々も努力いたします。  どうもありがとうございました。

041110災害対策特別委員会会議録より
このページのTOPに戻る

平成16年11月04日- - 厚生労働委員会


○足立信也君 民主党・新緑風会の足立信也でございます。
 今年の年金制度、来年の介護保険、さらに再来年の医療保険制度と立て続けに社会保障制度の改革が予定されています。総理も尾辻大臣も、社会保障制度の一体的改革が必要だと表明されました。本日は、まず大臣に改革の理念についてお伺いいたします。
 年金、介護保険、医療保険とそれぞれ逼迫する財政事情の中で、制度の維持という大義で負担の増加と給付の減少という方向性です。これらの各論に加え、さらに、社会保障制度の一体的改革というのはどのような方針で臨むおつもりなのかお聞かせください。年金、介護、医療のそれぞれの改革が一体的改革の過程なのでしょうか。それとも、医療制度の改革まで終わった後に本格的な、抜本的な改革を考えておられるんでしょうか。よろしくお願いします。

○国務大臣(尾辻秀久君) 社会保障制度は、各制度がその機能を発揮しつつ、有機的に連携して国民生活を支えるものである、こういうふうに考えております。
 各制度の改革に当たりましては、社会保障全体を一体的にとらえる視点が必要、そのようにも考えます。同時に、介護保険などの各分野におきましては、早急な制度改革が求められているところでもございます。社会保障全体を見渡しつつ各制度の改革を進め、併せて、社会保障全体の規模、税、保険料等の負担の在り方など議論していくことが大切だと考えております。社会保障の一体的見直しには、このような方向で進めていく各制度の改革、制度ごとの改革も必要であるというふうに認識をいたしておるところでございます。
 現在、官房長官の下に設置されました社会保障の在り方に関する懇談会において、社会保障の一体的見直しについて精力的に議論をいただいておりますから、こうした議論をまた踏まえつつ私どもの改革を進めていきたいと、こういうふうに思っております。

○足立信也君 午前中の中村老健局長の答弁で、介護の中の医療行為という問題がございまして、この点については再来年の医療制度の改革で見直すんだという御発言があったと思います。その前に、介護保険の見直しで、この医療と介護のすき間といいますか、お互いに兼ね合っている部分の問題が既に挙げられております。在り方懇談会では、今年中に論点の整理をして、それから二〇〇六年度内に結論を出すという方向性だと思いますが、その前に、もう医療と介護の問題で、介護保険のことを見詰め直さなきゃいけないという事態があるわけです。
 そこで、介護保険で医療との関連を来年の常会で見直すが、更に二年後にまた医療保険でそれをやらないと決められないという意味で御発言なさった、そういうことなんでしょうか。

○政府参考人(中村秀一君) 先ほど私が御答弁申し上げましたのは、一つは、介護施設において様々な医療的な、医療に関連する行為がなされている、また介護施設において入所者の方が重度化しており、ターミナルの問題もあると、そういった文脈の中で、元々介護保険制度というのは、二〇〇〇年にスタートいたしましたときに、旧来の福祉サービスと従来医療保険の方でなされておりました医療サービスの一部が統合されて介護保険の屋根の下に入ってきたわけでございますが、医療と介護の関係が密接不可分であるということは個々の利用者のニーズとしてはあると。そういった中で、二〇〇〇年からスタートした介護保険の中で、これは介護保険部会の意見書でも書かれておりますが、医療と介護の関係の在り方自体、介護保険制度を見直していく中で重点的な見直し項目の課題として挙げていると、こういうことを申し上げたわけでございます。
 したがって、来年私どもは法律を提出させていただきたいと思っておりますが、その際、法律レベルで医療保険、医療保険あるいは医療制度と介護保険、あるいはその介護制度の間の整合性、見直すものがあるかどうか、また、日々サービスが行われておりますが、医療サービス、それから介護サービスが行われておりますが、これは医療保険、介護保険両方の分野で賄われていると。そういった中で医療サービスと介護サービスの整理、調整の問題を考えるに当たっては、二〇〇六年四月、これは現行制度のままでも介護報酬、診療報酬の見直しの時期が二〇〇六年四月にございます。診療報酬、介護報酬の見直しがされるということは、様々なサービスについての報酬の単価が決められるとともに、様々な基準の見直しも伴うことがございますので、そういう基準、それから報酬単価レベルの見直しは、二〇〇六年四月の、従来のベースで行われている診療報酬、介護報酬の改定の時期の重要なテーマになるという意味で申し上げましたので、私の頭にあるのは、先生が言っておられる意味での、大きな意味での社会保障の総合的な改革というレベルでなくても、介護保険の中で、今の現行制度の中で隣接部門との調整の問題もあり、そういったことについても取り組んでいきたいと。
 しかし、それは広い意味では、正に介護保険の見直しもそうでございますが、社会保障の総合化と言われているわけでございますので、来年やらせていただく介護保険制度も、そういうベクトルの中で、それに沿うようなものでやらせていただきたいと、そういうことも申し上げております。

○足立信也君 今、そのようなベクトルの中でというふうにおっしゃいました。
 大臣に、もう一度になるかもしれませんがお聞きします。
 再来年の医療制度改革までは、そのベクトルは向いているけれども、本格的、抜本的な改革ではないという理解でよろしいんですか。その後に社会保障制度を一体化して抜本的に見直すということでしょうか。

○国務大臣(尾辻秀久君) 先ほども申し上げましたように、一つずつの改革、これも極めて大事であります。ただ、今申し上げましたように、社会保障の在り方に関する懇談会などで、全体どう見るのかという議論もありますし、また個々の議論もいたしております。
 そうした中で、全体の議論を見極めつつ、それぞれのものをこれまた改革していかなきゃいけない。ただ、これをじゃ抜本的改革でないのかと言われますと、今度の介護保険の改革を私どもは抜本的と表現するかどうかはまた別な話になりますけれども、それぞれにそのときに一番いい形で改革を進めていく、こういう表現になろうかと思います。

○足立信也君 私は、この四月まで手術をしていた外科医であります。介護保険、医療保険については現場からいろんな提案がございます。そのことは今の御答弁のように今後集中して行うということで、本日は、医療保険、介護保険改正の中でなかなか俎上に上らない点についてのみ質問いたします。
 まず、少子化対策なんですが、子供を産み育てる環境づくりとして、一人から二人目、三人目へのアプローチと、それからゼロから一人へのアプローチは異なった対策が必要だと私は考えます。ゼロから一人へのアプローチにも二通りあると思います。一つは子供が欲しくなる環境づくりです。もう一つ是非必要だと思うのは、望んでもできない、不妊治療を受けやすくするというアプローチです。現在、人工授精、体外受精、顕微授精は保険適用外となっておりますが、不妊の原因が男性にある場合、これらの治療法しかないわけです。今年の四月から、体外受精、顕微授精に対して治療費助成事業が始まりました。
 そこでお伺いします。体外受精、顕微授精は母体から卵を取り出すという手術行為が必要です。それに対して人工授精は手術の必要がございません。なぜ人工授精が助成の対象から外されたのか。そして、分かる範囲で結構ですから、その助成事業の助成金の受給状況、あるいは昨年と比較して、助成事業の効果が見られ、不妊治療の受診件数は増加しているんでしょうか。そのことをお教えください。

○政府参考人(伍藤忠春君) 不妊治療費の助成事業の件でございますが、本年の四月から国の助成事業として発足をいたしましたが、御指摘のとおり、この人工授精はその対象外としております。
 この考え方でございますが、不妊治療の経済的負担の軽減を図ると、しかも医療保険が適用されない方々でございますので、その経済的負担の軽減を図るということが主たる目的でございますが、こういった観点からいたしますと、人工授精は一回につき今一万円、これは平均値でございますが、この費用が掛かるということでございますが、この体外受精、顕微授精につきましてはそれぞれ三十万円から四十万円一回につき掛かるということで、今回は、公費でこれを支援する対象としては、多額の費用が掛かる体外受精と顕微授精を対象として制度をスタートするということにしたわけでございます。
 それから、今年から、四月から発足したばかりでありまして、受診件数等の実績についてはまだ把握をいたしておりませんが、ほとんどの都道府県あるいは指定都市、中核市で取り組んでいただいておるという状況になっております。

○足立信也君 今のお答えでは、一回の費用、その費用の多い分だけ助成するという考えでスタートしたということなんですが、受けやすい、あるいは一回の費用が安いということは、人工授精に関しては回数が非常に多いわけです。年のうち何回もありますし、それが年余にわたって、まあ十年とかいうスパンもあるわけですね。その回数の考慮というものがなされていないんじゃないんでしょうか。

○政府参考人(伍藤忠春君) 手元にあります資料によりますと、平均実施回数、この一年間だと思いますが、一人について人工授精は三回程度行うということでありますし、体外受精や顕微授精は一・二回から一・五回というようなデータがありますが、そういった観点を考慮しても、なおこの体外受精や顕微授精が非常に多額の費用が掛かるという実態にあるんではないかというふうに思っておりますし、こういうものをまず対象として制度をスタートするということについては、それなりの合理的な考えがあるものというふうに考えております。

○足立信也君 少子化対策、本当に喫緊の課題だと思いますが、その対策の一つとして、人工授精、体外受精を保険適用とする政治判断が必要だと私は思います。大臣のお考えはいかがでしょうか。

○国務大臣(尾辻秀久君) 不妊治療につきましては、ホルモンの異常や子宮、卵管の機能障害などの身体の異常に対する治療については既に保険適用しておるところでございますが、今お話しの人工授精や体外受精につきましては、診療の給付としての妥当性やその成功性が必ずしも高くないこと等を考慮して、これは中医協の御判断でございますので、中医協において、直ちに保険適用すべきでない、今結論を出しておられるところでございます。

○足立信也君 質問の趣旨が、私は政治的判断が必要じゃないかということを申し上げたんですが、その前に、今の御答弁で例に挙げられた保険適用のものは、やはり女性がある疾患を持っているという観点なんですね。
 昔はうまずめなんという言葉もございましたけれども、不適当だと思いますが、今現在、結婚後二年たったら不妊の状態と称するわけですけれども、過半数は男性に原因がある場合なんですね。男性に原因がある場合は、まずやるべきことは人工授精になるわけです。これは女性に特に何も問題のない場合ということになってくるわけですけれども、その点でまず認識が少し違うんではないかという点が一点と、それから私が申し上げたのは、もちろん中医協に諮問されて、しかしその後は大臣が判断するわけでございますから、そこで政治的判断として今の日本のこの少子化の中で保険適用に持っていきたいという気持ちはないのかということをもう一度お伺いしたいんです。

○副大臣(衛藤晟一君) 少子化対策につきましてのこの不妊治療は、実は平成六年度から、エンゼルプランを作ったときからこのことをスタートいたしまして、徐々に拡大をしようということで頑張ってきたところでございます。やっと法的に、制度的に今回認められてスタートしたところでございます。それがどういう形で今後影響を与えるのかということについて、やっぱり議論をしていきながら合意を得ていく作業が必要だと思っておりますから、それはそのときのやっぱり政策の判断をどう拡大していくかということになってくると思います。
 今時点における合意できた基準については、このような不妊治療について、極めてやっぱり非常に高額なものについて何とか少しでもバックアップしようじゃないかというところでここまで来たということでございまして、それがもっとずっと拡大していくことが合意を得られる、そしてまたそのことがいいんだということになれば、政策的にそういう判断を全員でしていくことだというように思っておる次第でございます。

○足立信也君 私は、恐らくは答弁で、人工授精に関しては成功率の問題があって、それをすべて保険に結び付けていくと、その成功率から、費用対効果といいますか、考えても余り妥当性がないのではないかという恐らく答えが出てくるんではないかと思ってお聞きしたわけですが、実はその内容とは異なっておりましたが、それでは衛藤副大臣が、私は、やはり今の事態として保険適用にすべきだと、そういう政治判断が必要だとやっぱり思います。それでは、先ほど大臣がまだお答えではございませんでしたので、衛藤副大臣の個人的な判断としてはどのようにお考えになりますか。

○副大臣(衛藤晟一君) 私ども与党挙げて、これは今までのエンゼルプランそれから新エンゼルプランという形の中でこのことを充実していきましょうということで議論をしてきたところでございまして、そういう中でやっとここまで正直言ってたどり着けたというところが実情でございます。
 ですから、この人工授精につきましても、できれば合意をいただけるものであればもっと拡大していきたいとは思っておりますけれども、しかし今おっしゃいましたように必ずしも成功率が高くない、そういう中で保険適用をすることはどうなのかと、また合意が得られるのかどうかということについて、今のところ直ちに保険適用するということは難しいけれども、将来に向けては何とか合意の輪を広げていくことができればという具合に考えているところであります。

○足立信也君 ありがとうございます。まだまだ党の、会派の中ではもっと突っ込めという意見がございますが、次に移りたいと思います。
 医療、介護について今日は一点のみというふうに話しておりましたので、まず介護保険についてお伺いします。
 要支援あるいは要介護、介護度の一、二の要介護者に対していろいろな改革案がございます。それらはすべて介護度の認定に基づいております。現場ではこの介護度の認定に多くの疑問が投げ掛けられています。ところが、私が今まで見ますところ、改革案では認定作業については特に触れられておりません。
 そこで、まずお聞きいたします。一次判定の七十九項目のチェックはだれが行っていますでしょうか、調査の段階で。

○政府参考人(中村秀一君) 要介護認定についてでございますが、まず、要介護認定の基本調査項目、七十九項目、先生のおっしゃるとおりでございますが、その訪問調査は原則として市町村の職員が行うことになっております。しかし、市町村の職員が行わない場合、居宅介護支援事業所又は介護保険施設に委託することができると、こういうふうにされておりまして、新規申請の四六%、更新申請の五九%は市町村の職員ではなくてこの委託調査によって行われているという状況でございます。
 また、この認定調査をこのような事業者の方に委託をしてやっていただく場合には、その事業者のケアマネジャー、介護支援専門員に認定調査を行っていただくと、こういう仕組みになっております。

○足立信也君 ただいまの御答弁で、初めての、初回の一次判定の場合は五〇%以上が市町村の職員だというふうに解釈いたしました。その市町村の職員は、例えば医療や看護や介護の知識あるいは資格そのものというものは問われないんでしょうか。

○政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。
 介護保険法上、その調査認定に従事する、これは市町村が当該市町村の職員に行わせるというふうに書いておりまして、法律上、資格を問うているわけではございません。
 しかしながら、私どもは、例えば平成十一年四月の全国介護保険担当課長会議におきましては、調査員、市町村職員が行う場合につきましては、所要の研修を受けた医療、保健、福祉の専門家、すなわち医師、保健婦、福祉事務所のケースワーカー等にやっていただきたいということをお願いしておりますし、十六年四月に私どもが作りました認定調査員のテキストでも、認定調査員は保健、医療、福祉に関しての専門的な知識を有している者がなることが望まれると、こういうふうには一応指導をし、お願いをしているところでございます。

○足立信也君 指導をしているということ、お願いをしているということでございますが、研修ということが出てきましたけれども、その市町村の職員に対する研修というのが恐らくは市町村によって相当差があるんだと僕は思います。ただ、努力をしているということでございますので、これ以上は申しませんけれども、なぜ私が一次判定にこだわるかという理由を、午前中の中村委員の発言がございましたが、やはり正しい判定に基づいてその後の施策が決まるんであるという観点からでございます。
 要介護度認定の一次判定のソフトは、昨年ですね、二〇〇三年に改訂されましたが、総括いたしますと、根本的な要介護認定の問題は先送りされて、要介護度一に半分近く、具体的には四六・数%だったと思いますが、その方が要介護度一に認定されるという事態になってしまったと。二次判定での変更率、これは全国平均で三一・五%が一次判定から二次判定で変更されている。その中で、より重く、より重度に変更された例が二三・六%です。平均の要介護度は一・八七。仮に、改訂前の旧版で判定した場合、これは一・九六になります。改訂版では低く要介護度が判定されているという事態です。二次判定で、介護認定審査会では主治医の意見書かあるいは特記事項がなければ変更できません。要支援から要介護二までをこれは書面だけで判定するのは非常に難しいと私は同僚の審査委員から聞いております。より正確な一次判定が必要だということです。
 そこで、資料をごらんいただきたいと思います。旧版の資料ですが、基本的には変わっておりませんので、参考にしていただきたいと思います。
 まず、資料一ですが、丸囲みのところが変化があったところでございます。右下肢麻痺と肩関節の拘縮がない状態からあるに変わった。それから、真ん中辺りの嚥下ができる状態から見守りが必要になった。ところが、介護認定基準時間が、九十五分、要介護度四から八十六分の要介護度三へ下がってしまった。私が一般的に考える、まあ医師の私が一般的と言うのも難しいかもしれませんが、これは明らかに悪化していると思います。
 資料二ですが、これは丸で囲んだ一番下のところです。問題行動の昼夜逆転がある、これがなしに変わった。これは介護認定の基準時間が二十八分から三十五分へ、要支援から要介護度一へ、昼夜の逆転があるからないに変わったのに介護度が上がってしまった、逆に良くなったケース。在宅の場合、昼夜逆転は多くの介護の時間を取られるというのは皆さん御存じのとおりだと思いますが、昼夜逆転がある方が介護度は低いということです。
 資料の三をごらんください。第七群の問題行動の九項目、これがすべて、あるからすべてなしに変わりました。ところが、介護認定基準時間は三十五分のままで、要介護は一です。いかに問題行動が点数に響かないという実例だと思います。
 資料四、これは、左側のところはすべてに自立です、何も問題ないと。ところがこれを、旧版の判定式だと二十五分になって、要支援になってしまいます。ですから、昨年改訂があって、四項目以上チェックがあり、二十五分から三十分の場合を要支援としましたから、この人は自立です。ところが、右側、ごらんのように、薬の内服は介助が必要、物忘れがある、意思の疎通ができない、昼夜逆転があって、幻覚がある、そういう事態になってしまっても、これは介護の認定基準時間が二十四分です。自立です。こういう事態になっているんですね。
 まだまだ例を挙げれば切りがありません。このような認定に基づいて要介護度が決められて給付が決められています。要介護度認定が本質ではないからだと私は思います。
 まとめますと、元気な痴呆性老人に掛かる介護の時間が非常に軽く見られている。視覚や聴覚など障害はあっても、体の動きに問題がなければ介護度が低くなると。在宅で一人で頑張っている老人は、介護ではなくて、介助をされていないと判定されている。つまり、本質的にこの介護認定の基準が、介護ではなくて、周りの人が介助に掛かる時間の判定なんです。だから、昼夜逆転があっても周りの人が助ける必要がなければ、介護、見守ることは無視されているわけです。手が掛からないというふうに判定されていると、そういうことなんですね。
 そこで、一つ一つこれは挙げれば時間が掛かると思いますので、この点について、今までの改革案、私が見た範囲では、この要介護度認定に関して改革が必要だということはどこにも出てきません。そこで、大臣にこの点について、要介護度認定について本当に改革の必要性がないんでしょうか。

○政府参考人(中村秀一君) まず、要介護認定基準について、先生から資料をお出しいただいての御指摘でございますので、私の方から若干御説明をさせていただきます。
 まず、この四例についてお出しいただきました。三例は痴呆の症状がある方の問題でございまして、これは、介護保険制度がスタートしたときから痴呆の認定については問題があるという御指摘があり、要介護認定基準の見直しを行いまして、十四年からその基準の見直しを行ったところでございます。
 その結果、最近の要介護認定の動向を見ますと、かなり痴呆の方が多い要介護二、その前後の動きがございます点が一つ。それから、痴呆性高齢者の方が入っておりますグループホームの平均要介護度がかなり動いていると。これは、つまり、グループホームに入っていらっしゃる方が変わらなくても基準が変わって見直しをしたときに要介護度が上がっているということは、今先生の御指摘のあった痴呆性高齢者の介護ニーズに対して感度が悪かった問題についてはかなり解消をされているというふうに考えております。
 しかし、いずれにいたしましても、今要介護認定という物差しがございまして、その物差しで要介護度を判定しているわけです。それで、要支援から要介護の一から五まで六段階に分け、六段階の方々に対して、要支援の方については予防的なサービス、現行の法律では要介護一から五までについては介護的なサービスをすると、こういうことでやっております。
 私ども、物差し自体については、細部に様々な意味で問題はないわけではございませんけれども、物差し自身については、要介護に必要な時間で測るといった物差し自体についてはかなり客観性があるんではないかと。むしろ、地域によっても差がありませんし、認定が拒否される率も地域によって差がないと。何と相関するかというと、特に軽い方の方については地域差が多いわけですが、その地域差の差はむしろ申請率の差に相関しているということでありますので、そういった意味では、物差しの問題よりも、個々の点では若干あるかもしれませんが、物差しそのものの問題ではなく、そういった物差しで対象の方が出てこられた場合、その場合に、軽度の方が要支援と要介護一で全体の要介護認定該当者の四八%おられますが、そういう物差しで測ったそれぞれの要介護度の方にどういうサービスをしていくかということが問題ではないかと思っておりまして、そこは、物差しで測った方々の要介護度に応じて、あるいはその方のニーズに応じてどういうサービスを提供していくかというのはケアプランの問題であると思いますので、私どもは、物差しの見直しよりも、むしろそれぞれの要介護度に応じた適切なケアプランが作られること、特に軽度の方々については、ケアマネジメントの在り方とサービスメニューを自立支援型のサービスメニュー、介護予防型に変えていくことが必要ではないかと、そういった意味で御提案をさせていただいております。
 要介護認定について全く問題がないわけではありませんが、むしろ私どもの問題は、先ほど先生からお話があった認定調査の場合の委託の問題でございますとか、また、この要介護認定については申請委託もできるということで、実は八割の方が他の方に申請することを委託してやってもらっていると。申請代行が八割を占めているというようなこともあります。その辺の適切性の確保、これは申請率の差が、実は要介護認定の該当率の差、特に軽度のところの差に表れているというところもありますので、その辺について対応を考えているというところでございます。

○足立信也君 午前中の中村委員の御指摘もございました。私がそこを問題にしているのは、二次判定で変更すればいいという考えはございますが、実際三一%以上の方が変更になっているわけですけれども、それは非常に難しい。書面だけで、実際にその申請された方を見るわけではなくて、書面だけで判断しなければいけなくて、要支援から要介護度二までの判定は書面だけでは困難だというのが実際の審査委員から出ているということです。つまり、要介護度二であるべき人が判定で要支援あるいは要介護度一になった場合に予防だけで終わってしまうということです。その点を私は指摘しているわけでして、私が先ほど大臣にお聞きしたわけですけれども、やはり介護度認定のその認定そのものの基準を見直す必要があるんではないかということに対してまず回答いただきたいと、そのように思います。

○政府参考人(中村秀一君) 繰り返しになって恐縮でございますが、私ども、例えば現在の制度では、要支援、幸か不幸か、要支援から要介護五までについて、在宅サービスの場合についてはサービスメニューに基本的には差がないという状態になっております。また、施設に入所できるかどうかは、法律上は要介護一以上が施設入所に該当しておりますが、ここのところは、施設についてはより重度な方を緊急にという優先入所のお願いをしているところでございますが、申し上げたいことは、今のところ、要介護度認定、例えば要介護二か三かというところの違いというのは支給限度額の上限の違いになっているというところでございます。
 だからといって、要介護二である人が三になったり、二であるべき人が一になったりと、そういうことは好ましいと言っているわけではございませんが、そこはきちんと出るように努力はしていく必要があると思いますが、私ども、一番緊急度はむしろ、それぞれの要介護度の物差し自体についてはかなりしっかりしていると。むしろ、それぞれ、要支援なら要支援の方、要介護の軽い方、重い方に対して適切なサービスが届くように、適切なサービスが計画され、それが届くようにしていくことの方に問題があるんではないかと考えておりますので、先ほどからお話が出ておりましたケアマネジメントの見直し、そういったところをまず重点に考えさせていただいております。

○足立信也君 今年十月の介護保険サミット二〇〇四、認定の妥当性に対して、妥当だと、わずか九千人の調査ではありますけれども、妥当だと答えている人は六五%しかいないということを念頭に置いて改革に進んでいただきたいと、そのように考えます。
 次に、続きまして、あんま、マッサージ、指圧、医業類似行為についてです。あんま、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復、カイロプラクティック、整体や足裏マッサージなどの医療の周辺産業です。
 なぜ今回このような質問をするかといいますと、一つには、医療の現場で、病院を受診する前にこういった業者に行き、麻痺や神経障害、骨折を起こす患者さんがいるということです。もう一つは、私の地元の県議会の方から、医業に類似する行為について明確な基準がないので取り締まれないという要望があるからです。
 まず、医業に類似する行為について、判例や厚生労働省の通知に基づいて私が解釈していることを述べます。医業に類似する行為には、法で認められた医業類似行為と、法に規定されていない医業類似行為があって、法で認められた医業類似行為には、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、略称があはき法です、に基づくあん摩マッサージ指圧、はり、きゅうと柔道整復師法に基づく柔道整復があります。
 もう一つ次に、法に規定されない医業類似行為については、人の健康に害を及ぼすおそれのある業務に限局して禁止処罰の対象になる、このように解釈しておるんですが、これでよろしいでしょうか。

○政府参考人(岩尾總一郎君) よろしいかと思います。
 あはき法は、一条において、医師以外の者で、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅうを業とする者は、それぞれの免許を受けなきゃならないと規定しておりますし、柔道整復師法は十五条において、医師である場合を除き、柔整師でなければ、業としてその柔整を行っちゃならないということを規定しております。
 それから、今のあん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔整以外の医業類似行為についても、あはき法の十二条では禁止されておりますが、ここで禁止されているのは、先生おっしゃったように、人の健康に害を及ぼすおそれのある行為に限られているということでございます。

○足立信也君 今の答弁で、あはき法の第十二条に、何人も、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう以外、医業類似行為を業としてはならないという条文があるけれども、最高裁の判決で、人の健康に害を及ぼすおそれがない場合は職業選択の自由があるのでよろしいということだと思います。それでよろしいかどうか。
 あわせて、あはき法違反者、先ほどの法の違反者に対して実際にどのように規制を行っているか、その点について教えてください。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 昭和三十五年の一月に最高裁の判決が出て、この十二条の禁止というのは、人の健康に害を及ぼすおそれのある行為ということで限られました。
 このような行為が行われている場合、それから取締りでございますが、免許を有さない者があんま、マッサージ、指圧を行っている、このような場合に、各都道府県による衛生規制の観点の指導が行われております。また、警察による捜査、取締りの対象となっているということでございます。
 私ども、各都道府県に対しまして、この医業類似行為に対する取扱い等の通知の発出、それから全国の主管課長会議を通じましてこのあはき法違反等に関する周知徹底を図っているところでございます。

○足立信也君 あはき業、略称のですね、あはき業以外の医業類似行為に関しては、カイロプラクティックについてのみ平成三年に規制事項が定められて医事課長通知という形で出ています。基本的に、それ以外は基準も規制もない状態かと思います。最高裁判決で、健康に害を及ぼすおそれがある場合のみ禁止となったため、行政側も対応に苦慮している状態です。
 害を及ぼすかどうかというものは結果でしか分からないわけで、つまり、医業に類似する行為をまず業として黙認する、人体に害があったら規制する。職業の自由としてはそれでいいかもしれませんが、しかし、無資格の医業類似行為で被害を被った患者さんや、きちんと三年間勉強して国家試験にも合格して、業を営んでいるあはき業の方たちは実際に圧迫を受けているわけです。
 特に、私が今日問題として取り上げたいのは、足裏マッサージとか何々式マッサージという業種です。ある無資格者が行っている行為があはき業なのか、それともあはき業以外の医業類似行為なのか、どのように区別しているのか、その基準を教えてください。

○政府参考人(岩尾總一郎君) もむとか押す、たたく、摩擦するという行為をやるわけですが、どの程度の力を加えるとか、それから置かれているその患者さんの状態にも違うかと思いますが、実は、このあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律では、このあん摩マッサージ指圧業等の定義が置かれておりません。何が法律に規定されたあん摩マッサージ指圧業なのであるか、またそれ以外の医業類似行為なのかというのは、現在まではそれぞれ個々のケースに応じて、社会通念に照らして総合的に判断してきたところでございます。
 御指摘の足裏マッサージなど、マッサージと称することにより、一般人がそこであはき法に言うマッサージ業が行われているものと誤認するおそれがある場合は好ましくないということで、その旨の指導を行うように都道府県にもお願いしてございます。しかし、御指摘の業種が無資格のあはき業に該当するか否かについては、実際に行われている行為の個々具体的な態様により判断されているところでございまして、業態の名称だけで取締りの対象にするというのは困難であるというふうに考えております。

○足立信也君 今、正に基準はないということをおっしゃったわけですね。確かに私は難しいとは思うんですが、このことで地方自治体も非常に頭を悩ませているわけですし、資格を持っている方々からも強い批判が確かにあるんですね。
 で、実際上、全く資格がなくて無資格の方が、自分の行っているのはマッサージではないと、何とか式マッサージなんだから法律上はあはき業ではないんだと主張してしまえば、これもう取締りできないわけですね。
 先ほどおっしゃったのは、多分昭和三十八年の厚生省医務局長の東京都知事あての回答だと思いますが、確かにそこには、あんま、マッサージとは、病的状態の除去、疲労の回復という効果を目的として行われる、もむ、押す、たたく、摩擦するなどの行為の総称であるとされています。だとしたら、足裏マッサージや何々式マッサージという業種は無資格であはき業を行っていると認識できるんじゃないですか。その点についてはいかがでしょう。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 先ほども申し上げましたけれども、そういう何々マッサージ、マッサージという言葉自体はもう一般名詞化しているかと思いますが、そういうようなものに足裏とか何か付けるということで、いわゆる業としてやっているようなものなのか、それともいわゆるあはき業に該当するのか否かというのが、私どもの解釈としては、そこで行われている個々の具体的な行為というものを見ない限り判断できないということで、単なる名前だけではなかなか取り締まれないということを申し上げさせていただきました。

○足立信也君 今のお答えで、多分整理して、こちらが整理しないとなかなかどのようにしていっていいのか難しいというニュアンスの回答だと私は思いますので、言わせていただきます。
 専門の学校に三年間通って卒業して国家試験も通っていると、そういう有資格者と全くの無資格者が同じように併存している現状では、資格制度そのものが形骸化していると言ってもいいと思うんですね。
 我々民主党は、努力した人が報われる社会を作りたいと、そのように思っています。あはき業の方は多くが視覚障害者です。相当に努力をしてその資格を取った方々だと私は思います。
 あはき業とあはき業以外の医業類似行為を区別する分かりやすい基準を作成して広く国民に伝える、無資格であはき業を行う者を厳しく取り締まり、有資格者の保護をすべきです。この点が、先ほどどのような方策がいいのか分からないという感じの答弁だったと思います。でも、このことは、専門的知識、技能を有する資格者によって適切、安全なサービスを受けることができるという国民の利益でもあるわけです。その利益を保護することでもあります。
 まず第一に、無資格者が国民にあたかも資格を持っているように誤認させることを規制しなければいけない。その手段、方法として、現在無資格者が、私はマッサージ師ですと名のることや、自分が仕事をしているところが何々マッサージ、あるいは何々マッサージ所、何々マッサージ施設と勝手に言うことも、マッサージを私はやっています、成人病が治りますよ、生活習慣病を治しますよ、そういう広告をすることもすべて自由なんですね、資格がない人が。
 厚生労働省は、今年の三月、先ほど出ました全国課長会議で、国家資格を持つあはき業者によるあんま、マッサージ、指圧が行われていないのに、マッサージと広告することは看過できないので指導するようにと発言されております。また、資格を持ったあはき業者の広告規制を緩和することについて、もっと広告してもいいようにするために、昨年七月の衆議院の厚生労働委員会で、パブリックコメントを出しているところだと答弁されております。その後、どうなっておりますでしょうか。

○政府参考人(岩尾總一郎君) このあはきに関する法律の第七条及びこの規定で広告できる事項が制限されているということで、昨今、医療においても広告規制の緩和ですとか、関係団体からも広告規制の緩和についての要望があったということを踏まえまして、昨年の六月に、このあん摩マッサージ指圧業、それから柔道整復業等の広告可能事業の追加についてパブリックコメントを実施いたしました。一般からの御意見というのは昨年の七月に締め切ったんですが、残念ながら広告規制の緩和についてはなお慎重であるべきという趣旨の御意見が多数寄せられたものですから、今日まで、そのような意見があるということで、どのように対応すべきかということを慎重に検討している状況でございます。

○足立信也君 パブリックコメント、それは業者の方からの回答がということで理解してよろしいんですか。

○政府参考人(岩尾總一郎君) インターネットの回答でございますので、回答する際には相手に対して職種までを求めていなかったかと思いますが、電子メール、それからファクシミリ、郵送ということで、あっ、済みません、意見の提出は、個人の場合は住所、氏名、年齢、職業、法人の場合は法人名、所在地ということでございますので、いろいろな方から来ていると思いますが、ちょっと今詳細には内容は把握しておりません。

○足立信也君 自分の行っている業の広告規制をどうしたらいいかという問題を、その業者の方々に特に集中的には出していないということですね。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 一応、パブリックコメントということで通常の手続でやっておりますので、特定の団体の意見ということではございません。

○足立信也君 慎重であるべきだという意見が多かったと。これは、その母体がどういうことにあるか、また、この業者の方々が先ほど言いましたように視覚障害者が半分近くを占めて、全体としては非常に少ない、それに対してパブリックコメントが慎重であるべきだというのは、ある意味予測された回答といいますか、そのような気がします。
 それよりも、今の問題はあはき業者が広告できる内容を広げたらどうかということなんですが、私が言っているのは、それよりも必要なことは、無資格者への広告内容の規制だと思うんですね。そのことで、昨年十一月に医政局の医事課長から、痛みを感じるほどの強さで人体に危害を及ぼす、又はおそれのある行為があはき業だと、そのように誤解されるような、今までの解釈とは違う解釈の意味の回答がされております。また、今年三月には、先ほど言いました、あんま、マッサージ、指圧が行われていないのにマッサージと広告することは看過できないと、こういう、基準が行ったり来たりなんですね。ですから、実際に地方の方でも取締りができないということになっているんだと思います。現実は、足裏マッサージや何々式マッサージという看板は乱立しております。
 まず行うべきこと。繰り返しになりますが、あはき業の定義を明確にすること、国家資格を持ったこの独占業務を保護すること、無資格者があたかも国家資格を持ってマッサージを行っていると国民が誤認しないようにすることです。そのためには、先ほども言いました、無資格者が資格の名称を勝手に使うことは禁止しなきゃいけない、それから場所も何々マッサージ所とかいう名称を使うことはやはり禁止しなければいけないと思います。そして、そのようなマッサージ師という名前や場所の名称を禁止しても、私はやっていますよと、マッサージをやっています、ちゃんと治していますよということを言っては何の意味がないわけですから、独占業務であるあんま、マッサージ、指圧を無資格者が行う旨の表示を行う、その表示を行うことそのものも禁止しなければいけないと私は思います。繰り返しになりますけれども、これはやはり国民の利益を保護することになると。専門的知識、技能を有する資格者による適切、安全なサービスということなんですね。
 私が今順番を追って挙げましたが、そのような規制、あるいはこれは立法というふうになっていくかもしれませんが、国家資格を持った独占業務を保護すること、この考え方について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

○副大臣(西博義君) 先ほどからの議論のまとめのような形の御答弁になるかと思いますが、お答えを申し上げたいと思います。
 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、いわゆるあはき法第一条においては、医師以外の者で、あんま、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅうを業としようとする者は、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許を受けなければならないと、これが規定をされております。
 あはき法上、これらの定義を定める規定はないというふうに先ほど局長からも答弁申し上げましたが、特定の、もむだとかたたく等の行為があはき法第一条に規定するあんま、マッサージ又は指圧に該当するか否かということにつきましては、当該行為の具体的な態様から総合的に判断されるべきものであるために、一般的にそれを類型化したり、また定義を明確にとことん突き詰めるということは大変困難であるというふうに考えております。
 無資格者についての御指摘の点につきましては、マッサージという既に普及した、言わば一般名詞の使用を特定の資格だけに許すということについての逆に影響があるのではないか。また、もむ、たたくなどの行為にあっても、人体に危害のない範囲であれば法律違反とはならない、これも先ほど判例がございましたが、そのような一般的な業務を行うことの表示を禁止することが合理的であるんだろうかというような点を十分に今後考慮していく必要があると、こういうように考えております。

○足立信也君 まとめられてもちょっと困るようなところがあるんですが、一つ今お伺いした中で、今までの通知、判例の中で、人体に被害というものの中に痛みを伴うようなというのがございまして、今挙げられた無資格者が行っている行為は大体痛みがあるんですね。これは今までの解釈では通用しない部分があるということを、一つ抜けているんではないかということを感じましたし、やはり国家資格ですから、国家資格を持って業を行う方が、無資格者がやっているのと似たようなことをやられていながらも、簡単に言い逃れできると。このことは、非常に失礼な言い方かもしれませんが、弱い立場の人で視覚障害者が多い業種、そのことをやっぱり守っていかなければいけないんではないかと。
 その点に関しては、国家資格を持った独占業務を保護するという観点では先ほどお答えの中に入っていなかったと思います。その二点について、更にお答えください。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 先生御指摘のように、このあはき業は、業務は独占しておりますけれども名称は独占しておりませんし、それから定義もございません。こういう法律の中で、私どもが、そのときの局長通知ですとかそれから最高裁の判例などを踏まえて、現在まで最大限、このような免許を持っている方々の業を法律上保護しながら様々な解釈なり運用をしてきたということでございますので、先生おっしゃいますように、やはり視覚障害者にとっての最大の職場だろうと思いますので、今後そのような先生の御意見を踏まえながら、この先どのようにしたら免許取得者が保護されるのか、無資格者との区別ができるのかということは、もう少し検討させていただければというふうに思っております。

○足立信也君 分かりました。
 私は、もっと積極的に、あはき業以外の医業類似行為についても、その効果、副作用あるいは危険性などについてちゃんと評価をして、得られた情報を関係者、国民に広く伝える、業者への指導監督をすべきだと私は思います。国民の生命と健康を守り、資格制度の形骸化を防ぐためにも、以上のような対策を早急に積極的にやっていただきたいと、そのように思います。
   〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕
 時間がもうありませんので、まだ質問事項あるんですけれども、ちょっと要望というか、注意喚起みたいな形に終わってしまうかもしれませんが、少しお聞きください。
 卒後臨床研修の必修化によって、研修医を指導する医師の確保という観点から、それにまた、国立大学の独立行政法人化によって、医師の派遣先の選定に、もっと採算性のいい、高い施設を優先するようになりました。そのことによって、地域の中核病院、特に公立病院で小児科医、産婦人科医、麻酔医が不足した、あるいは全くいなくなったという事態が現在生じております。今日はその中でも、時間がありませんので、麻酔医についてちょっと御説明いたします。
 麻酔は麻酔医が掛けるということが今もう医師あるいは患者さんの間でも浸透しております。ところが現状は、先ほど言いましたように、地域の中核病院から麻酔の常勤医がいなくなりました。そのため、それらの病院は大学へ麻酔医の派遣要請を行っております。麻酔医側は、例えば関東地区では協定があるので、手術のうち、麻酔料の七五%を出さないといけないというふうに回答が多くございます。麻酔料の要求が高くて、一時代前のように、今外科医が麻酔を掛ける病院が多くなっております。以上のような独占的な協定がなされていると、このような実態がございます。
 このことは今後また私も問題にしていきたいと思うんですが、現実は、卒後臨床研修の必修化、それと国立大学の独立行政法人化が相まってそのような事態になっているという注意を喚起して、私の質問を終わらせたいと思います。
 どうもありがとうございました。

041104厚生労働委員会会議録より
このページのTOPに戻る

Copyright 2004 Adachi Shinya. All Rights Reserved.